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特別教室に筆記用具を忘れてきた。
お気に入りのシャーペン。あー、くっそだるい。
お気に入りすぎてその一本しか今はシャーペンがない。そのため放置もできず放課後に特別教室に戻った。使ってた台に見当たらなかったので這いつくばって探した。
そしたらなんと男同士のカップルが俺に気が付かず部屋に雪崩れ込んできてキスし始めた。
いや、びっくりした。
2人は止める間もなく盛り上がった。
お互い制服を脱いだりたくしあげたりしながら事に及ぼうとしている。
今俺が見つかったら修羅場確定。俺は速やかに部屋から退散する事に決めた。
椅子の脚の影に隠れてたお気に入りのシャーペンもみつけたのできっちり回収し、匍匐前進で教室の後ろの出入り口を目指した。
俺もその2人も教室の前の出入り口から入った。2人は教壇寄りの窓際のカーテンあたりで盛り上がっている。
残念なことに後ろの出入り口は鍵がかかったままだった。
「芹くん鍵開いてる、、、」
キスしてた1人が突然しゃべった。
入ってきたドアに鍵がかかってない事に気がついたらしい。それは俺が教室出てから気づいて欲しかったわ。
「蓮ってそーゆーの気にするよね」
普通だろ。普通は気にするわ。てか学校でこんな事してんじゃねーよ。
笑いながら芹くんと呼ばれた子がそれでも大股で教室の前の出入り口のドアをキッチリ締め直し鍵を掛けた。
どうする俺?!
タイミングとしてはもうこの機会を逃したら止まらないやつだ。
これ以上盛り上がったところで声かけようもんなら高速バスで本来なら止まる予定のないパーキングにお願いして止まってもらうくらいには気まずい。いや、気まずいとかのレベルじゃない。トラブる未来しか見えない。
思い切って立ちあがろうとしたら風が吹いたのか教室の前方に併設されてる準備室のドアがガタガタガタッと音を立てた。2人とも息を潜めて様子を伺っている。俺も釣られて伏せた。何やってんの俺。
「びっくりしたー」
「あはは。ヤバい」
気が削がれて止めるのかと思ったら再開した。
もういいや。普通に立ちあがろう。
それで歩いて教室を出よ。
アホらしくなって立ちあがろうとしたら足を掴まれて引っ張られた。
ぎょっとして振り向いたら教室の後ろにも併設されてる準備室のドアを半分開けて屈んで身を乗り出している奴が俺を引っ張ってくれている!!
俺と目が合うと人差し指を口に当ててしーっと言う仕草をする。俺もコクコク頷いた。
準備室に救出してもらい、そこから廊下に出る。俺はお礼もそこそこにそいつの手を引っ張ってさらに後方にある階段へと向かいながら叫んだ。
「せんせーーーー!!特別教室でーーーエロい事してる人がいまーーーす!!」
階段は教室の前方にもある。
教員がどこから来るのか分からなかったがとりあえず後方の階段を半分上がった踊り場で息を潜める。
教室の中からガタガタ音をさせながら2人が飛び出すのが分かった。2人は前方の階段に向かったようだった。
下の階から佐川先生がヒイコラ言いながら階段を上がってきた。
佐川先生は若いけどいかにも運動神経のなさそうなヒョロガリでとてもあの2人に追いつけるとは思えない。
俺は仕方がなく踊り場から出て「もう逃げちゃいましたよ」と伝えた。
助けてくれた人には「せっかくきてくれた先生にその顔はないんじゃないの?」と突っ込まれた。
だってさぁ。俺としては体育教師か生活指導の先生にきて欲しかったんだよ。
佐川先生にも苦笑された。
俺を助けてくれたのは隣のクラスの立田という奴だった。
「蜂飼君忘れ物?」
「そ、シャーペン。立田君は?」
「俺は準備室にプリント持ってきたんだ」
「そーなんだ。とにかく助かったわ。ありがと。」
