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第一章 枯れそうな花
第二話 叶える願い
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何となく歩いている。あてもないとはまさに言ったものだ。荒野は続くよどこまでも……。やれやれだ。時折砂ぼこりが舞うと、咳が出る。死なないとか言ってたけど色々影響だけは出るみたいだ。
神様は願いを叶えろと言っていたが、そもそも願っている人をどうやったら見つけられるのだろう。ため息が出てきて、急に後悔が胸に押し寄せてくる。正直言えばそうなんだけど、なんで自分がこんな目に合っているのだろう。
「ふぅ……『ふぅ……』」
ん?今一瞬誰かの声が、僕のため息に重なって聞こえたような……。辺りを見回すが誰もいない。見渡すばかりの荒野だよ?こんなところに人がいるわけもないじゃないか。よくよく考えてみたら、世界は滅びたんだよね……そもそも僕以外の人っているのか?そんな疑問が浮かんできた。大丈夫か?願いを叶えるっていうのは……。
「いるわけないよなぁ……『そうですねぇ……』」
おおお??なんだ?やっぱ誰かいる?もう一度辺りを見回してみる。でもやっぱり人はいない、ここに居るのは僕と背中の人形だけだ。幽霊?いやそれはどうだろう。居てもおかしくないとは思うけど。もう一度確認してみる。念のためだよ?念のため。ここにいるではなく、少し視点を変えてみよう。僕と、背中の人形と、お?枯れかけた名前も知らない花が在ったのか。
『あ~あ、もう後は枯れるだけだ……。せめて最後に腹いっぱいお水が飲みたかったなぁ』
ん~~~??僕はその声の出どころを追いかけた。追いかけてじっとそれを見た。それは先ほど見つけた足元の枯れそうな花からみたいだ。いやいや、待て待て、待て、ステイ!
願いを叶えるって言ったって、人じゃないのか~?どうなんだ?いや待てよ……。神様は『人』だなんて一言だって言ってなかったじゃないか。チョット思い出してみる。
『君にはね願いを叶える力をあげるよ』
『君が叶えられるのは君以外の願いだからね』
あぁ、やっぱり言ってないなぁ……。はぁ……?!だからって、まさかこの花の願いを叶えろと?いや、わかっているよ。うん、そうなんだろうね。あぁ、うん。僕はこれでも飲み込みも諦めも早い方だからね。うん、だよね……。
『はぁ……しかしなんでまたこんなところに俺はいるのだろう。たしか綺麗な花屋の娘に店先に並べてもらって……気が付いたら荒野って……本当酷い話だ』
それはまたなんというか辛い境遇だ。でも僕ほどじゃないと思うけどな。何一つ誇れないけどね。しかし水か。確かに僕も水は飲まないと死ぬかもしれないな。自分の分を探すついでに探してあげることにしようか。ここでむにゃむにゃ呪文でも唱えて、願いを叶えましょうと言って水が出ればいいのだけどなぁ。はい、出ません、知っていましたよえぇうん。
僕は僕の力の使い方がそもそもわからない。どうやればいいんだろう。神様ってやつは面倒なものなんだなぁ……融通というのが利かないよね。あぁ、でもあれか、神様の言う通りならば、これでもだいぶ、随分融通を聞かせてもらった後なのか。ままならないよね。
ダメで元々、何もしないのもただわからないままになるよね。よし、ではでは、枯れそうな花の願いを叶えよう。叶えてあげたいのでどうか……。本当ですよ?嘘じゃないですよ?と強く思い、願い祈る。
『東……水……』
おお、やればできるできる子だよ僕。どうか僕が戻るまで生きててくれよ、名も知らぬ枯れかけの花よ。僕はどうせこの花には僕の言葉なんて、聞こえないのは知っているけど、小さく花に向かって声をかけてみる。
『あぁ……死ぬ前にせめて最後に腹いっぱいの水を……』
