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第2章 ヒロイン遭遇編
22 悪役令嬢、プレゼントする
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「ちょっとお待ちください。エドワード様」
「え? どうしたの?」
カフェでお茶をしていた私とセレステは移動して、私の家に着ていた。
しかし、家に着くなり、セレステはなぜかおろおろ。落ち着きがない。
一体どうしたのだろうか?
首を傾げていると、彼女は小さく呟いた。
「エドワード様、ここってステラート家の……」
「そうだよ。ここが僕のアトリエがある場所なんだ」
「!」
そう答えると、セレステの白い肌は青くなっていく。
「エドワード様の作品が全てステラート公爵がお売りになさっているのはまさか……」
「うん。僕が公爵に頼んでいるんだ。『売ってください』って」
「まぁ……」
セレステは感嘆の声を漏らして、私の方をじっと見ていた。
ち、ちょっとそんなに見つめられると照れるんだけど。
照れ隠しに私はドアの方へ手を伸ばす。
「さぁ、入って」
フリーズ気味のセレステを案内し、アトリエへと足を進める。
男装をママに見られたら、どう説明していいか分からない。
下手なことを言えば、変に疑われるし、街に行ってたことをはっきりと言えば、絶対怒られる。カンカンになるはず。
私はアトリエまでの道にママがいないか確認し、急いでアトリエに入る。
幸いなことに、アトリエに来るまでに誰にも会うことはなかった。
ふぅー、よかった。
額の汗をハンカチで拭くと、彼女の方をみる。
さっきまで思考が停止していたセレステは「わぁ」と声を漏らし、瞳をキラキラと輝かせていた。
感動をしながら部屋を見渡し歩くセレステの後ろに、私はついていく。
すると、彼女はある場所で足を止めた。
「エドワード様」
「なんだい?」
頑張って男のような返事をする。
これ、男っぽい話し方になってるよね?
「あの、これが今、エドワード様がお創りになさっている作品ですか?」
セレステは現在私が手掛けている絵をじっと見つめていた。
「うん、そうだよ」
「うわぁ………まさか制作途中を見れるなんて………幸せです」
セレステは感嘆の声を上げながら、絵の隅々まで見ていく。
まだ途中だから、ところどころ雑なまま放置していたので、そこまでキレイじゃないけど、作品の雰囲気は大体できていた。
あと少しで完成するわ。楽しみにしておいてね。
そうして、セレステとともに過去の自分の作品を見直していると、扉の方からノック音が聞こえた。
ん、誰だろう?
「姉さん、入るよ」
なっ!?
カチャりと扉を開け、入ってきたのはデイン。
デインはいつも私の返答なしに入れるようにしていたから、いつも通りの様子で入ってきた。
彼は開けた瞬間、セレステと目を合わしフリーズ。
もちろん、セレステもフリーズ。
「デイン様……?」
「セレステさん……」
セレステは私に背中を向けているが、彼女の背中から困惑のオーラが伝わってくる。
まずい…………バレるかも。
ぎゅっと目をつぶっていると、セレステはくるりと翻し、こちらに顔を向けてきた。
「エドワード様! デイン様とも仲がよろしいのですね!」
「へ?」
「だって、そうじゃありませんか。デイン様がエドワード様をお姉様とお呼び間違いするくらい仲がよろしいのでしょう?」
セレステは完全に憧れのまなざしを向けていた。
私はどうすればいいか分からず、デインに視線を送る。
彼は「そのまま進めちゃって」と言わんばかりに縦に首を振ってきた。
「そ、そうなんだよ。デイン様のお姉様と雰囲気が似ているせいか、デイン様によく間違えられるんだ。僕、男だけど」
苦し紛れの回答にセレステは納得したのかうんうんとゆっくり頷く。
ああ、もうこれ以上質問しないでくれぇ。
セレステは私の気も知らず、またさらに質問してきた。
「そうなんですか……そういえば、デイン様にはお姉様がいらっしゃいますよね?」
「う、うん、いらっしゃるね」
「デイン様のお姉様ってどんな方なんでしょう?」
デインのお姉様?
