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第3章 学園編
60 カイル視点:逆転悪役令嬢
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「なにこれ?」
僕、カイル・アッシュバーナムは朝から足止めをくらっていた。
今日もいつも通りルーシーと一緒に登校しようとしていたが、今日はなぜかリリーと合流。
彼女からルーシーはすでに登校していると聞いて、教室に真っすぐに向かっていた。
だが、今は僕1人。
リリーはというと途中で生徒会長に捕まり、朝から仕事をさせられている。
どうやら、今度の文化祭での集金について整理しないといけないらしい。
が、僕はこの前遅くまで仕事をしたので、免除された。会長様、ありがたや。
それで、結局1人で教室に向かっていたわけなんだけど。
現在はなぜか人込みに先を阻まれている。
「私はしていません!」
どうしようかと悩んでいると、人込みの中央からルーシーの声が聞こえてきた。
声から察するに、彼女は怒っているようだ。珍しい。
「ちょっと失礼。あ、すみません」
気になった僕は人の間をかきわって、彼女の方に向かう。
なんとか人込みを抜けた先にルーシーがいた。
彼女は、なぜか婚約者であるライアン王子とステラの2人と向き合っていた。
「君は1人で僕の教室にいたらしいじゃないか?」
「それはステラさんに謝りに行こうとして――」
「それなら、ステラの寮の部屋に行けばよかったんじゃないかい?」
「ええ、最初は寮の部屋に行きました。ですが、ノックしたところ返答がなく、ステラさんのお隣の部屋の方にお尋ねしてみたところ、彼女はすでに教室にいる可能性が高いと聞いて――」
「それで僕らの教室にいた、と」
「はい」
ライアンははぁと深いため息。そして、呆れた顔を浮かべて、教室の方を見る。
視線の先には落書きがされた机があった。
「そう言いながら、君があれを書いたんじゃないの?」
目を凝らして落書きを見てみる。落書きはステラさんに対する誹謗中傷の言葉だった。
随分と文字が大きくて見やすい。かなり太いペンで書いたんだな。
「いいえ! 違います!」
それに対し、ルーシーはしっかりと否定。
この様子だと本当にルーシーはしていないようだ。
…………いや、まぁ?
僕は最初から、ルーシーがこんなことをするとは思ってはない。
今のルーシーはゲーム上のルーシーとはかなり異なって、ステラと仲がいい。
まだ、2人の間には他人行儀さが残ってるけど、ゲームみたいにルーシーには彼女を嫌悪してる様子はない。
それに今のルーシーは分かってるはずだ。
ステラをいじめたって意味がないこと、そんなことは時間の無駄ってことを。
『ステラさんをいじめる? そんなことをするなら、本を読んでいたいわ』
と言って、読書を優先するだろうから。
だから、断言できる。
ルーシーは落書きをしていないと。
「君はそう言って、嘘をついて――――」
「異議ありっ!」
裁判ゲームでおなじみの言葉を放って、僕はとっさに割り込んだ。
ルーシーは驚いたのか、目を丸くしていた。
みんな、黙り込んでいた。
いや、そんなに驚かなくてもいいと思うんだけど。
…………ルーシー、そんな目で見ないで。
今のは君がピンチなのに、僕がおふざけしたのが悪かった。
「コホン。殿下、失礼しました。僕はカイル・アッシ――」
「君のことは知ってる。挨拶はいいよ。それで、途中で僕の会話を止めたけど、止めるほどの用があるのかな?」
「はい。1つお聞きしたいことがありまして」
「聞きたいこと?」
「はい。先ほどから『ルーシーがマクティアさんに対して机に書かれているような汚い言葉を書いた』とおっしゃられていますが、彼女がやったという証拠はあるのですか、という質問です」
「ルーシーは朝1人僕らの教室にいた。それをそこの彼女が見ている」
そう言って、ライアンが指を指した先にいたのはポニーテールの女の子。
彼女が目撃者……か。
あんまり見たことがない子だから、ライアンのクラスの子なのだろう。
「これは、この目撃者の証言は立派な証拠じゃないかい?」
「それは『彼女がそこにいた』という証明にしかなりません」
僕は首を横に振り、ライアンの発言を否定。
そして、僕は人差し指を立て、話し始める。
「まぁ、目撃者が1人ですし虚言している可能性もありますので、目撃者の証言も非常に弱いものではありますが……それは置いておいて。僕が言っている証拠というのは『彼女がその落書きを書いた』という証拠です」
「…………」
「殿下、その証拠はあるんですか」
そう問うと、ライアンは突如黙り込む。その場はしーんと静まる。
うん、ルーシーはやっていないのだから、あるはずがない。
だから、ライアン。君は黙っているのだろう。何も言えないだろう。
ライアンの様子から、これでルーシーは解放されるかなと僕は考えていたが、彼は粘ってこう言ってきた。
「逆に、彼女が犯人じゃない証拠はあるのかい」
「…………」
…………このクソ王子が。
王子を睨み、思わず心の中で汚い言葉を吐いてしまう。
この王子、消極的事実の証明をしろって言ってるのか。
僕はむしろ目撃した女の子を疑いたいのだけど。
…………よし。
そんなにルーシーを疑うのなら、やってやる。
「…………ルーシーが犯人じゃない証拠ですか。ええ、もちろんあります」
「じゃあ、聞かせてもらおうか」
「はい」
僕はルーシーの方に向き直る。
ルーシーは僕が割り込んでからというものの、ずっと黙っていた。困惑しているようだった。
「ルーシー、ちょっと筆箱の中を見せてもらえる?」
「え? 筆箱?」
「そーそ。ちょっと貸してもらいたんだ」
「いいけど……」
ルーシーのペンケースを受け取り、僕はその中を確認する。
うん、ないね。
「くらえっ!」
僕がそう叫んだ瞬間、その場が静まり返る。
ち、ちょっと言ってみただけなんだよ。
だから、ルーシー、そんな目で見ないでって。
「…………失礼いたしました。殿下、ルーシーの筆箱の中を見てください」
ライアンに彼女のペンケースの中身を見てもらう。ついでに、周囲にいた人たちにも見てもらう。
中身は0.5㎜のボールペンだらけ。太いマーカーペンは見当たらなかった。
「この通り太いペンはここに見当たりません。一方で、そちらの机に書かれているものは非常に太いペン……いや、筆で書かれたもののように見受けられます」
まるで書道の筆で書かれたように太い。
一筆書きじゃないにしても、こんなボールペンじゃ書くのは無理だろう。
せめてマーカーペン的なものじゃないと。
「そんなことはバッグや服に隠すことだってできる」
「ルーシー、マーカーペンとか持ってる?」
「いいえ、持っていないけど……」
「本人に確認を取ってもダメだよ。ウソをついている可能性だってある。そうだね……誰か、ルーシーがペンを持っていないか確認してくれない?」
ライアンが周囲に問いかけると、1人の子が挙手をする。
それはライアンの隣にいた少女。
ステラが申し出てくれていた。
「では、私が確認します」
「いえ、マクティアさん。あなたはやめておきましょう」
が、僕は断った。
「なぜだい? まさか、君はステラが仕組むとでも思っているの?」
「いえ、思っていませんよ」
僕は、さっきから黙っていたくせに突然申し出てきたステラを冷ややかに見る。
「殿下のご友人に限って、そんな薄汚いことはするとは思えません。ですが、万が一のことを考えて、最悪の場合を想定して、やめておきましましょう」
「最悪の場合?」
「はい。たとえば、マクティアさんがどなたかに脅されてこんな茶番をしている場合、とかですよ」
「分かった。じゃあ、誰にしてもらうんだい?」
「そうですね。今回の出来事に全く関係ない方……」
周囲を見渡し、確認。
すると、全く関係のないであろう1人の女子生徒を見つけた。
「すみません!」
「ん?」
忙しく走っていた彼女は単音だけ発すると、立ち止った。
「その声は……カイル君?」
生徒会関係で関わるようになった先輩。
その先輩とはいつかルーシーがリリーに話していた、ゾーイ先輩。
僕が声を掛けると、彼女は人を避けながら、こちらに歩いてくる。
その途中でライアンがいることを察したのか、突如キリッとした態度に変わっていた。
相変わらずこの人の空間認知能力には驚かされる。
「何事ですか、カイル君。この感じは……ライアン殿下もいらっしゃるようですね。失礼いたしました」
「うん。君は騎士団の……」
「はい、ゾーイ・ヴィルテンです。それで、ライアン殿下。私目に何用でしょうか」
「うん。君にちょっと確認してもらいたいことがあって」
「確認ですか」
「うん。そうだよね? カイル君」
…………ん? カイル君?
