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第二章
業務再開
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午後七時ちょうどに王都の東駅を発車した汽車は、滑るように東へと向かう。
わたしはミス・リーンに着せられた旅行用のすとんとした紺色のドレスに紺色のトーク帽を被り、ゆったりとしたシートに腰かけて車窓を眺める。日はすっかり落ちているが、王都の市街は光に満ちていた。
――まさか、王都を出てそのまま、外国に行くことになるなんて。不安しかないけれど、実際、王都に家もなければ、殿下が不在ならば仕事もないわけで、司令部にまで新聞記者が押しかけている状況ならば、とてもじゃないが一人で過ごすこともできなかっただろう。
わたしは無意識のうちに溜息をついていた。
マリアン・ブレイズはきっと、新聞記事を読んで怒り狂っているだろうに。あるいはそもそも、リークしたのは彼女かもしれない。わたしの元の爵位や祖母の病気のことも知っていたし――。
ノックの音がして、ロベルトさんが個室を覗く。
「今、入っても大丈夫ですか? ……いくら何でもこの時間から盛ったりしない?」
「ロベルト! 女性の前で失礼な!」
隣り合った座席で新聞を読んでいた殿下が、ロベルトさんを窘める。……盛る、の意味がわからなかったけれど、どうやら、何か不都合な意味が含まれているらしい。
「いやいや、だってさ……エルスペス嬢がアパートメントを出ていってからの、殿下ときたらさ。もう、手負いの虎みたいに荒れ狂っちゃって……」
「煩い、余計なことを言うな!」
殿下が慌ててロベルトさんの口を封じ、早口に言う。
「何か用があってきたんだろう? 早くしろ」
「へいへい……こちらが会議の資料ですよ。スケジュールがこれで……こっちが外交部が用意した素案。現在は一足先に海軍の軍艦の制限について話が進んでいて……陸軍の兵器の制限で揉めてます」
殿下はロベルトさんの差し出す書類を手早く捲りながら目を眇める。
「化学兵器の使用禁止を提案しているはずだが?」
「却下される可能性が高いっすよ。特に北の……ベリニックスとフロランタインが強硬に反対を表明してる。毒ガスは製造コストの割に敵に与える被害が甚大っすからね。弱小国は手放したがらない」
「だからって、あんな悲惨なものを野放しにできん」
殿下は凛々しい眉を寄せる。
「禁止したところで守られないかもしれない」
ロベルトさんの発言に、しかし、殿下は肩を竦める。
「禁止したところで人殺しはなくならない。だからって人殺しを合法化しようってことにならないだろう? 毒ガスだって同じだ。禁止条項に含めることが大事だ。それでも少しは抑止力になる。禁止しなかったら好き放題使う国が出てくるぞ。何せ製造コストが安いからな」
ロベルトさんは殿下に座れとも言われていないのに、勝手にシートの端に腰を下ろし、横から書類を覗き込み、指さす。
「でも説得は難しいですねー。……毒ガスで死のうが、戦車に轢かれて死のうが、機関銃で穴だらけにされようが、死ぬは同じでしょ? 毒ガスだけ禁止するのは大国のエゴだとか何だとか、御託を並べているっすからね」
「戦車も機関銃も禁止できれば言うことはないさ。でも毒ガスの後遺症は他の比じゃない。非戦闘員を巻き込む可能性も大きい。これだけは禁止させたい」
「向こうは見返りを要求してくると思いますけどね。こちらから提案できるものがあります?」
殿下は眉間に皺を刻んで考え込む。
「……わからんな」
ふっと溜息をつき、ふと、隣で聞いていたわたしに気づいて、微笑んだ。
「すまない、エルシー。……女性の前ですべき話ではなかったな」
わたしは首を振る。
「お仕事で行かれるのでしょう? だったら仕事の話をされるのは当たり前です。……それに、わたしも一応、秘書官の身分で行くのでしょう?」
「それは名目的なもので……」
「機密に関わる仕事でまずいならば、わたしは席を外しますが……」
「いや、それはいい」
殿下が首を振り、ロベルトさんも言う。
「むしろエルスペス嬢の存在そのものが機密だから。……秘書官の名目で愛人連れなんて、素晴らしくスキャンダラス」
「ロベルト! エルシーは愛人じゃないと何度言ったら――」
殿下がロベルトさんを叱りつけるが、ロベルトさんも気にしない。
「殿下がエルスペス嬢に夢中で、本気で結婚するつもりなのも十分、わかってますよ? けど、それは俺が身近で見ているからでしょ。他の奴らはそんな風には思わないですよ。殿下がどう思っているか、じゃなくて、傍からどう見えるか、だ。殿下は二言目には俺が守る、って言うけど、今現在、守れてないじゃないですか。結局、批判を浴びるのはエルスペス嬢っすよ? でも、ここまで大騒ぎになった以上、もう後戻りもできないし」
その言葉にわたしは不安になって俯いてしまう。
「エルシー、気にするな。……ロベルト、言葉に気をつけろ」
「俺はね、変に隠し立てするより、働いてもらった方がいいと思うんすよ。だって隠したらモロ愛人じゃん」
「エルシーは愛人じゃない! 恋人だ!」
「秘書官でしょ?……書類の整理ぐらいやってもらいましょうよ。タイプ打ちとか」
ロベルトさんが悪戯っぽく笑って、わたしを見た。わたしは反射的に叫んでいた。
「やります! わたしは殿下の愛人じゃなくて、秘書官ですから!」
「いや、恋人だって言ってるだろ! なんで秘書官なんだ!」
殿下は複雑な表情でわたしの顔をじっと見てから、それからロベルトさんに向き直る。
「……お前、エルシーをこき使って、自分の仕事を減らすつもりだろ」
「当然!……せっかくできた部下なのに。今までだって、結構、エルスペス嬢は有能でしたよ。タイプも早いし正確だし、字もキレイだしね。会議に連れてくんだから、働いてもらって何が悪いの。エルスペス嬢だって、ちゃんと秘書官の業務をこなした方が、胸を張って随行できるってもんでしょ? 秘書官のついでに愛人したって悪いことはないし。……ま、夜の特別業務については、ほどほどにしてもらいたいですけどね」
ロベルトさんのあけすけな言い方にわたしは恥ずかしくて顔を背けるが、でも気を取り直して殿下をまっすぐに見た。
「仕事をさせてください、殿下。……たいしたお役には立てないかもしれないし、足を引っ張るかもしれませんが」
殿下は少し悩むように視線をめぐらせる。
「……政治の汚い部分を、お前に見せたくないんだが。……だが、その方がお前も気も楽だと言うなら……」
殿下が折れてくれて、わたしはホッとして、思わず殿下の腕に抱きついた。いつも澄ましているわたしには珍しい行動だったらしく、殿下もロベルトさんも目を瞠った。
「おおお、エルスペス嬢にそんな表情ができたとは……」
「なっ……ロベルト、見るな! エルシーの可愛い顔は俺専用だと何度言ったら……」
「ほんと、殿下、心狭いっすよね、エルシーたんのことになると」
「何が〈エルシーたん〉だ、気安く呼ぶな!」
男たち二人の言い争いがあまりにバカバカしくて、わたしは殿下から身を離して溜息をついた。
この豪華寝台列車には鉄道会社自慢の食堂車があり、初日の夕食は八時の予約となっていた。夜は冷えてきたので、わたしは黒いキモノ風のコートを羽織って、殿下のエスコートで食堂車に向かう。護衛のジョナサン・カーティス大尉が先導し、後ろにラルフ・シモンズ大尉がつく。マホガニーの木目も美しい通廊を渡るが、連結部分は揺れるので、ハイヒールを履いているわたしはふらついて、殿下に支えてもらわなければならなかった。
