短編集-BL-

珈琲きの子

文字の大きさ
上 下
1 / 10
家事代行シリーズ(敬語攻め、快感に弱い受、人外×凡人、ほぼエロ、ネタ)

家事代行でスッキリさせられちゃった話***

しおりを挟む




「…ぁん…っはぁ……ひぅ…んっ…」

 部屋には喘ぎ声と肌ぶつかる音が響いた。ギシギシとベッドは軋み、その度に甘い声が上がる。

深月みづき様、やはり才能がありますね」
「…ち、ちがぁあんっ、はっ、やぁ…!」
「こんなにドロドロにして、それでも違うというのですか?」

 男の手が前に触れ、上下に扱き始めると、深月は快感に頭を振りながらも、男のモノを締め付けた。
 グイグイと奥を抉られ、深月はひときわ大きい嬌声を上げて、絶頂を迎えた。

「また、いっぱい出ましたね。後ろもこんなにぐっしょり濡らして…。またシーツ洗わないといけませんね。追加料金かかりますけど、いいですよね?」
「……ま、まってぇ……ひぁっ…まだ、まだぁ…」

「…いいよな、圭…」

 中にある敏感なしこりを優しく小刻みに擦り、男はそう深月の耳元で吐息と共に囁いた。

「…はあっ……いい、いいからっ…もっとつよく、こすってぇ…っ!」
「かしこまりました、深月様」

 そして、男はニタリと笑った。





 その、数時間前―――、




「うへぇ…」

 繁忙期のため、ここ数週間残業続きで、この1DKという狭い家は汚部屋に片足を突っ込んでるような惨状になっていた。
 やっとの休日、ベッドでゴロゴロと寛ぎたいと思いながらも、ベッドルームを出た深月は目の前の酷い状態に顔を顰める。

「やっぱ、片付けが先かぁ…」

 とにかく落ちている服を拾い、洗濯機に放り込む。少しはましにはなったが、服の下には食べ散らかした弁当のゴミと全く目を通していない新聞と広告が散乱しており、深月は重い溜息を吐いた。

(ん?)

 深月はその中のシンプルなチラシに目が留まり、拾い上げた。

「『家事代行』…部屋の掃除に洗濯…料理…。お部屋も気分もすっきり気持ち良くなりませんか…ふーん…アフターケアも充実…?」

(家事なのにアフターケア? 食器割ったりしたら弁償してくれるってことか?)

 深月は部屋の惨状とチラシに記載してある価格を見比べた。

「1時間2千円、6時間1万円…」

(6時間がお得なわけか。まあ、かかっても2時間ぐらいだろ)

「やってもらうかー!」

 チラシに記されている電話番号を深月は若干ドキドキしながらも入力する。

(うはぁ、なんかこういう、緊張するなぁ)

『はい、家事代行、仁科です』
「あ、あ、あのお願いしたいんですけど」

 ワンコールで出た相手は予想していなかった男性で、深月は若干驚きながらも平常心を装った。

『かしこまりました。当店ご利用は初めてでしょうか?』
「はい」
『ではお名前とご希望の日時をお願いいたします』
「名前は深月です。今日の、10時から、とかいけますか?」
『一時間後に、ということでよろしいですか?』
「はい。それでお願いします」
『かしこまりました。では住所と―――』

 幾つか電話の相手とやり取りして、通話終了ボタンをタップした。スマホをベッドの上に放り投げ、その上に深月もダイブした。

「男の人が来んのかな。その方が緊張しなくて済むけど。あ、もしかして部屋追い出されたりするかも。訊いとけばよかった…。一応着替えとくか…」

 服を着ながらも部屋の汚さに目が行く。この部屋の中に人を入れるのか、と深月は掃除に来てもらうのに、掃除をしなければいけないような気になっていた。

(玄関だけは、綺麗にしとこ…)

 パンとコーヒーと素早く胃に収め、不必要に出ている靴をストッカーに突っ込んでいく。
 そうしていると、玄関ドアの向こうに足音が聞こえ、丁度すぐ傍で止まった。ピンポーンと音がして、深月が覗き穴から外を見ると、そこには男性が立っていた。

(やっぱ、男の人か。よかった)

「はーい」

 深月はドアを開けて、そこに立つ人物を見た。

(うへぇ、い、イケメン!)

