8 / 43
本編
はち
しおりを挟む
寮の部屋に戻った途端、宗ちゃんに手招きされ、リビングにあるソファーをポンポン叩かれて、座れ、と促された。
なんかいつもとちょっと雰囲気違う気がするんだけど。なに? コワい。
「どしたの? 宗ちゃん」
宗ちゃんは無言で、がさりとビニールの袋と紙袋をローテーブルの上におもむろに置いた。
「これなに?」
「何って…」
なーんか見たことある袋。紙袋は知らないけど、嫌な予感しかしないし、ちょっと逃げたいなー、なんて。僕の部屋のドアは宗ちゃんの向こうにあるし、靴穿いて、玄関開けて…、どう考えても無理。
僕の心を知ってか知らずか、宗ちゃんがガサガサと袋を開けて、中身を取り出した。
……ヤッパリソウデスヨネー。
出てくる出てくる。僕の布切れと化したジャージのズボン。更衣室のごみ箱に捨てて来たのに。
もしかして宗ちゃんゴミ箱あさったの!? 三日も前の?
宗ちゃんにそんな趣味があったなんて…。ちょっと近づくのやめとこ。
それと紙袋には紛失した刻まれた僕の教科書たち。どこから見つけて来たんだろう。刻まれてるのに、ちゃんと名前書いてある部分はしっかり残されてる。これってわざと見えるようにだよね?
はぁ、教科書に律儀に名前なんて書かなきゃよかった。小学生かよ、ってね、ホント。
「なんで制裁受けてたの言わなかった?」
「……なんで、って言われても、大したことないものだったし?」
「アズ、大したことあるとかないとか関係ないだろ。獅々田先輩がアズのこと構った所為なんだから、ちゃんと先輩に言ってどうにかしてもらわないと」
言えるわけないじゃん。
言ったら完全に親衛隊を敵に回すでしょ。その方が怖い気がするしね。
それにあっちから来なければ、もう関わることもないし。
「あー、それね、もう大丈夫。獅々田先輩には近づかないようにしてるし、もう三日は制裁受けてないから、ヘーキ」
「そうなのか?」
「そー。獅々田先輩も生徒会の新しいメンバーの事で忙しいんじゃない? こっちは制裁受けなくなったし、生徒会の方々に巻き込まれなくて済むし、ご飯もゆっくり食べれるし、もうラクチーン」
「…あの人、マジで勝手だな…」
「だから言ったでしょ? 外部生が珍しいんだって。宗ちゃんも気にしすぎだよぉ」
「そんなことない。俺はただアズの事が心配なだけ」
「…ありがと、宗ちゃん。でも僕、直接何かされた訳じゃないから、もう心配いらないよ?」
納得いかないような顔してるけど、制裁がなくなったのはホントの事だしね。
「俺、アズが大切なんだ。だから、こういう事あったら隠さずに言って欲しい。少しは俺も顔が利くし、何か手伝えることはあるはずだから」
「……宗ちゃん」
ホント、宗ちゃんって優しいよね。こういう時すごく男気がある。
「な、アズ……、その片想いの人じゃなくて、俺じゃダメ? ……俺、アズが好きなんだ。アズの事、守ってやりたいんだ。その人じゃできないこと、俺が代わりにしたい」
え……?
ちょっと…、まさか、本気だったの? 両想いがなんとかって言ってたの。
宗ちゃんの真っ直ぐな目。それが冗談じゃないってことは、僕にだってわかる。
そっかぁ。僕、テキトーに流しちゃって、悪いことしてたなぁ…。
いや、だってノンケって言われてたし、そう思うよね!?
でも、……
「……宗ちゃん、ごめん。僕、その人の事しか考えられないんだ。特別、なんだよね…。その人から嫌われても、酷い扱いされても、その人が好き…。だから宗ちゃんの気持ちには応えられない…、ごめんね…」
「……やっぱ、そうだよなぁ…」
大きくため息を吐いて、肩を落とす宗ちゃん。
申し訳ないし、居た堪れなーい…。
「うん…。宗ちゃんをその人の代わりにするなんて、僕にはできないし。それこそ宗ちゃんを好きでいる人に申し訳が立たないもん」
椎名サンとか椎名サンとか椎名サンとか。
「アズ…。そういうやつだよな、お前。俺の気持ちだって利用しようと思えばできるのに、そうやってさ…。外見と中身が違いすぎて、危なっかしくて見てらんないんだよな」
「えー、そんなに違う? 宗ちゃん、僕の事、美化しすぎじゃない?」
「全然。俺、アズにセフレなんていないって知ってるし、片想いの相手だって薄々、な」
は? ちょっと待って。
いつからそんなに勘が良くなったの、宗ちゃん?
