2 / 2
1回死んでやり直せばいいのに
しおりを挟む
事の発端は俺、月本友也がこのVRMMOゲーム世界にダイブしたことから始まる。
つらく厳しかった受験を乗り越え、見事志望校に合格した俺はVRMMOゲームの1つ「Vivid Sense」を購入した。
このゲームは1年前から話題になっていたものの、俺は勉強でそれどころではなかったので、プレイすることはなかった。
自由の身となった俺はやっと出会えたゲームをすぐに持ち帰り、セットし、電源を入れた。
ずっと空を飛んでみたかったんだよな。
その夢は子どもじみていたが、俺にとっては大切なものだった。
空を飛ぶって羽のない人間じゃできない。
それに飛行機に乗って飛ぶのとは違って音も心地いいはず—————————まだ飛んだことないけど。
それにVRゲームでは魔法も使える。エフェクトもキレイと話題になっており、女子のプレイヤーも多数いるとか。
俺は専用のメットを被り、ベッドの上に寝転がって目を閉じる。
初めてプレイするので、名前や照度などの設定を行った。
エルフとか色んな種族があったけど、俺は普通の人間を選んだ。
人間でも空を飛べるらしいから、無難な選択をしたんだよな。
容姿は基本リアルと同じだが、髪色は金髪にして、身長を少し高くした。
190㎝台の身長に憧れていたんだ。ゲーム世界だし望んだようにしたいんだよ。
そうして、カスタマイズし、スタート画面が目の前に現れる。
いよいよだ。やっと空を飛べる。
どんな世界が待っているのだろう??
そっと目を開ける。
そこには鮮やかな緑の草と自分の手があった。手はリアルとの感覚とさほど変わりなく、自由に動く。
そして、耳から入ってきたのは銃声の音だった。
「撃ち合ってる!?」
思わず声を上げる。
周囲を見渡すとただの森で平和そうに感じたが、銃を撃ち合う音が響いていた。
そんでもって隣には、
「やっほー!! 違うゲームの世界に来れたわ!! やった!! やった!!」
と両手を上げて喜ぶ少女。黒髪の彼女はターコイズブルーのキレイなドレスをまとっていた。
「よかったわ。婚約破棄される前にこっちの世界に来れて……………………ほんとあの王子、クソだわ、クソ」
「あの……………………」
「あんな女のどこがいいのかしら?? ドジばっかして、みんなに迷惑かえてさ。そりゃあ魔法の能力はあったでしょうけど。私はあんな女嫌いだわ」
「あの……………………」
「まぁ、あんな世界とはおさらばだし。……………………ん??」
黒髪の女の子はやっと俺に気づいたのか、目をこちらに向けてくれた。
艶やか黒髪、吸い込まれるような水色の瞳、そんでもって、瞳と同系色ターコイズブルーのドレス。
俺はその少女を見たことがあった—————————乙女ゲームの世界で。
なぜ俺が乙女ゲームのキャラクターを知っている理由についてはおいおい説明するが……………………なぜこんなところに乙女ゲームのキャラクターが??
「君って『True Closer』の悪役令嬢と言われるアイシャ??」
「そうだけど……………………なんで乙女ゲームのこと知ってるのよ」
「それはまぁ色々あって……………………」
とその瞬間。
アイシャのこめかみにレッドのレーザーポインターが見えた。
まさか狙われてるっ!?
俺はすぐさま走って、彼女を押し倒す。
その後すぐに一発、誰かが撃ってきた。
「ちょっと……………………何してるのよ」
「いや……………………狙われてたから」
「それはどうもありがとう。でも、早くどいてくれるかしら」
俺は体をどかすと、アイシャはキレイな自分のドレスのすそをビリっと大胆に破った。
「何してんのっ!?」
「邪魔だから切っただけ。もうこのドレスには用はないわ」
冷静な彼女はそう言って、太ももの部分までドレスを短くした。白く美しい足が見える。
「どこ見てるのかしら」
「いや……………………なんでもないっす」
女の子の足を見るのは初めてだったからつい。
すると、アイシャは俺の手首を掴み、走り出す。俺もついていくため、足を動かした。
「どうしたっ!?」
「どうした、じゃないわよ。さっき狙われてたのよ。逃げなきゃやられる」
この世界、ゲームだから1回死んでやり直したらいいじゃないか。
というと背を向けて駆けるアイシャは、
「そうね。あなただったらそうよね」
と呟くだけだった。
そして、俺たちは近くの廃墟化した街へと逃げていった。
つらく厳しかった受験を乗り越え、見事志望校に合格した俺はVRMMOゲームの1つ「Vivid Sense」を購入した。
このゲームは1年前から話題になっていたものの、俺は勉強でそれどころではなかったので、プレイすることはなかった。
自由の身となった俺はやっと出会えたゲームをすぐに持ち帰り、セットし、電源を入れた。
ずっと空を飛んでみたかったんだよな。
その夢は子どもじみていたが、俺にとっては大切なものだった。
空を飛ぶって羽のない人間じゃできない。
それに飛行機に乗って飛ぶのとは違って音も心地いいはず—————————まだ飛んだことないけど。
それにVRゲームでは魔法も使える。エフェクトもキレイと話題になっており、女子のプレイヤーも多数いるとか。
俺は専用のメットを被り、ベッドの上に寝転がって目を閉じる。
初めてプレイするので、名前や照度などの設定を行った。
エルフとか色んな種族があったけど、俺は普通の人間を選んだ。
人間でも空を飛べるらしいから、無難な選択をしたんだよな。
容姿は基本リアルと同じだが、髪色は金髪にして、身長を少し高くした。
190㎝台の身長に憧れていたんだ。ゲーム世界だし望んだようにしたいんだよ。
そうして、カスタマイズし、スタート画面が目の前に現れる。
いよいよだ。やっと空を飛べる。
どんな世界が待っているのだろう??
そっと目を開ける。
そこには鮮やかな緑の草と自分の手があった。手はリアルとの感覚とさほど変わりなく、自由に動く。
そして、耳から入ってきたのは銃声の音だった。
「撃ち合ってる!?」
思わず声を上げる。
周囲を見渡すとただの森で平和そうに感じたが、銃を撃ち合う音が響いていた。
そんでもって隣には、
「やっほー!! 違うゲームの世界に来れたわ!! やった!! やった!!」
と両手を上げて喜ぶ少女。黒髪の彼女はターコイズブルーのキレイなドレスをまとっていた。
「よかったわ。婚約破棄される前にこっちの世界に来れて……………………ほんとあの王子、クソだわ、クソ」
「あの……………………」
「あんな女のどこがいいのかしら?? ドジばっかして、みんなに迷惑かえてさ。そりゃあ魔法の能力はあったでしょうけど。私はあんな女嫌いだわ」
「あの……………………」
「まぁ、あんな世界とはおさらばだし。……………………ん??」
黒髪の女の子はやっと俺に気づいたのか、目をこちらに向けてくれた。
艶やか黒髪、吸い込まれるような水色の瞳、そんでもって、瞳と同系色ターコイズブルーのドレス。
俺はその少女を見たことがあった—————————乙女ゲームの世界で。
なぜ俺が乙女ゲームのキャラクターを知っている理由についてはおいおい説明するが……………………なぜこんなところに乙女ゲームのキャラクターが??
「君って『True Closer』の悪役令嬢と言われるアイシャ??」
「そうだけど……………………なんで乙女ゲームのこと知ってるのよ」
「それはまぁ色々あって……………………」
とその瞬間。
アイシャのこめかみにレッドのレーザーポインターが見えた。
まさか狙われてるっ!?
