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◆向日葵の騎士◆
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婚約を了承したーーこれはそういう意味になってしまうのだろうか。確かにこの胸のときめきは「愛」という感情に入るのだろうけれども。
だけど。ヒロインのリリィのことを彼はどう思っているのだろう。仲良く話はしているようだったのに……。
そう思うと心臓がかすかに痛む。
だって自分は、ゲームの中なら悪役令嬢のポジションだった。前世が目覚めてからの九年間。あんな残酷な子にならないように気をつけてはきたけれど、ここにいるのは本来ならばリリィのはずだ。
だけど。ゲームの中ではチェリオの告白イベントはもっと先だったはずだし、もっと冗談めいた言い方だったはずだ。
「本当に、冗談ではありませんの?」
「ーー怒りますよ?」
見上げてくるチェリオの目に殺気めいたものが生まれた。喰い殺されるとも感じて、慌てて謝罪する。
「俺が愛しているのは貴女だ、ローザ様。他の誰でもない。いくら普段ふざけている俺だって、この国の第二王子である親友の最愛の婚約者に、こんなことは言えません」
「……そう、ですわよね」
軽口を叩いていたって根は真面目で能力が高く、いつだってこの国と、親友であるエドアルドのことを思って動いている右腕だ。
「俺は、はじめて貴女と言葉を交わしたガキの頃から、ずっと貴女を愛していたんだ。俺を、婚約者のひとりにくわえてもらえるだろうか?」
動揺してしまった。
彼の真剣な気持ちと、それを強く「嬉しい」と感じてしまっている自分に。
もしここで断ったのなら彼は姿を消してしまい、二度と会えないだろう。という、確信めいた予感はあった。
それは嫌だ。
「ローザ様。どうか、俺が貴女の足にキスすることを許して欲しい」
エドアルドのほうを窺うと、彼はこちらを安心させるかのようにうなずいた。
戸惑いながら頷く。
「……はい」
「ありがとうございます。これで俺は、ついに貴女の婚約者だ」
チェリオの晴れ晴れとした笑顔は、こちらの憂いをすべて吹き飛ばす太陽のような明るさがあった。ローザの心まで暖かくなる。
チェリオは膝立ちのままローザのもとににじりよると、片足をうやうやしく持ち上げて靴を脱がせた。そして、絹のストッキングに包まれたつま先にキスを落とした。
いつでも彼は異国の女王陛下に接するかのように、ローザに接する。
しかし、今はそれだけでは止まらなかった。
「……ふぁ?」
薄い布越しに、温かな舌に足の指を舐めあげられる。
「あぁ、俺が想像していた以上に素敵な足だ。いつもスカートに隠されているのが、もったいない」
制服の膝下丈のスカートがまくりあげられ、舌がぬらぬらと這い登ってくる。
ローザは執務室のテーブルに後ろ手をついて、崩れ落ちそうになる全身を支えた。書類や本が床に落ちた音が聞こえた。
「ちょ、ちょっとチェリオ様?」
エドアルドを気にしたが、彼もまた、ローザに身を寄せてブラウスをとめるリボンに指をかけている。
「いいんだ、ローザ」
「エドアルド様?」
胸に彼の指を感じるのは、先週の、王城で初めて結ばれた夜以来だ。それからすぐ学園に戻ってきたこともあって軽いキスしかしていない。
恥ずかしさに頬が熱くなる。
そのままふたりによって愛撫されながら、執務机にうつ伏せにされる。
「ローザ様……俺の女神……」
チェリオの声が低いところから聞こえる。
彼は膝立ちのままローザの足に後ろからすがりついて、ストッキングに包まれたままの足を舐めあげていた。
「あ……や、そんな……」
下着が下ろされて、尻に風を感じる。
懸命に羞恥をこらえているローザは、男ふたりにどのように見えているのか気付かない。
腰までまくり上げられたスカート、足首まで落とされたレースのショーツ。
剥いたばかりの桃のような瑞々しい尻肉が恥ずかしそうに揺れて、薔薇の巻き毛よりもなお赤いガーターベルトだけをまとわりつかせている。
ブラウスも袖だけでとどまっている状況で、大理石のようになめらかな背中と簡単なコルセットが丸見えだった。
なんて扇情的なんだろうか。
感動のため息をつくと、チェリオはその真っ白な太股にキスを落とし、臀部へとむしゃぶりついた。
だけど。ヒロインのリリィのことを彼はどう思っているのだろう。仲良く話はしているようだったのに……。
そう思うと心臓がかすかに痛む。
だって自分は、ゲームの中なら悪役令嬢のポジションだった。前世が目覚めてからの九年間。あんな残酷な子にならないように気をつけてはきたけれど、ここにいるのは本来ならばリリィのはずだ。
だけど。ゲームの中ではチェリオの告白イベントはもっと先だったはずだし、もっと冗談めいた言い方だったはずだ。
「本当に、冗談ではありませんの?」
「ーー怒りますよ?」
見上げてくるチェリオの目に殺気めいたものが生まれた。喰い殺されるとも感じて、慌てて謝罪する。
「俺が愛しているのは貴女だ、ローザ様。他の誰でもない。いくら普段ふざけている俺だって、この国の第二王子である親友の最愛の婚約者に、こんなことは言えません」
「……そう、ですわよね」
軽口を叩いていたって根は真面目で能力が高く、いつだってこの国と、親友であるエドアルドのことを思って動いている右腕だ。
「俺は、はじめて貴女と言葉を交わしたガキの頃から、ずっと貴女を愛していたんだ。俺を、婚約者のひとりにくわえてもらえるだろうか?」
動揺してしまった。
彼の真剣な気持ちと、それを強く「嬉しい」と感じてしまっている自分に。
もしここで断ったのなら彼は姿を消してしまい、二度と会えないだろう。という、確信めいた予感はあった。
それは嫌だ。
「ローザ様。どうか、俺が貴女の足にキスすることを許して欲しい」
エドアルドのほうを窺うと、彼はこちらを安心させるかのようにうなずいた。
戸惑いながら頷く。
「……はい」
「ありがとうございます。これで俺は、ついに貴女の婚約者だ」
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チェリオは膝立ちのままローザのもとににじりよると、片足をうやうやしく持ち上げて靴を脱がせた。そして、絹のストッキングに包まれたつま先にキスを落とした。
いつでも彼は異国の女王陛下に接するかのように、ローザに接する。
しかし、今はそれだけでは止まらなかった。
「……ふぁ?」
薄い布越しに、温かな舌に足の指を舐めあげられる。
「あぁ、俺が想像していた以上に素敵な足だ。いつもスカートに隠されているのが、もったいない」
制服の膝下丈のスカートがまくりあげられ、舌がぬらぬらと這い登ってくる。
ローザは執務室のテーブルに後ろ手をついて、崩れ落ちそうになる全身を支えた。書類や本が床に落ちた音が聞こえた。
「ちょ、ちょっとチェリオ様?」
エドアルドを気にしたが、彼もまた、ローザに身を寄せてブラウスをとめるリボンに指をかけている。
「いいんだ、ローザ」
「エドアルド様?」
胸に彼の指を感じるのは、先週の、王城で初めて結ばれた夜以来だ。それからすぐ学園に戻ってきたこともあって軽いキスしかしていない。
恥ずかしさに頬が熱くなる。
そのままふたりによって愛撫されながら、執務机にうつ伏せにされる。
「ローザ様……俺の女神……」
チェリオの声が低いところから聞こえる。
彼は膝立ちのままローザの足に後ろからすがりついて、ストッキングに包まれたままの足を舐めあげていた。
「あ……や、そんな……」
下着が下ろされて、尻に風を感じる。
懸命に羞恥をこらえているローザは、男ふたりにどのように見えているのか気付かない。
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剥いたばかりの桃のような瑞々しい尻肉が恥ずかしそうに揺れて、薔薇の巻き毛よりもなお赤いガーターベルトだけをまとわりつかせている。
ブラウスも袖だけでとどまっている状況で、大理石のようになめらかな背中と簡単なコルセットが丸見えだった。
なんて扇情的なんだろうか。
感動のため息をつくと、チェリオはその真っ白な太股にキスを落とし、臀部へとむしゃぶりついた。
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