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第3章 学園編
82 ?視点:全ては婚約破棄のために ⑨
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アースがルーシーの部屋に行って数日後。
僕らは学園内のサロンにいた。
「じゃあ、準備しましょうか」
「はい」
ここ数日間の僕は計画通りサロンでルーシーとお茶をよくしていた。
魔法理論の話をしたり、小説の話をしたり。
これといって女子っぽい話はしていないけど、すごく楽しかった。
その楽しいおしゃべりの前には、お茶やお菓子の準備。
なので、始めは僕だけで準備をしていたんだけど、申し訳なく思ったのか、ルーシーも準備をするようになっていた。
今では2人で準備している。
そして、今日はルーシーがお菓子を用意してくれていた。
「美味しそうですね。ルーシー様、ケーキ本当にありがとうございます」
彼女が冷蔵庫から出したケーキはとても輝かしい。
ルーシーが買ってくるものだ。きっとお高級なのだろう。
「気にしないで。ずっとステラさんに作ってもらうばかりだったから、そのお礼よ」
と、天使のような笑みを浮かべるルーシー。
ああ、今の僕は世界一幸せ者かもしれない。
推しが買ってきたケーキを食べれるのだから。
推しが買ってきたケーキを食べれるのって僕ぐらいじゃない?
そうして、準備ができたら、サロンへ移動。
今日は2人だが、他の人も参加することがある。
特に来ることが多いのは攻略対象者の4人だろうか。
ことあるごとに、僕らのお茶会の邪魔をしてきた。
あとは、ごくたまに、ゾーイ先輩やハイパティア会長も参加することがあったかな。
え? アース?
…………ああ、あいつはもちろん来させなかった。
一度だけルーシーがアースを誘ったことがあったが、アースには断るよう指示。
一応僕とアースのつながりは知られない方がいいだろうからね。
もちろん、ライアンも一度も誘ったことはない。
変な空気になるだろうし、あいつ邪魔だし。
ルーシーには誘ったとは嘘をついちゃったけど。
いない方がルーシーも気楽だろうしね。
今日は他の攻略対象者には来させないように、生徒会の仕事を増やして。
かつ、僕の方は抜け出せない用事があることにしておいた。
だから、今は僕とルーシーの2人きり。
そして、ルーシーとサロンに来るまで、自分が使ういつものティーカップに毒を塗っておいた。
塗る毒を禍々しい色でいいのかと思っていたが、塗った途端透明に。
さすが、アース。
こういうところは抜かりないような。
僕は準備中に毒塗りティーカップがルーシーの所にいかないように、配置。
そして、紅茶を注いでいく。
今日の紅茶はアップルティー。
これはケーキ同様ルーシーが用意してくれたものだ。
ほんのりと薫ってくるリンゴの甘い香り。
きっとお高級なものだろう。
ちょっと毒と一緒に飲むのが惜しい。
静かにお茶を入れていると、ルーシーがこちらをじっと見ていることに気づいた。
「ステラさんって、お茶を入れるのはとても上手よね」
「そうですか?」
「うん。所作も丁寧。美しいと思う」
「ありがとうございます」
そうして、一通り準備が終わると、僕らは席につき。
「じゃあ、さっそくいただきましょうか?」
「はい」
ルーシーはティーカップを手に取り、紅茶を飲む。
そして、彼女は幸せそうな笑みを浮かべた。
「ルーシー様、凄く嬉しそうですね」
「え、そう?」
「はい」
本当に喜んでもらえてよかった。
アースたちで練習したかいがある。
「ステラさんも遠慮せずに、どうぞ」
「じゃあ、失礼します」
ルーシーに促され、僕はティーカップを手に取る。
だが、その瞬間、ざっと不安がよぎった。
…………今更、何を怖がっているのだろう?
毒を飲むのも計画のうちだ。
あれほどアースには『僕が解毒できる毒を作れ』と言ったじゃないか。
あいつは変人だけど、人の命がかかればちゃんとする。
あの毒は弱い毒だ。
だから、魔法でなんとか対処できる。
大丈夫。死にはしない。
覚悟を決めて、僕はティーカップを取り、お茶を飲む。
最初ななんともなかった。ちょっと痺れる程度。
――――だが。
「っ!!」
ガシャンという音がサロンに響く。
ティーカップが床に落ち、盛大に割れる。
く、苦しい。
「え? ステラさん?」
首を両手で押さえる。
そして、僕は即座に光魔法を自身にかけた。
しかし、回復はしない。
――――なんで?
