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第一章
鏡の前で*
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愛人になる覚悟はした。
ただし、それとこれとは話が別だった。
「どうして一緒にお風呂に入らなきゃいけないんですか!」
アパートメントにつくと、着替えてお風呂に入ろうと裸になったタイミングで、殿下が強引にバスルームに乱入してきた。
「俺が一緒に風呂に入りたいからだ」
そのくせ、殿下はまだシャツにトラウザーズを穿いた状態で、わたし一人だけ裸で、明るいバス・ルームの中、大理石の洗面台に無理に座らせられる。素肌に、大理石がひやりと冷たくて、わたしは身を捩った。殿下はわたしの足首を掴むと、膝を割るようにして、両脚をも洗面台に乗せる。両脚が開いて、殿下の前にわたしの恥ずかしい場所が曝け出されてしまい、わたしは羞恥で半ばパニックになって叫んだ。
「やだ、やめて! 何を――」
「怪我をしたくなければ、動くな」
厳しい声で命じると、殿下はわたしの恥毛に何かぬるりとしたものを塗り付ける。
「何を――」
「動くなよ、しっかり脚を開いていろ」
殿下の手の中にある何かが、電灯の光を反射してギラリと光った。それが剃刀だと気づいて、わたしは恐怖で縮こまる。
「なんでそん――」
「いいから動くな。……動くと怪我をするぞ?」
ひやりとした感触が脚の付け根に当たり、わたしは息を詰める。殿下が真剣な表情で手を動かし、わたしの恥毛を剃り落としていく。刃物の冷たさがわたしの恐怖心を煽り、じっと見られていることで、恥ずかしくて死にたくなる。自分だってよく見たことのない場所を、殿下はいろいろと角度を変えてあますところなく見て、時間をかけてわたしの恥毛を全てそり落としてしまった、
「よし、これでつるつるだ」
パチン、と剃刀の刃を仕舞って、殿下が満足そうに呟き、剥き出しになったわたしの秘所に唇を這わせる。
「ひっ……やめて、やめてください……」
「お前は俺のものだろう。……その、証だ」
殿下はそう言って微笑むと、わたしの向きを変え、背後から抱きかかえるようにして両膝を開き、洗面台の大きな鏡の前に座らせる。鏡には金色の蔓薔薇の意匠の枠があって、その周囲には小さな電灯が埋め込まれ、内部を明るく照らしている。……つまり、鏡の中にははっきりと、裸で背後から男に抱き込まれ、脚を開いて恥ずかしい場所もすべて曝け出している女が映り込んでいた。
「や、いやです、やめて……こんなの……」
わたしが羞恥に堪え切れずに顔を背けるが、殿下は大きな片手でわたしの顎を捉え、正面を向かせた。
「ちゃんと見ていろ。お前の、体をのことを教えてやる」
わたしの肩口から覗く殿下の金色の瞳が、ギラギラと野性的な輝きを宿す。形のよい唇が弧を描き、今にもわたしを食べてしまいそうに危険な笑みを浮かべた。
「とくにここ。……ちゃんと、自分で見たことないんじゃないのか?」
殿下が背後から長い指でわたしの――恥毛を剃られて剥き出しになった花弁を開き、もう一つの手の指でするりとなぞる。わたしの腰が無意識に揺れた。
「や……やめて……」
「綺麗だな。……早咲きの薔薇の花みたいだ。……ここが、昨日一番感じてた場所だ」
殿下が花弁のすぐ上にある、小さな蕾に触れる。強烈な快感が走って、わたしが思わず声をあげると、耳元でくすくすと笑った。
「ほら、敏感だな、ここ……ちょっと触れるだけで腰が……もう、濡れてきた。感じてる徴だ」
その場所を指でこすられると、わたしの腰が揺れて、体の奥からじっとりの何かが溢れでてくる。
「それからここ。……ここに、俺が昨夜、入った」
一つの手の長い二本の指で花弁を割り、もう一つの指がわたしの中に入ってくる。
「はうっ……や、やめ……」
殿下の長い指がゆっくりと中に差し入れられ、内部を探る。くちゅくちゅと水音がして、わたしが顔を背けようとしたが、殿下の声が飛んだ。
「だめだ。……ちゃんと見ていろ。どこを触られるとどんな風になるのか、その目で、ちゃんと見ろ」
「いやです、そんな……」
「俺の命令が聞けないのか?……これも、業務の一環だぞ?」
「そんな……」
殿下の指がわたしの恥ずかしい場所をまさぐり、花弁の上の蕾が赤く腫れてくる。内部から何かが溢れて、殿下の指を濡らし、水音が激しくなる。
「指、増やすぞ? ……二本。まだキツイ。痛くはないか?」
「は、あっ……」
殿下の指が中をかき回すたびに、じんじんとした感覚が湧き上がって、腰が動き、呼吸が荒くなる。つい、ともう一つの手が蕾に触れ、きゅっと摘んだ。
「ああっ……ああんっ……」
「やっぱりここが気持ちいいか。中がすごく締まったぞ……」
「ちがっ……ヤダっ……やめて……こんなの……」
羞恥と屈辱で涙が滲み、頬を零れ落ちる。その様子を、鏡の中の殿下は金色の目でじっと見ている。
「気持ちいんだろう? こんなに濡らして……」
「んっ……いやっ……」
声を殺そうとしたわたしの耳元で、殿下が冷酷に命じた。
「声を我慢するな。いい声で啼くのも業務の一環だぞ?」
「やっ……ああっ、あっ……」
内部を穿つ殿下の指はさらに激しく動いて、やがて指は三本に増やされ、もう一つの指が赤く腫れた蕾を執拗にいじくりまわす。凄まじい快感に、もう声を押えることもできず、わたしは身を捩って恥ずかしい声を上げ続けた。胎内から溢れる液体が殿下の指を濡らし、そのまま流れて大理石の洗面台の上に水たまりをつくる。
「ああ、すごいな、大洪水じゃないか、ぐしょぐしょだ。中にも敏感な場所があるな。……ここだろ?」
「ああっ、あっ、あっ、やあっ、ああっあっ……」
わたしは涙に濡れた顔を懸命に振って、亜麻色の髪が乱れる。殿下がわたしの耳朶を口に含み、甘噛みした。
「エルシー、すごく淫らな顔をしてる。……感じて、蕩けてる顔だ。そろそろイけ。自分が、どんな顔してイくのか、ちゃんと見ておけ」
「やあ、やめて、おねがっ……ああっあっあっ……ぁあ――――っ」
内部の感じる場所をひっかくように刺激されて、わたしは全身を硬直させて達した。なのに殿下の責めは止まなくて、わたしは鏡の中で快感に身を震わせる。ビクビク震えるわたしの白い首筋に殿下が唇を這わせ、舌で舐め上げる。その刺激にわたしは胸を突き出すようにして悶えた。
「はっ……あああっ……はあっ……ああっ……」
殿下はわたしのうなじや背中に口づけを繰り返しながら、わたしを洗面台の上から抱き上げるようにしてそっと下ろし、上半身を洗面台の上にうつぶせるようにした。両脚はガクガクと震えて体重を支えることはできず、わたしは冷たい洗面台に半ばつっぷして何とか耐える。背後で殿下が性急にトラウザーズを寛げる気配がして、熱くて硬いものが、わたしのお尻にあたる。ハッとして振り向こうとしたけれど、その前にわたしの中にそれが突き立てられてしまった。
「あああっ……待っ……」
「エルシー……もう待てない」
昨夜の痛みほどではないけれど、それでも身体が引き裂かれると思うほどの圧迫感で、わたしの息が止まる。
「エルシー、息を詰めるな……ゆっくり息を吐いて、力を抜け……そうだ……」
殿下が大きな体を折り曲げて、わたしに圧し掛かるようにして、耳元で囁く。次の瞬間、強引に最奥まで侵入されて、肌と肌がぶつかる音を立てた。
「はうっ……あっ……でん、か……苦しい……」
「すまない……全部、入った……」
しばらく、動きを止めて、殿下はわたしの素肌を大きな手で撫でまわし、背後からギュッと抱きしめてから、両手でわたしの胸を揉み込みながら、グイッと上半身を引っ張り上げる。
「ああっ……だめっ……」
「くっ……エルシー、綺麗だ……それに、何て顔だ……もう、今にも蕩けそうって表情だ」
