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第2ラウンド
第26話 存在がセクハラ
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「グヘへェ~~」
カフカ戦の途中で聞いたそのきっしょい声。
小学生を襲う中年男性のような、1文字聞いただけで反吐が出てしまうほどの気持ち悪さを持つ悪声。
「グヘへェ~~、最高だなァ、こりゃァ」
双子を倒し次の会場へ移動しようと、鏡に飛び込んだ瞬間、聞こえてきた。
私が移動した先は屋上プール。スタート地点となっていた場所。
………なによ、これ。
「女子の体、触り放題じゃねぇかァ~~」
豊富な種類のプールがあるそこに、巨大タコがいた。見るのは2度目、しかし思わず自分の目を疑い、何度か瞬きするが景色は変わらない。眼前で起きていることは現実だと受けいれるのに数秒かかった。
私は近くにあったバーの物陰に隠れ、そのタコを観察する。
自分の身長よりも高いその怪物は、プールエリアで好き放題暴れていた。何本もの触手をうねうねと動かし、近くにいた女子たちを掴んでいく。人間の形をした化け物には何人か会ってきたが、それは正真正銘の化物。
こいつ……設定バグか何かで生み出されたNPC、モンスターなのかしら?
「グヘ、エヘへェッ~~!!」
いや、違う。
人間に分かる言葉で、笑っている。
感情が存在する。
「女の子ッ――――!! 最高ッ――――!! FO――――!!」
それもきっしょい感情だ。彼――声が男性的なので、おそらく男――は、多数ある手をくねくねと動かし。
「こ、こっちに来ないでっ!!」
「やぁ~だねぇ~」
「い、いやっ――――」
偶然鏡から出てきた女子の体に巻き付く。そして、吸盤で吸い付き、ぬめぬめとした漿液を出し、服を溶かして。
「グヘヘェ!! 水着だから、すぐに肌に触れる………この粘液最高だぜッ――――!!」
「ゔっ、っめて……はな、して……んっ……………」
その触手は女子の体を堪能するように、なめるように動いていた。
はっきり言おう――――気持ちが悪い。
ケヴィンと同レベできっしょい。
もし、ここに警察がいるのなら、現行犯逮捕、もしくは捕まった女子の彼氏に無残にも殺されるか。逮捕されたのなら、極刑か。
「そもそもなんでこんなのがいるわけ……………」
なぜこのデスゲームに、刑務所直行のHENTAI OCTOPUSが存在しているのか……………? もしや、ケヴィンたちに魔法を使わせた犯人の仕業?
第1ラウンドのゾンビのような、変態オクトパス出現イベントなどこの会場には用意していない。あり得ない光景だ。だが、1つ思い当たるのは私がナアマちゃんに頼んだ、あの設定。
『会場にはバーや売店がございますが、その中に魔法薬を販売しております』
第2ラウンドの前にされたナアマちゃんのその説明。第1ラウンドとは雰囲気を変えたい――そう思い、出した私の提案だった。ランダム配置の魔法薬は効果もランダム。瓶を手に取り説明を読むまで、分からない仕様になっている。
……………まぁ、もし? もし、『巨大タコになれる』そんな魔法薬を変態男がどこかで見つけて? 迷いなく飲んじゃって? タコになっちゃった、とか?
……………一番ありえそうな話ではある。
言語を扱えるタコが目の前に存在する以上、それ以外に思いつかない。でも、学園にこんな変態的な発言をするやつなんていたかしら?