そうね……私みたいな人、ていうか、私!
とはもちろん言えない。
「おもしろい人だよ」
そう答えたのは私じゃない、デインだった。
彼はそのまま会話の主導権を握り、話を続ける。
「セレステさん、ちょっとエドワードさんと話したいことがあるから、少しだけ時間いい?」
「はい、私はお気になさらず、お2人でお話してくださいませ。エドワード様の作品を見て勉強していますので」
「じゃあ、エドワードさん。部屋の外に来てよ」
デインは声を低くして言った。
「ちょっーと話があるからさ」
そうして、私はデインに促され、アトリエを出る。
デインは腕を組んでいた。
どうやらご立腹のようだ。
「姉さん、どういうこと? その服もだけど……」
デインは男装姿の私を頭の上からつま先までまじまじと見る。
「なんでセレステさんがうちにいるの?」
「街に出てたら、たまたま会ってさ……」
「気があっちゃって、カフェでお茶して、『アトリエに来ない?』とか言って誘った?」
…………うむ、さすが私の弟。
私の言動がよく分かっていらっしゃる。
デインが「そうでしょ」と目で訴えてくるので、私はゆっくり頷く。
「男装しているのは街で私ってバレないようにするためで……」
「それでなんて名乗ったらいいか分からなくなって、エドワードになってるんでしょ?」
「その通りです」
そういえば、デインはさっき「セレステさん」って言ってたけど、それって名前を知ってたってことだよね?
「でも、デイン。デインはセレステさんと面識があったようだけど、学園では仲がいいの?」
ヒロインちゃんと攻略対象者の関係はやっぱり気になる。
「仲がいいってほど交流があるわけじゃないよ。ほら、彼女バイトばかりしてるみたいだし、僕だって星光騎士のことがある。交流するのは授業の時ぐらいじゃないかな」
「へぇ……」
2人の間にはそんなにフラグっぽいものは立っていないということかしら。
うーんと唸って考えこんでいると、デインが慌てて言った。
「心配しなくても、僕は別に姉さん以外の女の人は見ないから。別に興味ないから」
「えー。そんなこと言わないで。ちゃんと見てあげてちょうだいな。女の子たちがかわいそう」
デインはイケメンさんだから、女の子たちの中にはきっとデインに想いを寄せている人もいる。絶対いる。
また、デインに振り向いてほしくて、努力している子もいるだろう。
それなのに、見ないというのはかわいそうだ。
その子と好きになれとは言わないから、せめて興味ぐらいは持ってほしい。
「姉さんは大事なところを聞き逃すんだね……」
しかし、デインはなぜかはぁと呆れたようにため息。
なぜため息をつく、我が弟よ。
女の子の中には、未来のデインのお嫁さんがいるかもしれないわよ。
「ともかく、セレステさんに正体がバレないように気をつけてよ?」
デインにそう言われ、姉弟会議が終了した。
どうやらデインには用事があるようなので、セレステさんとお話はせず、さっさと自分の部屋へと戻っていった。
私はアトリエに戻り、セレステさんにお待たせしたことを謝罪。
「全然大丈夫ですよ。きっと大事なお話があったんですよね?」
「まぁ、はい」
あながち間違いではない。
大事な話といえば大事な話だった。
まぁ、ほとんどデインの事情聴取だったが。
そうして、私はセレステさんが絵を描きたそうにしていたので、一緒に絵を描き始めた。F0という極めて小さなキャンバスに好き好きに絵を描いていく。
ちらちらとセレステの様子も伺っていたが、彼女は何度か描いたことがあるようで、油絵具を難なくこなしていた。
そうして、1時間ぐらい経った頃だろうか、セレステは机に筆を置いた。
「お時間がお時間なのでそろそろお暇させていただきます」
「あ、もうそんな時間!?」