「あああっ……いやっ……見ないでぇっ……」
殿下が、紅く色づいた両胸の頂点の蕾をクリクリと弄れば、わたしの唇から喜悦の声が迸り出た。
「ああっ……ああーーーーっ」
「ああ、すごく、中が締まった。……悦い……エルシー……」
鏡の中の殿下も凛々しい眉を顰め、快感に耐えるような表情をしていたが、それがあまりに綺麗で、わたしはつい顔を逸らす。
「エルシー、目を逸らすな。俺たちは今、繋がっている。……誰が、何て言おうが、お前は俺のものだ。一生、離さない……エルシー……」
殿下が激しく腰を動かすように動き始めて、わたしは快感の波に翻弄される。髪を振り乱し、淫らな表情で喘いでいる鏡の中の自分の姿が浅ましくて、わたしは泣きたくなる。
「ああっ、やあっ……あああっ……あっ、あっ、あっ……」
突き上げられるたびに唇から零れる声を聞きたくなくて、耳を塞ぎたかったけれど、両腕で洗面台に縋りつかなければ、自分を支えることができない。肌と肌がぶつかる音、耳や首筋に吹きかけられる殿下の熱い息に混じって、押し殺したような殿下のうめき声が漏れる。
殿下の腰の動きが激しさを増す。何度も何度も最奥を穿たれて、わたしはもう、羞恥心も理性も吹っ飛んで、ただただ喘いでいた。鏡の中の女は白い胸を揉みしだかれ、快感に身体をくねらせて、喜悦の涙を流し、淫らに身も悶えている。
「エルシー……中、すごい……くっ……もう、俺も……エルシー、エルシー」
「あっ、ああっ……ああっやああっ……あっ」
殿下が片方の手を腹から臍へ滑らせ、わたしの一番敏感な場所をキュッと摘んだ。その瞬間に脳裏に閃光が走って、わたしは全身を震わせてもう一度達した。殿下がわたしの中から抜け出して、尻から太ももに殿下の熱い滾りが浴びせかけられる。支えを失ったわたしは、大理石の洗面台の上に崩れ落ちた。ひやりとした大理石の感触が、火照った肌に気持ちよくて――。
「はあはあ……エルシー……」
殿下がわたしに覆いかぶさるように背後から抱きしめ、わたしのうなじに口づけを落とした。
ただし、それとこれとは話が別だった。
「どうして一緒にお風呂に入らなきゃいけないんですか!」
アパートメントにつくと、着替えてお風呂に入ろうと裸になったタイミングで、殿下が強引にバスルームに乱入してきた。
「俺が一緒に風呂に入りたいからだ」
そのくせ、殿下はまだシャツにトラウザーズを穿いた状態で、わたし一人だけ裸で、明るいバス・ルームの中、大理石の洗面台に無理に座らせられる。素肌に、大理石がひやりと冷たくて、わたしは身を捩った。殿下はわたしの足首を掴むと、膝を割るようにして、両脚をも洗面台に乗せる。両脚が開いて、殿下の前にわたしの恥ずかしい場所が曝け出されてしまい、わたしは羞恥で半ばパニックになって叫んだ。
「やだ、やめて! 何を――」
「怪我をしたくなければ、動くな」
厳しい声で命じると、殿下はわたしの恥毛に何かぬるりとしたものを塗り付ける。
「何を――」
「動くなよ、しっかり脚を開いていろ」
殿下の手の中にある何かが、電灯の光を反射してギラリと光った。それが剃刀だと気づいて、わたしは恐怖で縮こまる。
「なんでそん――」
「いいから動くな。……動くと怪我をするぞ?」
ひやりとした感触が脚の付け根に当たり、わたしは息を詰める。殿下が真剣な表情で手を動かし、わたしの恥毛を剃り落としていく。刃物の冷たさがわたしの恐怖心を煽り、じっと見られていることで、恥ずかしくて死にたくなる。自分だってよく見たことのない場所を、殿下はいろいろと角度を変えてあますところなく見て、時間をかけてわたしの恥毛を全てそり落としてしまった、
「よし、これでつるつるだ」
パチン、と剃刀の刃を仕舞って、殿下が満足そうに呟き、剥き出しになったわたしの秘所に唇を這わせる。
「ひっ……やめて、やめてください……」
「お前は俺のものだろう。……その、証だ」