 柔らかい雰囲気の男性で、顔には穏やかな笑みを湛えている。深月はスラっとした長身の上についた整った顔を軽く見上げた。

「深月様、でしょうか?」
「は、はい」
「ご利用ありがとうございます。家事代行、担当の仁科です」
「あ、はい、よろしくお願いします」

 名刺を渡されながら、軽く礼をして、その仁科という男を中に通した。

「き、汚くて、すみません」
「いえ、掃除するためにきたのですから、お気になさらないで下さい」

 ふっと悪戯っぽく仁科は笑い、その笑みに深月は頬を染めた。

(イケメンにこんな部屋掃除させるなんて、なんか気が引ける…。けど、ここはもう開き直るしかないか)

「深月様、電話でお話しさせていただいた利用規約なのですが、目を通していただけますか」

 深月は頷き、書類を受け取ると、サッと目を通す。いくつかの項目は仁科が読み上げた。

「追加料金がかかる可能性もありますので、その点ご注意ください」
「……えっと、どんな時に、ですか?」
「清掃後にお客様が何かを零されたり、汚されたりして再度掃除の必要が出てきたときに追加料金を頂いております」
「あ、そういう…。わかりました。大丈夫です」

 そう返事した深月は仁科に促されて、書類にサインをする。

「あの、俺外に行ってた方が良いんですか?」
「いえ、その必要はございません。テレビを見て寛いで頂いても、寝て頂いても、構いません。深月様の思うままにお過ごしください」
「……えっと、なら、掃除してもらう場所の順番を指定できますか?」
「はい、何なりとお申し付けください」

 家に全くの他人を入れるということに若干戸惑いのあった深月も仁科の人当たりの良さと丁寧さ、そして笑顔に安堵した。

 ベッドルームから掃除を頼み、掃除が終わると寝ていていいという仁科の言葉に甘え、深月はベッドに横になった。

 疲労が溜まっていたのか、深月は隣の部屋から聞こえてくる掃除機の音を子守歌に目を閉じた。




「……ぁ……ぁっ…ぅ…ん…」

(……きもちいい、……そこ、もっと…)

 夢心地のまま、体中にひろがる快感に深月はうっとりと身を任せた。

(…あれ、俺、…何、してたんだっけ……)

 ゆっくりと意識が浮上してきて、深月はまだ重い瞼をそっと開けた。ぼんやりとした深月の瞳に映ったのは優しく微笑む仁科だった。

「…ん……は…ぁ……に、しな…さん……?」
「はい。よくお休みになられていましたね。掃除も終わりましたので、『気持ちよくなる』サービスをさせて頂いております」
「…? きもちよく…サービス……ってえええ!?」

 そう、深月は顔を起こして見たのは、仁科が深月のモノをやんわりと扱いているところだった。しかもいつの間にか深月はズボンを脱がされ、半裸の状態だった。

「なななんなんななにしてるんですか…っ!」
「サービスです」
「サービスって…ぁあっ…手、…手、とめてぇ」

 急に仁科の手が強く擦りあげ、深月は体を震わせた。深月にしてみれば人に触られたことのない大事な部分。深月は所謂童貞で、触られることに慣れていない敏感な場所は深月に強い快感をもたらした。

「とめてもいいんですか? こんなにいっぱいいやらしい汁を垂らしているのに」

 整った顔の絶妙な場所に配置された形のいい唇から綴られる卑猥な言葉と声色に、深月の腰がずくりと疼いた。

「…はぁ、んっ……にしなさ、っ…いや、…はなして、イ…イっちゃう――っ!」

 肩を上下させ、汗をにじませた深月の前髪を掃い、仁科はそこにキスを落とし、手に放たれた深月の精液を見せつけるように舐めとった。

(お、お、俺の、な、舐めた…!?)