「うーん……ハンナや双子以外は貴族だったわよね? 学園生徒に変態人間はいなかったわよね………?」
むっつりみたいな人は大勢いたけど、変態素質がありそうな子はいなかった。まぁでも、貴族も裏では変態な人がいるし、ケヴィンみたいに化ける人もいるし、本性を現したと考えた方がいいか。
『魔法薬の種類はナアマちゃんが決めっちゃってくれる?』
『はい、お任せくださいませ』
とデスゲーム設定時、ナアマちゃんとそんな話をしたのを思い出す。
つまり魔法薬の効果を選んだのはナアマちゃんで、この巨大タコに変身させる、そんな魔法薬を作ったのもナアマちゃんで………。
「………………………」
…………………いやいや、人間をタコにしちゃう魔法薬って面白いけど、ナアマちゃん何を考えてるのよ。女子がなったらヴィジュアルの悪さに絶望して泣くだろうし、男子にならエロスを求めに行くに決まってるのに。
「主催者様じゃねぇかァ!!」
存在がセクハラレベルの変態タコはようやく私の存在に気づいたのか、巨大な瞳をギラリと怪しく光らせる。
「あんたの体も俺の触手で遊んでやるよォ!!」
そして、触手を私の体へくねくねさせながら伸ばす。
ハッ、ふざけないで。
私に触れていいのはあの方ただ1人だけよ――――。
私は鞘に備えていた日本刀を抜刀――――迫りくる触手を一刀両断。
「ッツ――――!!」
その断片から噴き出るタコの青い血。
「何すんだよォッ――――!!」
その叫びとともに、私は全身に青色血の雨を浴びる。
「へぇ………タコの血って青かったのね」
だが、血を浴びたところでただ濡れるだけ。水着を着ているし、オールOK。
――――――――と思っていた。
「―――――は?」
つい漏れる困惑の声。血がついた胸元の黒の水着不思議なことにそれが溶けていた。水着だけじゃない、装飾品も消えていた。
あの方がくださった私の大切なネックレスも全部、全部………。
粘液だけが服を溶かすと思っていた。
だけど、それは違っていた。
彼の全ての液が服を溶かす――――。
「このクソタコがッ――――!!」
大事なものを消した、その元凶に絶叫する。
「もうそれつけてる意味ないでしょ?」と言われかねない、かろうじて大事なところは隠している布切れ。全裸と言ってもいいような状態だった。だけど、そんなことは気にしていられなかった。叫ばずにはいられなかった。
その瞬間、冷たい風が私の銀髪を揺らす。
妖艶な光を放ち日本刀を両手で握りしめ、構える。
「殺して、タコ焼きにしてやるッ――――!!」
タコ焼き宣言をし、ほぼ素っ裸の私は触手暴れ放題やりたい放題の巨大タコに向かって走り出した。
――――――
第27話は明日10時頃更新いたします。時間変更しておりますので、ご注意ください。また、明日は2話更新します。よろしくお願いいたします。
カフカ戦の途中で聞いたそのきっしょい声。
小学生を襲う中年男性のような、1文字聞いただけで反吐が出てしまうほどの気持ち悪さを持つ悪声。
「グヘへェ~~、最高だなァ、こりゃァ」
双子を倒し次の会場へ移動しようと、鏡に飛び込んだ瞬間、聞こえてきた。
私が移動した先は屋上プール。スタート地点となっていた場所。
………なによ、これ。
「女子の体、触り放題じゃねぇかァ~~」
豊富な種類のプールがあるそこに、巨大タコがいた。見るのは2度目、しかし思わず自分の目を疑い、何度か瞬きするが景色は変わらない。眼前で起きていることは現実だと受けいれるのに数秒かかった。
私は近くにあったバーの物陰に隠れ、そのタコを観察する。
自分の身長よりも高いその怪物は、プールエリアで好き放題暴れていた。何本もの触手をうねうねと動かし、近くにいた女子たちを掴んでいく。人間の形をした化け物には何人か会ってきたが、それは正真正銘の化物。
こいつ……設定バグか何かで生み出されたNPC、モンスターなのかしら?
「グヘ、エヘへェッ~~!!」
いや、違う。
人間に分かる言葉で、笑っている。
感情が存在する。
「女の子ッ――――!! 最高ッ――――!! FO――――!!」
それもきっしょい感情だ。彼――声が男性的なので、おそらく男――は、多数ある手をくねくねと動かし。
「こ、こっちに来ないでっ!!」
「やぁ~だねぇ~」
「い、いやっ――――」
偶然鏡から出てきた女子の体に巻き付く。そして、吸盤で吸い付き、ぬめぬめとした漿液を出し、服を溶かして。
「グヘヘェ!! 水着だから、すぐに肌に触れる………この粘液最高だぜッ――――!!」
「ゔっ、っめて……はな、して……んっ……………」
その触手は女子の体を堪能するように、なめるように動いていた。
はっきり言おう――――気持ちが悪い。
ケヴィンと同レベできっしょい。
もし、ここに警察がいるのなら、現行犯逮捕、もしくは捕まった女子の彼氏に無残にも殺されるか。逮捕されたのなら、極刑か。
「そもそもなんでこんなのがいるわけ……………」
なぜこのデスゲームに、刑務所直行のHENTAI OCTOPUSが存在しているのか……………? もしや、ケヴィンたちに魔法を使わせた犯人の仕業?