殿下はそう言って微笑むと、わたしの向きを変え、背後から抱きかかえるようにして両膝を開き、洗面台の大きな鏡の前に座らせる。鏡には金色の蔓薔薇の意匠の枠があって、その周囲には小さな電灯が埋め込まれ、内部を明るく照らしている。……つまり、鏡の中にははっきりと、裸で背後から男に抱き込まれ、脚を開いて恥ずかしい場所もすべて曝け出している女が映り込んでいた。
「や、いやです、やめて……こんなの……」
わたしが羞恥に堪え切れずに顔を背けるが、殿下は大きな片手でわたしの顎を捉え、正面を向かせた。
「ちゃんと見ていろ。お前の、体をのことを教えてやる」
わたしの肩口から覗く殿下の金色の瞳が、ギラギラと野性的な輝きを宿す。形のよい唇が弧を描き、今にもわたしを食べてしまいそうに危険な笑みを浮かべた。
「とくにここ。……ちゃんと、自分で見たことないんじゃないのか?」
殿下が背後から長い指でわたしの――恥毛を剃られて剥き出しになった花弁を開き、もう一つの手の指でするりとなぞる。わたしの腰が無意識に揺れた。
「や……やめて……」
「綺麗だな。……早咲きの薔薇の花みたいだ。……ここが、昨日一番感じてた場所だ」
殿下が花弁のすぐ上にある、小さな蕾に触れる。強烈な快感が走って、わたしが思わず声をあげると、耳元でくすくすと笑った。
「ほら、敏感だな、ここ……ちょっと触れるだけで腰が……もう、濡れてきた。感じてる徴だ」
その場所を指でこすられると、わたしの腰が揺れて、体の奥からじっとりの何かが溢れでてくる。
「それからここ。……ここに、俺が昨夜、入った」
一つの手の長い二本の指で花弁を割り、もう一つの指がわたしの中に入ってくる。
「はうっ……や、やめ……」
殿下の長い指がゆっくりと中に差し入れられ、内部を探る。くちゅくちゅと水音がして、わたしが顔を背けようとしたが、殿下の声が飛んだ。
「だめだ。……ちゃんと見ていろ。どこを触られるとどんな風になるのか、その目で、ちゃんと見ろ」
「いやです、そんな……」
「俺の命令が聞けないのか?……これも、業務の一環だぞ?」
「そんな……」
殿下の指がわたしの恥ずかしい場所をまさぐり、花弁の上の蕾が赤く腫れてくる。内部から何かが溢れて、殿下の指を濡らし、水音が激しくなる。
「指、増やすぞ? ……二本。まだキツイ。痛くはないか?」
「は、あっ……」
殿下の指が中をかき回すたびに、じんじんとした感覚が湧き上がって、腰が動き、呼吸が荒くなる。つい、ともう一つの手が蕾に触れ、きゅっと摘んだ。
「ああっ……ああんっ……」
「やっぱりここが気持ちいいか。中がすごく締まったぞ……」
「ちがっ……ヤダっ……やめて……こんなの……」
羞恥と屈辱で涙が滲み、頬を零れ落ちる。その様子を、鏡の中の殿下は金色の目でじっと見ている。
「気持ちいんだろう? こんなに濡らして……」
「んっ……いやっ……」
声を殺そうとしたわたしの耳元で、殿下が冷酷に命じた。
「声を我慢するな。いい声で啼くのも業務の一環だぞ?」
「やっ……ああっ、あっ……」
内部を穿つ殿下の指はさらに激しく動いて、やがて指は三本に増やされ、もう一つの指が赤く腫れた蕾を執拗にいじくりまわす。凄まじい快感に、もう声を押えることもできず、わたしは身を捩って恥ずかしい声を上げ続けた。胎内から溢れる液体が殿下の指を濡らし、そのまま流れて大理石の洗面台の上に水たまりをつくる。
「ああ、すごいな、大洪水じゃないか、ぐしょぐしょだ。中にも敏感な場所があるな。……ここだろ?」
「ああっ、あっ、あっ、やあっ、ああっあっ……」
わたしは涙に濡れた顔を懸命に振って、亜麻色の髪が乱れる。殿下がわたしの耳朶を口に含み、甘噛みした。
「エルシー、すごく淫らな顔をしてる。……感じて、蕩けてる顔だ。そろそろイけ。自分が、どんな顔してイくのか、ちゃんと見ておけ」
「やあ、やめて、おねがっ……ああっあっあっ……ぁあ――――っ」
