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第一章
ドライブ
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わたしはその日、午前中は不貞寝して過ごした。
身体だけは気持ち悪かったので入浴はしたが、戻って来るとベッドは綺麗に整えられていたので、もう一度ベッドに潜り込んだのだ。洗いたてのシーツが気持ちよくて、これでは怠惰な愛人そのものじゃないの、などと思いながらも、昨夜の疲労でウトウトしていた。
……と、昼過ぎくらいになぜか、殿下がアパートメントに戻ってきた。
殿下の部屋と繋がるコネクティング・ドアを開ける音がして、わたしはハッと目を覚ます。初めは誰が入ってきたのかわからず、警戒していると、殿下がベッドの紗幕を開けて覗き込んだ。
「……まだ拗ねているのか。それとも体調が悪いのか?」
ムッとして頭から上掛けを被って無視してやると、殿下が背後で溜息をついたらしい。
「エルシー……機嫌を直してくれよ」
悪いことをしたという意識は多少あるらしい。でも、反省したからといって、わたしの純潔は戻らない。
殿下はベッドに膝を乗せて、丸まっているわたしの上にかがみこむ。
「朝食も食べていないじゃないか。――なあ、俺も昼食にするから、一緒に食べよう。……もう、起きられるだろう?」
そう言って、むりやり上掛けを捲ってしまう。顔を背けて無視し続けるわたしの、目尻に口づけてわたしの髪を撫でる。
「エルシー……お前は俺の秘書官だろう?」
「今日は休暇です」
「なんだ、やっぱり起きているんじゃないか。……意地っ張りの子猫め」
殿下はわたしを無理矢理仰向けにすると、顔の真上に覆いかぶさって言った。
「……それともなんだ? もしかして、そうやって俺を誘っているのか?」
金色の瞳が悪戯っぽく光って、わたしは悪い予感に背筋がゾクリとした。
「いつまでも寝ていると、襲ってしまうぞ?」
「なっ……や、やめて! やめてください!」
「じゃあ、早く起きろ。……ノーラとジュリアンも心配している」
殿下はわたしの唇に啄むようなキスをすると、わたしの腕を取ってベッドの上に起き上らせる。
「……まだ、体調は良くないのか?」
全身、筋肉痛みたいなものだから、わたしは目を伏せた。
「お仕事はよろしいのですか?」
「今日はもう、午前中であらかた終わらせた。……午後は飯を食ったら、郊外にドライブに行こう」
「ドライブ?」
「車に乗ったことがないと言っていたじゃないか。乗せてやる」
わたしは目を瞠った。
「いえ、わたしは……」
「その後、夕食はいつものレストランで摂ろう。たまには健全なデートも悪くない」
「……デートって……それも業務ですか?」
わたしがつっけんどんに聞き返せば、殿下は少しだけ眉を寄せた。
「そういうことにしたいなら、そうしてもいい。……ただ、付き合ってくれるなら」
「……なにも、わたしのようなものを誘わなくても……」
「お前がいいんだ」
殿下はそう言うと、わたしにもう一度キスをした。
食事を終えて、わたしと殿下は馬車で郊外の殿下の邸に向かう。
「オーランド邸って言う、しょぼい邸だ。……父上からもらって、普段はそこに住んでいる。王宮は嫌いなんだ」
殿下はグレイの三つ揃いにステッキを手にして、長い脚を組んで馬車に座り、わたしはスモーキーピンクのデイ・ドレス。……いつの間にか、殿下がミス・リーンに注文していたものだ。
わたしは殿下に並んで座って、なるべく殿下から離れるようにして、窓の外を眺める。王都の西側は、なだらかな丘陵地に田園が広がる。
「ほら、見えてきた。あの白い建物だ」
殿下がわたしの背後から指差す。……全然、しょぼくない。わたしの王都の家が百個くらい入りそう。
「どうして王宮が嫌いなんです?」
「いい思い出がない」
殿下の言葉に、わたしが首を傾げる。
「知ってるかもしれんが、国王夫妻の仲は冷え切ってる。俺は、その間でいつも振り回された」
わたしが思わず振り返り、ぽかんとした表情で殿下を見つめれば、殿下は肩を竦める。
「知らなかったのか」
「全然。三人もの息子に恵まれて、円満夫婦なのだとばかり……というか、国王ご一家にあまり興味がなくて」
生活に追われてそれどころじゃなかったのもあるが、祖母が国王ご一家の話題になるとあからさまに表情を変えるせいもあって、我が家ではその手の話はほとんど出なかった。よく考えたら、それは領地を追い出される前の、リンドホルムにいた頃からだったかもしれない。
「……自動車は、殿下が運転なさるの?」
「他に誰がする」
「いえ……ちょっと怖いと思って」
自動車は時々見かけるけれど、馬もいないのにどうして走るのかとても不思議だった。運転しているのが見られるのはちょっと面白そうだと思う反面、怖い気がする。
「俺は運転が得意なんだ。戦地では戦車や飛行機も操縦したことある。安心して乗っていろ」
殿下は本当は飛行機乗りになりたかったそうだが、さすがに危険すぎるので止められたらしい。
馬車はオーランド邸の門をくぐり、車寄せの前で停まる。すでに連絡してあったのか、かっちりと正装した白髪の老人が出迎えて、馬車のドアを開けてくれた。
「お帰りなさいませ、殿下」
「うん。――こちらが話していたミス・アシュバートンだ。自動車の準備はできているか」
「はい。ですが、せめてお茶くらいは召し上がってからになさってください」
老人はわたしに向かっても丁寧に頭を下げた。
「この邸の執事のヴァルタ―と申します。以後お見知りおきを」
「エルスペス・アシュバートンです。お世話になります」
ヴァルタ―さんはわたしをじっと見て、表情を緩める。……愛人としては合格、ってところなのかしら。
導かれたのは一階のサロン、直接テラスを通って庭に出られる部屋で、日光がさんさんと降りそそぎ、手入れされた庭がよく見えた。
香りのよい紅茶とスコーン、サンドイッチをご馳走になっていると、レイノルズさんが殿下に言う。
「さきほどお電話があって――その――」
ヴァルタ―さんがわたしの方をちらりと見て、殿下に言った。
「例の、ご令嬢からでございましたが」
「――その件なら、もう断った。以後、取り次ぐ必要はない。父上にも言ってある」
「さようでございますか」
何となくではあるが、婚約間近と噂になっている件かもしれない、と思う。……わたしが殿下と結婚する可能性はないから、気にしなくてもいいのに、とは思う。ただ、こんな関係も婚約が調うまでにしてもらいたいけれど。
お茶を終えたところで、殿下に誘われ、ドライブに出かける。つやつや光るグレイの車体は殿下のご自慢らしい。今まで箱馬車にしか乗ったことのないわたしは、運転席の隣も、何もかも初めてだ。
殿下の動作を興味津々で見ていると、殿下が面白そうに言った。
「そんなに気になるか」
「だって、馬もいないのにどうして走るのかしらって思って」
「タクシーくらい乗ったことあるだろう?」
「祖母が、馬もいないのに走るなんて信用ならないって言うから」
「またおばあ様か」
殿下はくすくす笑いながら、慣れた手つきでハンドルを回す。ぐんぐんスピードが上がって、風が思いっきり顔に当たる。周りの風景がどんどんと後ろに飛んで行き、なだらかに続く丘陵地を越えていくと、はるか前を羊の群れが横切る。
「羊が!」
「大丈夫だ、轢いたりしない」
殿下はブレーキを踏んで、羊の群れをやり過ごす。遠くに教会の尖塔が見え、青空に白い雲が流れる。
――王都に来て三年。こんなひろびろとした風景の中にいるのは、久しぶりかもしれない。
かなり走って、崩れた大昔の城壁跡で殿下は車を止める。