突然のライアンの君づけに僕は戸惑う。
というか、違和感を抱く。
この王子、バカにしてるな。
…………今なら、リリーが何度もライアンをクソ王子って呼ぶ気持ちが分かる。
少しいら立ちながらも、僕はゾーイ先輩の方に向く。
当たり前だが、彼女は何が何やら分からないようだった。
「はい。ゾーイ先輩にルーシーがあるものを持っていないか確認してほしくて」
「あるものって? でも、どのみち私は見えないから確認なんてできないけど……」
先輩に別室で構わないので、ルーシーが筆とかマーカーペンを持っているかを触ったり、最悪ルーシーに服を脱いでもらったりして確認してほしいことを説明した。
「なるほど。そんなことなら、別室に移動する必要も服を脱ぐ必要もないと思う」
「?」
「そんなことは臭いで分かるってこと。ちょっとごめんね、ルーシー。嗅がせもらうよ」
すると、ゾーイ先輩はルーシーの周りをうろちょろし始めた。
そんな突然の先輩の行動に、ルーシーは少し戸惑いを見せるが、終始じっとしていた。
目隠しした女生徒が、ルーシーの体を隅から隅まで嗅ぎ回る、その様子。
…………うん。
正直、奇妙すぎる光景だと思った。
「うん、フレグランスの香りの臭いしかしないよ」
「…………つまり?」
「ルーシーはマーカーペンも筆も持っていないってこと」
途中、「ん?」とゾーイ先輩が止まるから、もし持っていたらと内心冷や冷やした。
「先輩、ありがとうございます」
「いいえ、お安い御用よ。殿下、では失礼いたします」
ゾーイ先輩は役目を果たすと、颯爽と去っていった。
先輩を見送った僕はライアンとステラの方に向き直る。
「殿下、ルーシーが持参していないことを確認しました。これ以上、彼女を疑う必要はないのでは?」
「……そんなことはない。彼女が使用後に捨てた可能性もあるよ」
「では、探しますか? 僕はそんなことをしなくてもいいと思いますけど」
ルーシーが書いていないと証明したのに、ライアンはまだ折れてくれそうもない。
このまま(どうせ破棄されるとはいえ)自分の婚約者を疑いつづけるのも、ライアンの体面を考えるとよくないのに。
どうして、ルーシーを疑う?
犯人にしたがる?
ライアンは諦めようとはせず、まだ探りたそうにしている。
このままルーシーの手を取って、教室に行ってもいい。
でも、このまま帰ると、ライアンがいちゃもんつけてありもしないことを言いだすかもしれない。
それなら、僕は。
無実のルーシーを、証拠もなしに疑うやつは。
「どうやら、落書きはステラさんが普段座っている席に書かれていたようですね」
「うん、そうだけど、それが何?」
――――――――容赦はしない。このまま、論破してやろう。
「なぜ、他クラスのルーシーが知っていたんでしょう?」
「休み時間とかに見ていたんじゃない?」
「確かに、それはありえます。でも、そんなに正確に分かるんでしょうか」
「?」
分かっていないのか、ライアンは首を傾げる。
「通常、席は指定ではありません。自由席が基本ですので、そこに他の生徒が座っていれば、次回ステラさんがそこに座っているとは限りません。ですので、休み時間にステラさんの席を確認しようとしても、ステラさんの席を正確に特定することが難しいと思いますが……もしや殿下のクラスは席をお決めになっていたのですか?」
「いや、決まっていないけど、僕とステラはいつも同じ席に座っていた。違う席に座ったことは一度もないんだ。だから、休み時間にでも僕のクラスを見に来れば分かると思うよ」
「なるほど……では、ルーシーはステラさんの席を確認できたとしましょう。ですが、それは彼女に限らず他の人にも可能です。ルーシーに限ったことではない」
僕は話ながら、周囲の人を見渡す。
「殿下のクラスの方、他のクラスの方も確認はできます。つまり、ここにいる全員確認は可能です」
「だが、朝教室には彼女1人しかいなかったんだ。前日には落書きがなかったのだから、落書きができるのは朝一に来た彼女だけだろう」
ライアンの意見に、僕は横に首を振った。
「殿下。失礼ながら、その答えは安直です。落書きなんて他の人にもできます」
「じゃあ、誰がいつ、やったんだ」
「誰かは僕にも分かりませんが……ルーシーではないことは確かです。昨日、彼女は僕らもしくは侍女さんと一緒にいましたし、朝は落書きをかけるペンを持っていませんので朝にも書けません。ですので、ルーシーではありません」
「…………」
「いつやったというのは簡単に予想がつきます。誰もいなくなった放課後に書けばいいんです。もしくは、ルーシーが来る前に」
だから、落書きをするなんてことは誰でもできる。ルーシーもできるかもしれないけど、ライアンのクラスの人の方が犯人の可能性としては高いだろう。
「今回、ルーシーはステラさんに謝罪しようと、教室に来た。だが、ステラさんがいつも座る席には落書きがされていた。そして、ルーシーが1人で教室いた時、ちょうどよくそこの彼女が目撃してしまった。つまり、犯人はルーシーではなく、別にいます」
「だが……」
「殿下、証拠です」
ライアン王子。
「ルーシーが誹謗中傷的な落書きをしたという決定的な証拠がない限り、ルーシーが犯人とは断言できません」
あんたもそんなバカじゃないだろう。
なのに、なぜそんなにルーシーを疑う?