内部の感じる場所をひっかくように刺激されて、わたしは全身を硬直させて達した。なのに殿下の責めは止まなくて、わたしは鏡の中で快感に身を震わせる。ビクビク震えるわたしの白い首筋に殿下が唇を這わせ、舌で舐め上げる。その刺激にわたしは胸を突き出すようにして悶えた。
「はっ……あああっ……はあっ……ああっ……」
殿下はわたしのうなじや背中に口づけを繰り返しながら、わたしを洗面台の上から抱き上げるようにしてそっと下ろし、上半身を洗面台の上にうつぶせるようにした。両脚はガクガクと震えて体重を支えることはできず、わたしは冷たい洗面台に半ばつっぷして何とか耐える。背後で殿下が性急にトラウザーズを寛げる気配がして、熱くて硬いものが、わたしのお尻にあたる。ハッとして振り向こうとしたけれど、その前にわたしの中にそれが突き立てられてしまった。
「あああっ……待っ……」
「エルシー……もう待てない」
昨夜の痛みほどではないけれど、それでも身体が引き裂かれると思うほどの圧迫感で、わたしの息が止まる。
「エルシー、息を詰めるな……ゆっくり息を吐いて、力を抜け……そうだ……」
殿下が大きな体を折り曲げて、わたしに圧し掛かるようにして、耳元で囁く。次の瞬間、強引に最奥まで侵入されて、肌と肌がぶつかる音を立てた。
「はうっ……あっ……でん、か……苦しい……」
「すまない……全部、入った……」
しばらく、動きを止めて、殿下はわたしの素肌を大きな手で撫でまわし、背後からギュッと抱きしめてから、両手でわたしの胸を揉み込みながら、グイッと上半身を引っ張り上げる。
「ああっ……だめっ……」
「くっ……エルシー、綺麗だ……それに、何て顔だ……もう、今にも蕩けそうって表情だ」
「あああっ……いやっ……見ないでぇっ……」
殿下が、紅く色づいた両胸の頂点の蕾をクリクリと弄れば、わたしの唇から喜悦の声が迸り出た。
「ああっ……ああーーーーっ」
「ああ、すごく、中が締まった。……悦い……エルシー……」
鏡の中の殿下も凛々しい眉を顰め、快感に耐えるような表情をしていたが、それがあまりに綺麗で、わたしはつい顔を逸らす。
「エルシー、目を逸らすな。俺たちは今、繋がっている。……誰が、何て言おうが、お前は俺のものだ。一生、離さない……エルシー……」
殿下が激しく腰を動かすように動き始めて、わたしは快感の波に翻弄される。髪を振り乱し、淫らな表情で喘いでいる鏡の中の自分の姿が浅ましくて、わたしは泣きたくなる。
「ああっ、やあっ……あああっ……あっ、あっ、あっ……」
突き上げられるたびに唇から零れる声を聞きたくなくて、耳を塞ぎたかったけれど、両腕で洗面台に縋りつかなければ、自分を支えることができない。肌と肌がぶつかる音、耳や首筋に吹きかけられる殿下の熱い息に混じって、押し殺したような殿下のうめき声が漏れる。
殿下の腰の動きが激しさを増す。何度も何度も最奥を穿たれて、わたしはもう、羞恥心も理性も吹っ飛んで、ただただ喘いでいた。鏡の中の女は白い胸を揉みしだかれ、快感に身体をくねらせて、喜悦の涙を流し、淫らに身も悶えている。
「エルシー……中、すごい……くっ……もう、俺も……エルシー、エルシー」
「あっ、ああっ……ああっやああっ……あっ」
殿下が片方の手を腹から臍へ滑らせ、わたしの一番敏感な場所をキュッと摘んだ。その瞬間に脳裏に閃光が走って、わたしは全身を震わせてもう一度達した。殿下がわたしの中から抜け出して、尻から太ももに殿下の熱い滾りが浴びせかけられる。支えを失ったわたしは、大理石の洗面台の上に崩れ落ちた。ひやりとした大理石の感触が、火照った肌に気持ちよくて――。
「はあはあ……エルシー……」
殿下がわたしに覆いかぶさるように背後から抱きしめ、わたしのうなじに口づけを落とした。
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