「そりゃ、好きな人の事観察するだろ、普通。アズだってしてただろ? それにセフレが、って言ってるのに、大和先輩しか部屋に出入りしてないなぁとは思ってたし。前、片想いの話聞いて何となく、ピンときて」
う…。
ばれてたのぉ? はぁ、やっぱり僕には人を欺く才能とかないのかなー。
「あんまり聞くの良くないけど、大和先輩だよな。アズの片想いの相手って」
もうヤダ、この子。そこは、さらっと流してくれたらいいのに。
「……もー、なんでわかっちゃうかなぁ」
「安心しろって、誰にも言わないから。何か相談に乗れるなら乗る。……今回の事とかも、さ。ちゃんと俺の事、頼ってくれよな。友達として」
友達として、ね…。
「宗ちゃん…、なんか、ごめん…」
「俺が勝手に告っただけだし、気にすんなって。それにわかりきってたことだったしな。アズ、困らすのはわかってたけど、気持ちスッキリさせたくてさ。――ハァー、大和先輩に敵うわけないよなぁ」
宗ちゃんはそういって伸びをして、「恋が終わったー」って叫んで床に大の字にパタンって寝転んだ。
宗ちゃんって、すごいな…。うじうじしたりしないし、自分をしっかり持ってて。
きっと大和先輩に会わずにここまで来てたら、きっと好きになってたよね。宗ちゃんの前では結構素直になれるし、好きだもん。……モチ、友達としてね。
こんな中身空っぽの僕の事、好きになってくれて、
「……ありがとう、宗ちゃん」
「ん?」
「なんでもなーい」
宗ちゃんがずっと僕の友達でいてくれたらいいのにな…。
こんなに考えてくれてるのに、どこかで信じられない僕ってサイテーだよね。ホント、ヤになっちゃう。
でも少し頑張って信じてみようかな、宗ちゃんの事。怖いけど、それでも。
「なー、一目惚れしたのか? 大和先輩に」
「……宗ちゃん…、自分の傷抉るの好きなの?」
「そういう訳じゃないって。ただの興味。入学早々からしてたじゃん、追っかけ。昼飯どうするか聞こうとしたらもういなかったし、すっごい印象に残ってるんだよなー」
あー、あの時は先輩のよく通る廊下のリサーチしてたからねー。先輩を探すのに入学式の段階でこの学内の地図は完璧頭の中に入ってたし、迷うなんてなかったよ。
でもさー、今考えたら、わざと迷ってるの見つけてもらって、恋に発展とかアリだよね。はぁ、そういう計算高い発想がぱっと浮かばないんだよねー、僕。基本ボーっと生きてるし。
「んー。一目惚れって言ったら一目惚れかもー」
「あー、入寮する時、先輩が寮の規則説明してたんだっけ」
僕が大和先輩を見つけたのはその時。お礼言ったのもその時。隕石が衝突したのもその時ね。
「でも、大和先輩とはもっと前に会ってたんだよねー」
そうなの?、って宗ちゃんが興味津々で起き上がった。聞く気満々じゃん。相当あっさり聞いてるけど、振られた後なのに大丈夫なの?
ま、いっか。宗ちゃんだし。
「中一の時にね、超ピンチから救ってくれたヒーローなんだぁ、先輩」
「…ってことは三年近く想ってるってことか?」
「まぁ、そんなカンジ。学園に来て会えるなんて思ってもみなかったけど」
「じゃあ、偶然の再会?」
「そーだよー」
「マジかー。三年越しとか、勝てるわけないじゃん」
宗ちゃんがローテーブルに突っ伏した。
言わんこっちゃない。
宗ちゃん、マゾなの? ちょっとこの情報を椎名サンに横流ししとくか。
もう少し女王様気質になってもらって…、うん、イケんじゃない?
