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第1章
第6話 再会と意思
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「お前ら、何してんだよ。そんなところで寝転がって」
俺は雑魚のドラゴンを倒すと、久しぶりに再会したクラスメイトの方に向いた。
やつらは苦しそうにへばっていた。ダラダラ寝転がってないで、さっさと立てばいいのに。
それにしても、なんでこんなところにいるんだ?
俺がそれを聞く前に、メミに先に尋ねられた。
「お兄様………なんでこんなところにいるんですか」
「それは俺にもよく分からん。そっちこそ、なんでこんなところにいるんだよ」
「それはその………」
メミは目を逸らし、やつの方に目を向ける。ハンスはキッと俺を睨みながらも、答えてくれた。
「………俺が誘ったんだ。でも、こうなることは知らなかった」
「ここはLv.8000向けだぞ。お前らまだLv.50も言ってないのに、無理に決まってるじゃないか」
「そういうお前こそ、レベルは小等部レベルじゃねーか。なに普通に立っているんだよ」
「いや、俺今Lv.9000ぐらい」
「は?」「へ?」
メミ、ハンスはすっとぼけた顔をしていた。他の人たちも目を見開いている。
「そりゃあ、そうだろ? ここに来るにはLv.8000を越えてないと来れないんだから」
「そういう問題じゃあありません。人間の最高レベルは『フォーセブン』の異名で知られるオッカム様のLv.7777なんですよ? それをお兄様は軽々と超えて………」
「普通Lv.8000になる前に寿命が来るんだぞ? お前、一体どうやってそんなにレベルを上げたんだよ………」
なんでレベルがあったか、それは俺も知りたい。ここに来た時点でLv.8000はあったからな。
すると、俺が暴れる音が聞こえなくなり、心配してか、リコリスがこちらに走ってやってきた。
「そんなところで突っ立ってどうしたの? ………ん? 人間? 誰、この人たち。ネルの知り合い?」
リコリスは、目を細め、メミたちを見る。そして、ニヤリと笑った。
「ハハ―ン。さてはこの人たち、ネルをいじめていたやつらね」
なんでそんなに感が鋭いんだよ。ビンゴだけどさ。
リコリスは、スキップをして、メミの方へ近づいてく。そして、しゃがみ込んだ。
「聞いてはいたけど、あんたたち醜い顔をしてんのね………これが人間のエリートかぁ」
リコリスは、フフフと楽しそうにメミの頬をつつく。メミは不愉快そうにリコリスを睨んでいた。
こうしてみてると、リコリスはやっぱり悪魔なんだよな。やっていることは、小学生みたいだけどさ。
「リコリス、やめろ。嫌がってんだろ」
俺は、リコリスをメミたちから離し、コホンと咳払いをする。
「と、ともかく、お前らはとっとと帰れよ。そこで寝転がっていても仕方ないだろ? またドラゴンに襲われたいのか」
「………この状態でどうやって帰れというのですか。私たち、動けないんですよ?」
メミは、リコリスにいじられて不機嫌になったのか、低い声で訴えた。
来るなら、帰る手段ぐらい考えてから来いよ………ったく。
心中、メミたちに文句を言いながら、俺は答える。
「仕方ないなぁ………俺が帰してやるよ」
俺は杖を構え、意識を集中させる。
まだ試したことはなかったけど、イメトレはかなりしたし、きっと大丈夫だろう。
メミたちには、俺の魔法の実験体になってもらうぜっ!
