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1章 異世界の魔王 一つ目の危機
11話 まったりだぜ キャンプ
しおりを挟む「んー、あれ? カイだ。私寝ちゃってた?」
「カイさん。おはようございましゅ」
セラファルがサリエルの体に入った後、亜空間で眠ってもらっていたリーサとウルリルを外に出した。
リーサとウルリルには、セラファルが事情を説明してくれた。
サリエルに襲撃され、使い魔のエミュを召喚し、撃退。
そして、セラファルがサリエルの体に移ったと。
セラファルが天使だと言ったら、二人はかなり驚いていたが、信じるしかないという勢いで、首をコクコクと縦に振っていた。
そして今は・・・。
「エミュちゃん可愛い!」
「モフモフしてます~」
二人に揉みくちゃにされて、ちょっと迷惑そうなエミュを横目で見ながら、一息ついたところだ。
二人とも理解が早く、セラファルのこともエミュのこともすんなり受け入れてくれた。
さて、次のことを考えないといけない。
リーサは王女という立場だが、国に帰れる状況にないらしい。
ウルリルは魔王の娘。母は他界しており、他に身内もいないので俺についてくることになった。
状況は変わっていない。
みんなどこに行くか決まってないのだ。
もう日がかなり傾いていた。
行動するとしても明日になるな。
「とりあえず今日は休める場所を探して、明日に行き先を決めよう」
「それでいいわ」
「分かりました」
「マスターの御心のままに」
「もう眠いの~」
よし。じゃあ寝る場所・・・っていっても、都合よく小屋とか見つかるわけないか。
「マスター。戦利品の中にテントが一つありました。ギリギリ全員入れるかと思います」
セラファル、ナイスだ。
よし、早速組み立てようか。
少し苦労しつつ組み立てたテントは、3~4人用であった。
つまり広さは、4人で入ればギリギリといった感じ。
文句は言ってられないよな。
あとは布団を用意し、これで寝る場所は完成。
ぐぅ。
誰かのお腹が可愛く鳴った。
みんながみんな赤い顔をしてお腹を抱えたから、結局犯人は分からなかった。
まあ、みんなお腹が空いているんだろう。
「セラファル、戦利品に食材は?」
「大量にありますので、料理を作りましょう」
セラファルが出した燃えやすい素材に、魔法で素早く火をつける。
「マスター、あとはお任せください。マスターの胃袋を掴んでみせます」
「あ、セラファルさん。私もお手伝いします!」
ウルリルが率先して手伝いを申し出た。
ちなみに、リーサは料理ができないらしい。
城の料理人が作っていたみたいだ。
城の料理って、どんな料理なんだろう。興味はあるな。
1時間も経たないうちに、サラダとスープ、何かの焼き肉が完成した。
セラファルがテーブルと椅子を用意し、お皿に盛り付けた料理を運んできた。
どれも凄く美味しそうだが、材料が不明だ。
セラファルが人間でも食べて大丈夫と言っていたので、信じて食べることにしよう。
最初はお肉からかな。
パクッ。
溢れ出す旨味の詰まった肉汁。
噛みごたえがあるのに、口残りせずに食べられる。
「おぉ、美味い。牛肉より美味いな」
自然と言葉が出てきた。
異世界の肉だから、あんまり質の良いものを期待してなかったが、これは文句なしに美味いと言える。
セラファルもウルリルも、料理の腕がいいんだな。
「喜んでもらえてよかったです。マスター」
サラダもスープも美味しかった。
二人に感謝だな。
ちなみに、エミュはご飯を食べなくても大丈夫だそうだが、お肉を美味しそうに食べていた。
猫は魚じゃないのか。いや、本来は肉食だったっけか。
ちなみに、エミュは俺の魔力で活動しているらしいので、近くにいれば俺から漏れ出てる魔力を吸収するらしい。
だが、いつか、マタタビをあげてみたいな。
どうなるんだろう。エミュも酔うのか?
食事が終わったあとは、テントで横になった。
・・・あ、うん。これは眠れない。
俺はウルリルとセラファルに挟まれる形なのだが、セラファルの色々なのが当たる。
それはもう当たる当たる。
理性だ。理性を保つのだ。
そんなことを知ってか知らずか、セラファルが少し動いて、さらに密着度が増す。
プニプニ、モチモチ。
くそ、本当にやばい。
まさかこいつ、ワザと押しつけてきてるんじゃないよな?
しばらくしてみんな寝息をたて始めたので、一人テントの外へ出た。
危なかった。あれ以上はもたん。
ふと夜空を見上げると、星が鮮明に輝いている。
今日は念願の異世界にやってきて、めちゃくちゃな一日を過ごした。
だが、これが俺の求めていたものだ。
平凡な日常からかけ離れている、刺激的なもの。
これこそが、異世界の醍醐味だな。
あとはギルドで冒険者になったり、魔法学園で俺ツエーとかしてみたいものだな。
もしダンジョンがあるなら攻略するのも楽しそうだし、世界中の国をまったり観光なんかも平和でいいよな。
ああ、夢があふれるねー。
しばらくボーっとしていると、何かが近づく気配を感じた。
辺りを見回し、その姿を確認した。
「ッ!? 誰だ!?」
そこにいたのは、3mはゆうに超える、凶暴な顔をした牛のような魔族だった。
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