なんで回復しないんだ?
苦しい、苦しい、苦しい。
何度も魔法をかけたが、一向に苦しみは消えない。
ふざけんな!
アース!?
お前、弱い毒を作ったんじゃなかったのかよっ!?
「ステラさん? え、ステラさん!?」
ルーシーが心配する声が聞こえるが、それどころじゃない。
息ができない。
姿勢が保てず椅子から落ち、床に転がる。
「誰か! すぐにヒーラーの方を呼んできて! そこのあなた、ヒーラーを今すぐ呼んでもらえますか!」
「は、はい!」
ルーシーの指示を出す声が聞こえる。
彼女は僕のところに駆け寄ってきているようだ。
体をくねくねと動く。
痙攣しているのは明白だった。
「ステラさんっ?!」
死ぬわけにはいかない。
計画が全部頓挫する。
生きないと!
僕は痙攣しながらも、光魔法を何度もかける。
でも、呼吸はまともにできない。苦しいまま。
「った、うけ、ぅを……だぇ、か」
「呼びました。すぐに来ます!」
ルーシーはそう言ってくれたが、視界がちらついて、よく見えない。
苦しい。
肺の奥が痛い。痛い。痛い。
――――でも、死ねない。生きないと。
その瞬間、手がぎゅっと掴まれる。
見ると、ルーシーが僕の手を握っていた。
「るっ……しさま…………」
彼女の手から、こちらに温かいものが流れてくる。
ルーシーが魔法を使おうとしてる、のか?
まさか聖女の魔法を…………?
しかし、何も起こらない。苦しいのは消えない。
そのうち、どたどたと足音が聞こえてきた。
「どいてください! 解毒魔法をかけます!」
そこで僕の意識は途切れた。
★☽★☽★☽★☽
「アース!」
入院していた僕は帰るなり、彼の元へと向かった。
目が覚めた時、ライアンがいたためか、彼は病院には来ていなかった。
だから、退院してすぐにここに来たんだけど。
アースは変わらず宝石いじりをしていた。
「お前、なんてものを作ってんだよ!」
「えー?」
「『えー?』じゃない! 僕を殺す気か!」
ヒーラーが間に合わなかったら、僕は確実に死んでいた。
「あれほど『僕が解毒できる毒にしろ!』って言ったじゃないか!」
「あれー? おかしいなー。あのぐらいなら君ならなんだって解毒できると思ったんだけどー」
「ふざけんな! あんなもの初見で解毒できるか!」
「ごめんーごめんー」
しかし、アースは軽く謝るだけ。
こっちはあやうく死にかけたというのに。
全くこの男は…………。
結局、僕はアースからの本気の謝罪を諦め、椅子に座る。
「それで、どうなんだ? みんなの反応は?」
「そうだねー。リアムの話によるとー、生徒のほとんどがルーシーのせいで君が倒れたと思っているみたいだねー」
作戦通り、か。
「順調だな」
「まぁねー」
「…………」
「…………なんだーい? その目はー」
「いや、その子たちは誰なんだろうと思ってな」
アースの机。
そこには無数の魔法石が置かれていた。
それはいつも通りだからいい。
だが、魔法石以外のものがあった。
ものと表現するのは失礼か。
人間……いや、人間じゃないだろうから彼らを人間というのもな。
そう。
机の上にいたのはなんと手のひらサイズの小さな少年少女。
彼女たちの背中には小さな羽が生えていた。
彼はあれだな……妖精だな。
「あーすぅ、この子めっちゃ睨んできますのぉ。せっかくの美人が台無しですわぁ」
なんだよ、この妖精。
随分と好き勝手言うな。
「……なんで妖精を呼び出してんだ」
「妖精じゃないですわ。私たちは精霊ですの」
「そうだぞ! 妖精どもと一緒にするな!」
そううるさく訴えてくる妖精――いや精霊たち。
そういや、アースは精霊使いでもあったっけ。
「妖精界のことを知りたくってさー。ほら、ルーシーが飼っている犬が妖精界の王子様のことだよー」
「なるほど……でも、その子たちは精霊だけど?」
「そうですが、私どもも妖精族とのつながりはありまして」
と他の精霊とは違い、そう丁寧な口調で話してきたのは1人の白髪精霊。
彼女は可愛らしくちょこんとアースの方に座っていた。
「妖精族のみなさんは私たち精霊に対し、丁寧な対応をしてくださいます」
「そこらへんにいる妖精どもとは違うってわけさ」
「ストレートに言ってしまえばそうですね。族の里に行けば私たちを優しくもてなし、困りごとがあれば手を貸してくれる……そのような方々を無下に扱うなどできませんので、私どもも敬意をもって交流させていただいておりますわ」
「なるほど。だから、妖精族とつながりがあると」
「はい」
「それで、妖精族の王子は?」
「星の聖女様のお話通り、妖精族のグラスペディア族――アストレア王国の南部にいる妖精族ですね、そこの王子はかなり前から行方不明になっています。里では例の魔女が連れ去ったと言われておりますわ」
まぁ、それはゲーム通りだな。
「その王子が連れ去られていたのはいつ頃?」
「30年前でございます」
「え?」
30年前だって?
「どうしたのー? そんな素っ頓狂な声出してー」
「…………そこの精霊さん」
「ティタです」
「ティタさん、本当に30年前なの? 10年前とかじゃない?」
「はい。30年前に、ギルバート王子が行方不明になったと」
「……」
ゲームとは話が違う。
ゲームでは王子が拉致されるのは10年前くらいの話だ。
20年も早いじゃないか。
となると、ミュトスの中身はおっさんになるぞ。
精霊だから年を取るのは遅いだろうが……だとしても!
「まずいよ……あの犬の中身がおっさんとか……う゛ぅ……吐き気がしてきた」
「え? あのルーシーのわんちゃん、おっさんなのー? 君イケメンとか言ってなかったー?」
「本来ならな」
「なら、早くわんちゃんを奪わないとやばいんじゃーん。ルーシーがおじさんといちゃいちゃしていることになるよー」
「言葉にするなよ、また吐き気がするだろ……」
できる限り想像しないようにしていたのに。
「お前の言う通り、僕も奪いたいのはやまやまだが、あの女神がルーシーの近くにいる限り奪えない。日中に奪うわけにもいかないしな」
「なら、放置するとー?」
「ああ」
「うーん。なら、いっそのこと、王子の呪いを解くのはー?」
「それは無理だと思う。呪いの解き方も厳密に分かるわけじゃないからな」
「え? そうなのー? この前、君は解けるって話していなかったー?」
「ああ、そうなんだけどな。解けるといっても、一時的なんだよ。完全に解けるわけじゃないんだ」
ゲームでは確かに、ステラはミュトスを本来の姿に戻す。
しかし、それはほんの十数分だけ。
完全に解けるわけじゃない。
完全に解く方法もあるにはあるが……正直したくない。
「ふーんなら、ルーシーをアストレア王国に連れて来てからの方がいいねー。君としては、いちゃつかれるのは嫌だろうけど―」
「うぐっ……」
仕方ない。
ルーシーをアストレア王国に連れて行けば、ミュトスの対処はどうにでもできる。
あと少しの辛抱だ。
「そういや、君のところにライアン来てたでしょー? 彼とは何か話したのー?」
「ああ、ルーシーとお茶をしている時のことを聞かれた。めちゃくちゃ怒ってたな」
最近は僕に甘い言葉を言ってくるライアンだ。
自分の思い人を毒殺しようとしたルーシーに容赦はしないはず。
きっと婚約破棄をしてくれるに違いない。
すると、アースはフフフと笑いだす。
「もし君が弱い毒を飲んでいたら、こんなふうにならなかったと思うよー。婚約破棄するまでライアンは怒らなかっただろうしねー」
「……だから、わざと強い毒にしたのか」
しかし、アースは返事をするこなく、笑うだけ。
ライアンか、サロンにいた生徒なのかは知らないが、未来を見ていたのなら言ってほしかったんだが。
「あーあ。これから、ルーシーに冤罪をかけるのかぁー。僕、ちょっと心が痛くなっちゃったよー」
「なんだ、やめたいのか」
と、僕は冗談で聞いてみる。
しかし、アースは「まさかー」と首を横に振った。
「ここまで協力したのに、今更やめたいなんて思わないよー」
「ま、そうだよな」
「そうりゃそうだよー。今止めちゃうなんて、もったいないじゃーん」
もったいない?
その考えはよくわからんな。
僕が首をかしげていると、彼はニヤリと笑い。
「これから絶対面白いことが起きるのに」
と楽し気に話していた。
★☽★☽★☽★☽
数日後。
僕は計画通り、ライアンとともにルーシーに接触。
怒っているライアンはルーシーを問い詰めていた。
そんな彼に対し、攻略対象者の4人が反論。
その言い合っているところにアースが介入。
アースにほぼ強制的に、毒瓶の行方を探る方向へと導いてもらった。
そして、計画をぜーんぶ知っているのとアースが予知能力を持っていることをいいことに、即座にルーシーの部屋に置いた毒瓶を発見。
その後、食堂に移動して、ルーシーが街で買い物をしているところを目撃したジェイクとその友人に証言。
ルーシーが僕の毒殺計画を企んでいたことを証明した。
そして、流れるように、ライアンにパス、婚約破棄。
――――そこまでうまくいった。
問題は特になかった。
攻略対象者の4人が邪魔してこようとしたこともあったが、彼らはアースに任せたため、難なく婚約破棄ができた。
破棄後には本来のライアンルートであれば、彼がステラに「一緒になろう」とプロポーズしてくる。
でも、僕はその前にライアンに全部の気持ちを吐いて。
「このステラ・マクティアと結婚してください!」
彼女にプロポーズしていた。
その瞬間、ルーシーの瞳は大きく揺れる。
でも、なかなか返答してくれない。
なにかしゃべろうとするが、どこか迷いが見られた。
ま、そうだよね。
急に言われても無理だよね。
僕は立ち上がり、ルーシーの手を取る。
「ルーシー様、僕と一緒にアストレア王国に行きましょう」
「…………あなたと?」
「はい。あなたを幸せにしてみせます。ご安心ください。あちらでの生活の準備は整ってあります」
「そう、なんだ」
「はい。先ほどのプロポーズは保留にして、とりあえずアストレアに行きましょう」
そして、ルーシーの手を引いて、食堂を退場しようとした瞬間。
「ちょっと待ったー!!」
そんな声が聞こえ、彼は僕らの前に立ちはだかった。
僕はしぶしぶ足を止め、声の主を見る。
「……なに、カイル」
「ねぇ、これどういうこと? 君が……なぜルーシーにプロポーズを?」
「さっきも言っただろう? そこの王子にははなから興味がない。僕はルーシーだけに興味があるんだ。愛してるんだ」
「愛してる?」
「ああ、そうだ。だから、僕らの邪魔をしないで」
「そんなわけにもいきませんよ! 勝手に姉さんをアストレア王国に連れていくなんて!」
「そうです! あまりにも勝手すぎます! ……カイル、あの女狐絶対転生者です。絶対そうです!」
気づけば、カイルだけでなく、キーラン、リリー、エドガーもやってきた。
「やっぱり君たちも転生者だったか」
「…………そう言う君も転生者なのか?」
そう問うてきのはエドガー王子。彼は僕を訝し気に見ていた。
婚約破棄もできたし、あとはアストレア王国に連れていくだけだから、もう隠す必要はないだろう。
「ああ、そうだけど?」
僕が答えると、攻略対象者の4人は一瞬驚きを見せる。
そして、厄介そうな目をこちらに向けてきた。
この4人が転生者なのは予想通り。驚きはしない。
「え……ステラは転生者なの?」
そんな質問を投げてきたのは、手を繋いでいる彼女。
ルーシーは1人驚いているようだった。
急に転生者と聞けば当たり前の反応。
だが、目を見開く彼女はキョロキョロと見渡し。
「みんなも転生してるの……?」
そう呟いていた。
え?
みんなも…………ってことはルーシーも転生者なのか?
「ルーシーも転生者なの?」
「え? ええ……私は転生者よ」
……マジか。
予想外だな。まさか僕の推しが転生者だなんて。
ま、まぁ?
転生していようと、僕のルーシーであることには変わりないし、僕の気持ちも変わりはしないんだけど。
それにしても、転生者がこんな近くに、こんな人数がいるとは。
ルーシーに、この攻略対象者の4人、そして、僕……合計で6人の転生者か。
あの女神、転生者を作りすぎじゃないか? 6人て。
「アハハ!!」
その瞬間、笑い声がした。
食堂に響くほど大きな笑い声。
そこにいる全員の目が彼に集まっていた。
笑い方が似ているが、アースではない。
この声は…………。
「こんなことになるなんて! アハハ!」
ライアン王子は狂ったように笑っていた。
僕らは学園内のサロンにいた。
「じゃあ、準備しましょうか」
「はい」
ここ数日間の僕は計画通りサロンでルーシーとお茶をよくしていた。
魔法理論の話をしたり、小説の話をしたり。
これといって女子っぽい話はしていないけど、すごく楽しかった。
その楽しいおしゃべりの前には、お茶やお菓子の準備。
なので、始めは僕だけで準備をしていたんだけど、申し訳なく思ったのか、ルーシーも準備をするようになっていた。
今では2人で準備している。
そして、今日はルーシーがお菓子を用意してくれていた。
「美味しそうですね。ルーシー様、ケーキ本当にありがとうございます」
彼女が冷蔵庫から出したケーキはとても輝かしい。
ルーシーが買ってくるものだ。きっとお高級なのだろう。
「気にしないで。ずっとステラさんに作ってもらうばかりだったから、そのお礼よ」
と、天使のような笑みを浮かべるルーシー。
ああ、今の僕は世界一幸せ者かもしれない。
推しが買ってきたケーキを食べれるのだから。
推しが買ってきたケーキを食べれるのって僕ぐらいじゃない?
そうして、準備ができたら、サロンへ移動。
今日は2人だが、他の人も参加することがある。
特に来ることが多いのは攻略対象者の4人だろうか。
ことあるごとに、僕らのお茶会の邪魔をしてきた。
あとは、ごくたまに、ゾーイ先輩やハイパティア会長も参加することがあったかな。
え? アース?
…………ああ、あいつはもちろん来させなかった。
一度だけルーシーがアースを誘ったことがあったが、アースには断るよう指示。
一応僕とアースのつながりは知られない方がいいだろうからね。
もちろん、ライアンも一度も誘ったことはない。
変な空気になるだろうし、あいつ邪魔だし。
ルーシーには誘ったとは嘘をついちゃったけど。
いない方がルーシーも気楽だろうしね。
今日は他の攻略対象者には来させないように、生徒会の仕事を増やして。
かつ、僕の方は抜け出せない用事があることにしておいた。
だから、今は僕とルーシーの2人きり。
そして、ルーシーとサロンに来るまで、自分が使ういつものティーカップに毒を塗っておいた。
塗る毒を禍々しい色でいいのかと思っていたが、塗った途端透明に。
さすが、アース。
こういうところは抜かりないような。
僕は準備中に毒塗りティーカップがルーシーの所にいかないように、配置。
そして、紅茶を注いでいく。
今日の紅茶はアップルティー。
これはケーキ同様ルーシーが用意してくれたものだ。
ほんのりと薫ってくるリンゴの甘い香り。
きっとお高級なものだろう。
ちょっと毒と一緒に飲むのが惜しい。
静かにお茶を入れていると、ルーシーがこちらをじっと見ていることに気づいた。
「ステラさんって、お茶を入れるのはとても上手よね」
「そうですか?」
「うん。所作も丁寧。美しいと思う」
「ありがとうございます」
そうして、一通り準備が終わると、僕らは席につき。
「じゃあ、さっそくいただきましょうか?」
「はい」
ルーシーはティーカップを手に取り、紅茶を飲む。
そして、彼女は幸せそうな笑みを浮かべた。
「ルーシー様、凄く嬉しそうですね」
「え、そう?」
「はい」
本当に喜んでもらえてよかった。
アースたちで練習したかいがある。
「ステラさんも遠慮せずに、どうぞ」
「じゃあ、失礼します」
ルーシーに促され、僕はティーカップを手に取る。
だが、その瞬間、ざっと不安がよぎった。
…………今更、何を怖がっているのだろう?
毒を飲むのも計画のうちだ。
あれほどアースには『僕が解毒できる毒を作れ』と言ったじゃないか。
あいつは変人だけど、人の命がかかればちゃんとする。
あの毒は弱い毒だ。
だから、魔法でなんとか対処できる。
大丈夫。死にはしない。
覚悟を決めて、僕はティーカップを取り、お茶を飲む。
最初ななんともなかった。ちょっと痺れる程度。
――――だが。
「っ!!」
ガシャンという音がサロンに響く。
ティーカップが床に落ち、盛大に割れる。
く、苦しい。
「え? ステラさん?」
首を両手で押さえる。
そして、僕は即座に光魔法を自身にかけた。
しかし、回復はしない。
――――なんで?
なんで回復しないんだ?
苦しい、苦しい、苦しい。
何度も魔法をかけたが、一向に苦しみは消えない。
ふざけんな!
アース!?
お前、弱い毒を作ったんじゃなかったのかよっ!?
「ステラさん? え、ステラさん!?」
ルーシーが心配する声が聞こえるが、それどころじゃない。
息ができない。
姿勢が保てず椅子から落ち、床に転がる。
「誰か! すぐにヒーラーの方を呼んできて! そこのあなた、ヒーラーを今すぐ呼んでもらえますか!」
「は、はい!」
ルーシーの指示を出す声が聞こえる。
彼女は僕のところに駆け寄ってきているようだ。
体をくねくねと動く。
痙攣しているのは明白だった。
「ステラさんっ?!」
死ぬわけにはいかない。
計画が全部頓挫する。
生きないと!
僕は痙攣しながらも、光魔法を何度もかける。
でも、呼吸はまともにできない。苦しいまま。
「った、うけ、ぅを……だぇ、か」
「呼びました。すぐに来ます!」
ルーシーはそう言ってくれたが、視界がちらついて、よく見えない。
苦しい。
肺の奥が痛い。痛い。痛い。
――――でも、死ねない。生きないと。
その瞬間、手がぎゅっと掴まれる。
見ると、ルーシーが僕の手を握っていた。
「るっ……しさま…………」
彼女の手から、こちらに温かいものが流れてくる。
ルーシーが魔法を使おうとしてる、のか?
まさか聖女の魔法を…………?
しかし、何も起こらない。苦しいのは消えない。
そのうち、どたどたと足音が聞こえてきた。
「どいてください! 解毒魔法をかけます!」
そこで僕の意識は途切れた。
★☽★☽★☽★☽
「アース!」
入院していた僕は帰るなり、彼の元へと向かった。
目が覚めた時、ライアンがいたためか、彼は病院には来ていなかった。
だから、退院してすぐにここに来たんだけど。
アースは変わらず宝石いじりをしていた。
「お前、なんてものを作ってんだよ!」
「えー?」
「『えー?』じゃない! 僕を殺す気か!」
ヒーラーが間に合わなかったら、僕は確実に死んでいた。
「あれほど『僕が解毒できる毒にしろ!』って言ったじゃないか!」
「あれー? おかしいなー。あのぐらいなら君ならなんだって解毒できると思ったんだけどー」
「ふざけんな! あんなもの初見で解毒できるか!」
「ごめんーごめんー」
しかし、アースは軽く謝るだけ。
こっちはあやうく死にかけたというのに。
全くこの男は…………。
結局、僕はアースからの本気の謝罪を諦め、椅子に座る。
「それで、どうなんだ? みんなの反応は?」
「そうだねー。リアムの話によるとー、生徒のほとんどがルーシーのせいで君が倒れたと思っているみたいだねー」
作戦通り、か。
「順調だな」
「まぁねー」
「…………」
「…………なんだーい? その目はー」
「いや、その子たちは誰なんだろうと思ってな」
アースの机。
そこには無数の魔法石が置かれていた。
それはいつも通りだからいい。
だが、魔法石以外のものがあった。
ものと表現するのは失礼か。
人間……いや、人間じゃないだろうから彼らを人間というのもな。
そう。
机の上にいたのはなんと手のひらサイズの小さな少年少女。
彼女たちの背中には小さな羽が生えていた。
彼はあれだな……妖精だな。
「あーすぅ、この子めっちゃ睨んできますのぉ。せっかくの美人が台無しですわぁ」
なんだよ、この妖精。
随分と好き勝手言うな。
「……なんで妖精を呼び出してんだ」
「妖精じゃないですわ。私たちは精霊ですの」
「そうだぞ! 妖精どもと一緒にするな!」
そううるさく訴えてくる妖精――いや精霊たち。
そういや、アースは精霊使いでもあったっけ。
「妖精界のことを知りたくってさー。ほら、ルーシーが飼っている犬が妖精界の王子様のことだよー」
「なるほど……でも、その子たちは精霊だけど?」
「そうですが、私どもも妖精族とのつながりはありまして」
と他の精霊とは違い、そう丁寧な口調で話してきたのは1人の白髪精霊。
彼女は可愛らしくちょこんとアースの方に座っていた。
「妖精族のみなさんは私たち精霊に対し、丁寧な対応をしてくださいます」
「そこらへんにいる妖精どもとは違うってわけさ」
「ストレートに言ってしまえばそうですね。族の里に行けば私たちを優しくもてなし、困りごとがあれば手を貸してくれる……そのような方々を無下に扱うなどできませんので、私どもも敬意をもって交流させていただいておりますわ」
「なるほど。だから、妖精族とつながりがあると」
「はい」
「それで、妖精族の王子は?」
「星の聖女様のお話通り、妖精族のグラスペディア族――アストレア王国の南部にいる妖精族ですね、そこの王子はかなり前から行方不明になっています。里では例の魔女が連れ去ったと言われておりますわ」
まぁ、それはゲーム通りだな。
「その王子が連れ去られていたのはいつ頃?」
「30年前でございます」
「え?」
30年前だって?
