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◆毒草の王太子◆
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黄金曜日。
放課後が近付いた教室の中は、そわそわした空気に満ちている。明日からまた二日間の休日だ。
ローザは気鬱から溜め息をついた。
黒板の文字をノートに書き写していると、視界に入ってしまう“罪”。両手の人差し指に巻かれた、赤い糸。
一週間近くも前に巻かれたもの。
それはローザへのいましめだった。
申し訳なさと後悔で、心に重石が入ったような気持ちになる。いや、後悔は……しているのだろうか?
「可愛いローザ。これは君への罰だよ?」
あの、お日さま曜日、あの図書館で。
自分たちの話を聞いたエドアルド王子は、優雅にしゃがんで片膝をついた。
床に座り込んだ婚約者の左手の人差し指に赤い糸を巻き付ける。彼が着ていた礼装のマントから引きちぎった糸だ。
明るい黄金の髪とアイスブルーの瞳、端正な顔立ちの“完璧な王子さま”は、おだやかに微笑んですらいた。
あんな――自分の女が、自分たち以外の男と交わる姿を見たというのに。
彼から糸を受け取って、チェリオもまた右手の人差し指に巻いてきた。彼もまた礼装だ。今日は城で行事があり、学園に帰ってくるのは明日のはずだったのだから。
こんな状況でなければ、見惚れるほど美しい男性たちだった。
「……ローザ様」
怒っているかと思った。
泣くかとも思った。
しかしオレンジの髪の彼もまた罵倒すらせずに、淡い苦笑めいた笑みを浮かべていた。
「……悪いのは、わたくしなの」
「私だけが悪いと、申し上げております!」
語尾に重ねるように、カルミネが叫ぶ。
しかし、彼の牡を慰めることを選んだのは自分だ。
ブラウスのボタンは留めていたけれど、その下にある乳房は精液でぐちゃぐちゃ。下着もまた愛液と唾液でしとどに濡れている。彼のモノを性器に入れていない“だけ”でしかない。
この国の第二王子と、貴族の重鎮の息子を裏切ってしまったのだ。きっと、鞭を打たれて国外に追放されるのだろう。
ゲームの中の『悪役令嬢』のように。
「そうだね、なんてひどい女なんだ君は」
それは初めて王子と結ばれた時に、言われた言葉。まだ一ヶ月ぐらいしか経っていないのに。
「だから、君たちの処遇を決めるのは、次の休日である土の曜日にするよ? それまで君の――自慰行為を禁止する」
「……わたくしの、じいこうい?」
エドアルドはサディスティックな笑顔で、ローザの耳元に唇を寄せる。
「その赤い糸は戒めだ。君はそれを外されるまでは一切、オナニーしてはいけない。君のその素敵なおっぱいにも、蜜壷や入り口の珊瑚の粒にも、自分で触れてはいけないよ、ローザ。――いい子だ、守れるね?」
ひたいにキスが落ちる。
ローザはうなずくしかなかった。
放課後が近付いた教室の中は、そわそわした空気に満ちている。明日からまた二日間の休日だ。
ローザは気鬱から溜め息をついた。
黒板の文字をノートに書き写していると、視界に入ってしまう“罪”。両手の人差し指に巻かれた、赤い糸。
一週間近くも前に巻かれたもの。
それはローザへのいましめだった。
申し訳なさと後悔で、心に重石が入ったような気持ちになる。いや、後悔は……しているのだろうか?
「可愛いローザ。これは君への罰だよ?」
あの、お日さま曜日、あの図書館で。
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明るい黄金の髪とアイスブルーの瞳、端正な顔立ちの“完璧な王子さま”は、おだやかに微笑んですらいた。
あんな――自分の女が、自分たち以外の男と交わる姿を見たというのに。
彼から糸を受け取って、チェリオもまた右手の人差し指に巻いてきた。彼もまた礼装だ。今日は城で行事があり、学園に帰ってくるのは明日のはずだったのだから。
こんな状況でなければ、見惚れるほど美しい男性たちだった。
「……ローザ様」
怒っているかと思った。
泣くかとも思った。
しかしオレンジの髪の彼もまた罵倒すらせずに、淡い苦笑めいた笑みを浮かべていた。
「……悪いのは、わたくしなの」
「私だけが悪いと、申し上げております!」
語尾に重ねるように、カルミネが叫ぶ。
しかし、彼の牡を慰めることを選んだのは自分だ。
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「その赤い糸は戒めだ。君はそれを外されるまでは一切、オナニーしてはいけない。君のその素敵なおっぱいにも、蜜壷や入り口の珊瑚の粒にも、自分で触れてはいけないよ、ローザ。――いい子だ、守れるね?」
ひたいにキスが落ちる。
ローザはうなずくしかなかった。
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