なぜルーシーを犯人にしたがる?
ルーシーはこんなにも潔白なのに。
もしや、これはゲーム通りにさせようと修正が入れられているのか?
「ルーシーよりも他の人物の方が疑った方がいいのでは?」
「…………」
なぜかライアンは苦しそうに、悔しそうにしていた。
なぜあなたがそんな顔をする?
まさか、この人。
「殿下、言うまでもないことは分かっていますが、一応言っておきます」
――――――――本当はルーシーが犯人じゃないってことを分かっているのか?
なら、なぜ。
「どうか殿下のようなお方が証拠もなしに疑うことはないように」
僕はルーシーの手を取り、握る。
彼女はびっくりして、僕の方を見た。だが、手を放すことはしない。
そんな彼女に笑いかけると、僕はもう一度彼らの方を見る。そして、2人を睨んだ。
こんなに怒りの感情が沸いたのは久しぶりだ。
「では、殿下失礼します。ルーシー、行こう」
「え、ええ……」
ルーシーと一緒に教室に戻ろうとした時。
「ちょっと待って」
彼に引き留められた。
僕はいやと思いながらも振り返る。
引き留めたライアンは、真っすぐルーシーを見ていた。
「ルーシー、君はこの前ステラにこう言った…………『殺してやる』と」
彼はこちらに歩いてくる。そして、ルーシーの肩をガシッと掴んだ。
「そして、その後君はステラに不必要なまでに攻撃をした。それはどういうことか?」
「そ、それは……」
またルーシーを問い詰めて、いじめようとして……。
そう思った僕はルーシーからライアンを引き離そうとしたが。
ルーシーはハッと何かに気き、僕と繋いでいた手を放していた。
そして、彼女はステラの前にまで歩いていき、前に立つとステラに向かって頭を深く下げた。
「ステラさん、この前のことはごめんなさい! あそこまでするつもりはなかったの。あんなことを言うつもりもなかったの……本当にごめんなさい。過度な攻撃と暴言をしてあなたを傷つけてしまって、ごめんなさい」
「い、いえ。ルーシー様、お気になさらず。私はこの通り無事ですので」
そっか。
ルーシー、まだステラさんに謝っていなかったんだね。
これで謝罪が済んだから、一件落着かな?
と思ったが。
ライアンはもう一度ガっとルーシーの元まで歩いていく。
そして、問い詰めるようにぐっと顔を寄せていた。
「ルーシー! 話を逸らさないで! ステラは君のせいで死にかけたんだよ? 謝ってそれでおしまいにするつもり? 曖昧にするつもり?」
「そ、そうですが……」
「君、本当はステラが嫌いで憎んでいたんじゃないの? 君、勝手にステラに嫉妬してたんじゃないの? だから、殺そうとしたんじゃないの?」
僕はとっさにライアンとルーシーの間に立つ。
「殿下、あれは事故と結論づいたはずです。そうでしょう、マクティアさん」
問いかけると、ステラはうんうんと頷いてくれた。
その瞬間、チャイムが鳴り響く。始業の合図だ。
「…………」
「殿下、マクティアさんも許しています。これ以上、追及する必要はないのでは?」
僕はもう一度ルーシーの手を取る。
「僕らは授業に遅れたくないので、殿下、失礼いたします。行こう、ルーシー」
「……え、ええ。殿下、失礼いたします」
ライアンに一礼すると、教室へと歩いていく。
その途中、僕は後ろをちらりと見た。
残されたライアンはなぜか悲しそうな顔を。
――――――――そして。
ステラはとてつもなく険しい顔で、僕を見ていた。
★★あとがき★★
60話を読んでいただきありがとうございます。
この作品を書き始めて1年が経ちました。時間って過ぎるの早いですね。
予定変更がなければ、あと10話です。よろしくお願いいたします。
僕、カイル・アッシュバーナムは朝から足止めをくらっていた。
今日もいつも通りルーシーと一緒に登校しようとしていたが、今日はなぜかリリーと合流。
彼女からルーシーはすでに登校していると聞いて、教室に真っすぐに向かっていた。
だが、今は僕1人。
リリーはというと途中で生徒会長に捕まり、朝から仕事をさせられている。
どうやら、今度の文化祭での集金について整理しないといけないらしい。
が、僕はこの前遅くまで仕事をしたので、免除された。会長様、ありがたや。
それで、結局1人で教室に向かっていたわけなんだけど。
現在はなぜか人込みに先を阻まれている。
「私はしていません!」
どうしようかと悩んでいると、人込みの中央からルーシーの声が聞こえてきた。
声から察するに、彼女は怒っているようだ。珍しい。
「ちょっと失礼。あ、すみません」
気になった僕は人の間をかきわって、彼女の方に向かう。
なんとか人込みを抜けた先にルーシーがいた。
彼女は、なぜか婚約者であるライアン王子とステラの2人と向き合っていた。
「君は1人で僕の教室にいたらしいじゃないか?」
「それはステラさんに謝りに行こうとして――」
「それなら、ステラの寮の部屋に行けばよかったんじゃないかい?」
「ええ、最初は寮の部屋に行きました。ですが、ノックしたところ返答がなく、ステラさんのお隣の部屋の方にお尋ねしてみたところ、彼女はすでに教室にいる可能性が高いと聞いて――」
「それで僕らの教室にいた、と」
「はい」
ライアンははぁと深いため息。そして、呆れた顔を浮かべて、教室の方を見る。
視線の先には落書きがされた机があった。
「そう言いながら、君があれを書いたんじゃないの?」
目を凝らして落書きを見てみる。落書きはステラさんに対する誹謗中傷の言葉だった。
随分と文字が大きくて見やすい。かなり太いペンで書いたんだな。
「いいえ! 違います!」
それに対し、ルーシーはしっかりと否定。
この様子だと本当にルーシーはしていないようだ。
…………いや、まぁ?
僕は最初から、ルーシーがこんなことをするとは思ってはない。
今のルーシーはゲーム上のルーシーとはかなり異なって、ステラと仲がいい。
まだ、2人の間には他人行儀さが残ってるけど、ゲームみたいにルーシーには彼女を嫌悪してる様子はない。
それに今のルーシーは分かってるはずだ。
ステラをいじめたって意味がないこと、そんなことは時間の無駄ってことを。
『ステラさんをいじめる? そんなことをするなら、本を読んでいたいわ』
と言って、読書を優先するだろうから。
だから、断言できる。
ルーシーは落書きをしていないと。
「君はそう言って、嘘をついて――――」
「異議ありっ!」
裁判ゲームでおなじみの言葉を放って、僕はとっさに割り込んだ。
ルーシーは驚いたのか、目を丸くしていた。
みんな、黙り込んでいた。
いや、そんなに驚かなくてもいいと思うんだけど。
…………ルーシー、そんな目で見ないで。
今のは君がピンチなのに、僕がおふざけしたのが悪かった。
「コホン。殿下、失礼しました。僕はカイル・アッシ――」
「君のことは知ってる。挨拶はいいよ。それで、途中で僕の会話を止めたけど、止めるほどの用があるのかな?」
「はい。1つお聞きしたいことがありまして」
「聞きたいこと?」
「はい。先ほどから『ルーシーがマクティアさんに対して机に書かれているような汚い言葉を書いた』とおっしゃられていますが、彼女がやったという証拠はあるのですか、という質問です」
「ルーシーは朝1人僕らの教室にいた。それをそこの彼女が見ている」
そう言って、ライアンが指を指した先にいたのはポニーテールの女の子。
彼女が目撃者……か。
あんまり見たことがない子だから、ライアンのクラスの子なのだろう。
「これは、この目撃者の証言は立派な証拠じゃないかい?」
「それは『彼女がそこにいた』という証明にしかなりません」
僕は首を横に振り、ライアンの発言を否定。
そして、僕は人差し指を立て、話し始める。
「まぁ、目撃者が1人ですし虚言している可能性もありますので、目撃者の証言も非常に弱いものではありますが……それは置いておいて。僕が言っている証拠というのは『彼女がその落書きを書いた』という証拠です」
「…………」
「殿下、その証拠はあるんですか」
そう問うと、ライアンは突如黙り込む。その場はしーんと静まる。
うん、ルーシーはやっていないのだから、あるはずがない。
だから、ライアン。君は黙っているのだろう。何も言えないだろう。
ライアンの様子から、これでルーシーは解放されるかなと僕は考えていたが、彼は粘ってこう言ってきた。
「逆に、彼女が犯人じゃない証拠はあるのかい」
「…………」
…………このクソ王子が。
王子を睨み、思わず心の中で汚い言葉を吐いてしまう。
この王子、消極的事実の証明をしろって言ってるのか。
僕はむしろ目撃した女の子を疑いたいのだけど。
…………よし。
そんなにルーシーを疑うのなら、やってやる。
「…………ルーシーが犯人じゃない証拠ですか。ええ、もちろんあります」
「じゃあ、聞かせてもらおうか」
「はい」
僕はルーシーの方に向き直る。
ルーシーは僕が割り込んでからというものの、ずっと黙っていた。困惑しているようだった。
「ルーシー、ちょっと筆箱の中を見せてもらえる?」
「え? 筆箱?」
「そーそ。ちょっと貸してもらいたんだ」
「いいけど……」
ルーシーのペンケースを受け取り、僕はその中を確認する。
うん、ないね。
「くらえっ!」
僕がそう叫んだ瞬間、その場が静まり返る。
ち、ちょっと言ってみただけなんだよ。
だから、ルーシー、そんな目で見ないでって。
「…………失礼いたしました。殿下、ルーシーの筆箱の中を見てください」
ライアンに彼女のペンケースの中身を見てもらう。ついでに、周囲にいた人たちにも見てもらう。
中身は0.5㎜のボールペンだらけ。太いマーカーペンは見当たらなかった。
「この通り太いペンはここに見当たりません。一方で、そちらの机に書かれているものは非常に太いペン……いや、筆で書かれたもののように見受けられます」
まるで書道の筆で書かれたように太い。
一筆書きじゃないにしても、こんなボールペンじゃ書くのは無理だろう。
せめてマーカーペン的なものじゃないと。
「そんなことはバッグや服に隠すことだってできる」
「ルーシー、マーカーペンとか持ってる?」
「いいえ、持っていないけど……」
「本人に確認を取ってもダメだよ。ウソをついている可能性だってある。そうだね……誰か、ルーシーがペンを持っていないか確認してくれない?」
ライアンが周囲に問いかけると、1人の子が挙手をする。
それはライアンの隣にいた少女。
ステラが申し出てくれていた。
「では、私が確認します」
「いえ、マクティアさん。あなたはやめておきましょう」
が、僕は断った。
「なぜだい? まさか、君はステラが仕組むとでも思っているの?」
「いえ、思っていませんよ」
僕は、さっきから黙っていたくせに突然申し出てきたステラを冷ややかに見る。
「殿下のご友人に限って、そんな薄汚いことはするとは思えません。ですが、万が一のことを考えて、最悪の場合を想定して、やめておきましましょう」
「最悪の場合?」
「はい。たとえば、マクティアさんがどなたかに脅されてこんな茶番をしている場合、とかですよ」
「分かった。じゃあ、誰にしてもらうんだい?」
「そうですね。今回の出来事に全く関係ない方……」
周囲を見渡し、確認。
すると、全く関係のないであろう1人の女子生徒を見つけた。
「すみません!」
「ん?」
忙しく走っていた彼女は単音だけ発すると、立ち止った。
「その声は……カイル君?」
生徒会関係で関わるようになった先輩。
その先輩とはいつかルーシーがリリーに話していた、ゾーイ先輩。
僕が声を掛けると、彼女は人を避けながら、こちらに歩いてくる。
その途中でライアンがいることを察したのか、突如キリッとした態度に変わっていた。
相変わらずこの人の空間認知能力には驚かされる。
「何事ですか、カイル君。この感じは……ライアン殿下もいらっしゃるようですね。失礼いたしました」
「うん。君は騎士団の……」
「はい、ゾーイ・ヴィルテンです。それで、ライアン殿下。私目に何用でしょうか」
「うん。君にちょっと確認してもらいたいことがあって」
「確認ですか」
「うん。そうだよね? カイル君」
…………ん? カイル君?