ほらね、花には僕の言葉なんて通じていないだろ?でもいいんだ、やれることをしよう。僕は砂をはたいて立ち上がり、物言わぬ人形を背負って東へと向かった。
神様は願いを叶えろと言っていたが、そもそも願っている人をどうやったら見つけられるのだろう。ため息が出てきて、急に後悔が胸に押し寄せてくる。正直言えばそうなんだけど、なんで自分がこんな目に合っているのだろう。
「ふぅ……『ふぅ……』」
ん?今一瞬誰かの声が、僕のため息に重なって聞こえたような……。辺りを見回すが誰もいない。見渡すばかりの荒野だよ?こんなところに人がいるわけもないじゃないか。よくよく考えてみたら、世界は滅びたんだよね……そもそも僕以外の人っているのか?そんな疑問が浮かんできた。大丈夫か?願いを叶えるっていうのは……。
「いるわけないよなぁ……『そうですねぇ……』」
おおお??なんだ?やっぱ誰かいる?もう一度辺りを見回してみる。でもやっぱり人はいない、ここに居るのは僕と背中の人形だけだ。幽霊?いやそれはどうだろう。居てもおかしくないとは思うけど。もう一度確認してみる。念のためだよ?念のため。ここにいるではなく、少し視点を変えてみよう。僕と、背中の人形と、お?枯れかけた名前も知らない花が在ったのか。
『あ~あ、もう後は枯れるだけだ……。せめて最後に腹いっぱいお水が飲みたかったなぁ』
ん~~~??僕はその声の出どころを追いかけた。追いかけてじっとそれを見た。それは先ほど見つけた足元の枯れそうな花からみたいだ。いやいや、待て待て、待て、ステイ!
願いを叶えるって言ったって、人じゃないのか~?どうなんだ?いや待てよ……。神様は『人』だなんて一言だって言ってなかったじゃないか。チョット思い出してみる。
『君にはね願いを叶える力をあげるよ』
『君が叶えられるのは君以外の願いだからね』
あぁ、やっぱり言ってないなぁ……。はぁ……?!だからって、まさかこの花の願いを叶えろと?いや、わかっているよ。うん、そうなんだろうね。あぁ、うん。僕はこれでも飲み込みも諦めも早い方だからね。うん、だよね……。
『はぁ……しかしなんでまたこんなところに俺はいるのだろう。たしか綺麗な花屋の娘に店先に並べてもらって……気が付いたら荒野って……本当酷い話だ』
それはまたなんというか辛い境遇だ。でも僕ほどじゃないと思うけどな。何一つ誇れないけどね。しかし水か。確かに僕も水は飲まないと死ぬかもしれないな。自分の分を探すついでに探してあげることにしようか。ここでむにゃむにゃ呪文でも唱えて、願いを叶えましょうと言って水が出ればいいのだけどなぁ。はい、出ません、知っていましたよえぇうん。
僕は僕の力の使い方がそもそもわからない。どうやればいいんだろう。神様ってやつは面倒なものなんだなぁ……融通というのが利かないよね。あぁ、でもあれか、神様の言う通りならば、これでもだいぶ、随分融通を聞かせてもらった後なのか。ままならないよね。
ダメで元々、何もしないのもただわからないままになるよね。よし、ではでは、枯れそうな花の願いを叶えよう。叶えてあげたいのでどうか……。本当ですよ?嘘じゃないですよ?と強く思い、願い祈る。
『東……水……』
おお、やればできるできる子だよ僕。どうか僕が戻るまで生きててくれよ、名も知らぬ枯れかけの花よ。僕はどうせこの花には僕の言葉なんて、聞こえないのは知っているけど、小さく花に向かって声をかけてみる。
『あぁ……死ぬ前にせめて最後に腹いっぱいの水を……』
ほらね、花には僕の言葉なんて通じていないだろ?でもいいんだ、やれることをしよう。僕は砂をはたいて立ち上がり、物言わぬ人形を背負って東へと向かった。
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