第1ラウンドのゾンビのような、変態オクトパス出現イベントなどこの会場には用意していない。あり得ない光景だ。だが、1つ思い当たるのは私がナアマちゃんに頼んだ、あの設定。
『会場にはバーや売店がございますが、その中に魔法薬を販売しております』
第2ラウンドの前にされたナアマちゃんのその説明。第1ラウンドとは雰囲気を変えたい――そう思い、出した私の提案だった。ランダム配置の魔法薬は効果もランダム。瓶を手に取り説明を読むまで、分からない仕様になっている。
……………まぁ、もし? もし、『巨大タコになれる』そんな魔法薬を変態男がどこかで見つけて? 迷いなく飲んじゃって? タコになっちゃった、とか?
……………一番ありえそうな話ではある。
言語を扱えるタコが目の前に存在する以上、それ以外に思いつかない。でも、学園にこんな変態的な発言をするやつなんていたかしら?
「うーん……ハンナや双子以外は貴族だったわよね? 学園生徒に変態人間はいなかったわよね………?」
むっつりみたいな人は大勢いたけど、変態素質がありそうな子はいなかった。まぁでも、貴族も裏では変態な人がいるし、ケヴィンみたいに化ける人もいるし、本性を現したと考えた方がいいか。
『魔法薬の種類はナアマちゃんが決めっちゃってくれる?』
『はい、お任せくださいませ』
とデスゲーム設定時、ナアマちゃんとそんな話をしたのを思い出す。
つまり魔法薬の効果を選んだのはナアマちゃんで、この巨大タコに変身させる、そんな魔法薬を作ったのもナアマちゃんで………。
「………………………」
…………………いやいや、人間をタコにしちゃう魔法薬って面白いけど、ナアマちゃん何を考えてるのよ。女子がなったらヴィジュアルの悪さに絶望して泣くだろうし、男子にならエロスを求めに行くに決まってるのに。
「主催者様じゃねぇかァ!!」
存在がセクハラレベルの変態タコはようやく私の存在に気づいたのか、巨大な瞳をギラリと怪しく光らせる。
「あんたの体も俺の触手で遊んでやるよォ!!」
そして、触手を私の体へくねくねさせながら伸ばす。
ハッ、ふざけないで。
私に触れていいのはあの方ただ1人だけよ――――。
私は鞘に備えていた日本刀を抜刀――――迫りくる触手を一刀両断。
「ッツ――――!!」
その断片から噴き出るタコの青い血。
「何すんだよォッ――――!!」
その叫びとともに、私は全身に青色血の雨を浴びる。
「へぇ………タコの血って青かったのね」
だが、血を浴びたところでただ濡れるだけ。水着を着ているし、オールOK。
――――――――と思っていた。
「―――――は?」
つい漏れる困惑の声。血がついた胸元の黒の水着不思議なことにそれが溶けていた。水着だけじゃない、装飾品も消えていた。
あの方がくださった私の大切なネックレスも全部、全部………。
粘液だけが服を溶かすと思っていた。
だけど、それは違っていた。
彼の全ての液が服を溶かす――――。
「このクソタコがッ――――!!」
大事なものを消した、その元凶に絶叫する。
「もうそれつけてる意味ないでしょ?」と言われかねない、かろうじて大事なところは隠している布切れ。全裸と言ってもいいような状態だった。だけど、そんなことは気にしていられなかった。叫ばずにはいられなかった。
その瞬間、冷たい風が私の銀髪を揺らす。
妖艶な光を放ち日本刀を両手で握りしめ、構える。
「殺して、タコ焼きにしてやるッ――――!!」
タコ焼き宣言をし、ほぼ素っ裸の私は触手暴れ放題やりたい放題の巨大タコに向かって走り出した。
――――――
第27話は明日10時頃更新いたします。時間変更しておりますので、ご注意ください。また、明日は2話更新します。よろしくお願いいたします。
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