「どうしたのー? そんな素っ頓狂な声出してー」
「…………そこの精霊さん」
「ティタです」
「ティタさん、本当に30年前なの? 10年前とかじゃない?」
「はい。30年前に、ギルバート王子が行方不明になったと」
「……」
ゲームとは話が違う。
ゲームでは王子が拉致されるのは10年前くらいの話だ。
20年も早いじゃないか。
となると、ミュトスの中身はおっさんになるぞ。
精霊だから年を取るのは遅いだろうが……だとしても!
「まずいよ……あの犬の中身がおっさんとか……う゛ぅ……吐き気がしてきた」
「え? あのルーシーのわんちゃん、おっさんなのー? 君イケメンとか言ってなかったー?」
「本来ならな」
「なら、早くわんちゃんを奪わないとやばいんじゃーん。ルーシーがおじさんといちゃいちゃしていることになるよー」
「言葉にするなよ、また吐き気がするだろ……」
できる限り想像しないようにしていたのに。
「お前の言う通り、僕も奪いたいのはやまやまだが、あの女神がルーシーの近くにいる限り奪えない。日中に奪うわけにもいかないしな」
「なら、放置するとー?」
「ああ」
「うーん。なら、いっそのこと、王子の呪いを解くのはー?」
「それは無理だと思う。呪いの解き方も厳密に分かるわけじゃないからな」
「え? そうなのー? この前、君は解けるって話していなかったー?」
「ああ、そうなんだけどな。解けるといっても、一時的なんだよ。完全に解けるわけじゃないんだ」
ゲームでは確かに、ステラはミュトスを本来の姿に戻す。
しかし、それはほんの十数分だけ。
完全に解けるわけじゃない。
完全に解く方法もあるにはあるが……正直したくない。
「ふーんなら、ルーシーをアストレア王国に連れて来てからの方がいいねー。君としては、いちゃつかれるのは嫌だろうけど―」
「うぐっ……」
仕方ない。
ルーシーをアストレア王国に連れて行けば、ミュトスの対処はどうにでもできる。
あと少しの辛抱だ。
「そういや、君のところにライアン来てたでしょー? 彼とは何か話したのー?」
「ああ、ルーシーとお茶をしている時のことを聞かれた。めちゃくちゃ怒ってたな」
最近は僕に甘い言葉を言ってくるライアンだ。
自分の思い人を毒殺しようとしたルーシーに容赦はしないはず。
きっと婚約破棄をしてくれるに違いない。
すると、アースはフフフと笑いだす。
「もし君が弱い毒を飲んでいたら、こんなふうにならなかったと思うよー。婚約破棄するまでライアンは怒らなかっただろうしねー」
「……だから、わざと強い毒にしたのか」
しかし、アースは返事をするこなく、笑うだけ。
ライアンか、サロンにいた生徒なのかは知らないが、未来を見ていたのなら言ってほしかったんだが。
「あーあ。これから、ルーシーに冤罪をかけるのかぁー。僕、ちょっと心が痛くなっちゃったよー」
「なんだ、やめたいのか」
と、僕は冗談で聞いてみる。
しかし、アースは「まさかー」と首を横に振った。
「ここまで協力したのに、今更やめたいなんて思わないよー」
「ま、そうだよな」
「そうりゃそうだよー。今止めちゃうなんて、もったいないじゃーん」
もったいない?
