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序章 異世界だよね? そうだよね?

第10話 報酬を選べるそうですね

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「よくきたね。みんなとりあえず座ってちょうだい」

 ギルド長の部屋に入ると、3人のおじさんがすでに座って待っていた。

 俺たち4人は空いている席に着き、他の参加さんか者の人と軽く挨拶あいさつを交わした。

「じゃあ、会議を始めるよ。まずソウスイ君。A ランク昇格おめでとう」

 みんなから拍手はくしゅされたので、立ち上がって一礼いちれいしておいた。
 ちょっと照れくさいな。

「このソウスイ君はハゲルトンを倒した。それも極位ごくい魔法を使ってね」

 おじさんたちから驚きの声が上がる。

 後で知ったのだが、極位魔法とは、第9位階と第10位階の魔法を指す言葉だ。


 第1位階と第2位階魔法は、低位魔法。
 第3位階と第4位階魔法は、中位魔法。
 第5位階と第6位階魔法は、高位魔法。
 第7位階と第8位階魔法は、超位ちょうい魔法。

 そして、極位魔法と続くようだ。


 ちなみに禁術は、魔法を超えたものなので、○○魔法という呼び名はない。


「実はそこが重要ではないのよ。ハゲルトンは試験中に、規則きそく違反いはんである『召喚したモンスターへの強化行為』を行ったの」


「なんじゃと。あやつめ」
「資格を剥奪はくだつせにゃならんな」
罰金ばっきんを取る必要もあるのう」


 そうだったのか。
 普通に強化してたから、当たり前だと思ったのに。


ことはそれだけにおさまらないのよ。ハゲルトンは影だったの。悪魔あくま化してソウスイ君におそいかかったわ」


「影じゃと! ええぃ、どの国じゃ・・・」
「悪魔化とな。危険度は S ランクを超えてしまうな」
「もとより裏切り者であったか。ワシらの失態しったいじゃ。許してくれ少年」


 話がついていけなかったので、説明を要求ようきゅうした。

 影とは、所謂いわゆるスパイというやつだ。
 どこの国のスパイかは分からないが、魔族を頂点ちょうてんとした国があやしいらしい。

 悪魔化は、普段人間にけている悪魔が、正体を現して戦闘力を爆発ばくはつ的に向上こうじょうさせるというものらしい。


 スパイの悪魔をやっつけた。


 この功績こうせきに対して、報酬ほうしゅうを用意するために俺を呼んだということだ。

 これは運がいい。
 ちょっと多めにお金をもらえるんじゃないか?


「それで、ソウスイ君はどんな報酬がいい? 爵位しゃくい勲章くんしょうかしら? それとも国宝こくほう級の武具がいいかしら?」


 え?
 爵位? 国宝?

 俺って何したの?


「今お金がないんで、宿代とプラスアルファで多めにもらえたらいいな、と思ってたんですが」

 ギルド長やおじさんたちは、ポカンとしてしまった。


「はっはっはっ。君はよくがないのかね? 君がしたことに対して、その報酬はないよ。もっと胸を張っていいんじゃよ」


 だが、爵位とか国宝とか言われてもなー。


「爵位を選ぶなら、家とお金ももらえる。国宝なら同等どうとう金額きんがくたまわることも可能じゃ」


 家をもらえるだと?


具体的ぐたいてきに家というのは?」

「お、食いついたわね。家は王都の住宅じゅうたくかしら。王都は冒険の拠点きょてんにピッタリで、おばさんもオススメするわ」


 家とお金がもらえるのか。

 俺が困っているのは寝る場所とお金だ。


 よし、即断即決そくだんそっけつ、それにしよう。


「爵位でお願いします。家とお金が手に入るなんて、最高ですから」


 ワンルームでも、2じょうあれば十分だ。
 できればキッチンも欲しいけどなー。

 まあ、あんまり贅沢ぜいたくは言わない。


 でも、どんな家なのか楽しみにしていよう!






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