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第2ラウンド
第34話 残念な人
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「さぁ!! やってしまいなさい!!」
マリーの声で一斉に動き出した4人のイケメンども。永遠の忠誠を誓った騎士のように、マリーの命令通りに私に襲いかかる。
黒髪男は身長よりもずっと長い槍、メガネ男はぺチンと鳴らすムチ、金髪褐色男は鎚矛、ショタ男は2個の鉄球を鎖でつないだ棍棒。
4人は同時に襲いかかってくるが、イタチのように軽やかに左右に避け、飛んで回避。彼らは無言のままで、私を倒すことに全力集中。代わる代わる攻撃を仕掛け、マリーがいるベッド以外は荒れ果てていく。
……………なぜ?
なぜ世界掌握を駆使せず、戦ってこないのかしら?
その疑問を抱きマリーを注視しつつ、1人目、2人目と順に私の相棒日本刀で薙ぎ、男たちを倒していく。そこまで強くなかった。
「イッショニ、アソボ?」
倒して一段落した肩を落とした瞬間、聞こえてきた機械的な声。下に視線を落とすと、私の足に多数の人形が抱き着いていた。
ただのお飾りにしか思っていなかった人形。動きと声は不気味ではあったが、あまりの可愛さにモフモフしたいという欲求がよぎる。
「アソボ!」
刹那、人形の目が不気味に赤く光った。
あ、やば――――――。
ドガッ――――――ンっ!!
鼓膜が裂けそうなほどの爆音が響き――大爆発。体は吹き飛ばされ、壊れた壁から転落。幸い意識は飛ばず、石畳の地面へ華麗に着地できた。
「はぁ、はぁ、はぁ……やってくれるわね………」
「アハハッ!! どう!? 私の人形ちゃんたちはッ!? どう!? 苦しい!?」
壊れた壁から見下ろすマリーは私を見下して狂ったように笑う。彼女の笑みとともに、その建物の全景を目にした。
………………なるほど、ここお城だったのね。
女児の心をくすぐる可愛さがふんだんにつまったピンクのお城。どこもかしこも♡だらけで、桃色だらけ。あまりの甘さに吐気がしそうになるぐらい、乙女な城だった。
ピンクの部屋という強烈メルヘンチックさにやられていたが、マリーはお城を作り、そこに自分好みの部屋を作っていた。
マリーの頭の中って、こんなに可愛いで溢れていたの…………女子らしいわね。
私を追いかけて、空から次々と降ってくる人形たち。モフモフの可愛い人形たち。敵でなければ、全部受け止めてぎゅっと抱きしめていただろう。
「でも、全部爆弾だものね!!」
正直あんなに可愛い人形が爆散していくのは心苦しい。可愛いと狂気が混在しているマリーにはふさわしい武器だった。
『世界掌握』があるから、人形の無限製造ができている。マリーの本当の武器は、今手に持っている大鎌。本来可愛いらしいマリーには死神が持っていそうな大鎌はアンバランス。だが、今は狂気さもあって、本物の死神のようにも見えた。
いいわね。その武器を使ってくれたら、尚更楽しめそうだけど――――。
バンバンッと連続して爆発する人形たち。地面に顔がついてしまいそうなぐらい、低姿勢で私は城の庭を抜け、塀を超え、街へと出る。人形たちも、私の後を追って来ていた。
そうして、道路を突っ走り、着いた広場。王城にいたマリーだが、私よりも一足先にそこに到着し、ハートの噴水の前で待ってくれていた。自分の世界だから、どこでも瞬間移動し放題なのだろう。
「アドヴィナ!! 私の手で殺してあげるわッ!!」
