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一章 ゲーム開始

015 入学

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「さて…父上、行ってきます」
「ああ、気をつけてな」

 いよいよ入学式の日となった。ただ入学時点でゲームとは違うことも数多くある。
 例えば、公爵家は悪役ではないが、それどころか今では右腕の宰相に次ぐ国王の左腕となって働いている。
 更に、入学時の成績では、第三王子が1位、宰相が2位、そしてリーフェル・レオンハルトが3位という結果だったが、この時点で俺は入試問題では、歴史学、経理学、魔法学が筆記、武術、魔法、補助が実技となっているが、その全てを受け、全て満点で首席合格をした。

「…やぁ、リーフェル君」
「はじめまして、ルーカス・アルケイド第三王子」
「ルーカスと呼んでくれて構わないよ」
「そうですかでは、ルーカス様と」
「様も要らないよ。それに、敬語も要らない」
「…分かった、これでいいか?」
「うん。それにしても、まさか学園初の満点での首席合格なんてね」
「カンニングや不正を疑っているなら、直ぐにやめておいた方が良い。立証することができるからな。というか、既に学園長には立証しているし」
「うん、それは大丈夫。疑っていないよ。それにしても、入学まで会わないとは思わなかったよ。公爵家だから、直ぐに貴族の場で会うと思っていたんだけどね」
「特例措置として、貴族の務めを免除してもらっているからな。ああそれと、首席は確かに俺だが、入学式で挨拶をするのはルーカスだからな」
「…え、そうなの?」
「ああ。そもそも俺は入学式には出ないからな。学園長に呼ばれていて、別のところに向かわないといけないんだ」
「えぇ!?あ、挨拶をすぐに考えなくちゃ!」
「ほら、台本は書いてある。まだ1時間はあるから、これを覚えれば良い」
「あ、ありがとう!」
「じゃ、あとは頑張れ」

 俺はルーカスと別れたあと、学園長室へと転移した。

「…さて、俺を呼んだのはなんの用だ?」
「いやなに、聞きたいことがあっただけじゃ。お主の頭脳ならば、学園に入学する必要はないじゃろう。しかし、なぜ態々入学をしたのじゃ?」
「貴族だからだ。とはいっても、用件が済んだら授業免除でもしてもらうと思うがな」
「ふむ…卒業資格だけ欲しいということかの?ならば、直ぐに卒業資格を与えることもできるが…」
「図書館の知識が欲しいからな。それらを全て読み終え、未来を改変したら卒業資格でも獲得しよう」
「そうか。ならばそれで良い。しかし、入学している間はその力を少し借りても良いかの?」
「ああ、問題ない。だが、その代わりに俺が欠席しても進学できる程度に出席扱いにして欲しい」
「それは別によいが…なぜじゃ?」
「こう見えても忙しくてな。冒険者ギルドではSランク冒険者、架縁商会では商会長をしているんだ」
「架縁商会!?ま、まさか本当に商会長なのか!?」
「おおぅ…ビックリした、急にどうしたんだ」
「どうしたもこうしたも…架縁商会が開発したものはどれも世界の常識を覆すような物ばかりなのじゃ!魔道具を開発すればそれらは魔法の現状の理論を遥かに上回る。そのようなものを開発しているのは商会長という噂はあったが、商会長の顔を知っているのは商会メンバーの中でも、創立メンバーの者達のみと言われている程なのじゃぞ?」
「そ、そうか」
「のぅ…良ければで良いのじゃが…武術でも魔法でも構わぬ、メンバーを1人貸してくれぬか?」
「とはいっても、商会の商品を開発したのは俺だし、武術の方は…うーん、1人は連れてきているが、獣人だぞ?」
「この学園にも獣国の者が数多く来ているし、今では獣人に対する忌避はほぼなくなりつつある」
「まぁ、聞いてはみるよ。だが、住む場所は俺の部屋になる。そこは譲れないが、変な噂が立つのも困る」
「そこはこちらから説明しよう」
「まぁ、それなら良いか。よし、ちょっと待っていてくれ。«空間魔法:転移門»」
「…おわぁっ!?あ、主か。いきなり開くなよ!びっくりするじゃねぇか!」
「すまんすまん。ヴァル、お前学園の教師をやってみないか?」
「教師だぁ?俺は大した知識は持ってねぇぞ」
「武術実技の授業だ」
「実技ねぇ…主は俺が教師をしたら嬉しいか?」
「さぁな。特にそう言ったことは考えていないが…まぁでも、学園の間もお前に会えるのは嬉しいだろう」
「よし、じゃあその話受けるぜ」
「わかった」
「…も、もう話しても良いかの?」
「あ?ああ、大丈夫だが…」
「お主、本当に何者なのじゃ?空間属性なぞ、数える程しか持っていない属性だというに…」
「俺は全属性使えるぞ?」
「化け物じゃな」
「それより、ヴァルの教師就任はいつ話すんだ?」
「入学式の時で良いじゃろう。教師のところに説明のためにも、お主もヴァルと共に来てくれんかの?」
「折角だ。魔法で演出でもしてやろうか?」
「…む、それは少しばかり嫌な予感がするの」
「なら、やめておこう。まぁ、その話はわかった。ヴァル、着替えてこっちに来てくれ」
「ああ、わかった」
「…うん?お主、ずっとそれを維持していて魔力は大丈夫なのか?」
「これくらいなら回復量の方が早いからな。まぁ、戦闘になれば流石に無理だろうが…
こういった落ち着いた場での魔法行使なら、落ち着いて制御ができるからな。必要最低限に魔力を抑えられる」
「むぅ…儂でも真似は出来んぞこれは」
「魔力制御能力を高めればいけると思うぞ。後は魔法陣の改良とか」
「っし、準備できたぜ」
「…それで行くのか?」
「あ?いつもこの格好じゃねぇか」
「…学園長、少し後ろを向いておいてくれ。あと、耳も閉じてくれ」
「む?ああ、わかった」
「…ヴァル、その姿は俺と居る時だけにしろ。他のものには見せたくない」
「あ?そ、そうか?じゃあ、他の服でも着るか」
「俺が選ぼう」
「お、そうか?なら任せるか」

暫くして、ヴァルの服装が決まり転移門を通って2人とも学園長室に戻ってきた。

「学園長、もう大丈夫だ」
「うむそれじゃあ、共に行こうか」
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