「オラクルテレポート!」
意気揚々に唱えると、メミたちがいる地面に巨大な魔法陣が生まれる。
魔法陣は緑の光を放ち、そして、彼らを包み込んでいった。光が収まった頃には、メミたちの姿は消えていた。
リコリスは残念そうに、その地面を見つめる。
「あーあ。せっかくあの人間をいじろうと思ってたのに。そのまま表世界に返すなんて………私のおもちゃが、私の暇つぶしが………」
最後の言葉、聞き捨てならないんだが。
俺は、リコリスがやっぱり自分のこともおもちゃと思っているんじゃないか、と心配になる。
すると、リコリスは、何かをひらめいたかのようにパンと手を叩いた。
「私、表世界に行ってみたい!」
「これまたなんで………」
悪魔のお前があっちに言っても、敵視されるだけだぞ。やなことしかないぞ。
「生まれてから、ずっとあっちの世界に行ったことのないのよ。………あっちには面白そうなものいっぱいありそうだし、つれて行ってくんない?」
「いいぞ………ただし俺1人でな」
「それはNoって意味じゃないの」
リコリスは、むぅっとして俺を睨む。
人間をおもちゃにしたがっているお前を連れていくと、嫌な予感しかしないんだよ。
すると、リコリスは、両手を合わせ、お願いと言わんばかりのかわいらしい顔をし始めた。
「ネルに迷惑かけるようなことはしないから! 絶対にしないから! だから、お願いよ! 連れていってちょうだい! ………人間には迷惑かけるかもだけど、絶対にネルだけには迷惑かけないから!」
「俺にも人間にも迷惑かけるな」
まぁ、コイツ悪魔だから人間に嫌がらせしたくなることも分かるけどさ。
………。
いや、何言ってんだ、俺。
分かんない、分かんない。悪魔の考えなんて、分かんないよ?
俺は、ブンブンと横に顔を振り、話を戻す。
とりあえず行くにしても、リコリスに問題を起こされると、表世界での俺の立場がなくなりそうな予感がする。だから、どうか何もしないでくれ。
そう言うと、リコリスは、「分かった」と呟き、言った。
「だからー、何もしないからー、連れていってよー」
「分かった、分かった」
まぁ、裏世界でのストレス発散は十分したし、そろそろあっちに戻ってもいいかもなぁ。
俺は、ふと、向こうでの生活を思い出す。1年前の俺は、ゼルコバ学園の落ちこぼれ生徒。
今の俺には、もう一度学園の生徒に戻りたい意思があった。
レベルも十分あるし、ゼルコバ学園にも難なく通えるはず。
きっと再入試はしないといけないだろうけど。
俺は、青い空を思い出しながら、赤い空を見上げた。
俺は雑魚のドラゴンを倒すと、久しぶりに再会したクラスメイトの方に向いた。
やつらは苦しそうにへばっていた。ダラダラ寝転がってないで、さっさと立てばいいのに。
それにしても、なんでこんなところにいるんだ?
俺がそれを聞く前に、メミに先に尋ねられた。
「お兄様………なんでこんなところにいるんですか」
「それは俺にもよく分からん。そっちこそ、なんでこんなところにいるんだよ」
「それはその………」
メミは目を逸らし、やつの方に目を向ける。ハンスはキッと俺を睨みながらも、答えてくれた。
「………俺が誘ったんだ。でも、こうなることは知らなかった」
「ここはLv.8000向けだぞ。お前らまだLv.50も言ってないのに、無理に決まってるじゃないか」
「そういうお前こそ、レベルは小等部レベルじゃねーか。なに普通に立っているんだよ」
「いや、俺今Lv.9000ぐらい」
「は?」「へ?」
メミ、ハンスはすっとぼけた顔をしていた。他の人たちも目を見開いている。
「そりゃあ、そうだろ? ここに来るにはLv.8000を越えてないと来れないんだから」
「そういう問題じゃあありません。人間の最高レベルは『フォーセブン』の異名で知られるオッカム様のLv.7777なんですよ? それをお兄様は軽々と超えて………」
「普通Lv.8000になる前に寿命が来るんだぞ? お前、一体どうやってそんなにレベルを上げたんだよ………」
なんでレベルがあったか、それは俺も知りたい。ここに来た時点でLv.8000はあったからな。
すると、俺が暴れる音が聞こえなくなり、心配してか、リコリスがこちらに走ってやってきた。
「そんなところで突っ立ってどうしたの? ………ん? 人間? 誰、この人たち。ネルの知り合い?」
リコリスは、目を細め、メミたちを見る。そして、ニヤリと笑った。
「ハハ―ン。さてはこの人たち、ネルをいじめていたやつらね」
なんでそんなに感が鋭いんだよ。ビンゴだけどさ。
リコリスは、スキップをして、メミの方へ近づいてく。そして、しゃがみ込んだ。
「聞いてはいたけど、あんたたち醜い顔をしてんのね………これが人間のエリートかぁ」
リコリスは、フフフと楽しそうにメミの頬をつつく。メミは不愉快そうにリコリスを睨んでいた。
こうしてみてると、リコリスはやっぱり悪魔なんだよな。やっていることは、小学生みたいだけどさ。
「リコリス、やめろ。嫌がってんだろ」
俺は、リコリスをメミたちから離し、コホンと咳払いをする。
「と、ともかく、お前らはとっとと帰れよ。そこで寝転がっていても仕方ないだろ? またドラゴンに襲われたいのか」
「………この状態でどうやって帰れというのですか。私たち、動けないんですよ?」
メミは、リコリスにいじられて不機嫌になったのか、低い声で訴えた。
来るなら、帰る手段ぐらい考えてから来いよ………ったく。
心中、メミたちに文句を言いながら、俺は答える。
「仕方ないなぁ………俺が帰してやるよ」
俺は杖を構え、意識を集中させる。
まだ試したことはなかったけど、イメトレはかなりしたし、きっと大丈夫だろう。
メミたちには、俺の魔法の実験体になってもらうぜっ!
「オラクルテレポート!」
意気揚々に唱えると、メミたちがいる地面に巨大な魔法陣が生まれる。
魔法陣は緑の光を放ち、そして、彼らを包み込んでいった。光が収まった頃には、メミたちの姿は消えていた。
リコリスは残念そうに、その地面を見つめる。
「あーあ。せっかくあの人間をいじろうと思ってたのに。そのまま表世界に返すなんて………私のおもちゃが、私の暇つぶしが………」
最後の言葉、聞き捨てならないんだが。
俺は、リコリスがやっぱり自分のこともおもちゃと思っているんじゃないか、と心配になる。
すると、リコリスは、何かをひらめいたかのようにパンと手を叩いた。
「私、表世界に行ってみたい!」
「これまたなんで………」
悪魔のお前があっちに言っても、敵視されるだけだぞ。やなことしかないぞ。
「生まれてから、ずっとあっちの世界に行ったことのないのよ。………あっちには面白そうなものいっぱいありそうだし、つれて行ってくんない?」
「いいぞ………ただし俺1人でな」
「それはNoって意味じゃないの」
リコリスは、むぅっとして俺を睨む。
人間をおもちゃにしたがっているお前を連れていくと、嫌な予感しかしないんだよ。
すると、リコリスは、両手を合わせ、お願いと言わんばかりのかわいらしい顔をし始めた。
「ネルに迷惑かけるようなことはしないから! 絶対にしないから! だから、お願いよ! 連れていってちょうだい! ………人間には迷惑かけるかもだけど、絶対にネルだけには迷惑かけないから!」
「俺にも人間にも迷惑かけるな」
まぁ、コイツ悪魔だから人間に嫌がらせしたくなることも分かるけどさ。
………。
いや、何言ってんだ、俺。
分かんない、分かんない。悪魔の考えなんて、分かんないよ?
俺は、ブンブンと横に顔を振り、話を戻す。
とりあえず行くにしても、リコリスに問題を起こされると、表世界での俺の立場がなくなりそうな予感がする。だから、どうか何もしないでくれ。
そう言うと、リコリスは、「分かった」と呟き、言った。
「だからー、何もしないからー、連れていってよー」
「分かった、分かった」
まぁ、裏世界でのストレス発散は十分したし、そろそろあっちに戻ってもいいかもなぁ。
俺は、ふと、向こうでの生活を思い出す。1年前の俺は、ゼルコバ学園の落ちこぼれ生徒。
今の俺には、もう一度学園の生徒に戻りたい意思があった。
レベルも十分あるし、ゼルコバ学園にも難なく通えるはず。
きっと再入試はしないといけないだろうけど。
俺は、青い空を思い出しながら、赤い空を見上げた。
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