興奮でガンギマリなマリーは大鎌を振り、空気を切る。彼女と私に距離はあった。普通なら鎌を振った所でかすりもしないほど遠かった。
「っ!!」
しかし、彼女の攻撃は当たり、腕に切り傷が入る。斬撃が飛んできていた。
「アハハッ!! バカね!! 私の攻撃って必中になってるのよ!! 逃げたって意味ないのよ!!」
「言われなくたって知ってるわよ!!」
彼女の言う通り、世界掌握では術者の必中。避けたと思っても、必ず当たる。距離があろうがなかろうが関係ない。
「でも、あなただけが魔法薬を飲んでいないとは限らないわよね――――?」
ここにくる前のこと。あの全裸会長と戦ったあの場所には多数の魔法薬があった。
「あ――――」
そう――――そこにあったマリーと同じ魔法薬を私は飲んでいた。
マリーが小さく単音を発した瞬間、世界はまた一転。空は澄み切った青が広がり、丘には色とりどりの花々が輝かしく咲き誇っていた。遠くにそびえたつのは、ノイシュバンシュタイン城やユッセ城に似た可愛らしいお城が見える。
『世界掌握』は通常術者の魔力量の差でどちらが展開されるのかが決まるが――――魔法薬の場合、展開タイミングがいつかで決まる。マリーの魔法薬はもうそろそろ効力が切れる頃。だから、私の『世界掌握』が展開されていた。
「ねぇ、一つ聞いてもいいかしら」
「…………」
「あなたが私になりすましていたの? なりすまして、ハンナに嫌がらせをしていたの?」
私が『世界掌握』を展開した瞬間、放った一瞬の攻撃。日本刀の斬撃は、マリーの足を一刀両断。断片から血が噴き出し、マリーは花畑の中でしゃがみ込む。
そして、私の問いに、ニコリを微笑んだ。
「そうよ。私よ、全部わ・た・し♡」
だけど、彼女に苦しむ反応はなかった。変わらず笑顔を浮かべて、地面に座りこんでいた。
「公爵令嬢が落ちていくところを見たかったの。私の邪魔をする者は全員排除したかったの」
何もない空に手を伸ばし、静かに語るマリー。そこに風が吹き、亜麻色の髪をなびかせる。夕日のようなオレンジの瞳には、彼女の夢が映っていた。
「王妃の席も私、みんなの中心に立つのも私、全部全部私のものになったの。なったはずだったの――……」
所詮夢は夢。幻想でしかない。だけど、彼女は本当に夢を現実にしようとした。己の手で自分の願いを叶えようとしていた。
「ハンナも手にかけるつもりだったのね」
「ええ。だって、邪魔だもの。一番の邪魔者だわ」
乙女ゲームにおいては主人公の支援キャラ。転生してから彼女たちを見かけることがあったが、親友のようだった。
なのに、親友が裏切る予定だったとは………あーあ、ハンナは本当に友人だと思っていたでしょうに……かわいそうな子。
「なりすましにいつ気づいたの? 気づかれないようにやっていたのだけど?」
「気づいたと言っても、さっきよ。デスゲーム中に気づいたの」
きっかけは第1インターバル。エイダンたちが、いないはずの私の姿を見たという主張を受けて、そしてマリーと実際に対面してようやく分かった。
エイダンたちの幻覚としか思っていなかったが、彼らの主張が事実であったとしたら、なりすましがあり、その犯人はマリーだとこれまでの彼女の行いから判断した。
「あなたが私に呪いをかけていたから、なりすますとしたら、あなただろうと思ったのよ」
「………………」
「あなたが私にかけた呪いは、3か月前に気づいたわ」
そう。
私はマリーから呪いをかけられていた。
気づいたのはデスゲームが始まる前、前世を思い出してから3ヶ月経った頃。全員から嫌われる呪いをかけられているのだと、状況から悟った。
