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第一章
どちらが上か*
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穿たれた途端に、勝手に一人でイってしまったわたしを、アルバート殿下は背後から抱きしめて、耳元で呆れたように言った。
「……一人で勝手にイくなんて、ひどいぞ、エルシー。少しの我慢もできないとは、ずいぶん、淫乱で身勝手な女だ」
「ちがっ……そん、な……、ごめ、ごめんなさ……」
泣きながら首を振るわたしの、首筋や頬に殿下は背後から口づけ、硬いままの雄をそっと抜くと、絶頂の余韻で身動きのできないわたしを抱き上げ、お湯から上がった。
わたしの身体はどこもかしこも敏感になっていて、殿下の手が触れるだけで、陸に上がった魚のようにビクビクと身体を震わせてしまう。
「ああっだめっ……さわっちゃ……」
「俺が支えないと足腰立たないじゃないか。しょうがないやつだな」
殿下はわたしの身体に湯上りを巻き付け、抱きかかえてベッドまで運ぶ。濡れた髪もそのままで、早速圧し掛かってくる殿下に、わたしは懇願した。
「……今は、ダメ……」
「俺はまだ一度もイってない」
「……もう、無理……」
「そりゃあ、風呂場で五回もイったからな」
殿下が気持ちよくなるために、わたしの身体を利用するなら、そういう特別業務だと、わたしも諦める。でも、最近の殿下はわたしの身体を嬲って、わたしを弄ぶばかり。
わたしが恨みがましい目で睨みつければ、殿下はわたしを真上から覗き込んで笑った。
「何が不満だ。……こんなに、気持ちよくしてもらって」
「だって! わたしを気持ちよくさせて、殿下に何の得があるんです?!」
すると殿下は吹き出して、身体を震わせて笑い出した。
「エルシー、お前本当に面白いな!」
「髪が濡れたままでは風邪を引くし、明日の朝、ひどい髪型になるわ」
殿下は肩を竦めると、湯上りでわたしの髪を拭きながら言った。
「本当にこのお姫様は……これじゃ、どっちが上司かわからんな」
「わたしだって、殿下の髪ぐらい拭けます!」
裸のままベッドの上でお互いに髪を乾かしあったり、じゃれ合ったりして……気づけば殿下がもう一度、わたしの上にのし掛かって、真上からわたしの顔をじっと見下ろして、言った。
「そろそろ、今度はお前が、俺を気持ちよくしてくれ」
「……前みたいに、口で?」
殿下はわたしの唇に触れるだけのキスをすると、わたしを抱きしめて、ごろりと向きを変えた。
「きゃあ!」
突然、反転した視界に、わたしが悲鳴を上げた。殿下の鍛えた胸の上に乗っかる形になり、わたしは慌てて上からのこうとするが、殿下の両腕がわたしを抱き締めて離してくれない。
「今夜はお前が上に乗れ。好きに動いて、俺を気持ちよくさせるんだ」
「わたしが……? でも、殿下の上に乗るなんて、不敬だわ」
「セックスの体位に不敬もくそもあるか」
殿下は自分を跨ぐようにしてわたしを膝立ちさせる。寝室は浴室よりは暗かったが、ベッドサイドの電灯は灯っていて、殿下の鍛えた筋肉質の胸と、縦に割れた腹筋ははっきりと見えた。――男の人の身体がこんな風になっているなんて、わたしは殿下とこうなるまで全然、知らなかった。
そして、脚の間から聳え立つ、あの例の分身。
殿下と幾度もベッドを共にした今でも、正直に言えばそれを正視するのは辛い。恥ずかしいし、何より恐ろしい気がするからだ。
思わず顔を逸らしたわたしに、殿下が命じた。
「それをお前が自分で挿れて、動け」
「わたしが、自分で……? そんな、恥ずかしいこと……」
つい、躊躇うわたしに、でも殿下は容赦なく言った。
「さっき、これが欲しいと俺に強請ったじゃないか。ちょうだい、って。ちょうだい、って言うから、くれてやったら、すぐに一人でイきやがって。この淫乱娘。もうこれはお前のものだから、お前のその、下のお口で好きに頬張って食え。欲しかったんだろう?」
「そんな……」
あまりな酷い言いように、わたしは恥ずかしくて顔を背ける。