「むかーしの、戦争の跡地だ。王位をめぐって争ったんだ」
殿下が紙巻煙草を取り出し、火を点ける。
「お前も吸うか?」
わたしは首を振り、それより車から降りたいと言えば、殿下は自分が先に降りて、わたしの座る側の扉を開けてくれた。それから手を繋いで城跡をめぐる。小高くなった城跡からは、周囲の村や、森や田畑が見下ろせた。
わたしは深呼吸をして、空気をいっぱいに吸い込む。
「王都の空気と全然違う!」
「郊外には来ないのか」
「足がないもの。わざわざ馬車を頼んでまで、来る用事がないわ」
「気に入ったか」
「田舎育ちだから。……前住んでいた家は、周りじゅうが荒れ地に囲まれていたし。よく、自分の子馬で出かけて……でも、こんな綺麗な場所じゃなくて、もっと荒れ地でしたけど」
「また、来よう。車ならいつでも乗せてやる」
殿下はそう言ってわたしを抱き寄せて、こめかみにキスをする。ふっと、煙草の香りがした。
「でも、護衛も無しでいいんですか」
「護衛はいる。……離れてね」
そう言って、殿下は煙草を挟んだ左手で、少し下の方の道を指した。――確かに、一台の目立たない馬車が停まっていた。
「……わたしのことも、彼らは知っているのですか?」
「もちろん。俺がわけのわからん女にのぼせた上がったらまずいからな。全部調査済みだ」
「……それで問題ないと? もしかして、国王陛下もご存知なの?」
不安になって尋ねれば、殿下は煙草を咥えて、ふうっと紫煙を吐き出しながら言う。
「たぶん、知ってるけど、何も言わない」
……つまり、国王陛下公認の女遊びってこと? それとも、女遊びですらない愛人だから、問題ないってこと?
「……なんで、わたしなんですか? 都合がいいから?」
わたしの問いかけに、殿下は煙草を咥えたまま、一瞬眉を寄せた。
「理由なんて決まってる。お前が気に入ったからだ。……お前は、俺が気に入らないのか?」
「気に入るも何も、どんな人だか知りません。……強引で我儘な俺様ってことくらいしか」
その言葉に、殿下が思わず吹き出して大笑いした。
身体だけは気持ち悪かったので入浴はしたが、戻って来るとベッドは綺麗に整えられていたので、もう一度ベッドに潜り込んだのだ。洗いたてのシーツが気持ちよくて、これでは怠惰な愛人そのものじゃないの、などと思いながらも、昨夜の疲労でウトウトしていた。
……と、昼過ぎくらいになぜか、殿下がアパートメントに戻ってきた。
殿下の部屋と繋がるコネクティング・ドアを開ける音がして、わたしはハッと目を覚ます。初めは誰が入ってきたのかわからず、警戒していると、殿下がベッドの紗幕を開けて覗き込んだ。
「……まだ拗ねているのか。それとも体調が悪いのか?」
ムッとして頭から上掛けを被って無視してやると、殿下が背後で溜息をついたらしい。
「エルシー……機嫌を直してくれよ」
悪いことをしたという意識は多少あるらしい。でも、反省したからといって、わたしの純潔は戻らない。
殿下はベッドに膝を乗せて、丸まっているわたしの上にかがみこむ。
「朝食も食べていないじゃないか。――なあ、俺も昼食にするから、一緒に食べよう。……もう、起きられるだろう?」
そう言って、むりやり上掛けを捲ってしまう。顔を背けて無視し続けるわたしの、目尻に口づけてわたしの髪を撫でる。
「エルシー……お前は俺の秘書官だろう?」
「今日は休暇です」
「なんだ、やっぱり起きているんじゃないか。……意地っ張りの子猫め」
殿下はわたしを無理矢理仰向けにすると、顔の真上に覆いかぶさって言った。
「……それともなんだ? もしかして、そうやって俺を誘っているのか?」
金色の瞳が悪戯っぽく光って、わたしは悪い予感に背筋がゾクリとした。
「いつまでも寝ていると、襲ってしまうぞ?」
「なっ……や、やめて! やめてください!」
「じゃあ、早く起きろ。……ノーラとジュリアンも心配している」
殿下はわたしの唇に啄むようなキスをすると、わたしの腕を取ってベッドの上に起き上らせる。
「……まだ、体調は良くないのか?」
全身、筋肉痛みたいなものだから、わたしは目を伏せた。
「お仕事はよろしいのですか?」
「今日はもう、午前中であらかた終わらせた。……午後は飯を食ったら、郊外にドライブに行こう」
「ドライブ?」
「車に乗ったことがないと言っていたじゃないか。乗せてやる」
わたしは目を瞠った。
「いえ、わたしは……」
「その後、夕食はいつものレストランで摂ろう。たまには健全なデートも悪くない」
「……デートって……それも業務ですか?」
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「……なにも、わたしのようなものを誘わなくても……」
「お前がいいんだ」
殿下はそう言うと、わたしにもう一度キスをした。
食事を終えて、わたしと殿下は馬車で郊外の殿下の邸に向かう。
「オーランド邸って言う、しょぼい邸だ。……父上からもらって、普段はそこに住んでいる。王宮は嫌いなんだ」
殿下はグレイの三つ揃いにステッキを手にして、長い脚を組んで馬車に座り、わたしはスモーキーピンクのデイ・ドレス。……いつの間にか、殿下がミス・リーンに注文していたものだ。
わたしは殿下に並んで座って、なるべく殿下から離れるようにして、窓の外を眺める。王都の西側は、なだらかな丘陵地に田園が広がる。
「ほら、見えてきた。あの白い建物だ」
殿下がわたしの背後から指差す。……全然、しょぼくない。わたしの王都の家が百個くらい入りそう。
「どうして王宮が嫌いなんです?」
「いい思い出がない」
殿下の言葉に、わたしが首を傾げる。
「知ってるかもしれんが、国王夫妻の仲は冷え切ってる。俺は、その間でいつも振り回された」
わたしが思わず振り返り、ぽかんとした表情で殿下を見つめれば、殿下は肩を竦める。
「知らなかったのか」
「全然。三人もの息子に恵まれて、円満夫婦なのだとばかり……というか、国王ご一家にあまり興味がなくて」
生活に追われてそれどころじゃなかったのもあるが、祖母が国王ご一家の話題になるとあからさまに表情を変えるせいもあって、我が家ではその手の話はほとんど出なかった。よく考えたら、それは領地を追い出される前の、リンドホルムにいた頃からだったかもしれない。
「……自動車は、殿下が運転なさるの?」
「他に誰がする」
「いえ……ちょっと怖いと思って」
自動車は時々見かけるけれど、馬もいないのにどうして走るのかとても不思議だった。運転しているのが見られるのはちょっと面白そうだと思う反面、怖い気がする。
「俺は運転が得意なんだ。戦地では戦車や飛行機も操縦したことある。安心して乗っていろ」
殿下は本当は飛行機乗りになりたかったそうだが、さすがに危険すぎるので止められたらしい。
馬車はオーランド邸の門をくぐり、車寄せの前で停まる。すでに連絡してあったのか、かっちりと正装した白髪の老人が出迎えて、馬車のドアを開けてくれた。
「お帰りなさいませ、殿下」
「うん。――こちらが話していたミス・アシュバートンだ。自動車の準備はできているか」
「はい。ですが、せめてお茶くらいは召し上がってからになさってください」
老人はわたしに向かっても丁寧に頭を下げた。
「この邸の執事のヴァルタ―と申します。以後お見知りおきを」
「エルスペス・アシュバートンです。お世話になります」
ヴァルタ―さんはわたしをじっと見て、表情を緩める。……愛人としては合格、ってところなのかしら。
導かれたのは一階のサロン、直接テラスを通って庭に出られる部屋で、日光がさんさんと降りそそぎ、手入れされた庭がよく見えた。
香りのよい紅茶とスコーン、サンドイッチをご馳走になっていると、レイノルズさんが殿下に言う。