「な、な、なにして…」
「深月様、かなり溜まっておられましたね。もう少し、すっきりと気持ちよくなるサービスをさせて頂きますね」

 仁科の美しい微笑みに深月は見惚れてうっとりとし、その言葉に流されそうになる。

(だ、だだだ、だめだ! 流されるな、俺!)

「何も考えないという時間も大切なのですよ。私にお任せください」

(え、なに!?)

 何かが深月の自分でもあまり触らない箇所に触れると、ゆっくりと中に侵入し、蠢いた。余りにも何かがすんなりと入って来たため、深月はそこがお尻の穴だと認識できなかった。

「ひっ…な、なに! ヤダ、なんか」
「すぐに気持ちよくなります。力を抜いて、リラックスしていてください」

 その中で蠢いていたものはすぐに取り去られ、深月はホッと力を抜いた。
 仁科が深月の足の間に割入ってくるのを深月はただ次に何が起こるのかと眺めていた。 

 仁科が取り出したのは、穏やかな顔からは想像もできないほど赤黒く卑猥で巨大なブツ。

(う、すごいデカい…)

 と深月はその既に勃起し、かなりの存在感を醸し出している男根に目が釘付けになり、それがどこに近づいているのか全く頭に入っていなかった。

「深月様、一緒に気持ちよくなりましょうね」
「え、」

 深月が仁科の顔を見上げようとした瞬間、熱く質量をもったソレがギチギチと深月の狭い入口を押し広げた。

「いっ……や、なに………んっ…」

 足を持ち上げられて、性器が丸見えになる角度まで体を丸められ、どこに何が入ろうとしているのか、その時初めて深月は理解した。

「や、やめっ、仁科さん! ぬいてっ」
「もう、一部入ってしまいましたから、今から抜くと契約解除料として10倍請求させていただきますがよろしいですか?」
「そ、そんなの、聞いてな…っ!」
「ちゃんとお話ししましたよ。『依頼主の一方的な契約解除は正規価格の10倍の料金をもって解約料とさせていただきます』と」

(……言ってた。契約解除なんてありえないと思って聞き流してた…)

「こんなに気持ちよくなっておられるのに、ご不満があるとは思えませんし、これは十分に一方的と言える案件です」
「だ、だからって……ああっ…やん…」

 おかしいとは思いながらも、半分パニック状態の深月にはこの行為自体が異常だという考えが浮かばなかった。

「8万円お支払いいただくか、このまま気持ちよくなるか、どちらにいたしますか? 深月様」

 仁科は深月の入り口を解すようにクチクチと音を立てて小刻みに腰を揺らした。

(8万!? なんで!? 4時間も寝てた!?)

 深月の安月給では8万の出費は痛かった。そうなるともう選択肢は一つしかない。

(に、仁科さんなら……いいよ、な?)

「……や、優しく、して、ください……」
「………深月様ならそういっていただけると思いました」

 そういって仁科は微笑んで、ゆっくりと深月の中に陰茎を埋め込んでいった。仁科の性器が入ってくる厭らしい光景を見せられて、深月の興奮が一気に高まる。

「あ、あ、ぁ……に、しな、さっ…」
「痛みますか? 深月様」

 必死に首を振る深月を見て、仁科は己をゆっくりと引き抜いた。どうして、と明らかに物欲しそうに仁科を見上げた深月に、仁科からふっと軽く笑い声が漏れた。
 仁科はローションを少し垂らすとまたそこに宛がい、深月の最奥めがけて一気に突き下ろした。

「…っ…やああああぁぁぁ――!」
「くっ…」

 さすがの締め付けに仁科が眉を寄せるが、すぐに抽送を開始し、深月の弱いところを見つけては責め立てて行く。

「…あ…やぁ……あぁ、んんっ…はっ、はぁっ…」
「深月様、気持ちいところを教えてください」
「……あ、そこ、…や、も、すこし、おくっ…」
「ここですか?」
「…あああ、そこっ、そこぉ…っ…きもちいいっ…ああっ」

 集中的に抉られ、深月は仁科に整えられたシーツを皺になるほど強く掴みながら、悲鳴に近い嬌声を上げた。

 仁科は深月のシャツをたくし上げ、深月の中心からダラダラと零れる粘液を胸の突起に塗り込み、その硬くなりかけた赤い実を指の腹で捏ねた。

「や、なんで、そんなとこっ…」
「すぐに感じられるようになりますからね」
「…あ…なに…」

 中の気持ちいいところを擦られる度に胸がチリチリするような感覚を覚え、深月は困惑する。しかし、転がされるたびに腰から湧き出す甘い痺れに深月は体を反らせた。

「…はぁ、や、もう、むね、さわらないでっ…」
「どうしてですか?」

 仁科は笑みを絶やさずに突起を弄びながら、襲い来る快感に声を上げ続ける深月の蕩け始めた中を最奥まで犯した。

「……っ…も、だめ…っ!」

 ガクガクと体を痙攣させ、深月は射精せずに絶頂に達した。仁科はクタリと力の抜けた、呆然としている深月の唇にちゅっちゅと音を立ててキスをする。当の深月はキスされていることにさえ気づいていないようだった。

 深月の呼吸が落ち着いたところで仁科はまた動きを再開する。すぐに深月の口からは甘い声が漏れ始め、仁科はそれを見てまた笑みを浮かべた。

「もう胸でも奥で感じられるようになりましたね」
「…あ、あ…おくが、いい、いいのっ…」
「奥を突くたびに締め付けて、本当に淫乱ですね」
「…ちがうっ、ちがうからあぁっ…ぁん…っはぁ……ひぅ…んっ…」
「深月様、やはり才能がありますね」
「…ち、ちがぁあんっ、はっ、やぁ…!」
「こんなにドロドロにして、それでも違うというのですか?」

 仁科の手が前に触れ、上下に扱き始めると、深月は快感に頭を振りながらも、仁科のモノを締め付けた。
 グイグイと奥を抉られ、深月はひときわ大きい嬌声を上げて、絶頂を迎えた。

「また、いっぱい出ましたね。後ろもこんなにぐっしょり濡らして…。またシーツ洗わないといけませんね。追加料金かかりますけど、いいですよね?」
「……ま、まってぇ……ひぁっ…まだ、まだぁ…」

 中にある敏感なしこりを優しく小刻みに擦り、わざと深月を追い立てるようにする。

「…いいよな、圭…」

 仁科が深月の耳元で吐息と共に甘く囁くと、ビクリと深月は全身を震わせた。

「…はあっ……いい、いいからっ…もっとつよく、こすってぇ…っ!」
「かしこまりました、深月様」
「ああん、いいよぉっ、もっとそこ、ぐりぐりしてぇっ」

 痙攣している中を掻き回す仁科の熱に溺れ、深月は快楽に堕ちた。




 ***



 深月がハッと目を覚ました時には、もう外はもう夕暮れで、深月は慌てて体を起こした。

「ゆ、め…?」

(夢にしてはリアルだし、なにより部屋が片付いてる…。やっぱり俺、に、仁科さんと、セックスしたんだ)

「うわぁ…、初めて会った、しかも全然知らない人なのに…」

 けれど、深月は全く嫌悪感がない上、気分もすっきりしていた。深月は机の上に一枚置いてあるチラシを見つけて、手に取り、ある一文に目を引かれた。

「お部屋も、気分も、すっきり……。こういうことだったのか…」

 深月は小さくため息をついて、外に広がる夕空に目をやった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...