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5話
しおりを挟む「正直うざい……」
それが感想。
城に来てからというものここしばらく、俺より強い奴に会いに行く奴らからの対戦申し込みが多すぎる。
ここはあれか? 渋谷や中野の格闘ゲーム対戦好きの集まるゲーセンか? 俺はなるべくなら一人プレイで楽しみたいんだよ。
「っと、考えると……対戦台に座っている俺が悪いか?」
まぁそう考えれば合点も行くよな。そりゃ対戦台座ってりゃ次から次へと、かむひあーうぃずにゅーちゃれんじゃーするわな。そこで一つの結論にたどり着く。
「出よう……早急に!」
決心した俺は城からの脱出をすることにする。城からの脱出はそんなに難しいことじゃない。別に拘束されているわけでもないし、
直ぐに出ることは可能。まぁ強いてあげれば、世話になったお姫様や王様にはちょっと心苦しく感じないこともないことくらいだ。そこは致し方ない、お手紙でも書いておけば良かろう。うん。
何度目かのお茶会のあたりで俺はさりげなく姫様に、そろそろ、ここを出ないといけませんねと伝える。 魔王はいつまでも待っているわけでもないだろうから……とね。色々察してくれたお姫様は残念そうな顔をしている。
そういや、俺にコテンパンにやられた貴族の坊ちゃまは、俺への復讐を考えていたようだ。
更に俺のことを快く思っていない、大臣の一部が加担し、俺を偽物の扱いにしようとしている……らしい。つまらぬことを考えるなぁ……。あ、これはお茶会で仲良くなった貴族のお嬢様がそっと教えてくれた。
「はぁ……器の小さきことで……」
「お気をつけくださいね勇者様」
彼女の名前は何だったかなぁ……なんとかかんとか、カトリーヌさんだったっけかな。
貴族のどの位置の方とか、正直もう覚えられないんだよなぁ、多すぎちゃってさ。
「ありがとうございます。とても助かりますよ」
「いえ……そんな(ぽっ)」
勇者パワーで歯を光らせて、目もキラーンとしとく。なんだろうねぇ……場末の役者みたいだ。
だがどういうわけか効果は覿面だ。カトリーヌさんの目にはハートが映り、勇者を密かに助けた貴族の女性としてだろうかいい感じで悦に入ってくれている。あれか? この力ヒュプノス効果でもあるのか?
さて、そんなこともあり、面倒ごとは減らしてからの良いだろうと、そこから数日の間に、お馬鹿な坊ちゃま騎士と悪大臣の企みと過去の悪事を調べ上げる。だいぶ色々とお話をしてくれていたので、録音魔法で録音、そして録画もして、貴族のご令嬢とお姫様にプレゼントに忍ばせてさしあげることにする。
「姫様、これは私からの細やかな贈り物です。中にはとても楽しいものが入っています。これの解放は今から3日後、是非国王様と一緒にお楽しみください」
「まぁ……何かしら。今すぐに見てはいけないのかしら?」
「これには高度な時空魔法がかけてありまして、3日後に王様も含め皆さまでご覧になると最高の状態になるようになっているのです」
「まぁ……それは楽しみですわ……」
では、これにてとお茶会を抜け、同じようなものを世話になったからと言って、カトリーヌ他にも渡しておく。姫様のまぁ……には、貴族の娘が知っていることくらいは、存じてますのよ? といった意味でも含まれていたのかもしれないな。
「さて、迎撃態勢良しと、ではおさらばしますか……」
その日の昼頃、俺は普通に城を出て、街に行き。そのまま姿を変えて王都を抜けて出た。
「あばよ~~ってなもんだなww」
そして、第一話に戻るわけだわな。
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