突然のライアンの君づけに僕は戸惑う。
というか、違和感を抱く。
この王子、バカにしてるな。
…………今なら、リリーが何度もライアンをクソ王子って呼ぶ気持ちが分かる。
少しいら立ちながらも、僕はゾーイ先輩の方に向く。
当たり前だが、彼女は何が何やら分からないようだった。
「はい。ゾーイ先輩にルーシーがあるものを持っていないか確認してほしくて」
「あるものって? でも、どのみち私は見えないから確認なんてできないけど……」
先輩に別室で構わないので、ルーシーが筆とかマーカーペンを持っているかを触ったり、最悪ルーシーに服を脱いでもらったりして確認してほしいことを説明した。
「なるほど。そんなことなら、別室に移動する必要も服を脱ぐ必要もないと思う」
「?」
「そんなことは臭いで分かるってこと。ちょっとごめんね、ルーシー。嗅がせもらうよ」
すると、ゾーイ先輩はルーシーの周りをうろちょろし始めた。
そんな突然の先輩の行動に、ルーシーは少し戸惑いを見せるが、終始じっとしていた。
目隠しした女生徒が、ルーシーの体を隅から隅まで嗅ぎ回る、その様子。
…………うん。
正直、奇妙すぎる光景だと思った。
「うん、フレグランスの香りの臭いしかしないよ」
「…………つまり?」
「ルーシーはマーカーペンも筆も持っていないってこと」
途中、「ん?」とゾーイ先輩が止まるから、もし持っていたらと内心冷や冷やした。
「先輩、ありがとうございます」
「いいえ、お安い御用よ。殿下、では失礼いたします」
ゾーイ先輩は役目を果たすと、颯爽と去っていった。
先輩を見送った僕はライアンとステラの方に向き直る。
「殿下、ルーシーが持参していないことを確認しました。これ以上、彼女を疑う必要はないのでは?」
「……そんなことはない。彼女が使用後に捨てた可能性もあるよ」
「では、探しますか? 僕はそんなことをしなくてもいいと思いますけど」
ルーシーが書いていないと証明したのに、ライアンはまだ折れてくれそうもない。
このまま(どうせ破棄されるとはいえ)自分の婚約者を疑いつづけるのも、ライアンの体面を考えるとよくないのに。
どうして、ルーシーを疑う?
犯人にしたがる?
ライアンは諦めようとはせず、まだ探りたそうにしている。
このままルーシーの手を取って、教室に行ってもいい。
でも、このまま帰ると、ライアンがいちゃもんつけてありもしないことを言いだすかもしれない。
それなら、僕は。
無実のルーシーを、証拠もなしに疑うやつは。
「どうやら、落書きはステラさんが普段座っている席に書かれていたようですね」
「うん、そうだけど、それが何?」
――――――――容赦はしない。このまま、論破してやろう。
「なぜ、他クラスのルーシーが知っていたんでしょう?」
「休み時間とかに見ていたんじゃない?」
「確かに、それはありえます。でも、そんなに正確に分かるんでしょうか」
「?」
分かっていないのか、ライアンは首を傾げる。
「通常、席は指定ではありません。自由席が基本ですので、そこに他の生徒が座っていれば、次回ステラさんがそこに座っているとは限りません。ですので、休み時間にステラさんの席を確認しようとしても、ステラさんの席を正確に特定することが難しいと思いますが……もしや殿下のクラスは席をお決めになっていたのですか?」
「いや、決まっていないけど、僕とステラはいつも同じ席に座っていた。違う席に座ったことは一度もないんだ。だから、休み時間にでも僕のクラスを見に来れば分かると思うよ」
「なるほど……では、ルーシーはステラさんの席を確認できたとしましょう。ですが、それは彼女に限らず他の人にも可能です。ルーシーに限ったことではない」
僕は話ながら、周囲の人を見渡す。
「殿下のクラスの方、他のクラスの方も確認はできます。つまり、ここにいる全員確認は可能です」
「だが、朝教室には彼女1人しかいなかったんだ。前日には落書きがなかったのだから、落書きができるのは朝一に来た彼女だけだろう」
ライアンの意見に、僕は横に首を振った。
「殿下。失礼ながら、その答えは安直です。落書きなんて他の人にもできます」
「じゃあ、誰がいつ、やったんだ」
「誰かは僕にも分かりませんが……ルーシーではないことは確かです。昨日、彼女は僕らもしくは侍女さんと一緒にいましたし、朝は落書きをかけるペンを持っていませんので朝にも書けません。ですので、ルーシーではありません」
「…………」
「いつやったというのは簡単に予想がつきます。誰もいなくなった放課後に書けばいいんです。もしくは、ルーシーが来る前に」
だから、落書きをするなんてことは誰でもできる。ルーシーもできるかもしれないけど、ライアンのクラスの人の方が犯人の可能性としては高いだろう。
「今回、ルーシーはステラさんに謝罪しようと、教室に来た。だが、ステラさんがいつも座る席には落書きがされていた。そして、ルーシーが1人で教室いた時、ちょうどよくそこの彼女が目撃してしまった。つまり、犯人はルーシーではなく、別にいます」
「だが……」
「殿下、証拠です」
ライアン王子。
「ルーシーが誹謗中傷的な落書きをしたという決定的な証拠がない限り、ルーシーが犯人とは断言できません」
あんたもそんなバカじゃないだろう。
なのに、なぜそんなにルーシーを疑う?
