4 / 64
第一章
4話 手に入れた力
しおりを挟む
知的生物として最低限の装いを整えたチロは、さっそく生活魔術(初級)について調べてみた。
その結果、表示されたステータスの『生活魔術(初級)』を指でタップすると、生活魔術(初級)でどんなことができるのかが表示される、ということが分かった。
それが、これだ。
----------生活魔術(初級)----------
着火=ライターくらいの火が出せる。
浄水=水をキレイにできる。
送風=爽やかなそよ風。
微光=ほんのり明るい。
遮光=目元に使えばアイマスク。
静電=パチパチ。
制土=茶碗くらいは作れる。
----------------------------------
…………やれることは多いが、正直どれも大したことはない。
少なくとも、自分がラノベの主人公のような立ち位置ではないのだと、チロは改めて理解した。
しかし、『着火』で火種を作り出せることと、『浄水』で水をキレイにできること、『制土』で陶器的なものを作れることは間違いなく便利だった。
水を作り出せるわけではないので、生きていくためには水場を探さなければならないことに変わりはないが、生活をする上で最低限の準備は整っていると言っていい。
『微光』も、照明器具の存在しないこの場所では役に立つだろう。
だが、『送風』『静電』『遮光』の三つに関しては、今のところ使い道が思いつかなかった。
「……まあ、そのうちなにか役に立つこともあるかも知れないな」
チロは希望的観測で、自分の気持ちを盛り上げた。
どんな能力でも、あって困るということはないはずだ。
「さて────」
と呟き、チロは周囲に目を向けた。
それほど鬱蒼と茂っているわけではないが、辺り一面、見えるのは木と草ばかり。
生きていくためには、なにはともあれ水場を探さなければならない。
だが、どちらの方向に向かえばそれがあるかなど分かるはずもないので、やるべきことはただ一つ。
「────探検、するか」
チロは適当に方向を決めると、そちらに向かって歩きだした。
その先に、なにが待ち受けているのかは分からない。
それでもチロは、異世界生活の第一歩を踏み出したのだった。
その結果、表示されたステータスの『生活魔術(初級)』を指でタップすると、生活魔術(初級)でどんなことができるのかが表示される、ということが分かった。
それが、これだ。
----------生活魔術(初級)----------
着火=ライターくらいの火が出せる。
浄水=水をキレイにできる。
送風=爽やかなそよ風。
微光=ほんのり明るい。
遮光=目元に使えばアイマスク。
静電=パチパチ。
制土=茶碗くらいは作れる。
----------------------------------
…………やれることは多いが、正直どれも大したことはない。
少なくとも、自分がラノベの主人公のような立ち位置ではないのだと、チロは改めて理解した。
しかし、『着火』で火種を作り出せることと、『浄水』で水をキレイにできること、『制土』で陶器的なものを作れることは間違いなく便利だった。
水を作り出せるわけではないので、生きていくためには水場を探さなければならないことに変わりはないが、生活をする上で最低限の準備は整っていると言っていい。
『微光』も、照明器具の存在しないこの場所では役に立つだろう。
だが、『送風』『静電』『遮光』の三つに関しては、今のところ使い道が思いつかなかった。
「……まあ、そのうちなにか役に立つこともあるかも知れないな」
チロは希望的観測で、自分の気持ちを盛り上げた。
どんな能力でも、あって困るということはないはずだ。
「さて────」
と呟き、チロは周囲に目を向けた。
それほど鬱蒼と茂っているわけではないが、辺り一面、見えるのは木と草ばかり。
生きていくためには、なにはともあれ水場を探さなければならない。
だが、どちらの方向に向かえばそれがあるかなど分かるはずもないので、やるべきことはただ一つ。
「────探検、するか」
チロは適当に方向を決めると、そちらに向かって歩きだした。
その先に、なにが待ち受けているのかは分からない。
それでもチロは、異世界生活の第一歩を踏み出したのだった。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!
青空一夏
ファンタジー
婚約者(レミントン侯爵家嫡男レオン)は何者かに襲われ亡くなった。さらに両親(ランス伯爵夫妻)を病で次々に亡くした葬式の翌日、叔母エイナ・リック前男爵未亡人(母の妹)がいきなり荷物をランス伯爵家に持ち込み、従兄弟ラモント・リック男爵(叔母の息子)と住みだした。
私はその夜、ラモントに乱暴され身ごもり娘(ララ)を産んだが・・・・・・この夫となったラモントはさらに暴走しだすのだった。
ラモントがある日、私の従姉妹マーガレット(母の3番目の妹の娘)を連れてきて、
「お前は娘しか産めなかっただろう? この伯爵家の跡継ぎをマーガレットに産ませてあげるから一緒に住むぞ!」
と、言い出した。
さらには、マーガレットの両親(モーセ準男爵夫妻)もやってきて離れに住みだした。
怒りが頂点に到達した時に私は魔法の力に目覚めた。さて、こいつらはどうやって料理しましょうか?
さらには別の事実も判明して、いよいよ怒った私は・・・・・・壮絶な復讐(コメディ路線の復讐あり)をしようとするが・・・・・・(途中で路線変更するかもしれません。あくまで予定)
※ゆるふわ設定ご都合主義の素人作品。※魔法世界ですが、使える人は希でほとんどいない。(昔はそこそこいたが、どんどん廃れていったという設定です)
※残酷な意味でR15・途中R18になるかもです。
※具体的な性描写は含まれておりません。エッチ系R15ではないです。
家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~
りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。
ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。
我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。
――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。
「はい、では平民になります」
虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる