逃がした魚は

珈琲きの子

文字の大きさ
上 下
10 / 17

十、気持ちよすぎるのは辛い

しおりを挟む




 僕がぼうっと見上げていると、柊さんはふっと笑いを零した。

「それと…、セックスは突っ込むだけじゃない」

 柊さんの唇が降ってくる。たまにチュって唇を吸われて甘噛みされると、快感が腰を通り抜けてどんどんペニスに熱が集まってくる気がする。
 さらりとわき腹から胸にかけて撫でられ、柊さんの指が僕の乳首を掠める。ピリッとした刺激で体が跳ねた。
 何度か転がされて立ち上がった乳首を抓まれれば、キスの快感も合わさって、頭の奥がジンジンと痺れ、声が勝手に漏れてしまう。

「ここ、気持ちぃ?」

 耳元でそう囁いた柊さんの唇が首筋をなぞる。

「…ん…気持ちいぃ…ぁっ…」

 柊さんが触れるところから次々と気持ちよさが湧き出てきて、どうしていいか分からず、僕はシーツをぎゅッと握りしめた。

「あ、あ…っ…やぁ…」

 僕の体の上を滑っていた柊さんの唇が僕の乳首を捕らえた。舌で転がされて、カリって噛まれる。僕は体中を駆け巡る処理しきれないほどの感覚に身を捩った。気持ちよくて辛い。そんなふうに感じるなんて信じられなかった。
 柊さんの指と唇が体中を這って、その気持ちよさに僕は涙を流した。

「…柊、さん…おねがい…もう、僕…出したい…」
「碧…ぐちょぐちょだな…」
「…やっ…」

 僕のペニスはお腹に貼り付くくらい立ち上がっていて、その恥ずかしさに僕は自分の性器を手で隠した。
 でもその手は柊さんに退けられて、僕の性器に柊さんの長い指が絡んだ。ゆっくりと上下に扱かれれば、粘着質な音が上がって、一層恥ずかしさが増す。でも気持ちよくて、快感を追うように目を瞑った。

「さっきイッたし、ちょっと我慢しとけよ」
「あ…だめ…いきたい…っ…」

 もっと擦って欲しくて、僕は動きを止めた柊さんの手に性器を擦りつけてしまう。

「…エロ…。天然かよ…」

 そう呟いた柊さんと目が合う。柊さんの目には穏やかさはなく、どこか肉食獣のような獰猛さが宿っていた。その眼差しが僕を射れば、ドクリと心臓が跳ねる。その瞳に釘付けになる。
 惹きつけられる様に顔を寄せ、唇が触れる。触れるだけのキス。

「俺のも触ってみる?」

 口端だけで笑った柊さんに手を取られて、柊さんのペニスへと導かれる。僕の指が触れるとピクリと跳ねたような気がした。促されて握るように包めば、どくどくと脈打つのがわかるぐらい柊さんの性器は張り詰めていた。

「なぁ、碧…おまえん中入りたい。いい?」

 最近穏やかだった柊さんから放たれる怖いくらいの色気が僕を刺す。僕の背中はずっとゾクゾクと粟立って、おかしくなってしまいそうだった。 

「ぁ……ぃ、入れて…欲しい…」

 僕の答えと共に足が持ち上げられて、柊さんの熱く立ち上がった性器がお尻に触れた。入ってくる。その期待に体に力が入る。
 「力抜けって」という声と共に口づけされて、キスで気が逸れた所で柊さんがぐっと腰を突き入れた。それからゆっくりと中を割るように入り込んでくる。柊さんの熱を感じる。皮膚を通さない直に感じる熱。
 どうしよう。今までとは違う、例えようもない感覚。さっき手で触れた柊さんの性器が入ってきていると思うと、酷く昂りを感じた。なにか抑えきれない感情と一緒に涙が溢れでた。

「…なんて顔、してんだよ」

 言われて柊さんの顔を仰げば、柊さんは少し困ったような顔をしていた。
 僕は今どんな顔をしているのだろう。そんなことを考えていると、柊さんが僕を突き上げた。一気に奥の気持ちいいところまで到達し、目の前に火花のような光が散る。

「わり…、我慢できねぇわ」
「…あ、あぁッ…しゅう、さ…ああ…!」

 素早く引き抜かれたものがまた最奥を穿つ。衝撃で上にずれた体を引き寄せられて、また奥に性器を叩きつけられる。何度も繰り返されれば、頭の中が真っ白になる。僕を揺さぶる目の前にある体にただ縋りついて、ずっとずっと嬌声を上げ続けた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

ポンコツアルファを拾いました。

おもちDX
BL
オメガのほうが優秀な世界。会社を立ち上げたばかりの渚は、しくしく泣いているアルファを拾った。すぐにラットを起こす梨杜は、社員に馬鹿にされながらも渚のそばで一生懸命働く。渚はそんな梨杜が可愛くなってきて…… ポンコツアルファをエリートオメガがヨシヨシする話です。 オメガバースのアルファが『優秀』という部分を、オメガにあげたい!と思いついた世界観。 ※特殊設定の現代オメガバースです

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

処理中です...