食堂車では、白い詰襟に金釦のついた上着に黒いトラウザースの給仕が出迎え、わたしたちを座席に案内する。ももちろん、殿下は当たり前のようにわたしのコートを脱がせて控えていた給仕に手渡すと、わたしの椅子を引いて座らせてくれる。こういう何気ない所作は、さすが王子様だ。殿下とは向かい合わせに座り、通路を挟んだ四人掛けのテーブルに、ジェラルド・ブルック中尉とロベルトさんがすでに座を占めていて、ジョナサン・カーティス大尉とラルフ・シモンズ大尉も席に着く。
「コースを注文しておきましたから。……食前酒はどうされます?」
ロベルトさんが言い、殿下は給仕に渡されたワインリストを一瞥し、発泡ワインを注文する。ロベルトさんのテーブルも同様にワインを注文して、食事が始まる。
食堂車はそこそこ埋まっていた。身分のありそうな、上品な老婦人二人組。二十そこそこの女と三十代の男性の、夫婦らしいカップル。でっぷり太った成金風の中年男性と、若い男性の二人組。痩せぎすな初老の、いかにも有能そうな男性は、四人がけに一人で席を占めている。彼ら全員が、見ないようにしてわたしたちを――特に、わたしと殿下に注目していた。男女のカップルの席はわたしの席から見えるのだが、若い女の方が身を乗り出して、向かいに座る男の耳元で何か囁いた。
――もし、彼らが王都の市民だったら、当然、アルバート殿下の愛人スキャンダルの記事を読んでいるに違いない。つい、下を向いてしまったわたしを慰めるように、殿下が言う。
「エルシー、乾杯しよう。……お前はまだ喪中でそんな気分じゃないかもしれないけど、今は俺のために忘れてくれ」
「でん――」
殿下、と言おうとすると、殿下が首を振る。
「リジー。……二人の間ではそう、呼んでくれ。お前の――そうだな、秘書官の業務再開に、乾杯」
「リジー。……乾杯」
わたしが少しだけワイングラスを持ちあげ、殿下がそれに自分のグラスと軽く合わせた。
わたしはミス・リーンに着せられた旅行用のすとんとした紺色のドレスに紺色のトーク帽を被り、ゆったりとしたシートに腰かけて車窓を眺める。日はすっかり落ちているが、王都の市街は光に満ちていた。
――まさか、王都を出てそのまま、外国に行くことになるなんて。不安しかないけれど、実際、王都に家もなければ、殿下が不在ならば仕事もないわけで、司令部にまで新聞記者が押しかけている状況ならば、とてもじゃないが一人で過ごすこともできなかっただろう。
わたしは無意識のうちに溜息をついていた。
マリアン・ブレイズはきっと、新聞記事を読んで怒り狂っているだろうに。あるいはそもそも、リークしたのは彼女かもしれない。わたしの元の爵位や祖母の病気のことも知っていたし――。
ノックの音がして、ロベルトさんが個室を覗く。
「今、入っても大丈夫ですか? ……いくら何でもこの時間から盛ったりしない?」
「ロベルト! 女性の前で失礼な!」
隣り合った座席で新聞を読んでいた殿下が、ロベルトさんを窘める。……盛る、の意味がわからなかったけれど、どうやら、何か不都合な意味が含まれているらしい。
「いやいや、だってさ……エルスペス嬢がアパートメントを出ていってからの、殿下ときたらさ。もう、手負いの虎みたいに荒れ狂っちゃって……」
「煩い、余計なことを言うな!」
殿下が慌ててロベルトさんの口を封じ、早口に言う。
「何か用があってきたんだろう? 早くしろ」
「へいへい……こちらが会議の資料ですよ。スケジュールがこれで……こっちが外交部が用意した素案。現在は一足先に海軍の軍艦の制限について話が進んでいて……陸軍の兵器の制限で揉めてます」
殿下はロベルトさんの差し出す書類を手早く捲りながら目を眇める。
