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第1章
第2話 裏世界
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「う゛うぅ………」
重い瞼をゆっくり開ける。目の前に広がっていたのは、見たことのない世界。空気は悪く、空は赤い。
ここはどこだ………?
地面で寝ていた俺は、立ち上がり、辺りを見渡す。
ムッとした風が正面から吹き、不気味な森の木を揺らしていた。先ほどまで寝転んでいた地面を見ると、赤い土があった。
ここはほとんどのものが赤い………奇妙なところだな。
俺は意識を失う前のことを思い出す。
フードを被った怪しさ満載の女の人から、布をグルグル巻きにされた何かをもらって………。
布を取り払うと、緑色の宝石で………それを直で手に持った瞬間、脳内で何かが割れる音がして………。
そして、気絶………。
いや、全然わかんね。なんでこうなったのか、全然わかんね。
俺は不気味な森をもう一度見渡す。
よく見たら、言い伝えられているあの世界と同じようなところ。
俺はある言葉を口にする。
「ここは………裏世界?」
裏世界————それは幻のような世界。空は赤く、酸素が少ない空気は汚い。重力が1.3倍もあり、生物がギリ生きていける世界だと言われている。
そんな裏世界に行った勇者が何人かいたんだっけ? 確か、結局行ったきり帰ってこなかったという話だったような。
「まぁ、裏世界に来ても、弱い俺には用がない。平和な世界に帰るとしますか………」
くるりと振り返ると、いたのは赤い瞳の狼。黒いオーラを放ち、俺を睨んでいた。
あ、あれは魔物?
狼はガルルと唸って、警戒している。
………死にたくねえ、知らないところで魔物にやられて死にたくねぇ。
俺は腰にしまっていた杖を取り出し、構える。
しょぼい魔法しかできないけど……やるしかない。
相手はあのオーラから闇属性。こちらは光魔法で対抗するしかない。
狼がこちらに走り出した瞬間、俺は小さな光玉を放った。
「これでもくらえっ!」
逃げれる瞬間を作れればいい。それだけでいい。
光玉が狼に命中。土煙がたち、狼の姿が見えなくなる。
今のうちに………。
俺が走り出した瞬間、土煙が消えていき、敵の姿が見えた。
「あれ?」
ちらりと見ると、狼は横たわっていた。狼の瞳はグルグルと渦を巻いている。
もしかして、俺、魔物倒しちゃった?
「この俺が? ハッ………まさか。自分で言うのもなんだけど、学園一の落ちこぼれだぞ。ペーパーテストでなんとか高等部に進学できた俺だぞ?」
自分で言うのも悲しくなってくる。しかし、それが事実だった。
「ま、まぁ………まぐれっていう可能性もあるわけで………」
俺はさっきの世界に戻る手段を探すため、恐る恐る森の中を歩く。
すると、また、先ほどと同じ狼にあった。
さっきのやつがまぐれの可能性がある。光玉を当てたら、逃げよう。
おりゃと言わんばかりに光玉を食らわせる。
同じように狼はすぐ倒してしまった。しかも、1発だけで。
「ま、まぐれじゃない………?」
杖を握る自分の手を見つめる。右手には手汗を感じた。
俺………魔物相手に魔法を使えてる? しょぼい魔法なんかじゃなくて?
この時、人生初1人で魔物が倒せた瞬間だった。
重い瞼をゆっくり開ける。目の前に広がっていたのは、見たことのない世界。空気は悪く、空は赤い。
ここはどこだ………?
地面で寝ていた俺は、立ち上がり、辺りを見渡す。
ムッとした風が正面から吹き、不気味な森の木を揺らしていた。先ほどまで寝転んでいた地面を見ると、赤い土があった。
ここはほとんどのものが赤い………奇妙なところだな。
俺は意識を失う前のことを思い出す。
フードを被った怪しさ満載の女の人から、布をグルグル巻きにされた何かをもらって………。
布を取り払うと、緑色の宝石で………それを直で手に持った瞬間、脳内で何かが割れる音がして………。
そして、気絶………。
いや、全然わかんね。なんでこうなったのか、全然わかんね。
俺は不気味な森をもう一度見渡す。
よく見たら、言い伝えられているあの世界と同じようなところ。
俺はある言葉を口にする。
「ここは………裏世界?」
裏世界————それは幻のような世界。空は赤く、酸素が少ない空気は汚い。重力が1.3倍もあり、生物がギリ生きていける世界だと言われている。
そんな裏世界に行った勇者が何人かいたんだっけ? 確か、結局行ったきり帰ってこなかったという話だったような。
「まぁ、裏世界に来ても、弱い俺には用がない。平和な世界に帰るとしますか………」
くるりと振り返ると、いたのは赤い瞳の狼。黒いオーラを放ち、俺を睨んでいた。
あ、あれは魔物?
狼はガルルと唸って、警戒している。
………死にたくねえ、知らないところで魔物にやられて死にたくねぇ。
俺は腰にしまっていた杖を取り出し、構える。
しょぼい魔法しかできないけど……やるしかない。
相手はあのオーラから闇属性。こちらは光魔法で対抗するしかない。
狼がこちらに走り出した瞬間、俺は小さな光玉を放った。
「これでもくらえっ!」
逃げれる瞬間を作れればいい。それだけでいい。
光玉が狼に命中。土煙がたち、狼の姿が見えなくなる。
今のうちに………。
俺が走り出した瞬間、土煙が消えていき、敵の姿が見えた。
「あれ?」
ちらりと見ると、狼は横たわっていた。狼の瞳はグルグルと渦を巻いている。
もしかして、俺、魔物倒しちゃった?
「この俺が? ハッ………まさか。自分で言うのもなんだけど、学園一の落ちこぼれだぞ。ペーパーテストでなんとか高等部に進学できた俺だぞ?」
自分で言うのも悲しくなってくる。しかし、それが事実だった。
「ま、まぁ………まぐれっていう可能性もあるわけで………」
俺はさっきの世界に戻る手段を探すため、恐る恐る森の中を歩く。
すると、また、先ほどと同じ狼にあった。
さっきのやつがまぐれの可能性がある。光玉を当てたら、逃げよう。
おりゃと言わんばかりに光玉を食らわせる。
同じように狼はすぐ倒してしまった。しかも、1発だけで。
「ま、まぐれじゃない………?」
杖を握る自分の手を見つめる。右手には手汗を感じた。
俺………魔物相手に魔法を使えてる? しょぼい魔法なんかじゃなくて?
この時、人生初1人で魔物が倒せた瞬間だった。
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