なぜルーシーを犯人にしたがる?
ルーシーはこんなにも潔白なのに。
もしや、これはゲーム通りにさせようと修正が入れられているのか?
「ルーシーよりも他の人物の方が疑った方がいいのでは?」
「…………」
なぜかライアンは苦しそうに、悔しそうにしていた。
なぜあなたがそんな顔をする?
まさか、この人。
「殿下、言うまでもないことは分かっていますが、一応言っておきます」
――――――――本当はルーシーが犯人じゃないってことを分かっているのか?
なら、なぜ。
「どうか殿下のようなお方が証拠もなしに疑うことはないように」
僕はルーシーの手を取り、握る。
彼女はびっくりして、僕の方を見た。だが、手を放すことはしない。
そんな彼女に笑いかけると、僕はもう一度彼らの方を見る。そして、2人を睨んだ。
こんなに怒りの感情が沸いたのは久しぶりだ。
「では、殿下失礼します。ルーシー、行こう」
「え、ええ……」
ルーシーと一緒に教室に戻ろうとした時。
「ちょっと待って」
彼に引き留められた。
僕はいやと思いながらも振り返る。
引き留めたライアンは、真っすぐルーシーを見ていた。
「ルーシー、君はこの前ステラにこう言った…………『殺してやる』と」
彼はこちらに歩いてくる。そして、ルーシーの肩をガシッと掴んだ。
「そして、その後君はステラに不必要なまでに攻撃をした。それはどういうことか?」
「そ、それは……」
またルーシーを問い詰めて、いじめようとして……。
そう思った僕はルーシーからライアンを引き離そうとしたが。
ルーシーはハッと何かに気き、僕と繋いでいた手を放していた。
そして、彼女はステラの前にまで歩いていき、前に立つとステラに向かって頭を深く下げた。
「ステラさん、この前のことはごめんなさい! あそこまでするつもりはなかったの。あんなことを言うつもりもなかったの……本当にごめんなさい。過度な攻撃と暴言をしてあなたを傷つけてしまって、ごめんなさい」
「い、いえ。ルーシー様、お気になさらず。私はこの通り無事ですので」
そっか。
ルーシー、まだステラさんに謝っていなかったんだね。
これで謝罪が済んだから、一件落着かな?
と思ったが。
ライアンはもう一度ガっとルーシーの元まで歩いていく。
そして、問い詰めるようにぐっと顔を寄せていた。
「ルーシー! 話を逸らさないで! ステラは君のせいで死にかけたんだよ? 謝ってそれでおしまいにするつもり? 曖昧にするつもり?」
「そ、そうですが……」
「君、本当はステラが嫌いで憎んでいたんじゃないの? 君、勝手にステラに嫉妬してたんじゃないの? だから、殺そうとしたんじゃないの?」
僕はとっさにライアンとルーシーの間に立つ。
「殿下、あれは事故と結論づいたはずです。そうでしょう、マクティアさん」
問いかけると、ステラはうんうんと頷いてくれた。
その瞬間、チャイムが鳴り響く。始業の合図だ。
「…………」
「殿下、マクティアさんも許しています。これ以上、追及する必要はないのでは?」
僕はもう一度ルーシーの手を取る。
「僕らは授業に遅れたくないので、殿下、失礼いたします。行こう、ルーシー」
「……え、ええ。殿下、失礼いたします」
ライアンに一礼すると、教室へと歩いていく。
その途中、僕は後ろをちらりと見た。
残されたライアンはなぜか悲しそうな顔を。
――――――――そして。
ステラはとてつもなく険しい顔で、僕を見ていた。
★★あとがき★★
60話を読んでいただきありがとうございます。
この作品を書き始めて1年が経ちました。時間って過ぎるの早いですね。
予定変更がなければ、あと10話です。よろしくお願いいたします。
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