「さきほどお電話があって――その――」
ヴァルタ―さんがわたしの方をちらりと見て、殿下に言った。
「例の、ご令嬢からでございましたが」
「――その件なら、もう断った。以後、取り次ぐ必要はない。父上にも言ってある」
「さようでございますか」
何となくではあるが、婚約間近と噂になっている件かもしれない、と思う。……わたしが殿下と結婚する可能性はないから、気にしなくてもいいのに、とは思う。ただ、こんな関係も婚約が調うまでにしてもらいたいけれど。
お茶を終えたところで、殿下に誘われ、ドライブに出かける。つやつや光るグレイの車体は殿下のご自慢らしい。今まで箱馬車にしか乗ったことのないわたしは、運転席の隣も、何もかも初めてだ。
殿下の動作を興味津々で見ていると、殿下が面白そうに言った。
「そんなに気になるか」
「だって、馬もいないのにどうして走るのかしらって思って」
「タクシーくらい乗ったことあるだろう?」
「祖母が、馬もいないのに走るなんて信用ならないって言うから」
「またおばあ様か」
殿下はくすくす笑いながら、慣れた手つきでハンドルを回す。ぐんぐんスピードが上がって、風が思いっきり顔に当たる。周りの風景がどんどんと後ろに飛んで行き、なだらかに続く丘陵地を越えていくと、はるか前を羊の群れが横切る。
「羊が!」
「大丈夫だ、轢いたりしない」
殿下はブレーキを踏んで、羊の群れをやり過ごす。遠くに教会の尖塔が見え、青空に白い雲が流れる。
――王都に来て三年。こんなひろびろとした風景の中にいるのは、久しぶりかもしれない。
かなり走って、崩れた大昔の城壁跡で殿下は車を止める。
「むかーしの、戦争の跡地だ。王位をめぐって争ったんだ」
殿下が紙巻煙草を取り出し、火を点ける。
「お前も吸うか?」
わたしは首を振り、それより車から降りたいと言えば、殿下は自分が先に降りて、わたしの座る側の扉を開けてくれた。それから手を繋いで城跡をめぐる。小高くなった城跡からは、周囲の村や、森や田畑が見下ろせた。
わたしは深呼吸をして、空気をいっぱいに吸い込む。
「王都の空気と全然違う!」
「郊外には来ないのか」
「足がないもの。わざわざ馬車を頼んでまで、来る用事がないわ」
「気に入ったか」
「田舎育ちだから。……前住んでいた家は、周りじゅうが荒れ地に囲まれていたし。よく、自分の子馬で出かけて……でも、こんな綺麗な場所じゃなくて、もっと荒れ地でしたけど」
「また、来よう。車ならいつでも乗せてやる」
殿下はそう言ってわたしを抱き寄せて、こめかみにキスをする。ふっと、煙草の香りがした。
「でも、護衛も無しでいいんですか」
「護衛はいる。……離れてね」
そう言って、殿下は煙草を挟んだ左手で、少し下の方の道を指した。――確かに、一台の目立たない馬車が停まっていた。
「……わたしのことも、彼らは知っているのですか?」
「もちろん。俺がわけのわからん女にのぼせた上がったらまずいからな。全部調査済みだ」
「……それで問題ないと? もしかして、国王陛下もご存知なの?」
不安になって尋ねれば、殿下は煙草を咥えて、ふうっと紫煙を吐き出しながら言う。
「たぶん、知ってるけど、何も言わない」
……つまり、国王陛下公認の女遊びってこと? それとも、女遊びですらない愛人だから、問題ないってこと?
「……なんで、わたしなんですか? 都合がいいから?」
わたしの問いかけに、殿下は煙草を咥えたまま、一瞬眉を寄せた。
「理由なんて決まってる。お前が気に入ったからだ。……お前は、俺が気に入らないのか?」
「気に入るも何も、どんな人だか知りません。……強引で我儘な俺様ってことくらいしか」
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