酔仙楼詩話

吉野川泥舟

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 君は知らないのか
 いや知っているはずだろうとも
 黄河の水が天の彼方から流れ来て 
 海まで到れば二度と帰らないことを

 君は知らないのか 
 いや知っているはずだろうとも
 鏡に顔を映して老いを嘆き
 朝には黒かった糸が夕暮れには雪になることを

 だからこそ
 人生で大切なことはただひとつ
 楽しめるときには存分に味わい尽くすこと

 金の酒樽があるというのに
 ただ月に向かわせるだけなんて野暮の極み

 この世に私が生まれ出たのは
 天の意思が働いてのこと
 そう きっと活躍する機会がある

 どんなに散財したところで
 金は天下の回りもの ぐるりと巡ってもと通り

 料理はどんどん運んで来い
 遠慮するなどもってのほか

 酒は飲め飲め 飲むならば
 当然一度に三百杯 三百杯は飲まねばならぬ
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