その考えはよくわからんな。
僕が首をかしげていると、彼はニヤリと笑い。
「これから絶対面白いことが起きるのに」
と楽し気に話していた。
★☽★☽★☽★☽
数日後。
僕は計画通り、ライアンとともにルーシーに接触。
怒っているライアンはルーシーを問い詰めていた。
そんな彼に対し、攻略対象者の4人が反論。
その言い合っているところにアースが介入。
アースにほぼ強制的に、毒瓶の行方を探る方向へと導いてもらった。
そして、計画をぜーんぶ知っているのとアースが予知能力を持っていることをいいことに、即座にルーシーの部屋に置いた毒瓶を発見。
その後、食堂に移動して、ルーシーが街で買い物をしているところを目撃したジェイクとその友人に証言。
ルーシーが僕の毒殺計画を企んでいたことを証明した。
そして、流れるように、ライアンにパス、婚約破棄。
――――そこまでうまくいった。
問題は特になかった。
攻略対象者の4人が邪魔してこようとしたこともあったが、彼らはアースに任せたため、難なく婚約破棄ができた。
破棄後には本来のライアンルートであれば、彼がステラに「一緒になろう」とプロポーズしてくる。
でも、僕はその前にライアンに全部の気持ちを吐いて。
「このステラ・マクティアと結婚してください!」
彼女にプロポーズしていた。
その瞬間、ルーシーの瞳は大きく揺れる。
でも、なかなか返答してくれない。
なにかしゃべろうとするが、どこか迷いが見られた。
ま、そうだよね。
急に言われても無理だよね。
僕は立ち上がり、ルーシーの手を取る。
「ルーシー様、僕と一緒にアストレア王国に行きましょう」
「…………あなたと?」
「はい。あなたを幸せにしてみせます。ご安心ください。あちらでの生活の準備は整ってあります」
「そう、なんだ」
「はい。先ほどのプロポーズは保留にして、とりあえずアストレアに行きましょう」
そして、ルーシーの手を引いて、食堂を退場しようとした瞬間。
「ちょっと待ったー!!」
そんな声が聞こえ、彼は僕らの前に立ちはだかった。
僕はしぶしぶ足を止め、声の主を見る。
「……なに、カイル」
「ねぇ、これどういうこと? 君が……なぜルーシーにプロポーズを?」
「さっきも言っただろう? そこの王子にははなから興味がない。僕はルーシーだけに興味があるんだ。愛してるんだ」
「愛してる?」
「ああ、そうだ。だから、僕らの邪魔をしないで」
「そんなわけにもいきませんよ! 勝手に姉さんをアストレア王国に連れていくなんて!」
「そうです! あまりにも勝手すぎます! ……カイル、あの女狐絶対転生者です。絶対そうです!」
気づけば、カイルだけでなく、キーラン、リリー、エドガーもやってきた。
「やっぱり君たちも転生者だったか」
「…………そう言う君も転生者なのか?」
そう問うてきのはエドガー王子。彼は僕を訝し気に見ていた。
婚約破棄もできたし、あとはアストレア王国に連れていくだけだから、もう隠す必要はないだろう。
「ああ、そうだけど?」
僕が答えると、攻略対象者の4人は一瞬驚きを見せる。
そして、厄介そうな目をこちらに向けてきた。
この4人が転生者なのは予想通り。驚きはしない。
「え……ステラは転生者なの?」
そんな質問を投げてきたのは、手を繋いでいる彼女。
ルーシーは1人驚いているようだった。
急に転生者と聞けば当たり前の反応。
だが、目を見開く彼女はキョロキョロと見渡し。
「みんなも転生してるの……?」
そう呟いていた。
え?
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「ルーシーも転生者なの?」
「え? ええ……私は転生者よ」
……マジか。
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ま、まぁ?
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「アハハ!!」
その瞬間、笑い声がした。
食堂に響くほど大きな笑い声。
そこにいる全員の目が彼に集まっていた。
笑い方が似ているが、アースではない。
この声は…………。
「こんなことになるなんて! アハハ!」
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