お気に入りのシャーペン。あー、くっそだるい。
お気に入りすぎてその一本しか今はシャーペンがない。そのため放置もできず放課後に特別教室に戻った。使ってた台に見当たらなかったので這いつくばって探した。
そしたらなんと男同士のカップルが俺に気が付かず部屋に雪崩れ込んできてキスし始めた。
いや、びっくりした。
2人は止める間もなく盛り上がった。
お互い制服を脱いだりたくしあげたりしながら事に及ぼうとしている。
今俺が見つかったら修羅場確定。俺は速やかに部屋から退散する事に決めた。
椅子の脚の影に隠れてたお気に入りのシャーペンもみつけたのできっちり回収し、匍匐前進で教室の後ろの出入り口を目指した。
俺もその2人も教室の前の出入り口から入った。2人は教壇寄りの窓際のカーテンあたりで盛り上がっている。
残念なことに後ろの出入り口は鍵がかかったままだった。
「芹くん鍵開いてる、、、」
キスしてた1人が突然しゃべった。
入ってきたドアに鍵がかかってない事に気がついたらしい。それは俺が教室出てから気づいて欲しかったわ。
「蓮ってそーゆーの気にするよね」
普通だろ。普通は気にするわ。てか学校でこんな事してんじゃねーよ。
笑いながら芹くんと呼ばれた子がそれでも大股で教室の前の出入り口のドアをキッチリ締め直し鍵を掛けた。
どうする俺?!
タイミングとしてはもうこの機会を逃したら止まらないやつだ。
これ以上盛り上がったところで声かけようもんなら高速バスで本来なら止まる予定のないパーキングにお願いして止まってもらうくらいには気まずい。いや、気まずいとかのレベルじゃない。トラブる未来しか見えない。
思い切って立ちあがろうとしたら風が吹いたのか教室の前方に併設されてる準備室のドアがガタガタガタッと音を立てた。2人とも息を潜めて様子を伺っている。俺も釣られて伏せた。何やってんの俺。
「びっくりしたー」
「あはは。ヤバい」
気が削がれて止めるのかと思ったら再開した。
もういいや。普通に立ちあがろう。
それで歩いて教室を出よ。
アホらしくなって立ちあがろうとしたら足を掴まれて引っ張られた。
ぎょっとして振り向いたら教室の後ろにも併設されてる準備室のドアを半分開けて屈んで身を乗り出している奴が俺を引っ張ってくれている!!
俺と目が合うと人差し指を口に当ててしーっと言う仕草をする。俺もコクコク頷いた。
準備室に救出してもらい、そこから廊下に出る。俺はお礼もそこそこにそいつの手を引っ張ってさらに後方にある階段へと向かいながら叫んだ。
「せんせーーーー!!特別教室でーーーエロい事してる人がいまーーーす!!」
階段は教室の前方にもある。
教員がどこから来るのか分からなかったがとりあえず後方の階段を半分上がった踊り場で息を潜める。
教室の中からガタガタ音をさせながら2人が飛び出すのが分かった。2人は前方の階段に向かったようだった。
下の階から佐川先生がヒイコラ言いながら階段を上がってきた。
佐川先生は若いけどいかにも運動神経のなさそうなヒョロガリでとてもあの2人に追いつけるとは思えない。
俺は仕方がなく踊り場から出て「もう逃げちゃいましたよ」と伝えた。
助けてくれた人には「せっかくきてくれた先生にその顔はないんじゃないの?」と突っ込まれた。
だってさぁ。俺としては体育教師か生活指導の先生にきて欲しかったんだよ。
佐川先生にも苦笑された。
俺を助けてくれたのは隣のクラスの立田という奴だった。
「蜂飼君忘れ物?」
「そ、シャーペン。立田君は?」
「俺は準備室にプリント持ってきたんだ」
「そーなんだ。とにかく助かったわ。ありがと。」
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