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14話
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フェリシテの気配はそのまま森の奥の滝の方へと向かっていた。
この森、本当不思議なもので、どう考えても辻褄の合わない大きさの滝がある。
ライと二人で滝の側に行くと、滝の側で座っているフェリシテを見つけた。
ライには少し離れたところに居てもらい、俺はわざとらしく足音を立てて近づいていく。
フェリシテは近づいてくる俺を振り返って近づいているのが俺だと確認するとまた滝の方を見る。
「よっこらせっと」
俺はどこぞのじーさんみたいなことを口にしながらフェリシテの横に座る。
「連れ戻しに来たんですか?」
「ん?違うよ。俺的にはどっちでもいいかな。どちらかというと何とも気にかかるし乗り掛かった舟だし?」
しかしそれにしても気にかかるな。本当はマナー違反でもあるんだが……。疑問を晴らしたいのもあって俺は、フェリシテのステータスを覗き見る。
おや?妙だな、見放されているのであればスキルの精霊術師は消えるよな。それにこの称号って……こいつ称号持ちなのか驚いたな。
「あのさ、フェリシテって昔、小さい頃にでも、大精霊に会ったことってないか?」
「え?小さい頃に?」
なんで俺がそんなことを聞くのか、それはこいつの称号に理由があった。
「なんか心当たりはないのか?」
「いえ……たしか小さい頃はよくここに遊びに来ていて……あ、そうだここであの子に会ったのだわ」
おや?何だこの回想シーン突入の気配は。
回想
~フェリシテ~
そうあの子はいつもここにいて、私がここに来るたびに声をかけてきた。私は精霊とは仲よくできたけど、森の仲間とはあまり仲が良くなるのは得意ではなかった。
精霊の乙女の再来とか言われてしまい、嫉妬だの妬みだの、大人たちからは畏怖の念で視られたりと、少し居心地が悪かったのは確かだった。
そんな中ここに来るといつも白い歯を見せて楽しそうに笑う、同じ年くらいの女の子と出会った。
彼女の名前は……なんだったっけ……思い出せない。なんでだろうすごく大事なことのはずなのに。
それでその子と、あの日約束をしたのよ。なんの何の約束だった?
『あのさ、僕と……』
『え?変なのだって私とア……はもうトモダ……じゃない』
そう、そうだわ、私はあの日、彼女と約束を……そう。友達でいるという約束を。
脳裏に浮かぶのはあの日の事。二人で散々遊んで、日も暮れ始めたので、もう帰ろうとしたとき。また遊ぼう、友達でいようと指切りをした。
指切りは勇者が広めた約束の印。指を絡め合いお互いの名前を言った後、約束をした後指を離す。
あぁ……なんでこんな大事なことを私は忘れていたのだろう。そう……あの子の名前は……。
回想終わり
急に何かを呟き始めたかと思うと、フェリシテはまるでトリップでもしてるかのように目が虚ろになったまま宙を見ている。
なんかやべえな……。ん?今なんて言った??
『〇△$』
あ、これ人間の言葉じゃないな。しかもエルフ語でもない。オイ頑張れ俺の脳と知識! あぁこれはあれだ、古代精霊語だ。確かその意味は。
「そうあなたの名前はアルマ……アルマだわ!」
『やれやれ、やっと思い出してくれたんだね』
滝つぼが急に光りその光は俺たちの居るところまで一気に伸びてくる。気が付けば光の中には、見ようによっては何色にも見える髪をした、少女が立っていた。
この森、本当不思議なもので、どう考えても辻褄の合わない大きさの滝がある。
ライと二人で滝の側に行くと、滝の側で座っているフェリシテを見つけた。
ライには少し離れたところに居てもらい、俺はわざとらしく足音を立てて近づいていく。
フェリシテは近づいてくる俺を振り返って近づいているのが俺だと確認するとまた滝の方を見る。
「よっこらせっと」
俺はどこぞのじーさんみたいなことを口にしながらフェリシテの横に座る。
「連れ戻しに来たんですか?」
「ん?違うよ。俺的にはどっちでもいいかな。どちらかというと何とも気にかかるし乗り掛かった舟だし?」
しかしそれにしても気にかかるな。本当はマナー違反でもあるんだが……。疑問を晴らしたいのもあって俺は、フェリシテのステータスを覗き見る。
おや?妙だな、見放されているのであればスキルの精霊術師は消えるよな。それにこの称号って……こいつ称号持ちなのか驚いたな。
「あのさ、フェリシテって昔、小さい頃にでも、大精霊に会ったことってないか?」
「え?小さい頃に?」
なんで俺がそんなことを聞くのか、それはこいつの称号に理由があった。
「なんか心当たりはないのか?」
「いえ……たしか小さい頃はよくここに遊びに来ていて……あ、そうだここであの子に会ったのだわ」
おや?何だこの回想シーン突入の気配は。
回想
~フェリシテ~
そうあの子はいつもここにいて、私がここに来るたびに声をかけてきた。私は精霊とは仲よくできたけど、森の仲間とはあまり仲が良くなるのは得意ではなかった。
精霊の乙女の再来とか言われてしまい、嫉妬だの妬みだの、大人たちからは畏怖の念で視られたりと、少し居心地が悪かったのは確かだった。
そんな中ここに来るといつも白い歯を見せて楽しそうに笑う、同じ年くらいの女の子と出会った。
彼女の名前は……なんだったっけ……思い出せない。なんでだろうすごく大事なことのはずなのに。
それでその子と、あの日約束をしたのよ。なんの何の約束だった?
『あのさ、僕と……』
『え?変なのだって私とア……はもうトモダ……じゃない』
そう、そうだわ、私はあの日、彼女と約束を……そう。友達でいるという約束を。
脳裏に浮かぶのはあの日の事。二人で散々遊んで、日も暮れ始めたので、もう帰ろうとしたとき。また遊ぼう、友達でいようと指切りをした。
指切りは勇者が広めた約束の印。指を絡め合いお互いの名前を言った後、約束をした後指を離す。
あぁ……なんでこんな大事なことを私は忘れていたのだろう。そう……あの子の名前は……。
回想終わり
急に何かを呟き始めたかと思うと、フェリシテはまるでトリップでもしてるかのように目が虚ろになったまま宙を見ている。
なんかやべえな……。ん?今なんて言った??
『〇△$』
あ、これ人間の言葉じゃないな。しかもエルフ語でもない。オイ頑張れ俺の脳と知識! あぁこれはあれだ、古代精霊語だ。確かその意味は。
「そうあなたの名前はアルマ……アルマだわ!」
『やれやれ、やっと思い出してくれたんだね』
滝つぼが急に光りその光は俺たちの居るところまで一気に伸びてくる。気が付けば光の中には、見ようによっては何色にも見える髪をした、少女が立っていた。
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