窓の外を見ると、オレンジ色の空。もう夕方になっていた。
セレステは自分が使っていた筆を新聞紙で汚れを取り、油で洗う。そして、私に筆を渡してきた。
「筆をお貸しいただきありがとうございました。この筆、本当に書きやすかったです」
筆を私に返すセレステは、なんだか名残惜しそうに筆を見ていた。
ああ。
自分に合った筆だったんだろうなぁ。
自分に合う筆、つまりぴったり合う相棒さんは、オーダーメイドしない限りそう滅多に会うことはない。
特にセレステは、金銭的にオーダーメイドの筆など買うことは難しいだろう。
私はニコリと微笑んで、筆をセレステに返す。
「それ、あげるよ」
「えっ?」
「それ自分に合ってたんでしょ? あげる」
「えっ、でも」
「遠慮はなし。僕たち、友人でしょ?」
私は「違う?」と付け加え問いかける。
セレステは手に持つ筆を眺めて、私を見て、もう一度筆に目を戻す。
そして、バッと顔を上げ、瞳を真っすぐ向けてきた。
「本当にいいですか?」
「ええ、もちろん」
「……じゃあ、お言葉に甘えていただきます」
すると、セレステは深すぎるってくらい頭を下げる。
「本当にありがとうございます!」
顔を上げた彼女は、この世で一番幸せそうな満面の笑みを浮かべていた。
うん。喜んでもらえてよかったわ。
そして、片付けを終えると、私は母に見つからぬようセレステとともに玄関へ移動。
そこで、別れの挨拶を交わしていると、セレステは突然大きな声を出した。
「あ、あの!」
「はい?」
セレステは顔を俯かせて、まじまじとしている。
トイレでも行きたいのだろうか?
それなら、我慢なんかせずに行ってもいいのに。
と思っていたが、セレステは。
「また……ここに来てもよろしいでしょうか?」
と尋ねてきた。
えー?
そんなの答えが決まってるじゃない?
私はクシャりと笑い、答える。
「もちろん! 続きを描きに来てよ!」
同士は大歓迎だわ!
そうして、次回会う約束をし、彼女を見送った。
全力で手を振る私に、上品に手を振り返してくれたセレステ。
彼女の頬は夕日のせいかほんのりと赤が染まっていたような気がした。
「え? どうしたの?」
カフェでお茶をしていた私とセレステは移動して、私の家に着ていた。
しかし、家に着くなり、セレステはなぜかおろおろ。落ち着きがない。
一体どうしたのだろうか?
首を傾げていると、彼女は小さく呟いた。
「エドワード様、ここってステラート家の……」
「そうだよ。ここが僕のアトリエがある場所なんだ」
「!」
そう答えると、セレステの白い肌は青くなっていく。
「エドワード様の作品が全てステラート公爵がお売りになさっているのはまさか……」
「うん。僕が公爵に頼んでいるんだ。『売ってください』って」
「まぁ……」
セレステは感嘆の声を漏らして、私の方をじっと見ていた。
ち、ちょっとそんなに見つめられると照れるんだけど。
照れ隠しに私はドアの方へ手を伸ばす。
「さぁ、入って」
フリーズ気味のセレステを案内し、アトリエへと足を進める。
男装をママに見られたら、どう説明していいか分からない。
下手なことを言えば、変に疑われるし、街に行ってたことをはっきりと言えば、絶対怒られる。カンカンになるはず。
私はアトリエまでの道にママがいないか確認し、急いでアトリエに入る。
幸いなことに、アトリエに来るまでに誰にも会うことはなかった。
ふぅー、よかった。
額の汗をハンカチで拭くと、彼女の方をみる。
さっきまで思考が停止していたセレステは「わぁ」と声を漏らし、瞳をキラキラと輝かせていた。
感動をしながら部屋を見渡し歩くセレステの後ろに、私はついていく。
すると、彼女はある場所で足を止めた。
「エドワード様」
「なんだい?」
頑張って男のような返事をする。
これ、男っぽい話し方になってるよね?
「あの、これが今、エドワード様がお創りになさっている作品ですか?」
セレステは現在私が手掛けている絵をじっと見つめていた。
「うん、そうだよ」
「うわぁ………まさか制作途中を見れるなんて………幸せです」
セレステは感嘆の声を上げながら、絵の隅々まで見ていく。
まだ途中だから、ところどころ雑なまま放置していたので、そこまでキレイじゃないけど、作品の雰囲気は大体できていた。
あと少しで完成するわ。楽しみにしておいてね。
そうして、セレステとともに過去の自分の作品を見直していると、扉の方からノック音が聞こえた。
ん、誰だろう?
「姉さん、入るよ」
なっ!?
カチャりと扉を開け、入ってきたのはデイン。
デインはいつも私の返答なしに入れるようにしていたから、いつも通りの様子で入ってきた。
彼は開けた瞬間、セレステと目を合わしフリーズ。
もちろん、セレステもフリーズ。
「デイン様……?」
「セレステさん……」
セレステは私に背中を向けているが、彼女の背中から困惑のオーラが伝わってくる。
まずい…………バレるかも。
ぎゅっと目をつぶっていると、セレステはくるりと翻し、こちらに顔を向けてきた。
「エドワード様! デイン様とも仲がよろしいのですね!」
「へ?」
「だって、そうじゃありませんか。デイン様がエドワード様をお姉様とお呼び間違いするくらい仲がよろしいのでしょう?」
セレステは完全に憧れのまなざしを向けていた。
私はどうすればいいか分からず、デインに視線を送る。
彼は「そのまま進めちゃって」と言わんばかりに縦に首を振ってきた。
「そ、そうなんだよ。デイン様のお姉様と雰囲気が似ているせいか、デイン様によく間違えられるんだ。僕、男だけど」
苦し紛れの回答にセレステは納得したのかうんうんとゆっくり頷く。
ああ、もうこれ以上質問しないでくれぇ。
セレステは私の気も知らず、またさらに質問してきた。
「そうなんですか……そういえば、デイン様にはお姉様がいらっしゃいますよね?」
「う、うん、いらっしゃるね」
「デイン様のお姉様ってどんな方なんでしょう?」
デインのお姉様?
そうね……私みたいな人、ていうか、私!
とはもちろん言えない。
「おもしろい人だよ」
そう答えたのは私じゃない、デインだった。
彼はそのまま会話の主導権を握り、話を続ける。
「セレステさん、ちょっとエドワードさんと話したいことがあるから、少しだけ時間いい?」
「はい、私はお気になさらず、お2人でお話してくださいませ。エドワード様の作品を見て勉強していますので」
「じゃあ、エドワードさん。部屋の外に来てよ」
デインは声を低くして言った。
「ちょっーと話があるからさ」
そうして、私はデインに促され、アトリエを出る。
デインは腕を組んでいた。
どうやらご立腹のようだ。
「姉さん、どういうこと? その服もだけど……」
デインは男装姿の私を頭の上からつま先までまじまじと見る。
「なんでセレステさんがうちにいるの?」
「街に出てたら、たまたま会ってさ……」
「気があっちゃって、カフェでお茶して、『アトリエに来ない?』とか言って誘った?」
…………うむ、さすが私の弟。
私の言動がよく分かっていらっしゃる。
デインが「そうでしょ」と目で訴えてくるので、私はゆっくり頷く。
「男装しているのは街で私ってバレないようにするためで……」
「それでなんて名乗ったらいいか分からなくなって、エドワードになってるんでしょ?」
「その通りです」
そういえば、デインはさっき「セレステさん」って言ってたけど、それって名前を知ってたってことだよね?
「でも、デイン。デインはセレステさんと面識があったようだけど、学園では仲がいいの?」
ヒロインちゃんと攻略対象者の関係はやっぱり気になる。
「仲がいいってほど交流があるわけじゃないよ。ほら、彼女バイトばかりしてるみたいだし、僕だって星光騎士のことがある。交流するのは授業の時ぐらいじゃないかな」
「へぇ……」
2人の間にはそんなにフラグっぽいものは立っていないということかしら。
うーんと唸って考えこんでいると、デインが慌てて言った。
「心配しなくても、僕は別に姉さん以外の女の人は見ないから。別に興味ないから」
「えー。そんなこと言わないで。ちゃんと見てあげてちょうだいな。女の子たちがかわいそう」
デインはイケメンさんだから、女の子たちの中にはきっとデインに想いを寄せている人もいる。絶対いる。
また、デインに振り向いてほしくて、努力している子もいるだろう。
それなのに、見ないというのはかわいそうだ。
その子と好きになれとは言わないから、せめて興味ぐらいは持ってほしい。
「姉さんは大事なところを聞き逃すんだね……」
しかし、デインはなぜかはぁと呆れたようにため息。
なぜため息をつく、我が弟よ。
女の子の中には、未来のデインのお嫁さんがいるかもしれないわよ。
「ともかく、セレステさんに正体がバレないように気をつけてよ?」
デインにそう言われ、姉弟会議が終了した。
どうやらデインには用事があるようなので、セレステさんとお話はせず、さっさと自分の部屋へと戻っていった。
私はアトリエに戻り、セレステさんにお待たせしたことを謝罪。
「全然大丈夫ですよ。きっと大事なお話があったんですよね?」
「まぁ、はい」
あながち間違いではない。
大事な話といえば大事な話だった。
まぁ、ほとんどデインの事情聴取だったが。
そうして、私はセレステさんが絵を描きたそうにしていたので、一緒に絵を描き始めた。F0という極めて小さなキャンバスに好き好きに絵を描いていく。
ちらちらとセレステの様子も伺っていたが、彼女は何度か描いたことがあるようで、油絵具を難なくこなしていた。
そうして、1時間ぐらい経った頃だろうか、セレステは机に筆を置いた。
「お時間がお時間なのでそろそろお暇させていただきます」
「あ、もうそんな時間!?」
窓の外を見ると、オレンジ色の空。もう夕方になっていた。
セレステは自分が使っていた筆を新聞紙で汚れを取り、油で洗う。そして、私に筆を渡してきた。
「筆をお貸しいただきありがとうございました。この筆、本当に書きやすかったです」
筆を私に返すセレステは、なんだか名残惜しそうに筆を見ていた。
ああ。
自分に合った筆だったんだろうなぁ。
自分に合う筆、つまりぴったり合う相棒さんは、オーダーメイドしない限りそう滅多に会うことはない。
特にセレステは、金銭的にオーダーメイドの筆など買うことは難しいだろう。
私はニコリと微笑んで、筆をセレステに返す。
「それ、あげるよ」
「えっ?」
「それ自分に合ってたんでしょ? あげる」
「えっ、でも」
「遠慮はなし。僕たち、友人でしょ?」
私は「違う?」と付け加え問いかける。
セレステは手に持つ筆を眺めて、私を見て、もう一度筆に目を戻す。
そして、バッと顔を上げ、瞳を真っすぐ向けてきた。
「本当にいいですか?」
「ええ、もちろん」
「……じゃあ、お言葉に甘えていただきます」
すると、セレステは深すぎるってくらい頭を下げる。
「本当にありがとうございます!」
顔を上げた彼女は、この世で一番幸せそうな満面の笑みを浮かべていた。
うん。喜んでもらえてよかったわ。
そして、片付けを終えると、私は母に見つからぬようセレステとともに玄関へ移動。
そこで、別れの挨拶を交わしていると、セレステは突然大きな声を出した。
「あ、あの!」
「はい?」
セレステは顔を俯かせて、まじまじとしている。
トイレでも行きたいのだろうか?
それなら、我慢なんかせずに行ってもいいのに。
と思っていたが、セレステは。
「また……ここに来てもよろしいでしょうか?」
と尋ねてきた。
えー?
そんなの答えが決まってるじゃない?
私はクシャりと笑い、答える。
「もちろん! 続きを描きに来てよ!」
同士は大歓迎だわ!
そうして、次回会う約束をし、彼女を見送った。
全力で手を振る私に、上品に手を振り返してくれたセレステ。
彼女の頬は夕日のせいかほんのりと赤が染まっていたような気がした。
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