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妖精さん、空へ
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「はぁ……はぁ……。あとどれくらいなんだろう……」
疲労で動けなくなる前に休憩を挟みながら行動を続けていたが、一向に目当ての場所には到達する気配がなかった。
セイツは自身の方向感覚を信じ、草の迷路を出来るだけまっすぐと進んでいた。
拾った細い枝を地面に引きずるように歩き、線を描く。そうすることによってまっすぐ進めている、と信じながら。
「今は……夕方くらいかな? ちょっとだけ暗くなってきたな……」
不安。セイツは火種も何も持ってきていないことに後悔したが、もう既に相当の距離は歩いてきている。戻るのは戻れるだろうが、それもまた危険が伴うだろう。
(ここまできたら帰れない。山の麓……そこまで行くしかない)
「はぁ……はぁ……」
息を荒げながら先に足を進める。
いくら休憩を挟んでいようと、歩く事に向いていない妖精では限界が必ず訪れる。
「また良さげな石ころでも探して休憩を……え?」
ーー唐突な浮遊感と胸の圧迫感。首を傾げ、セイツは自身の足元を確認する。まず目に入ったのは、地面がドンドン離れていっているという光景。
まるでバンジージャンプを実行し、ゴムが反動で戻る時の景色のようだった。
「!? 飛ん……!! ……な、何かに掴まれてる!?」
そして次に気づいたのは、セイツ自身を包み込むように体を覆っていたのはーー足。鋭い爪が生えた足。
「うわぁぁぁぁ!? 鳥に……掴まれて……!」
その事実にようやく気づいたセイツはジタバタと暴れパニックになるが、状況は変わらない。
セイツはひとしきり叫び暴れたが空の旅は終わらないようだった。そして一つの考えに至った。
(……そうだ。ここで暴れて落ちたりしたら、僕はどうやっても助からない)
絶望。セイツの心中はその一言で埋められていく。
餌にされるのか、それとも弄ばれるのか。セイツはそれを考えるだけで泣きそうになり、遂には半泣きになり嗚咽が少し漏れる。
「うえ……うっ……どこまで連れて行くつもりなんだ、この鳥は……うぅ」
まだ飛び始めて数分しか経っていないが、セイツにはもう長い事飛び続けている気分だった。
そうしてゆっくりと空を飛んでいた鳥はーー唐突に急降下を始めた。
「うっ……目が……くっ」
体をギュッと握られ、風圧で目を開けることが出来ずセイツは苦しい声を出す。
だが、それも一時。
「うっ……あ、目があけられ……!?」
圧迫感が無くなり、不思議と目を開けると、目に映ったのは茶色い木屑。
そして、一拍を置いてからセイツの体に衝撃が襲う。
鳥は己の巣にセイツをギリギリから放り込み、セイツは巣の中でゴロゴロと転がりながら体を抱え……そして巣から落ちた。
「うわぁぁぁぁ!!」
巣から落ちたセイツは今度こそ自分は死ぬ。そう思っていた。
だが、襲ってきた感覚は、柔らかいもの感触だ。何度かバウンドし、その柔らかい場所に仰向けで倒れる。
(死んで……ない?)
その生きている事実に安堵の息を吐き、セイツは気を失ってしまう。
セイツが巣から落ち、着地した生き物は、豚によく似た動物だった。
その豚もどきは背中に少しだけ違和感を感じたが、すぐにどうでもよくなり、自分の住処である山の洞穴に向かっていった。
疲労で動けなくなる前に休憩を挟みながら行動を続けていたが、一向に目当ての場所には到達する気配がなかった。
セイツは自身の方向感覚を信じ、草の迷路を出来るだけまっすぐと進んでいた。
拾った細い枝を地面に引きずるように歩き、線を描く。そうすることによってまっすぐ進めている、と信じながら。
「今は……夕方くらいかな? ちょっとだけ暗くなってきたな……」
不安。セイツは火種も何も持ってきていないことに後悔したが、もう既に相当の距離は歩いてきている。戻るのは戻れるだろうが、それもまた危険が伴うだろう。
(ここまできたら帰れない。山の麓……そこまで行くしかない)
「はぁ……はぁ……」
息を荒げながら先に足を進める。
いくら休憩を挟んでいようと、歩く事に向いていない妖精では限界が必ず訪れる。
「また良さげな石ころでも探して休憩を……え?」
ーー唐突な浮遊感と胸の圧迫感。首を傾げ、セイツは自身の足元を確認する。まず目に入ったのは、地面がドンドン離れていっているという光景。
まるでバンジージャンプを実行し、ゴムが反動で戻る時の景色のようだった。
「!? 飛ん……!! ……な、何かに掴まれてる!?」
そして次に気づいたのは、セイツ自身を包み込むように体を覆っていたのはーー足。鋭い爪が生えた足。
「うわぁぁぁぁ!? 鳥に……掴まれて……!」
その事実にようやく気づいたセイツはジタバタと暴れパニックになるが、状況は変わらない。
セイツはひとしきり叫び暴れたが空の旅は終わらないようだった。そして一つの考えに至った。
(……そうだ。ここで暴れて落ちたりしたら、僕はどうやっても助からない)
絶望。セイツの心中はその一言で埋められていく。
餌にされるのか、それとも弄ばれるのか。セイツはそれを考えるだけで泣きそうになり、遂には半泣きになり嗚咽が少し漏れる。
「うえ……うっ……どこまで連れて行くつもりなんだ、この鳥は……うぅ」
まだ飛び始めて数分しか経っていないが、セイツにはもう長い事飛び続けている気分だった。
そうしてゆっくりと空を飛んでいた鳥はーー唐突に急降下を始めた。
「うっ……目が……くっ」
体をギュッと握られ、風圧で目を開けることが出来ずセイツは苦しい声を出す。
だが、それも一時。
「うっ……あ、目があけられ……!?」
圧迫感が無くなり、不思議と目を開けると、目に映ったのは茶色い木屑。
そして、一拍を置いてからセイツの体に衝撃が襲う。
鳥は己の巣にセイツをギリギリから放り込み、セイツは巣の中でゴロゴロと転がりながら体を抱え……そして巣から落ちた。
「うわぁぁぁぁ!!」
巣から落ちたセイツは今度こそ自分は死ぬ。そう思っていた。
だが、襲ってきた感覚は、柔らかいもの感触だ。何度かバウンドし、その柔らかい場所に仰向けで倒れる。
(死んで……ない?)
その生きている事実に安堵の息を吐き、セイツは気を失ってしまう。
セイツが巣から落ち、着地した生き物は、豚によく似た動物だった。
その豚もどきは背中に少しだけ違和感を感じたが、すぐにどうでもよくなり、自分の住処である山の洞穴に向かっていった。
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