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冬月紫音

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ついに王都へ行くのです!?

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ついにこの日が来ました…。

朝早くから支度が大変でした。

貴族ということと遠い所から向かうということで荷物もおおいのですが、今回私が王都に向かうということでより荷物が増えたのです。

まぁ足りないものはあちらで揃えるとのことなんですが、今は青の月。
だからこそ外は非常に寒い。
最近この領地内でも雪がチラつくこともあった。
私はそんな時期に外に出なければならない。

今まではずっと部屋の中で体力を付けようと歩行訓練したり、社交界で恥をかかないようにヒールで歩く練習や最近ではダンスの練習までしていた。

まぁダンスの練習は程々にしか体力がもたない為しなかったのだが、ダンスを教えてくれた先生曰く筋が良いとのこと。

まぁ人のダンスすら見たことない私にとっては意味がわからないのだけど…。

でも最近では1曲だけならなんとか踊れるようになったのだ。
私も体力がついたと思う。

これで無茶をするとまたエマに叱られるのでしないように心掛けてはいる…。

そんな私でも寒い外には出たことがないのだ。

なのに出なければならない。

なおかつ、馬車による長旅だ。

ルディ以外にもちろん辺境伯家の護衛も付くのだが、なんせ王都まで遠いのだ。

なんと約2週間かかるらしい…。

ずっと馬を走り続けさせられないから途中休憩も挟むのでそれぐらいかかるそうだ。

いやいや、私行くの無理でしょ…。

そう思ってそれとなくエマに伝えてみたが、エマは
「お嬢様、何事も経験なのですよ?」
と笑顔で言われて何も言えなくなった。

そして今日から出発するのだが、今家の門まで連れてきてもらった。
そこまでは今から体力を消耗する訳にはいかないということで、お父様が抱っこして運んでくれた。

いやー、めちゃくちゃ寒い。
顔が痛い。
風で髪が凍ってるんじゃないかというぐらい寒い。
初めての青の月の外出、辛いものとしか考えられない。

お父様に抱っこしてもらっているので幾らかはマシだがそれでも外に出ている部分は寒すぎる。

横でお腹が少し大きくなっていたお母様も歩いているのだが、正直両親ともに全然平気そうだ。

慣れなのか!?と思った。

一応王都に行くにつれて少しずつ寒さはマシになるらしい。

私は両親に比べてめちゃくちゃ重装備で、何枚コートやドレスを着させられるんだろうと思っていたのだが、理由が十分分かりながら門のところで私達が乗る馬車を待っていた。

「はぁ~。」
ついついしんどいと思ってしまいため息が出てしまった。

「大丈夫かい?ルゥ?」
「はい…お父様。」
「どうかした?」

お父様は私の顔を覗き込んでくる。

「いえ、なんでも…」
「何でもないわけないよね?」
「う…」
「ほらどうしたの、ルゥ?」
「うぅ…。」

その様子に気づいたお母様も心配してくれた。

「どうかしたの、ルゥ?調子悪い訳ではなさそうね?」

お母様もお父様の近くに来て顔を覗き込んでくれた。

最近2人とも王都に行く準備で忙しくて3人揃ってご飯を食べることが減っていた。

だからこうして3人揃うことは嬉しい。

「寒くて…。」
「それだけじゃないだろ?」
「うぅ、久々の、3人なのに寒くて何にもお話出来てない…。」
「ルゥ…。」
「これだけ寒いとは思ってなったから、絶対体調崩すと思うの…。多分だけど、王都に着くまでに何度かあると思う…。そうしたらお話出来なくなる…。でも寒くて上手く話せない…。」

そう言うとお父様は私を抱きしめていた腕を強くしてくれた。

「そんなことないよ。それに今回の旅はルゥの為にお父様は一生懸命計画立てたんだよ?」
「そうなの?」
「そうだよ!なかなかルゥは屋敷の外に出ることないだろう?まぁあんまり出ることはルゥが健康であっても許せないんだけど、でもせっかく出るんだからなるべく景色のいい所を見せてあげたいって思って一生懸命父様は計画を練りに練ったんだよ?」
「そうよ~。あなたの父様はルゥの笑顔が見たくて一緒にご飯食べるのも我慢してたんだから。それに今回の旅は母様も楽しみなのよ。どの道を通るのか母様にも教えてくれなかったのだから。だからルゥと一緒でドキドキよ?」
「お母様もドキドキ?」
「えぇ。それに体調は崩しても全然大丈夫よ?馬車の中だけど、家にいるよりあなたのそばに入れるわ。家だと私自身もすることがあるからあなたに付きっきりになりたくても出来ないことが多かったけど、この旅ではずっと父様も母様も一緒よ?」
「わぁ!それは嬉しい!」
「でしょ?私達もなかなか仕事でずっとそばにいてあげられないルイーズのそばに入れて嬉しいのよ。」

そう言って3人で話していると私達が乗る馬車が来た。

馬車は私達3人が乗るもの、使用人たちが乗るもの、荷物を乗せるものと3種類あるのだが、馬車の数は非常に多い。

馬車の周りには馬に乗っている護衛もいたりとほんとに多い。
そして私達が乗る物はどの馬車よりも豪華だった。

「さぁ、ルゥ馬車に乗って王都まで冒険しよう!」

そう言ってお父様に抱っこされながら馬車に乗り込んだ。

馬車自体は既に温められていて、暖かいと感じながら、お父様から離れ椅子に座った。
そうして私たちは王都へ向かった。
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