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序章 異世界だよね? そうだよね?

第9話 マルリナさんのターンですね

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 ギルド長がいなくなった後、どうしたらいいか分からずに立ち尽くしていた。

 そこへマルリナさんとピニーがやってきた。
 ちなみにミーナや他の人たちは、まだ気絶中だ。


「ソウスイさん! どういうことですか!?」

「いや、えっと、何て答えればいいですかね? マルリナさん」

 唐突とうとつにどういうことか聞かれても、なんて答えたらいいのか。

「最強。おめでとう」

「あ、ありがとう、ピニー」

 ピニーがサムズアップしていい顔をしている。
 異世界でも親指立てるのは、同じなんだなー。

「いや、夢。これは夢だったんですよね。あは、あははは」

 一方マルリナさんは頭を抱えて、ブンブン横に振り始めた。

 綺麗きれいな髪がみだれないか心配だ。


「う、ううっ」

 お、ミーナが起きたようだ。
 特に怪我はなさそうだな。

「ソウスイさんっ! どうなったんですかっ?」

「大変だったけど、A ランクまで昇格したよ」

「 A ランクですかっ!? おめでとうございますっ!」

 ミーナは飛びねて喜んでくれた。
 さっきまで気を失っていたのに、元気だな。

「ソウスイさん、試験中に使った魔法は、第10位階魔法のフレイムインフェルノですよね? なぜ使えるんですか?」

 それが気になってたのか。
 実は俺にも分からないんだよな。

 さて、どう答えたものか。

「いや、なぜ使えるかなんて聞く必要ありませんね。ソウスイさん、お願いがあります。私を弟子にしてください!」

 弟子!?

 マルリナさん、いったいどうしたんだ?

「私の姉は、魔王だとお話しましたよね? 私は強くなりたい。姉を超える魔術師になりたいんです!」

 魔王あねを超える魔術師になる。
 立派な夢だ。
 だからこそ俺の弟子になるなんて、やめたほうがいい。

「俺なんて昨日冒険者になったばかりのひよっこですよ? 他に強いひとはたくさんいるんじゃないですか?」

「少なくとも、ソウスイさんより強い方は、姉以外に見たことがありません。それに、ソウスイさんは禁術が使えますよね?」

 あ、そういえば禁術使ったな。

 でも禁術くらいなら、B ランクくらいの人なら使えるんじゃないだろうか?

「禁術なんて、そこそこ強い人なら使えるんじゃないですかね?」

「 S ランクでも無理ですよ! 禁術が使えたら魔王クラスです! ランク外です!!」

 マルリナさんは顔が赤くなり、必死になっている。
 大人しいイメージの人がこうなると、結構可愛い。

 これが世に言うギャップえか。良きかな。

 おっと、思考がそれた。
 脳内のうないフォルダに保存ほぞんしといて話を続けよう。

「分かりました。人に教えたことなんてありませんが、頑張ってみますね」

「え? いいんですか? ありがとうございます!」

 今度は、満面まんめんの笑み。
 ご馳走ちそう様でした。

「ソウスイさんっ! 私もお願いしますっ!」

 ミーナも弟子になりたいのか。
 だけど剣術なんて教えられないしなー。

〈スキル 剣神のを獲得〉
〈称号 教え導く者を獲得〉

 なんか、教えられるようになった。

「分かった。ミーナもこれから頑張ろうね」

「やったーっ!」

 ミーナを見てると、親戚しんせきめいっ子とか、近所の子供とかを相手にしている気分になってしまう。

 甘やかさないようにしよう。

 ミーナは剣術どうこうよりも、突破しなきゃいけない壁まものきょうふしょうがあるから、そっちが先だな。

「む?」

 ピニーが小さく手を挙げていた。

「ピニーはどうする?」

「なる」

 多分、弟子になる、と言ってるんだろう。

「分かった。よろしくね」

 弟子にしたのはいいが、ピニーに何を教えたらいいかサッパリ分からないな。

〈スキル 弓神の技を獲得しました〉

 それは教えろということか?

 弓か。まぁ、でもそうなるか。

「よろしく。師匠」

 師匠か、ちょっとこそばゆい響きだ。

「あらためてよろしく。みんな」


 これからみんなをきたえつつ、自分も強くなってお金を稼がないとならない。

 よし、じゃあ早速依頼でも受け・・・あ、ギルド長に呼ばれてたんだった。


「ギルド長の部屋に呼ばれたから、みんなも一緒に来てくれるかな?」

「はいっ!」
「分かりました」
「む」

 4人は受付に行き、ギルド長の部屋に案内してもらうのだった。



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