「でも大和先輩がヒーローなんて、意外だな」
「そうなの?」
「あの人仕事を淡々とこなすだけって感じだからな。基本風紀メンバー以外は近づかせないし、干渉もしない。だからこそ中立で委員長やってるんだけどさ。だからアズとそういう関係って聞いた時、驚きはした」
「へぇ…。でも僕、背格好が百瀬様に似てるし、それでOKしてくれたんだと思うよ?」
「は? なんでそこに百瀬先輩が出てくるんだよ」
「大和先輩が好きな人って、百瀬様だもん」
「……アズ、それどこ情報?」
「僕情報。ストーカーしてたから」
あ、ストーカーって言っちゃった。
「あのな、アズ。百瀬先輩ズはありえないから」
「なんで?」
「あの二人はあの二人で完結してるし。入る隙なし。片想いなんて無謀」
二人で完結って、そういう意味だよね。
え、ネコネコ? あの二人が絡み合ってるの? うわー、考えるだけでヤラシイ。妄想膨らむー。
「えー、でもずっと大和先輩が見てたもん、百瀬先輩のこと」
二人いるとは知らなかったけど。
ホントーにそっくりだからね。わかんないよ、単品で見ると。
「ホントに?」
「ホントホント」
「ま、それがホントだとしても、ありえないな。大和先輩の想い人って和風美人っていう話だから。百瀬先輩は完全に洋風だし」
え、完全に外してたってこと?
なんで百瀬先輩見てたのー? 何考えてんの? 大和先輩。
でも、学園で噂になるぐらいってことは、ホントに好きな人いるんだよね…。
はぁ、へこむ。
「宗ちゃんも知らないの? 誰かって」
「知らないんだよなー。噂は結構聞くけど。俺は茶道部の副部長が怪しいと思ってるんだけど」
ふんが! また新たなライバル出現!?
茶道部ってめちゃめちゃ和風じゃん! 茶道部リサーチいくか!
大和先輩、着物着てるおしとやかな人が好きとか?
着物着て、お酌して、よいではないかよいではないか、いやんお代官様、あーれー。みたいなね。うっはー滾る!
こんなことなら着付けちゃんとやっときゃよかった!
今度着物エッチしようって言ってみよかなぁー。喜ぶかなー……。
溜息吐かれる未来しか見えなーい、ぐすん。
…あれ? 前もこんなのあった?
なんかいつもとちょっと雰囲気違う気がするんだけど。なに? コワい。
「どしたの? 宗ちゃん」
宗ちゃんは無言で、がさりとビニールの袋と紙袋をローテーブルの上におもむろに置いた。
「これなに?」
「何って…」
なーんか見たことある袋。紙袋は知らないけど、嫌な予感しかしないし、ちょっと逃げたいなー、なんて。僕の部屋のドアは宗ちゃんの向こうにあるし、靴穿いて、玄関開けて…、どう考えても無理。
僕の心を知ってか知らずか、宗ちゃんがガサガサと袋を開けて、中身を取り出した。
……ヤッパリソウデスヨネー。
出てくる出てくる。僕の布切れと化したジャージのズボン。更衣室のごみ箱に捨てて来たのに。
もしかして宗ちゃんゴミ箱あさったの!? 三日も前の?
宗ちゃんにそんな趣味があったなんて…。ちょっと近づくのやめとこ。
それと紙袋には紛失した刻まれた僕の教科書たち。どこから見つけて来たんだろう。刻まれてるのに、ちゃんと名前書いてある部分はしっかり残されてる。これってわざと見えるようにだよね?
はぁ、教科書に律儀に名前なんて書かなきゃよかった。小学生かよ、ってね、ホント。
「なんで制裁受けてたの言わなかった?」
「……なんで、って言われても、大したことないものだったし?」
「アズ、大したことあるとかないとか関係ないだろ。獅々田先輩がアズのこと構った所為なんだから、ちゃんと先輩に言ってどうにかしてもらわないと」
言えるわけないじゃん。
言ったら完全に親衛隊を敵に回すでしょ。その方が怖い気がするしね。
それにあっちから来なければ、もう関わることもないし。
「あー、それね、もう大丈夫。獅々田先輩には近づかないようにしてるし、もう三日は制裁受けてないから、ヘーキ」
「そうなのか?」
「そー。獅々田先輩も生徒会の新しいメンバーの事で忙しいんじゃない? こっちは制裁受けなくなったし、生徒会の方々に巻き込まれなくて済むし、ご飯もゆっくり食べれるし、もうラクチーン」
「…あの人、マジで勝手だな…」
「だから言ったでしょ? 外部生が珍しいんだって。宗ちゃんも気にしすぎだよぉ」
「そんなことない。俺はただアズの事が心配なだけ」
「…ありがと、宗ちゃん。でも僕、直接何かされた訳じゃないから、もう心配いらないよ?」
納得いかないような顔してるけど、制裁がなくなったのはホントの事だしね。
「俺、アズが大切なんだ。だから、こういう事あったら隠さずに言って欲しい。少しは俺も顔が利くし、何か手伝えることはあるはずだから」
「……宗ちゃん」
ホント、宗ちゃんって優しいよね。こういう時すごく男気がある。
「な、アズ……、その片想いの人じゃなくて、俺じゃダメ? ……俺、アズが好きなんだ。アズの事、守ってやりたいんだ。その人じゃできないこと、俺が代わりにしたい」
え……?
ちょっと…、まさか、本気だったの? 両想いがなんとかって言ってたの。
宗ちゃんの真っ直ぐな目。それが冗談じゃないってことは、僕にだってわかる。
そっかぁ。僕、テキトーに流しちゃって、悪いことしてたなぁ…。
いや、だってノンケって言われてたし、そう思うよね!?
でも、……
「……宗ちゃん、ごめん。僕、その人の事しか考えられないんだ。特別、なんだよね…。その人から嫌われても、酷い扱いされても、その人が好き…。だから宗ちゃんの気持ちには応えられない…、ごめんね…」
「……やっぱ、そうだよなぁ…」
大きくため息を吐いて、肩を落とす宗ちゃん。
申し訳ないし、居た堪れなーい…。
「うん…。宗ちゃんをその人の代わりにするなんて、僕にはできないし。それこそ宗ちゃんを好きでいる人に申し訳が立たないもん」
椎名サンとか椎名サンとか椎名サンとか。
「アズ…。そういうやつだよな、お前。俺の気持ちだって利用しようと思えばできるのに、そうやってさ…。外見と中身が違いすぎて、危なっかしくて見てらんないんだよな」
「えー、そんなに違う? 宗ちゃん、僕の事、美化しすぎじゃない?」
「全然。俺、アズにセフレなんていないって知ってるし、片想いの相手だって薄々、な」
は? ちょっと待って。
いつからそんなに勘が良くなったの、宗ちゃん?
「そりゃ、好きな人の事観察するだろ、普通。アズだってしてただろ? それにセフレが、って言ってるのに、大和先輩しか部屋に出入りしてないなぁとは思ってたし。前、片想いの話聞いて何となく、ピンときて」
う…。
ばれてたのぉ? はぁ、やっぱり僕には人を欺く才能とかないのかなー。
「あんまり聞くの良くないけど、大和先輩だよな。アズの片想いの相手って」
もうヤダ、この子。そこは、さらっと流してくれたらいいのに。
「……もー、なんでわかっちゃうかなぁ」
「安心しろって、誰にも言わないから。何か相談に乗れるなら乗る。……今回の事とかも、さ。ちゃんと俺の事、頼ってくれよな。友達として」
友達として、ね…。
「宗ちゃん…、なんか、ごめん…」
「俺が勝手に告っただけだし、気にすんなって。それにわかりきってたことだったしな。アズ、困らすのはわかってたけど、気持ちスッキリさせたくてさ。――ハァー、大和先輩に敵うわけないよなぁ」
宗ちゃんはそういって伸びをして、「恋が終わったー」って叫んで床に大の字にパタンって寝転んだ。
宗ちゃんって、すごいな…。うじうじしたりしないし、自分をしっかり持ってて。
きっと大和先輩に会わずにここまで来てたら、きっと好きになってたよね。宗ちゃんの前では結構素直になれるし、好きだもん。……モチ、友達としてね。
こんな中身空っぽの僕の事、好きになってくれて、
「……ありがとう、宗ちゃん」
「ん?」
「なんでもなーい」
宗ちゃんがずっと僕の友達でいてくれたらいいのにな…。
こんなに考えてくれてるのに、どこかで信じられない僕ってサイテーだよね。ホント、ヤになっちゃう。
でも少し頑張って信じてみようかな、宗ちゃんの事。怖いけど、それでも。
「なー、一目惚れしたのか? 大和先輩に」
「……宗ちゃん…、自分の傷抉るの好きなの?」
「そういう訳じゃないって。ただの興味。入学早々からしてたじゃん、追っかけ。昼飯どうするか聞こうとしたらもういなかったし、すっごい印象に残ってるんだよなー」
あー、あの時は先輩のよく通る廊下のリサーチしてたからねー。先輩を探すのに入学式の段階でこの学内の地図は完璧頭の中に入ってたし、迷うなんてなかったよ。
でもさー、今考えたら、わざと迷ってるの見つけてもらって、恋に発展とかアリだよね。はぁ、そういう計算高い発想がぱっと浮かばないんだよねー、僕。基本ボーっと生きてるし。
「んー。一目惚れって言ったら一目惚れかもー」
「あー、入寮する時、先輩が寮の規則説明してたんだっけ」
僕が大和先輩を見つけたのはその時。お礼言ったのもその時。隕石が衝突したのもその時ね。
「でも、大和先輩とはもっと前に会ってたんだよねー」
そうなの?、って宗ちゃんが興味津々で起き上がった。聞く気満々じゃん。相当あっさり聞いてるけど、振られた後なのに大丈夫なの?