たしかに、強請ったけど、それは殿下が――。
しかし殿下は許すつもりはないらしく、ニヤニヤ笑いながら、早くしろと急かす。わたしは仕方なく、その肉棒を跨ぐようにして、手を添え、そっと腰を下ろしたが――。
硬く漲ったそれは妙な弾力もあって、つるんと滑って上手く入らない。思わず殿下が笑った。
「下手くそめ。それとも、俺を焦らして煽るつもりか?」
「だって……」
実を言えば、自分の蜜口の位置を完璧に把握しているわけではなかった。
「人体解剖図が怖いから、ちゃんと見てないんです! 場所がよくわからないの!」
「は? 何の話だ?」
殿下は金色の瞳を見開き、でもすぐに笑って、片手でわたしの腰を支え、もう一つの手でわたしの秘所を探り、秘裂を割って蜜口の位置を探り当てる。クチュリと水音がして、わたしが羞恥で顔を逸らす。軽く触れられるだけで、腰がビクりと動いてしまう。
「ここだぞ? さっきあれだけイったから、すっかり準備も出来てる。俺のを握って、ゆっくり腰を落とせ……大丈夫だ、支えていてやるから」
わたしは殿下の言うままに殿下の雄茎を蜜口に宛がい、ゆっくりと腰を落とす。切っ先が入ってくる感覚に、思わず喉を反らした。
「ああっ……」
「そうだ、エルシー……お前が、俺を飲み込んでいくぞ……」
ズブズブとゆっくりと侵入する感覚に、わたしが目をつぶる。
「ああ、いい眺めだ……お前の、子供みたいなツルツルまんこが、俺のちんぽを飲み込んでいくぞ……」
「や、そんな言い方……」
つながる瞬間まで見られている恥ずかしさに、わたしは思わず唇を噛んで首を振った。添えられた殿下の両手が、ぐいっとわたしの腰を抱き寄せたので、わたしは殿下の腰の上に座るような状態になり、腰と腰が密着する。ぐちゅ、っと粘膜が触れ合う音がして、恥ずかしくて目を開けられない。一番奥まで、殿下に貫かれ、満たされる。腰から快感が湧き上がって、呼吸が荒くなる。
「ああっ……奥……深いの……」
「はっ……くっ……奥まで……俺の、俺のものだ……」
薄っすら目を開けて見下ろせば、殿下も凛々しい眉を顰め、何かに耐えるような表情をしていた。殿下の唇から荒い息が零れ、殿下の美しい顔が快感に歪んでいる。
「でん……か……」
「エルシー……悦い……ゆっくり、動いてみろ……」
わたしは殿下の腹筋に両手を置いて、そっと腰を上げ、腰を落とす。中が擦れて気持ちよくて、でも、あまり腰を上げると抜けてしまいそうで、こわごわ動かしていると、殿下が下から笑いかけた。
「大丈夫だ、好きに動け。……抜けたら、また挿れればいい……」
「んん……ん……」
わたしがぎこちなく身体を上下に動かすと、殿下がそれに合わせるように腰を突き上げる。殿下を気持ちよくさせるためのはずが、わたしが気持ちよくて、わたしは動きを止めることができない。
「あ、ああっ……んんっ……ああつ……ああっ」
「はあっ、はあっ……エルシー……いいぞ……全部見える……お前のツルツルのまんこがおれのちんぽを咥え込んでる。お前が自分で腰を振るたびに、お前のおっぱいがぷるんぷるん揺れるの、すっごいエロい。お前、自分で動いて気持ちよがってるだろ?」
「や……下品なの、やめて……」
「下品な男の上にのって、自分で腰を振って、よがって喘いで……もうすっかり淫乱になっちまって……その顔、すっごい淫らな顔してるぞ?」
「やめ、……やめてっ……そんな、そんな言い方っ……」
ひどく下品な言葉で詰られているのに、わたしの中の快感がどんどん高まって、わたしは自ら腰を振って、殿下の肉棒を出し入れするのをやめることができない。
「エルシー、もしかして、罵られると余計に感じる淫乱なのか? すごい締まってきた、くっ……ホラ、もっと腰を振れよ、ああっ、いい……いいぞ、淫乱女!」
「だめ、ちが、うのぉ、淫乱、じゃない、もん……ぜん、ぶ、殿下がぁ……ああっ、ああっ、ダメぇ、ダメなのにぃ……」
恥ずかしくて悔しくて涙が溢れる。なのに身体は気持ちよくて暴走しそう。
「気持ちいいか、エルシー」
「あ、ああっ……でも、あたしじゃなくて、殿下があ……」
「名前をよべ、エルシー」
「なまえ……? あ、あるばーと……」
「それじゃなくて、もう一つの……リジーだ」
「り、じー? リジー? ああっ、ああっ」
リジー、と呼んだ瞬間に、殿下の両手がわたしの両手首をそれぞれ掴み、さらに激しく腰を突き上げ始める。切っ先が一番深い場所を抉って、わたしは甲高い悲鳴を上げた。
「あああっ……ああっ やあっ、それっ……だめぇっ」
肌と肌がぶつかる音が響き、突き上げられるたびにわたしの胸が揺れ、亜麻色の髪が飛び散る。一番深い場所まで彼の楔を飲み込み、奥を突かれるたびに、わたしの脳裏に白い閃光が走る。わたしは殿下に揺さぶられるまま、いやらしい嬌声を上げ続けた。
「ああ、エルシー……すごい、締まる……くっ……またイきそうだな、いいぞ、その顔も……いい……」
「やあ、だっ……ああっ……あああっ……」
グリグリと切っ先がわたしの最奥を抉り、わたしは胸を突き出すように身体を反らし、ベッドの天蓋を仰いで身を震わせる。
「ああ、だめ……きちゃう……あぁああ―――――――っ」
先にイったら、特別業務にならないのに――。イかないように必死に堪えるけど、身体はどんどん暴走して、結合部から快感の極みが全身を満たしていく。だめなのに――涙が、目尻から零れ落ちる。両手首を握り締めていた殿下が身体を起こし、震えるわたしの身体を抱き締めて、さらに自身を奥まで捻じ込んだ。
「あぁあ――――っ……」
目の奥で星が瞬いて、わたしは殿下の逞しい肩に縋りついた。
「エルシー……!」
「ああっ、うえっ、上は、いやぁ、インラン、じゃないから、上は、やぁ!」
絶頂に震えながら、わたしが泣いて首を振ると、殿下は痙攣するわたしを抱き締め、耳元で囁く。
「わかった……お前は俺の下に組み敷かれて、俺に激しく犯されまくるのが好きなんだろう? お姫様の、言う通りに、してやる」
殿下はわたしの腰を支え、挿入したまま体勢を変えた。わたしの背中をベッドに押し付けるように倒れ込む。ちょうど頭の位置がベッドヘッドとは逆になり、わたしの頭は半ばベッドからはみ出して、落ちかかる。視界が反転し、わたしが叫んだ。
「やあっ、落ちる……」
「大丈夫だ、落ちない……」
仰向けになったわたしの上で、殿下が再び抽挿を開始して、絶頂したばかりのわたしを容赦なく犯す。
「ああっ、ああっ、あっ……ああんっ、やっああっ、でん、か、はげし……」
「リジーだ、リジーって呼べ……エルシー、エルシー……」
「リジー、ああっ、あっ、リ、ジー……あああっ」
リジーと呼ぶたびに、殿下が動きは激しさを増し、わたしの快感も限界まで膨れ上がって、もう何も考えられなくなる。奥を突かれるたびに脳裏に閃光が光り、その光の向こうにほんの一瞬、ある光景を見た。
一面の薔薇の園と、黒髪の――リジー。
「エルシー、エルシー……くっ……はっ……エルシー、俺の、お姫様……」
でも、次の瞬間、わたしはもう一度絶頂して、脳裏の光景も全て光の渦とともに飛び散った。殿下の楔がこれ以上ないほど漲って……
わたしは数瞬、気を失っていたらしい。気づけば、わたしの腹にぶちまけられた白濁を、殿下がリネンで拭っていた。
「エルシー……」
殿下はわたしに微笑みかけて、わたしに覆いかぶさると唇を塞ぐ。わたしは反射的に殿下の、癖のある汗ばんだ黒髪を両手でギュッと抱きしめた。
「可愛いな、俺の、お姫様……」
そう呟かれて、わたしは自分が何かを思い出しかけ、そして一瞬で再び忘れたらしいことに気づいた。でも、それはもう雲のようにどこかに飛び去り、掴むことはできなかった。
「……一人で勝手にイくなんて、ひどいぞ、エルシー。少しの我慢もできないとは、ずいぶん、淫乱で身勝手な女だ」
「ちがっ……そん、な……、ごめ、ごめんなさ……」
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「そりゃあ、風呂場で五回もイったからな」
殿下が気持ちよくなるために、わたしの身体を利用するなら、そういう特別業務だと、わたしも諦める。でも、最近の殿下はわたしの身体を嬲って、わたしを弄ぶばかり。
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「何が不満だ。……こんなに、気持ちよくしてもらって」
「だって! わたしを気持ちよくさせて、殿下に何の得があるんです?!」
すると殿下は吹き出して、身体を震わせて笑い出した。
「エルシー、お前本当に面白いな!」
「髪が濡れたままでは風邪を引くし、明日の朝、ひどい髪型になるわ」
殿下は肩を竦めると、湯上りでわたしの髪を拭きながら言った。
「本当にこのお姫様は……これじゃ、どっちが上司かわからんな」
「わたしだって、殿下の髪ぐらい拭けます!」
裸のままベッドの上でお互いに髪を乾かしあったり、じゃれ合ったりして……気づけば殿下がもう一度、わたしの上にのし掛かって、真上からわたしの顔をじっと見下ろして、言った。
「そろそろ、今度はお前が、俺を気持ちよくしてくれ」
「……前みたいに、口で?」
殿下はわたしの唇に触れるだけのキスをすると、わたしを抱きしめて、ごろりと向きを変えた。
「きゃあ!」
突然、反転した視界に、わたしが悲鳴を上げた。殿下の鍛えた胸の上に乗っかる形になり、わたしは慌てて上からのこうとするが、殿下の両腕がわたしを抱き締めて離してくれない。
「今夜はお前が上に乗れ。好きに動いて、俺を気持ちよくさせるんだ」
「わたしが……? でも、殿下の上に乗るなんて、不敬だわ」
「セックスの体位に不敬もくそもあるか」
殿下は自分を跨ぐようにしてわたしを膝立ちさせる。寝室は浴室よりは暗かったが、ベッドサイドの電灯は灯っていて、殿下の鍛えた筋肉質の胸と、縦に割れた腹筋ははっきりと見えた。――男の人の身体がこんな風になっているなんて、わたしは殿下とこうなるまで全然、知らなかった。
そして、脚の間から聳え立つ、あの例の分身。
殿下と幾度もベッドを共にした今でも、正直に言えばそれを正視するのは辛い。恥ずかしいし、何より恐ろしい気がするからだ。
思わず顔を逸らしたわたしに、殿下が命じた。
「それをお前が自分で挿れて、動け」
「わたしが、自分で……? そんな、恥ずかしいこと……」
つい、躊躇うわたしに、でも殿下は容赦なく言った。
「さっき、これが欲しいと俺に強請ったじゃないか。ちょうだい、って。ちょうだい、って言うから、くれてやったら、すぐに一人でイきやがって。この淫乱娘。もうこれはお前のものだから、お前のその、下のお口で好きに頬張って食え。欲しかったんだろう?」
「そんな……」
あまりな酷い言いように、わたしは恥ずかしくて顔を背ける。
たしかに、強請ったけど、それは殿下が――。
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「下手くそめ。それとも、俺を焦らして煽るつもりか?」
「だって……」
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「は? 何の話だ?」
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「ああっ……」
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「や、そんな言い方……」
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「ああっ……奥……深いの……」
「はっ……くっ……奥まで……俺の、俺のものだ……」
薄っすら目を開けて見下ろせば、殿下も凛々しい眉を顰め、何かに耐えるような表情をしていた。殿下の唇から荒い息が零れ、殿下の美しい顔が快感に歪んでいる。
「でん……か……」
「エルシー……悦い……ゆっくり、動いてみろ……」
わたしは殿下の腹筋に両手を置いて、そっと腰を上げ、腰を落とす。中が擦れて気持ちよくて、でも、あまり腰を上げると抜けてしまいそうで、こわごわ動かしていると、殿下が下から笑いかけた。
「大丈夫だ、好きに動け。……抜けたら、また挿れればいい……」
「んん……ん……」
わたしがぎこちなく身体を上下に動かすと、殿下がそれに合わせるように腰を突き上げる。殿下を気持ちよくさせるためのはずが、わたしが気持ちよくて、わたしは動きを止めることができない。
「あ、ああっ……んんっ……ああつ……ああっ」
「はあっ、はあっ……エルシー……いいぞ……全部見える……お前のツルツルのまんこがおれのちんぽを咥え込んでる。お前が自分で腰を振るたびに、お前のおっぱいがぷるんぷるん揺れるの、すっごいエロい。お前、自分で動いて気持ちよがってるだろ?」
「や……下品なの、やめて……」
「下品な男の上にのって、自分で腰を振って、よがって喘いで……もうすっかり淫乱になっちまって……その顔、すっごい淫らな顔してるぞ?」
「やめ、……やめてっ……そんな、そんな言い方っ……」
ひどく下品な言葉で詰られているのに、わたしの中の快感がどんどん高まって、わたしは自ら腰を振って、殿下の肉棒を出し入れするのをやめることができない。
「エルシー、もしかして、罵られると余計に感じる淫乱なのか? すごい締まってきた、くっ……ホラ、もっと腰を振れよ、ああっ、いい……いいぞ、淫乱女!」
「だめ、ちが、うのぉ、淫乱、じゃない、もん……ぜん、ぶ、殿下がぁ……ああっ、ああっ、ダメぇ、ダメなのにぃ……」
恥ずかしくて悔しくて涙が溢れる。なのに身体は気持ちよくて暴走しそう。
「気持ちいいか、エルシー」
「あ、ああっ……でも、あたしじゃなくて、殿下があ……」
「名前をよべ、エルシー」
「なまえ……? あ、あるばーと……」
「それじゃなくて、もう一つの……リジーだ」
「り、じー? リジー? ああっ、ああっ」
リジー、と呼んだ瞬間に、殿下の両手がわたしの両手首をそれぞれ掴み、さらに激しく腰を突き上げ始める。切っ先が一番深い場所を抉って、わたしは甲高い悲鳴を上げた。
「あああっ……ああっ やあっ、それっ……だめぇっ」
肌と肌がぶつかる音が響き、突き上げられるたびにわたしの胸が揺れ、亜麻色の髪が飛び散る。一番深い場所まで彼の楔を飲み込み、奥を突かれるたびに、わたしの脳裏に白い閃光が走る。わたしは殿下に揺さぶられるまま、いやらしい嬌声を上げ続けた。
「ああ、エルシー……すごい、締まる……くっ……またイきそうだな、いいぞ、その顔も……いい……」
「やあ、だっ……ああっ……あああっ……」
グリグリと切っ先がわたしの最奥を抉り、わたしは胸を突き出すように身体を反らし、ベッドの天蓋を仰いで身を震わせる。
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「あぁあ――――っ……」
目の奥で星が瞬いて、わたしは殿下の逞しい肩に縋りついた。
「エルシー……!」
「ああっ、うえっ、上は、いやぁ、インラン、じゃないから、上は、やぁ!」
絶頂に震えながら、わたしが泣いて首を振ると、殿下は痙攣するわたしを抱き締め、耳元で囁く。
「わかった……お前は俺の下に組み敷かれて、俺に激しく犯されまくるのが好きなんだろう? お姫様の、言う通りに、してやる」
殿下はわたしの腰を支え、挿入したまま体勢を変えた。わたしの背中をベッドに押し付けるように倒れ込む。ちょうど頭の位置がベッドヘッドとは逆になり、わたしの頭は半ばベッドからはみ出して、落ちかかる。視界が反転し、わたしが叫んだ。
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「大丈夫だ、落ちない……」
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「ああっ、ああっ、あっ……ああんっ、やっああっ、でん、か、はげし……」
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そう呟かれて、わたしは自分が何かを思い出しかけ、そして一瞬で再び忘れたらしいことに気づいた。でも、それはもう雲のようにどこかに飛び去り、掴むことはできなかった。
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