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スポーツフェス
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「だーるーまーさーんーが、こーろーんーだ!!」
今、俺は秋の学校イベント、スポーツフェスで「だるまさんがころんだ」に参加している。
参加者は3学年8クラスからの代表2名ずつ、計48名。勝てばクラスのポイントになる。
俺は坂本と2人で参加し、くじ引きの結果見事にオニなった。この場合ルールは変則になっていて、オニは俺達2人。
流石に50名近くを相手に、1人で動いた人間を指名するのは難しいし小指1本で動いた人を繋ぐと下手すると骨折しそうだ。
そのため目を瞑ってセリフを言うのは俺、指の代わりに捕まえた人と手を繋ぐのが坂本になっている。
「じゅっ、10人越すと腕が抜けそうだ!」
手を繋いで長い列になった先で坂本が泣き言を言っている。
「がんばれ」
俺は適当に励ました。
それでも無理があったので、最終的に捕まえた人は地面に書いた檻の中に入ってもらい救援を待つ形に落ち着いた。
ドロケイ混じっちゃったよ。
てか試しにやってみなかったの?実行委員よ。
坂本の負担が減ったので俺達は順調に動いたヤツを確保していった。
だんだん顔がはっきり見えるほどに近づいてきた。ここからが正念場だ。
お決まりのセリフを言おうと壁を向いて顔を伏せたところで怒声が響いた。
「はちかいいい!お前こないだ俺が特活室でやってる事先生にチクったろおおお!」
「っだるまさんがころんだあああっ!!」
超早口で叫んで振り向いた。
「え?なになに?お前何やらかしたの?!」
「やらかしたのは俺じゃねぇ」
坂本に、やってたのはアッチだと説明する。
「いやアイツめっちゃ血走った目見開いてお前の事見てるけど!」
「しかも俺のセリフに合わせてわざわざ叫んでくるけどな!」
動いてオニに見つかったら負けになる。
でもこのタイミングで先日の俺の蛮行にいちゃもんつけてくる意味がわからん。
幸いまだ距離はあるのでそれまでになんとかしようと壁に向かった。
「だるまさんが」
「芹君!あんなヤツじゃなくって僕だけ見てよ」
蓮が乱入してきた。
お前!いきなり昼ドラ始めんな!
セリフの途中だったけど思わず振り向いたわ!
地面に書いた檻にいる女子達が一斉に立ち上がり携帯をかざしている。
「ちょ、何やってんの」
「おかまいなく~」
「蜂飼君はセリフ言わなくていいの?」
言うよ。言うけど!
「ホラ、蜂飼君が壁を向かないとあの2人動けないの」
「めっちゃおいしいわ~コレ」
「蜂飼君にも後でシェアしてあげるから!ほらセリフ!」
急かされて仕方なく
「ころんだ!」
と叫んで振り向いた。
芹が蓮に抱きつかれて地面に転がっている。お前らホント何やってんの?ゲームに集中しろ!
バカはほっといて続けよう。
「だるまさんがころんだ!ああああああ?!?!」
振り向いたら隣のクラスの浮葉に壁ドンされてたあ!!
コイツは最初っから要注意人物で、とにかく動きが静かでそのクセ猛烈に素早く近づいてきていた。来てたのは知ってたけどなんで壁ドン?!
「きゃあああ!」
黄色い歓声と共にシャッター音が鳴り響く。
「浮×蜂?!」
「蜂×浮よ!」
「え?じゃあ遠藤は?!」
「こないだのシャーペン忘れたのって蜂飼君だよね?」
「顔近い近い近い近い近い近い近い近い近い」
「わざわざ立田君を使ってまで邪魔したのってもしかして君も遠藤君の事好きなんじゃないか?」
「誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解」
「調べたけど2年生でシャーペン1本しか学校に持ってきてないような特殊性壁の持ち主は蜂飼君だけだったよ」
「うきはあ?!」
浮葉君何調べてんの?!
俺も坂本も浮葉にタッチされたらせっかく捕まえた生徒を解放しなければいけなくなる。
「ちょっと待ったああ!!」
そこへなんと立田がサッカーボールをドリブルしながら走ってきた。お前サッカー出るっていってたよな!試合は?!
後ろから同じくサッカーに駆り出されているハズの遠藤も走ってきた。
「立田あ!お前に浮葉は渡さん!!」
「ふおおおおお!!」
女子からどよめきが起こる。
「浮葉!蜂飼から離れろ!俺と蜂飼は付き合っている!」
「きゃああああ!」
その日何度目かもうわからん黄色い歓声が沸き起こった。
「え?何?お前ら付き合ってんの?ホントに?!」
坂本は混乱している。
「どっち?どっちから行ったの?!」
「俺だ!」
いやもう立田が男らしいのは分かったからちょっと黙っとけ。
「きゃあ!」
「蜂飼君は?!蜂飼君も好きって言ってくれたの?!」
立田が女子に囲まれて質問攻めにされている。
「、、、たぶん」
立田の要領を得ない返事を聞いてその場にいた全員が一斉に俺を見た。
タイミング良くチャイムが鳴り、スポーツフェスは実行委員と体育教師によって強制終了となった。
今、俺は秋の学校イベント、スポーツフェスで「だるまさんがころんだ」に参加している。
参加者は3学年8クラスからの代表2名ずつ、計48名。勝てばクラスのポイントになる。
俺は坂本と2人で参加し、くじ引きの結果見事にオニなった。この場合ルールは変則になっていて、オニは俺達2人。
流石に50名近くを相手に、1人で動いた人間を指名するのは難しいし小指1本で動いた人を繋ぐと下手すると骨折しそうだ。
そのため目を瞑ってセリフを言うのは俺、指の代わりに捕まえた人と手を繋ぐのが坂本になっている。
「じゅっ、10人越すと腕が抜けそうだ!」
手を繋いで長い列になった先で坂本が泣き言を言っている。
「がんばれ」
俺は適当に励ました。
それでも無理があったので、最終的に捕まえた人は地面に書いた檻の中に入ってもらい救援を待つ形に落ち着いた。
ドロケイ混じっちゃったよ。
てか試しにやってみなかったの?実行委員よ。
坂本の負担が減ったので俺達は順調に動いたヤツを確保していった。
だんだん顔がはっきり見えるほどに近づいてきた。ここからが正念場だ。
お決まりのセリフを言おうと壁を向いて顔を伏せたところで怒声が響いた。
「はちかいいい!お前こないだ俺が特活室でやってる事先生にチクったろおおお!」
「っだるまさんがころんだあああっ!!」
超早口で叫んで振り向いた。
「え?なになに?お前何やらかしたの?!」
「やらかしたのは俺じゃねぇ」
坂本に、やってたのはアッチだと説明する。
「いやアイツめっちゃ血走った目見開いてお前の事見てるけど!」
「しかも俺のセリフに合わせてわざわざ叫んでくるけどな!」
動いてオニに見つかったら負けになる。
でもこのタイミングで先日の俺の蛮行にいちゃもんつけてくる意味がわからん。
幸いまだ距離はあるのでそれまでになんとかしようと壁に向かった。
「だるまさんが」
「芹君!あんなヤツじゃなくって僕だけ見てよ」
蓮が乱入してきた。
お前!いきなり昼ドラ始めんな!
セリフの途中だったけど思わず振り向いたわ!
地面に書いた檻にいる女子達が一斉に立ち上がり携帯をかざしている。
「ちょ、何やってんの」
「おかまいなく~」
「蜂飼君はセリフ言わなくていいの?」
言うよ。言うけど!
「ホラ、蜂飼君が壁を向かないとあの2人動けないの」
「めっちゃおいしいわ~コレ」
「蜂飼君にも後でシェアしてあげるから!ほらセリフ!」
急かされて仕方なく
「ころんだ!」
と叫んで振り向いた。
芹が蓮に抱きつかれて地面に転がっている。お前らホント何やってんの?ゲームに集中しろ!
バカはほっといて続けよう。
「だるまさんがころんだ!ああああああ?!?!」
振り向いたら隣のクラスの浮葉に壁ドンされてたあ!!
コイツは最初っから要注意人物で、とにかく動きが静かでそのクセ猛烈に素早く近づいてきていた。来てたのは知ってたけどなんで壁ドン?!
「きゃあああ!」
黄色い歓声と共にシャッター音が鳴り響く。
「浮×蜂?!」
「蜂×浮よ!」
「え?じゃあ遠藤は?!」
「こないだのシャーペン忘れたのって蜂飼君だよね?」
「顔近い近い近い近い近い近い近い近い近い」
「わざわざ立田君を使ってまで邪魔したのってもしかして君も遠藤君の事好きなんじゃないか?」
「誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解誤解」
「調べたけど2年生でシャーペン1本しか学校に持ってきてないような特殊性壁の持ち主は蜂飼君だけだったよ」
「うきはあ?!」
浮葉君何調べてんの?!
俺も坂本も浮葉にタッチされたらせっかく捕まえた生徒を解放しなければいけなくなる。
「ちょっと待ったああ!!」
そこへなんと立田がサッカーボールをドリブルしながら走ってきた。お前サッカー出るっていってたよな!試合は?!
後ろから同じくサッカーに駆り出されているハズの遠藤も走ってきた。
「立田あ!お前に浮葉は渡さん!!」
「ふおおおおお!!」
女子からどよめきが起こる。
「浮葉!蜂飼から離れろ!俺と蜂飼は付き合っている!」
「きゃああああ!」
その日何度目かもうわからん黄色い歓声が沸き起こった。
「え?何?お前ら付き合ってんの?ホントに?!」
坂本は混乱している。
「どっち?どっちから行ったの?!」
「俺だ!」
いやもう立田が男らしいのは分かったからちょっと黙っとけ。
「きゃあ!」
「蜂飼君は?!蜂飼君も好きって言ってくれたの?!」
立田が女子に囲まれて質問攻めにされている。
「、、、たぶん」
立田の要領を得ない返事を聞いてその場にいた全員が一斉に俺を見た。
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