俺はすぐさま走って、彼女を押し倒す。
その後すぐに一発、誰かが撃ってきた。
「ちょっと……………………何してるのよ」
「いや……………………狙われてたから」
「それはどうもありがとう。でも、早くどいてくれるかしら」
俺は体をどかすと、アイシャはキレイな自分のドレスのすそをビリっと大胆に破った。
「何してんのっ!?」
「邪魔だから切っただけ。もうこのドレスには用はないわ」
冷静な彼女はそう言って、太ももの部分までドレスを短くした。白く美しい足が見える。
「どこ見てるのかしら」
「いや……………………なんでもないっす」
女の子の足を見るのは初めてだったからつい。
すると、アイシャは俺の手首を掴み、走り出す。俺もついていくため、足を動かした。
「どうしたっ!?」
「どうした、じゃないわよ。さっき狙われてたのよ。逃げなきゃやられる」
この世界、ゲームだから1回死んでやり直したらいいじゃないか。
というと背を向けて駆けるアイシャは、
「そうね。あなただったらそうよね」
と呟くだけだった。
そして、俺たちは近くの廃墟化した街へと逃げていった。
0
お気に入りに追加
4
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~
志位斗 茂家波
ファンタジー
新入社員として社会の波にもまれていた「青葉 春」。
社会人としての苦労を味わいつつ、のんびりと過ごしたいと思い、VRMMOなるものに手を出し、ゆったりとした生活をゲームの中に「ハル」としてのプレイヤーになって求めてみることにした。
‥‥‥でも、その想いとは裏腹に、日常生活では出てこないであろう才能が開花しまくり、何かと注目されるようになってきてしまう…‥‥のんびりはどこへいった!?
――
作者が初めて挑むVRMMOもの。初めての分野ゆえに稚拙な部分もあるかもしれないし、投稿頻度は遅めだけど、読者の皆様はのんびりと待てるようにしたいと思います。
コメントや誤字報告に指摘、アドバイスなどもしっかりと受け付けますのでお楽しみください。
小説家になろう様でも掲載しています。
一話あたり1500~6000字を目途に頑張ります。
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜
凛 伊緒
ファンタジー
不運な事故により、23歳で亡くなってしまった会社員の八笠 美明。
目覚めると見知らぬ人達が美明を取り囲んでいて…
(まさか……転生…?!)
魔法や剣が存在する異世界へと転生してしまっていた美明。
魔法が使える事にわくわくしながらも、王女としての義務もあり──
王女として生まれ変わった美明―リアラ・フィールアが、前世の知識を活かして活躍する『転生ファンタジー』──
転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様
撫羽
ファンタジー
タイトル変更しました!
『王道?転生公爵令嬢と転生皇子の日常』から『転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様』です。
魔物討伐の最中、魔法をブッ放した直後に突然前世を思い出した、主人公ルルことルルーシュア。
前世では10代で病死し、ペットのシルバーのトイプードルのモモだけが友達で家族だった。
そんな前世を送ったルルが転生した!
イケメン兄や両親に愛され、隠しキャラの婚約者が現れたり、ヒロインを断罪したり、とんでもないペットが増えたり、本人が気付かないうちに色々やらかします。
皆に愛されながら、婚約者の愛情を受けて、ちょっと世直ししながら、日々生活していく物語です。
意地悪令嬢は出てきません。
主人公の周りには、イケメン兄とイケメン婚約者と言うよくあるテンプレ設定です。
R指定も怖い表現も全くありません。ほのぼのと淡々と、よくある転生物語です。
設定も、ふんわりしてます。
細かい事に拘らず、大きな気持ちで、クスッとしながら読んで頂けたら嬉しいです。
なろうで、原案を公開してます。これは修正後のものです。
不定期投稿で申し訳ありません。
残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.
福留しゅん
恋愛
ヒロインに婚約者の王太子の心を奪われて嫉妬のあまりにいじめという名の悪意を振り撒きまくった公爵令嬢は突然ここが乙女ゲー『どきエデ』の世界だと思い出す。既にヒロインは全攻略対象者を虜にした逆ハーレムルート突入中で大団円まであと少し。婚約破棄まで残り二十四時間、『どきエデ』だったらとっくに詰みの状態じゃないですかやだも~! だったら残り一日で全部の破滅フラグへし折って逃げ切ってやる! あわよくば脳内ピンク色のヒロインと王太子に最大級のざまぁを……!
※Season 1,2:書籍版のみ公開中、Interlude 1:完結済(Season 1読了が前提)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる