悪役と呼ばれる推しを幸せにするために応援します!

冬月紫音

文字の大きさ
上 下
24 / 36

とりあえずのご挨拶。

しおりを挟む
あの後私は一応後頭部を打ったということでお医者様を呼ばれ、診察された。

特に異常は無いようで、まぁたんこぶは出来るかもしれないそうだ。

その調べ方も魔法らしく、スゴい!と思いながら見ていた。

この騒ぎを知ったエマは隣の家に文句を言ってくると言って隣の家に殴り込みに行こうとするし、ルディも相変わらず怒っていて一緒に行きましょうという始末。

とりあえず2人を止めはしたけど、両親には話がいったようだ。

たまたま家にいた両親は特に怒ることはなく、私の心配をして、とりあえず1日休むようにと言われた。

痛みだけで今日は健康だったのに急にベッド生活になり、ダラダラとしていた。

すると扉がノックされた。

「はい、どうぞ~。」

ダラダラしているとエマが怒るのでとりあえずベッドから上半身を起こす形で入ってくる人を迎えた。
中に入ってきたのは案の定エマだった。

「お嬢様にお客様です。どうされますか?追い返しますか?」
「え?」
「別に私的にはお会いしなくても良いと思いまして…。」

エマがそう言うと一気にエマの後ろにいるであろう人物が騒いでいた。

「わざとじゃないって言っただろ!お前の主人の客なんだから使用人が断るとかおかしいだろ!」
「言い過ぎよ!また怒られるわ!」

その声よ主を見るために振り返ったエマは

「やはり、うるさいですね。お嬢様は体調が優れません。お引き取り願う方が良いようですね。これが侯爵家の子だと思いません。どういう教育をされているのか…はぁ…。」
「お前使用人なのに俺たちに向かって偉そうだぞ!」
「私はあなた達の親に雇われてるわけではございません。主人の邪魔になるのならそれは排除すべきでしょう?」
「はぁ?」

どうもウマが合わないようだ。

「エマ、エマ。私な大丈夫よ。お会いするわ。せっかく来てくださったんだもの。」
「お嬢様…。かしこまりました。」

エマはそう言うと一旦扉を閉めた。

その一瞬で何が行われたのは分からなかったが、少し経った後、再び扉が開き、昨日の少年と少女が中に入ってきた。

2人の顔は相変わらず青ざめていた。
きっとそうなった原因はエマだろう。
一体何が行われたのか…。

「「失礼します…。」」

2人は入ってくるなり、とりあえず固まったまま何も話さなかった。
こういう時なんかルールがあったっけ?と思っていた。

「初めまして、私ブラック家の長男、ローレンスと申します。」
「初めまして、私はラズウェル家の長女、シャーリーンと申します。」

そう言ってローレンスは紳士の礼を、シャーリーンは淑女の礼をした。

一応私の方が位が高い為、2人は敬語で話した。

「初めまして、このような姿でごめんなさい。アタナシア家の一人娘であるルイーズと言います。どうぞ楽にしてください。」

そう言って頭を下げて挨拶をした。

「いえ、この度は大変申し訳ございませんでした。わざとでは無いのですが、アタナシア家に害をなしたと思われても仕方ありません。」
「本当に申し訳ございませんでした。」

2人の恐れ多い姿に複雑な気持ちだった。

正直この2人は前世でのゲームのキャラクターだ。
ローレンスはヒロインの攻略対象だき、シャーリーンはヒロインの友人の1人だ。
だからこそこんな幼い時期に会って、しかもこんなに恐れ多い態度をされるとどうしていいか分からない。
ゲーム内はヒロインの方が位が低いから最初から遠慮のないような話し方だったのだ。
だからこそ正直に言おうと思った。

「あの、今回の件、私は本当に気にしてないんです。」
「「え?」」
「確かに痛かったんですけど、子供のした事じゃないですか?まぁそういう私も子供ですし。だから先程の侍女や昨日私を抱えていた者ほど私は怒っていないんです。むしろ私の周りの人達がすごく怒ってしまってごめんなさい。」

そんなこと言われると思ってなかったのか2人ともキョトンとした顔をしていた。

「私からするとこうやって同世代の子に会えることの方が新鮮でむしろ嬉しいんです。ですから、またパーティーなどでお会いした時に少しでもお話出来れば私としては嬉しいです。」

そう言うとローレンスとシャーリーンは共に顔を見合わせた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】彼女は2回目の令嬢を辞めたい。

恋愛
公爵令嬢シーナは、前世が社長令嬢だったことを18歳の誕生パーティーで思い出す。 「そんな…また令嬢なんて、無理!」 社長令嬢としての煩わしさから解放されたと思ったら今度は公爵令嬢…シーナは絶望した。 シーナはなんとか令嬢から脱却したい。 目指すのはモブ!!平民として穏やかに暮らすの!! そんなある日、平民の青年ジェーンと出会い、シーナは一目惚れをする。 ※設定ゆるいです ※三話で完結です ※色々すっ飛ばして終わります

その女、女狐につき。

高殿アカリ
恋愛
最近よくある不良もの。 つまりは、そう、お姫様の腹黒親友のお話。 猫かぶり主人公、一体どこまで騙せるかしら? 楽しく愉快に、笑いましょう。 恋とか愛とか、馬鹿馬鹿しいわ。 欲しいのは、その権力。 欲しいのは、その地位。 一年前のあの日、 私は寵愛姫になることを誓った。 その女、 女狐につき。

【完結】あなたに叶えて欲しい、願いごと

白雨 音
恋愛
熱病から目覚めたシャーリーは、忘れていた十歳の頃の記憶を思い出した。 妖精の女王と契約を交わした事で、自分の命は二十歳で尽きる…と。 残り二年も無い中、シャーリーが望むのは、婚約者との一日も早い結婚だったが、 婚約者は見舞いにも来てくれない… そんなシャーリーの支えは、家族、親友、妖精の友、話相手になってくれる医師、 そして、誰からか分からないが、送られてくる花だった___ 異世界恋愛:前日譚(ラウル)、本編(シャーリー)、後日譚 《完結しました》

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

もしもゲーム通りになってたら?

クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら? 全てがゲーム通りに進んだとしたら? 果たしてヒロインは幸せになれるのか ※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。 ※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。 ※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。

婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~

華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。 突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。 襲撃を受ける元婚約者の領地。 ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!! そんな数奇な運命をたどる女性の物語。 いざ開幕!!

悪役令嬢ってこれでよかったかしら?

砂山一座
恋愛
第二王子の婚約者、テレジアは、悪役令嬢役を任されたようだ。 場に合わせるのが得意な令嬢は、婚約者の王子に、場の流れに、ヒロインの要求に、流されまくっていく。 全11部 完結しました。 サクッと読める悪役令嬢(役)。

処理中です...