だが、誰が呪いをかけてきたのか不明。最初こそ見当もつかなかったが、魔法で術者を特定し、マリー・ビンガムが私を陥れるためにかけた、と分かった。
「でも、呪いは自力で解いたのよ。でもね――――」
マリーが私が嫌いになる呪いをかけたから、みんなが冷たくするのだと思っていた………でも、どうやらそれだけじゃなかった。
私はマリーに近づき、耳元に口を近づける。
「――――」
「…………!!」
そして、彼女に真実を告げる。その瞬間、マリーのオレンジの目がカッと見開いた。
「……………ああ、そうだったの…………アハハ……アハハッ!」
彼女は笑いだしていた。
足を切られて痛いだろうに、爆笑。
お腹を抱えて笑っていた。
「アハハ! あんたって人はほんとに――――ね!」
「ええ、そうね。私はそういう運命なのかも」
珍しく私はマリーに同意。
否定するなんてできない。
彼女の言っていることは真実だもの。
「アハハ………ざまぁないわ…………」
笑いがつき、肩に入っていた力も消え、顔を俯けるマリー。死が近づいているのだろう、彼女の声は弱々しくなっていく。そよ風よりも小さくなっていた。
「さようなら、アドヴィナ。地獄で待ってるから………ぜひ来てちょうだい………」
悟ったのだろう――――マリーは最期の挨拶をする。
「残念な人ね…………」
膨張していく貪欲さ、笑顔の裏に隠す企み。
マリーは不思議と嫌いにはなれなかった。
私を陥れた張本人だし、うざかったとしても。
現実を誰よりも見て、その上で自分を偽り、努力し準備し、自分の望む物を手に入れようとしていた。相手のことを理解しようとせずに、正論だけ言ってくるハンナよりかは何倍もいい。
私にさえ刃を向けなければ、生かしてあげたかもしれない。
「もしかしたら、友人になれたのかもね……」
私の呟きに、マリーはそっと目を閉じ笑った。
「冗談を……」
そうして、マリーの息が消えた直後、静かな花畑にビィ――――とサイレンが鳴り響く。私の体がキラキラと輝き始め、次の休憩所へ向かう準備が始まる。
「さようなら、マリー」
笑顔のまま息絶えた彼女に別れを告げ、私はそっと目を閉じた。
――――――
第2ラウンド終了です。1話インターバルを挟み、第3ラウンド開始となります。
明日は2話更新します。第35話は明日10時頃更新いたします。よろしくお願いいたします。
マリーの声で一斉に動き出した4人のイケメンども。永遠の忠誠を誓った騎士のように、マリーの命令通りに私に襲いかかる。
黒髪男は身長よりもずっと長い槍、メガネ男はぺチンと鳴らすムチ、金髪褐色男は鎚矛、ショタ男は2個の鉄球を鎖でつないだ棍棒。
4人は同時に襲いかかってくるが、イタチのように軽やかに左右に避け、飛んで回避。彼らは無言のままで、私を倒すことに全力集中。代わる代わる攻撃を仕掛け、マリーがいるベッド以外は荒れ果てていく。
……………なぜ?
なぜ世界掌握を駆使せず、戦ってこないのかしら?
その疑問を抱きマリーを注視しつつ、1人目、2人目と順に私の相棒日本刀で薙ぎ、男たちを倒していく。そこまで強くなかった。
「イッショニ、アソボ?」
倒して一段落した肩を落とした瞬間、聞こえてきた機械的な声。下に視線を落とすと、私の足に多数の人形が抱き着いていた。
ただのお飾りにしか思っていなかった人形。動きと声は不気味ではあったが、あまりの可愛さにモフモフしたいという欲求がよぎる。
「アソボ!」
刹那、人形の目が不気味に赤く光った。
あ、やば――――――。
ドガッ――――――ンっ!!