「化学兵器の使用禁止を提案しているはずだが?」
「却下される可能性が高いっすよ。特に北の……ベリニックスとフロランタインが強硬に反対を表明してる。毒ガスは製造コストの割に敵に与える被害が甚大っすからね。弱小国は手放したがらない」
「だからって、あんな悲惨なものを野放しにできん」
殿下は凛々しい眉を寄せる。
「禁止したところで守られないかもしれない」
ロベルトさんの発言に、しかし、殿下は肩を竦める。
「禁止したところで人殺しはなくならない。だからって人殺しを合法化しようってことにならないだろう? 毒ガスだって同じだ。禁止条項に含めることが大事だ。それでも少しは抑止力になる。禁止しなかったら好き放題使う国が出てくるぞ。何せ製造コストが安いからな」
ロベルトさんは殿下に座れとも言われていないのに、勝手にシートの端に腰を下ろし、横から書類を覗き込み、指さす。
「でも説得は難しいですねー。……毒ガスで死のうが、戦車に轢かれて死のうが、機関銃で穴だらけにされようが、死ぬは同じでしょ? 毒ガスだけ禁止するのは大国のエゴだとか何だとか、御託を並べているっすからね」
「戦車も機関銃も禁止できれば言うことはないさ。でも毒ガスの後遺症は他の比じゃない。非戦闘員を巻き込む可能性も大きい。これだけは禁止させたい」
「向こうは見返りを要求してくると思いますけどね。こちらから提案できるものがあります?」
殿下は眉間に皺を刻んで考え込む。
「……わからんな」
ふっと溜息をつき、ふと、隣で聞いていたわたしに気づいて、微笑んだ。
「すまない、エルシー。……女性の前ですべき話ではなかったな」
わたしは首を振る。
「お仕事で行かれるのでしょう? だったら仕事の話をされるのは当たり前です。……それに、わたしも一応、秘書官の身分で行くのでしょう?」
「それは名目的なもので……」
「機密に関わる仕事でまずいならば、わたしは席を外しますが……」
「いや、それはいい」
殿下が首を振り、ロベルトさんも言う。
「むしろエルスペス嬢の存在そのものが機密だから。……秘書官の名目で愛人連れなんて、素晴らしくスキャンダラス」
「ロベルト! エルシーは愛人じゃないと何度言ったら――」
殿下がロベルトさんを叱りつけるが、ロベルトさんも気にしない。
「殿下がエルスペス嬢に夢中で、本気で結婚するつもりなのも十分、わかってますよ? けど、それは俺が身近で見ているからでしょ。他の奴らはそんな風には思わないですよ。殿下がどう思っているか、じゃなくて、傍からどう見えるか、だ。殿下は二言目には俺が守る、って言うけど、今現在、守れてないじゃないですか。結局、批判を浴びるのはエルスペス嬢っすよ? でも、ここまで大騒ぎになった以上、もう後戻りもできないし」
その言葉にわたしは不安になって俯いてしまう。
「エルシー、気にするな。……ロベルト、言葉に気をつけろ」
「俺はね、変に隠し立てするより、働いてもらった方がいいと思うんすよ。だって隠したらモロ愛人じゃん」
「エルシーは愛人じゃない! 恋人だ!」
「秘書官でしょ?……書類の整理ぐらいやってもらいましょうよ。タイプ打ちとか」
ロベルトさんが悪戯っぽく笑って、わたしを見た。わたしは反射的に叫んでいた。
「やります! わたしは殿下の愛人じゃなくて、秘書官ですから!」
「いや、恋人だって言ってるだろ! なんで秘書官なんだ!」
殿下は複雑な表情でわたしの顔をじっと見てから、それからロベルトさんに向き直る。
「……お前、エルシーをこき使って、自分の仕事を減らすつもりだろ」
