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学校祭
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佐川先生に教室の鍵かけを任せて俺達は帰宅した。
立田とは無言で駅まで歩いた。同じ駅を利用しているらしい。
「蜂飼君、眉間にシワよってるけど大丈夫?」
「いや、まあ、うん」
人生初の生々しい場面に遭遇し、俺は衝撃を受けていた。
ドラマとか映画とかと全然違うんですけど、、、
え?キスってあんな音するもんなの?
誰かと付き合った事もなければ経験も一切ない俺には何が正しいのか全然分からない。
せんせー!資料が足りませーん。
これまでのお世話になった系の記憶をたぐっても、静止画像か2次元くらいしか思い出せない。
それにそーゆーのを利用する時は全然関係ない曲流れてる気がする。
単純に衝撃を受けてるだけなんだけどそれを初対面の立田に言うのも違う気がしてずっと黙って駅まで歩いた。
数日後、俺はまたもや窮地に陥っていた。
冷たい床の上を制服のまま仰向けに寝転んで、踵を使ってジリジリ頭の方へと移動している。
いわゆる背這いというやつだ。
なんでそんな事になっているかというと、教室にシャーペンを忘れたからだ。
明日は学校祭で俺のクラスはパルクールの超簡易版を用意していた。
障害物になるよう床を底上げして割と頑丈な板が貼ってある。学校から帰る時、例のシャーペンを自分の机の中に置き忘れていることに気がついた。
「じゃあ俺ら校門のあたりで待ってるわ」
一緒に帰っていたクラスメートが外で時間を潰してくれるというので走って教室に戻る。
自分の机は教室のかなり奥に置かれている。パルクールを普通にこなすか床下を潜って最短で進むか。疲れていた俺は床下を選択した。
うつ伏せで匍匐前進するにはあまりに埃っぽい。ウォータースライダーの要領で仰向けになり両手をバンザイする。気持ちガニ股になりながら踵で床を押すと体はズリズリと頭の方に押し出された。
自分の机まで辿り着き無事にシャーペンを手に入れまた元の道を戻ると床の真ん中あたりで誰か教室に入ってきた。それも2人。前の奴らとは声が違うがまたもや男2人組で、「よそのクラスでこんな事」とか言いながらもイチャつきだした。話し声や生々しい音とともに即席の床がガタガタゆれる。
ねえ、この音は今どの辺の進行具合なんでしょうか?叫んでいい?
もしくは床を蹴り上げてもいいですか?
なんで連チャン。
トリガーはシャーペンか?
シャーペン取りに戻ると必ず発生するイベントなのか?
しかも入ってきたところのドアをご丁寧に閉めてある。ふざけんな。入り口ギリギリまで床は設置してあるんだよ!
3、2.、1ハイで叫ぶ決心をして心の中で3!と数えたところで外から誰かが「俺シャーペンわすれたー!」と言いながらドアをガタガタ揺らす音がした。立田の声だった。
ドアはご丁寧に内側から鍵をかけてあったらしい。
「職員室に鍵とりに行ってくるわー」という声とともに立田の走り去る音がする。床の上の2人は慌てて身支度を整えるとドアを開けて飛び出して行った。
今のうちに、と焦る俺の手を、こっそり戻ってきた立田が引っ張って床下から引きずりだしてくれた。
「マジ助かった!」
立田は俺が入ってった教室に手を繋いだ二人組が入り込むのを偶然見かけて、中をのぞいてくれたらしい。
「もうシャーペン取りに戻るのやめたら?」
「そうする」
予備でもう一つ同じの買うわ。
門のところではクラスメートが約束通り、律儀に俺の戻りを待ってくれていた。
「なんか爆発でもした?コントみたいな髪型になってるけど」
「爆発してねーよ」
仰向けで床に寝転がって這いずり回ったせいで髪はぐしゃぐしゃで全身埃まみれだ。そんな俺の様子を見て、待っていた1人がつっこんだ。
みんなが俺の髪を直して埃を払ってくれた。立田も一緒になって俺の背中をはたいた。
立田とは無言で駅まで歩いた。同じ駅を利用しているらしい。
「蜂飼君、眉間にシワよってるけど大丈夫?」
「いや、まあ、うん」
人生初の生々しい場面に遭遇し、俺は衝撃を受けていた。
ドラマとか映画とかと全然違うんですけど、、、
え?キスってあんな音するもんなの?
誰かと付き合った事もなければ経験も一切ない俺には何が正しいのか全然分からない。
せんせー!資料が足りませーん。
これまでのお世話になった系の記憶をたぐっても、静止画像か2次元くらいしか思い出せない。
それにそーゆーのを利用する時は全然関係ない曲流れてる気がする。
単純に衝撃を受けてるだけなんだけどそれを初対面の立田に言うのも違う気がしてずっと黙って駅まで歩いた。
数日後、俺はまたもや窮地に陥っていた。
冷たい床の上を制服のまま仰向けに寝転んで、踵を使ってジリジリ頭の方へと移動している。
いわゆる背這いというやつだ。
なんでそんな事になっているかというと、教室にシャーペンを忘れたからだ。
明日は学校祭で俺のクラスはパルクールの超簡易版を用意していた。
障害物になるよう床を底上げして割と頑丈な板が貼ってある。学校から帰る時、例のシャーペンを自分の机の中に置き忘れていることに気がついた。
「じゃあ俺ら校門のあたりで待ってるわ」
一緒に帰っていたクラスメートが外で時間を潰してくれるというので走って教室に戻る。
自分の机は教室のかなり奥に置かれている。パルクールを普通にこなすか床下を潜って最短で進むか。疲れていた俺は床下を選択した。
うつ伏せで匍匐前進するにはあまりに埃っぽい。ウォータースライダーの要領で仰向けになり両手をバンザイする。気持ちガニ股になりながら踵で床を押すと体はズリズリと頭の方に押し出された。
自分の机まで辿り着き無事にシャーペンを手に入れまた元の道を戻ると床の真ん中あたりで誰か教室に入ってきた。それも2人。前の奴らとは声が違うがまたもや男2人組で、「よそのクラスでこんな事」とか言いながらもイチャつきだした。話し声や生々しい音とともに即席の床がガタガタゆれる。
ねえ、この音は今どの辺の進行具合なんでしょうか?叫んでいい?
もしくは床を蹴り上げてもいいですか?
なんで連チャン。
トリガーはシャーペンか?
シャーペン取りに戻ると必ず発生するイベントなのか?
しかも入ってきたところのドアをご丁寧に閉めてある。ふざけんな。入り口ギリギリまで床は設置してあるんだよ!
3、2.、1ハイで叫ぶ決心をして心の中で3!と数えたところで外から誰かが「俺シャーペンわすれたー!」と言いながらドアをガタガタ揺らす音がした。立田の声だった。
ドアはご丁寧に内側から鍵をかけてあったらしい。
「職員室に鍵とりに行ってくるわー」という声とともに立田の走り去る音がする。床の上の2人は慌てて身支度を整えるとドアを開けて飛び出して行った。
今のうちに、と焦る俺の手を、こっそり戻ってきた立田が引っ張って床下から引きずりだしてくれた。
「マジ助かった!」
立田は俺が入ってった教室に手を繋いだ二人組が入り込むのを偶然見かけて、中をのぞいてくれたらしい。
「もうシャーペン取りに戻るのやめたら?」
「そうする」
予備でもう一つ同じの買うわ。
門のところではクラスメートが約束通り、律儀に俺の戻りを待ってくれていた。
「なんか爆発でもした?コントみたいな髪型になってるけど」
「爆発してねーよ」
仰向けで床に寝転がって這いずり回ったせいで髪はぐしゃぐしゃで全身埃まみれだ。そんな俺の様子を見て、待っていた1人がつっこんだ。
みんなが俺の髪を直して埃を払ってくれた。立田も一緒になって俺の背中をはたいた。
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