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第二章
26話 アイフラッシュ
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背中には槍を、腰には毒の壺を。
そして、頭の上には金色トカゲを乗せて、チロは歩いていた。
「キュアァ、キュアァ」
「…………」
何が楽しいのか、金色トカゲはご機嫌である。
それに対し、チロは不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。
頭皮にガッツリ爪が食い込んで、痛いからである。
そもそも、なんでそんな所に金色トカゲを乗せているのかというと、チロが探索に出かけようとしたら勝手に体を這い上がってきて、頭にしがみついてしまったからだ。
なんとか引き剥がそうとしたチロだったが、そうすると余計に爪が食い込むので、結局は諦めてそのまま探索に出かけたのである。
「キュアァ、キュアァ」
「…………」
金色トカゲがチロの頭をグイと捻り、顔を右に向けさせた。
頭をハンドル替わりに捻られては、チロとしてもそちらの方向に行かざるを得ない。
もはや頭だけではなく、探索の主導権すら金色トカゲに握られているのだ。
いろいろなことを諦め、操られるままにチロは森の中を進んで行き…………
…………そして、三十分後。
「キュアァ、キュアァ」
「…………」
チロの目の前には、一匹の巨大な蛇がいた。
どれくらい巨大かというと、少なくともチロを丸飲みにできるくらいの大きさである。
「キュアァ、キュアァ」
「いやいやいやいや」
金色トカゲが、「オラ行けっ」とでも言わんばかりに、チロの頭皮を強く握った。
当然、チロはそれに抵抗する。
食物連鎖的には被捕食者であろう角ウサギにすら、まともに勝てないチロなのだ。
明らかに捕食者であろう大蛇に、太刀打ちできるわけがない。
「キュアァッ、キュアァッ」
「いだっ、いだだっ、無理だって! 無理なもんは無理だって!」
逃げるため後ろに下がろうとするチロを、金色トカゲが爪を立てて前に行かせようとする。
そしてそんなやり取りをしている間に、大蛇はシューシューと舌を出し入れしながらチロたちを威嚇し、すっかり臨戦態勢になってしまっていた。
「ええいっ、クソッ!」
もはや、逃げることは叶わない。
覚悟を決めたチロは、無駄だと分かっていながらも片手で槍を構え、壺の中の毒汁に浸かった破片に手を伸ばした。
その瞬間────
ピカッ!
と、カメラのフラッシュのような眩い光が、チロの頭上から放たれた。
何が起こったのかなど、考えるまでもない。
金色トカゲが、例の意味のないアイフラッシュ(チロが命名した)を点灯させたのだろう。
「お前、こんな時に何を……」
やっているんだ! と言おうとしたチロだったが、
ドサリッ
という大蛇が地面に倒れ込む音で、その言葉は中断させられることになるのだった。
そして、頭の上には金色トカゲを乗せて、チロは歩いていた。
「キュアァ、キュアァ」
「…………」
何が楽しいのか、金色トカゲはご機嫌である。
それに対し、チロは不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。
頭皮にガッツリ爪が食い込んで、痛いからである。
そもそも、なんでそんな所に金色トカゲを乗せているのかというと、チロが探索に出かけようとしたら勝手に体を這い上がってきて、頭にしがみついてしまったからだ。
なんとか引き剥がそうとしたチロだったが、そうすると余計に爪が食い込むので、結局は諦めてそのまま探索に出かけたのである。
「キュアァ、キュアァ」
「…………」
金色トカゲがチロの頭をグイと捻り、顔を右に向けさせた。
頭をハンドル替わりに捻られては、チロとしてもそちらの方向に行かざるを得ない。
もはや頭だけではなく、探索の主導権すら金色トカゲに握られているのだ。
いろいろなことを諦め、操られるままにチロは森の中を進んで行き…………
…………そして、三十分後。
「キュアァ、キュアァ」
「…………」
チロの目の前には、一匹の巨大な蛇がいた。
どれくらい巨大かというと、少なくともチロを丸飲みにできるくらいの大きさである。
「キュアァ、キュアァ」
「いやいやいやいや」
金色トカゲが、「オラ行けっ」とでも言わんばかりに、チロの頭皮を強く握った。
当然、チロはそれに抵抗する。
食物連鎖的には被捕食者であろう角ウサギにすら、まともに勝てないチロなのだ。
明らかに捕食者であろう大蛇に、太刀打ちできるわけがない。
「キュアァッ、キュアァッ」
「いだっ、いだだっ、無理だって! 無理なもんは無理だって!」
逃げるため後ろに下がろうとするチロを、金色トカゲが爪を立てて前に行かせようとする。
そしてそんなやり取りをしている間に、大蛇はシューシューと舌を出し入れしながらチロたちを威嚇し、すっかり臨戦態勢になってしまっていた。
「ええいっ、クソッ!」
もはや、逃げることは叶わない。
覚悟を決めたチロは、無駄だと分かっていながらも片手で槍を構え、壺の中の毒汁に浸かった破片に手を伸ばした。
その瞬間────
ピカッ!
と、カメラのフラッシュのような眩い光が、チロの頭上から放たれた。
何が起こったのかなど、考えるまでもない。
金色トカゲが、例の意味のないアイフラッシュ(チロが命名した)を点灯させたのだろう。
「お前、こんな時に何を……」
やっているんだ! と言おうとしたチロだったが、
ドサリッ
という大蛇が地面に倒れ込む音で、その言葉は中断させられることになるのだった。
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