「当然!……せっかくできた部下なのに。今までだって、結構、エルスペス嬢は有能でしたよ。タイプも早いし正確だし、字もキレイだしね。会議に連れてくんだから、働いてもらって何が悪いの。エルスペス嬢だって、ちゃんと秘書官の業務をこなした方が、胸を張って随行できるってもんでしょ? 秘書官のついでに愛人したって悪いことはないし。……ま、夜の特別業務については、ほどほどにしてもらいたいですけどね」
ロベルトさんのあけすけな言い方にわたしは恥ずかしくて顔を背けるが、でも気を取り直して殿下をまっすぐに見た。
「仕事をさせてください、殿下。……たいしたお役には立てないかもしれないし、足を引っ張るかもしれませんが」
殿下は少し悩むように視線をめぐらせる。
「……政治の汚い部分を、お前に見せたくないんだが。……だが、その方がお前も気も楽だと言うなら……」
殿下が折れてくれて、わたしはホッとして、思わず殿下の腕に抱きついた。いつも澄ましているわたしには珍しい行動だったらしく、殿下もロベルトさんも目を瞠った。
「おおお、エルスペス嬢にそんな表情ができたとは……」
「なっ……ロベルト、見るな! エルシーの可愛い顔は俺専用だと何度言ったら……」
「ほんと、殿下、心狭いっすよね、エルシーたんのことになると」
「何が〈エルシーたん〉だ、気安く呼ぶな!」
男たち二人の言い争いがあまりにバカバカしくて、わたしは殿下から身を離して溜息をついた。
この豪華寝台列車には鉄道会社自慢の食堂車があり、初日の夕食は八時の予約となっていた。夜は冷えてきたので、わたしは黒いキモノ風のコートを羽織って、殿下のエスコートで食堂車に向かう。護衛のジョナサン・カーティス大尉が先導し、後ろにラルフ・シモンズ大尉がつく。マホガニーの木目も美しい通廊を渡るが、連結部分は揺れるので、ハイヒールを履いているわたしはふらついて、殿下に支えてもらわなければならなかった。
食堂車では、白い詰襟に金釦のついた上着に黒いトラウザースの給仕が出迎え、わたしたちを座席に案内する。ももちろん、殿下は当たり前のようにわたしのコートを脱がせて控えていた給仕に手渡すと、わたしの椅子を引いて座らせてくれる。こういう何気ない所作は、さすが王子様だ。殿下とは向かい合わせに座り、通路を挟んだ四人掛けのテーブルに、ジェラルド・ブルック中尉とロベルトさんがすでに座を占めていて、ジョナサン・カーティス大尉とラルフ・シモンズ大尉も席に着く。
「コースを注文しておきましたから。……食前酒はどうされます?」
ロベルトさんが言い、殿下は給仕に渡されたワインリストを一瞥し、発泡ワインを注文する。ロベルトさんのテーブルも同様にワインを注文して、食事が始まる。
食堂車はそこそこ埋まっていた。身分のありそうな、上品な老婦人二人組。二十そこそこの女と三十代の男性の、夫婦らしいカップル。でっぷり太った成金風の中年男性と、若い男性の二人組。痩せぎすな初老の、いかにも有能そうな男性は、四人がけに一人で席を占めている。彼ら全員が、見ないようにしてわたしたちを――特に、わたしと殿下に注目していた。男女のカップルの席はわたしの席から見えるのだが、若い女の方が身を乗り出して、向かいに座る男の耳元で何か囁いた。
――もし、彼らが王都の市民だったら、当然、アルバート殿下の愛人スキャンダルの記事を読んでいるに違いない。つい、下を向いてしまったわたしを慰めるように、殿下が言う。
「エルシー、乾杯しよう。……お前はまだ喪中でそんな気分じゃないかもしれないけど、今は俺のために忘れてくれ」
「でん――」
殿下、と言おうとすると、殿下が首を振る。
「リジー。……二人の間ではそう、呼んでくれ。お前の――そうだな、秘書官の業務再開に、乾杯」
「リジー。……乾杯」
わたしが少しだけワイングラスを持ちあげ、殿下がそれに自分のグラスと軽く合わせた。
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