鼓膜が裂けそうなほどの爆音が響き――大爆発。体は吹き飛ばされ、壊れた壁から転落。幸い意識は飛ばず、石畳の地面へ華麗に着地できた。
「はぁ、はぁ、はぁ……やってくれるわね………」
「アハハッ!! どう!? 私の人形ちゃんたちはッ!? どう!? 苦しい!?」
壊れた壁から見下ろすマリーは私を見下して狂ったように笑う。彼女の笑みとともに、その建物の全景を目にした。
………………なるほど、ここお城だったのね。
女児の心をくすぐる可愛さがふんだんにつまったピンクのお城。どこもかしこも♡だらけで、桃色だらけ。あまりの甘さに吐気がしそうになるぐらい、乙女な城だった。
ピンクの部屋という強烈メルヘンチックさにやられていたが、マリーはお城を作り、そこに自分好みの部屋を作っていた。
マリーの頭の中って、こんなに可愛いで溢れていたの…………女子らしいわね。
私を追いかけて、空から次々と降ってくる人形たち。モフモフの可愛い人形たち。敵でなければ、全部受け止めてぎゅっと抱きしめていただろう。
「でも、全部爆弾だものね!!」
正直あんなに可愛い人形が爆散していくのは心苦しい。可愛いと狂気が混在しているマリーにはふさわしい武器だった。
『世界掌握』があるから、人形の無限製造ができている。マリーの本当の武器は、今手に持っている大鎌。本来可愛いらしいマリーには死神が持っていそうな大鎌はアンバランス。だが、今は狂気さもあって、本物の死神のようにも見えた。
いいわね。その武器を使ってくれたら、尚更楽しめそうだけど――――。
バンバンッと連続して爆発する人形たち。地面に顔がついてしまいそうなぐらい、低姿勢で私は城の庭を抜け、塀を超え、街へと出る。人形たちも、私の後を追って来ていた。
そうして、道路を突っ走り、着いた広場。王城にいたマリーだが、私よりも一足先にそこに到着し、ハートの噴水の前で待ってくれていた。自分の世界だから、どこでも瞬間移動し放題なのだろう。
「アドヴィナ!! 私の手で殺してあげるわッ!!」
興奮でガンギマリなマリーは大鎌を振り、空気を切る。彼女と私に距離はあった。普通なら鎌を振った所でかすりもしないほど遠かった。
「っ!!」
しかし、彼女の攻撃は当たり、腕に切り傷が入る。斬撃が飛んできていた。
「アハハッ!! バカね!! 私の攻撃って必中になってるのよ!! 逃げたって意味ないのよ!!」
「言われなくたって知ってるわよ!!」
彼女の言う通り、世界掌握では術者の必中。避けたと思っても、必ず当たる。距離があろうがなかろうが関係ない。
「でも、あなただけが魔法薬を飲んでいないとは限らないわよね――――?」
ここにくる前のこと。あの全裸会長と戦ったあの場所には多数の魔法薬があった。
「あ――――」
そう――――そこにあったマリーと同じ魔法薬を私は飲んでいた。
マリーが小さく単音を発した瞬間、世界はまた一転。空は澄み切った青が広がり、丘には色とりどりの花々が輝かしく咲き誇っていた。遠くにそびえたつのは、ノイシュバンシュタイン城やユッセ城に似た可愛らしいお城が見える。
『世界掌握』は通常術者の魔力量の差でどちらが展開されるのかが決まるが――――魔法薬の場合、展開タイミングがいつかで決まる。マリーの魔法薬はもうそろそろ効力が切れる頃。だから、私の『世界掌握』が展開されていた。
「ねぇ、一つ聞いてもいいかしら」
「…………」
「あなたが私になりすましていたの? なりすまして、ハンナに嫌がらせをしていたの?」
私が『世界掌握』を展開した瞬間、放った一瞬の攻撃。日本刀の斬撃は、マリーの足を一刀両断。断片から血が噴き出し、マリーは花畑の中でしゃがみ込む。
そして、私の問いに、ニコリを微笑んだ。
「そうよ。私よ、全部わ・た・し♡」
だけど、彼女に苦しむ反応はなかった。変わらず笑顔を浮かべて、地面に座りこんでいた。
「公爵令嬢が落ちていくところを見たかったの。私の邪魔をする者は全員排除したかったの」
何もない空に手を伸ばし、静かに語るマリー。そこに風が吹き、亜麻色の髪をなびかせる。夕日のようなオレンジの瞳には、彼女の夢が映っていた。
「王妃の席も私、みんなの中心に立つのも私、全部全部私のものになったの。なったはずだったの――……」
所詮夢は夢。幻想でしかない。だけど、彼女は本当に夢を現実にしようとした。己の手で自分の願いを叶えようとしていた。
「ハンナも手にかけるつもりだったのね」
「ええ。だって、邪魔だもの。一番の邪魔者だわ」
乙女ゲームにおいては主人公の支援キャラ。転生してから彼女たちを見かけることがあったが、親友のようだった。
なのに、親友が裏切る予定だったとは………あーあ、ハンナは本当に友人だと思っていたでしょうに……かわいそうな子。
「なりすましにいつ気づいたの? 気づかれないようにやっていたのだけど?」
「気づいたと言っても、さっきよ。デスゲーム中に気づいたの」
きっかけは第1インターバル。エイダンたちが、いないはずの私の姿を見たという主張を受けて、そしてマリーと実際に対面してようやく分かった。
エイダンたちの幻覚としか思っていなかったが、彼らの主張が事実であったとしたら、なりすましがあり、その犯人はマリーだとこれまでの彼女の行いから判断した。
「あなたが私に呪いをかけていたから、なりすますとしたら、あなただろうと思ったのよ」
「………………」
「あなたが私にかけた呪いは、3か月前に気づいたわ」
そう。
私はマリーから呪いをかけられていた。
気づいたのはデスゲームが始まる前、前世を思い出してから3ヶ月経った頃。全員から嫌われる呪いをかけられているのだと、状況から悟った。
だが、誰が呪いをかけてきたのか不明。最初こそ見当もつかなかったが、魔法で術者を特定し、マリー・ビンガムが私を陥れるためにかけた、と分かった。
「でも、呪いは自力で解いたのよ。でもね――――」
マリーが私が嫌いになる呪いをかけたから、みんなが冷たくするのだと思っていた………でも、どうやらそれだけじゃなかった。
私はマリーに近づき、耳元に口を近づける。
「――――」
「…………!!」
そして、彼女に真実を告げる。その瞬間、マリーのオレンジの目がカッと見開いた。
「……………ああ、そうだったの…………アハハ……アハハッ!」
彼女は笑いだしていた。
足を切られて痛いだろうに、爆笑。
お腹を抱えて笑っていた。
「アハハ! あんたって人はほんとに――――ね!」
「ええ、そうね。私はそういう運命なのかも」
珍しく私はマリーに同意。
否定するなんてできない。
彼女の言っていることは真実だもの。
「アハハ………ざまぁないわ…………」
笑いがつき、肩に入っていた力も消え、顔を俯けるマリー。死が近づいているのだろう、彼女の声は弱々しくなっていく。そよ風よりも小さくなっていた。
「さようなら、アドヴィナ。地獄で待ってるから………ぜひ来てちょうだい………」
悟ったのだろう――――マリーは最期の挨拶をする。
「残念な人ね…………」
膨張していく貪欲さ、笑顔の裏に隠す企み。
マリーは不思議と嫌いにはなれなかった。
私を陥れた張本人だし、うざかったとしても。
現実を誰よりも見て、その上で自分を偽り、努力し準備し、自分の望む物を手に入れようとしていた。相手のことを理解しようとせずに、正論だけ言ってくるハンナよりかは何倍もいい。
私にさえ刃を向けなければ、生かしてあげたかもしれない。
「もしかしたら、友人になれたのかもね……」
私の呟きに、マリーはそっと目を閉じ笑った。
「冗談を……」
そうして、マリーの息が消えた直後、静かな花畑にビィ――――とサイレンが鳴り響く。私の体がキラキラと輝き始め、次の休憩所へ向かう準備が始まる。
「さようなら、マリー」
笑顔のまま息絶えた彼女に別れを告げ、私はそっと目を閉じた。
――――――
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