どこまでも醜い私は、ある日黒髪の少年を手に入れた

布施鉱平

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第三章

彼女たちと少年(リディア)2

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「ふー……っ」
「○&$……」

 リディアは、少年を抱き抱えたまま風呂に入っていた。

 昼食を終え、その後はみんなでリビングに寝転がって、天窓から見える空や雲を眺めたりしながらのんびり過ごし、今は二人きりの時間である。

「ふふっ」

 リディアの口から、自然に笑みが漏れた。

 家族みんなで過ごす時間も大切だが、やはり少年と二人で過ごす時間は特別だ。

「△○$□#?」

 少年が振り返り、「どうしたの?」とでも言うように首をかしげる。

「いや、何でもない。ただ…………そう、ただ、幸せだなと思っただけだ」

 振り向いたことで湯船から出てしまった少年の肩に、手でお湯をすくってかけながら、リディアは微笑んだ。
 
 その笑顔に釣られたように、少年もにっこりと笑って、リディアの胸に頭をあずけてくる。

「あぁ……」

 思わず、ため息が漏れた。

 幸せが胸いっぱいに広がって、溢れ出したのだ。

 愛おしさを指先に込めて、リディアは少年の縮れた黒髪をゆっくりといていく。
 
 すると、少年が顔を上げて、濡れた瞳でリディアを見つめてきた。

 その目に込められているのは、疑いようもない愛情だ。

 リディアの、大好きな目だった。

 少年は、本当に心からの愛情を込めた目で、リディアたちを見る。

 醜い者を憐れむのではなく、強者におもねるのでもなく、愛おしさと、尊敬と、憧れを込めた目で、リディアたちを見つめる。

 そして、触れる。

 大切なものをいたわるように、優しく、優しく、触れる。
 
 ただセックスをするだけでは、きっと足りなかっただろう。
 金や物を貢ぎ、その対価として得られる愛情では、リディアたちの心は救われなかっただろう。

 少年が心でつながろうとしてくれるから、リディアたちは満たされたのだ。
 
 救われたのだ。

 少年に出会うまでのリディアたちは、死ぬまで続く地獄の中で生きていた。
 生きることがなによりも辛く、苦しかった。

 だが、今は違う。

 まるで、長いあいだ沈んでいた冷たい水の底から浮かび上がって、思い切り息を吸い込んだような心地だった。
 
 生きている。
 
 それを嬉しいと思える。
 毎日が楽しいと、幸せだと思える。

 その全ては、少年が与えてくれたものだ。

 リディアが思わず少年を強く抱きしめると、お腹のあたりに熱くて硬いものが当たってきた。
 
「…………ふふっ、なんだ、部屋まで我慢できないのか?♡」

 からかうように、リディアは少年の頬をつつく。

 だが、ほんとうに我慢できないのは、リディアだ。

 濡れていた。
 風呂に入る前から、ずっと。

 そこに耐え切れないほどのたかぶりが加わったのは、少年に見つめられた時からだった。

 リディアは少年を腕から開放すると、湯船の中に立ち上がった。

 そして湯をかき分けながら歩いていき、両手を浴槽の縁につくと、腰を少年の方に突き出した。

 そのまま、大きく足を開いていく。

「&△$○……」

 ぽたり

 と、お湯とは違う液体が脚の間から湯船にしたたり落ちるのと、少年が立ち上がるのは同時だった。

 少年の腰の高さまで下げられたリディアの尻に、小さな両手が添えられる。

「あぁ……っ♡」

 リディアの中に、風呂の湯よりも熱いものが入ってきた。
 
 太く、硬く、反り返ったそれは、リディアの膣壁をぬるぬるとかき分けながら、奥に、奥にと進んでいく。

「うっ♡」

 そして、最奥に到達すると、子宮を押しつぶしたまま、その動きを止めた。

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ……♡」

 チンポと子宮口。
 密着した二つの粘膜からはじわじわと疼きが生まれ、耐え難いもどかしさとなって二人の呼吸を荒くしていく。

「んんっ♡」
「□○$%……!」

 こらえきれず、先に動いたのはリディアだった。

 少年のチンポの形を膣壁全体で感じながら、腰を上下に動かして、快楽をむさぼっていく。

「うぁっ!♡ あぁっ!♡」

 少年もまた、すぐに動き出した。

 リディアの尻に強く指を立て、水しぶきを上げながら腰をぶつけてくる。

 バシャバシャという水音。

 パン、パンという肉のぶつかる音。

 そして、幸せそうに喘ぐ、リディアの嬌声きょうせい

 反響して木霊こだまするそれらの音は、少年がリディアの中に三度果てるまで、風呂場に響き続けるのだった。



 ◇

 
 ────それから、数時間後。

 風呂から上がり、部屋に入ったリディアと少年は、バスローブを脱ぐ手間さえもどかしくベッドに倒れこむと、またセックスを開始した。

 最初は正常位で、はだけたバスローブの隙間から胸をいじられつつ、二回。

 次は後背位で、アナルに指を抜き差しされながら、一回。
 
 そしてそのまま、アナルで一回。

 最後は騎乗位で、リディアが少年にキスの雨を降らせながら、二回。

 風呂場と合わせて、計九回のセックスを終えた二人は、汗ばんだ体を抱きしめ合っていた。

「……愛してる。これから先も、ずっと」
「……○&△#$」

 互いに愛を囁き、何度もキスを交わす。
 この時間が、リディアは好きだった。

 セックスが激しい愛をぶつけ合う行為だとするならば、セックスの後のこの時間は、穏やかな愛を互いに浸透しんとうさせる行為だ。

 見つめ合い、囁き合い、触れ合う。
 
 その一つ一つに込められた愛情が、セックスで昂ぶった体と心に、スッとみ込んでくる。

「私たちは、世界一の幸せ者だな。君のような優しい男に愛されて、愛を受け取ってもらえる。それに…………」

 と言葉を一度切って、リディアは自分の腹に手を当てた。

「……私も、そろそろかな」

 リディアには、予感があった。
 
 研ぎ澄まされた冒険者としての感覚ではなく、ひとりの女として、リディアはそれを感じ取っていた。

「きっと君は、いい父親になるだろうな。私も…………私も、いい母親になる。なってみせる」

 腕の中で安らかな寝息を立て始めた少年の額にキスをすると、リディアはもう一度、大切なものをいたわるように、自らの腹に触れた。

 優しく、優しく、触れた。

 明日になったら、朝一番でマリアベルに診断をしてもらわなければならない。
 
 自分の命よりも大切なものが、もう一つ、増えるかも知れないのだから。
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