ま、いっか。宗ちゃんだし。
「中一の時にね、超ピンチから救ってくれたヒーローなんだぁ、先輩」
「…ってことは三年近く想ってるってことか?」
「まぁ、そんなカンジ。学園に来て会えるなんて思ってもみなかったけど」
「じゃあ、偶然の再会?」
「そーだよー」
「マジかー。三年越しとか、勝てるわけないじゃん」
宗ちゃんがローテーブルに突っ伏した。
言わんこっちゃない。
宗ちゃん、マゾなの? ちょっとこの情報を椎名サンに横流ししとくか。
もう少し女王様気質になってもらって…、うん、イケんじゃない?
「でも大和先輩がヒーローなんて、意外だな」
「そうなの?」
「あの人仕事を淡々とこなすだけって感じだからな。基本風紀メンバー以外は近づかせないし、干渉もしない。だからこそ中立で委員長やってるんだけどさ。だからアズとそういう関係って聞いた時、驚きはした」
「へぇ…。でも僕、背格好が百瀬様に似てるし、それでOKしてくれたんだと思うよ?」
「は? なんでそこに百瀬先輩が出てくるんだよ」
「大和先輩が好きな人って、百瀬様だもん」
「……アズ、それどこ情報?」
「僕情報。ストーカーしてたから」
あ、ストーカーって言っちゃった。
「あのな、アズ。百瀬先輩ズはありえないから」
「なんで?」
「あの二人はあの二人で完結してるし。入る隙なし。片想いなんて無謀」
二人で完結って、そういう意味だよね。
え、ネコネコ? あの二人が絡み合ってるの? うわー、考えるだけでヤラシイ。妄想膨らむー。
「えー、でもずっと大和先輩が見てたもん、百瀬先輩のこと」
二人いるとは知らなかったけど。
ホントーにそっくりだからね。わかんないよ、単品で見ると。
「ホントに?」
「ホントホント」
「ま、それがホントだとしても、ありえないな。大和先輩の想い人って和風美人っていう話だから。百瀬先輩は完全に洋風だし」
え、完全に外してたってこと?
なんで百瀬先輩見てたのー? 何考えてんの? 大和先輩。
でも、学園で噂になるぐらいってことは、ホントに好きな人いるんだよね…。
はぁ、へこむ。
「宗ちゃんも知らないの? 誰かって」
「知らないんだよなー。噂は結構聞くけど。俺は茶道部の副部長が怪しいと思ってるんだけど」
ふんが! また新たなライバル出現!?
茶道部ってめちゃめちゃ和風じゃん! 茶道部リサーチいくか!
大和先輩、着物着てるおしとやかな人が好きとか?
着物着て、お酌して、よいではないかよいではないか、いやんお代官様、あーれー。みたいなね。うっはー滾る!
こんなことなら着付けちゃんとやっときゃよかった!
今度着物エッチしようって言ってみよかなぁー。喜ぶかなー……。
溜息吐かれる未来しか見えなーい、ぐすん。
…あれ? 前もこんなのあった?
12
お気に入りに追加
726
あなたにおすすめの小説

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
王道学園なのに会長だけなんか違くない?
ばなな
BL
※更新遅め
この学園。柵野下学園の生徒会はよくある王道的なも
のだった。
…だが会長は違ったーー
この作品は王道の俺様会長では無い面倒くさがりな主人公とその周りの話です。
ちなみに会長総受け…になる予定?です。

αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる