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赤ずきんと金狼
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少女の愛らしい歌声が、広い花畑の隅々まで響き渡っていました。
獲物を探し疲れた黄金の狼は、眠りから目覚めました。明けたばかりの太陽に照らしだされて、花々に囲まれた昨日の獲物が、両手を広げて癒しの歌を歌っています。
フードが付いた林檎色のマントに包まれた陶器のような肌に、若葉色の瞳。小麦色の髪は編みも縛られもせずにゆるやかに波打ち、風に遊ばせています。
「っ、てめぇ」
「やめたほうがいいよ」
穏やかな声が近くで聞こえました。何度も何度も魔女たちを連れ去った、鬱陶しくも逃げ足の速い黒狼の声でした。その魔女たちは魔力に溺れて戻ってきましたが、いちばん特上の魔女だけが、こうして自分の手に入らずに無事でいるのです。
草地に起き上がった金の狼は憎々しげに振り返りながら、長く尖らせた爪を突き出しました。
しかし、いつもならば黒狼に怪我のひとつはさせるはずの自分の爪が、あっさりと受け流されてしまったのです。
そこにいるのは、見慣れた弱っちい黒狼ではありませんでした。いえ、その毛並みは相変わらず闇のように真っ黒でしたが、毛先のところどころがまるでプラチナの星のように輝いていました。
「……星狼…………」
あっけにとられた金狼の前で、自分が玩具として殺した幼い魔女たちが、次々と身を起こします。彼女たちは何か夢を見ていたとでもいうように、あたりを見回しました。
愛する使い魔を得た赤ずきんは、金の狼に向かって微笑みました。
「……あなたたちが魔女のことを何も解っていないことは、自業自得だわ。魔女を、ただの性器の付属品として使うなんて、ね」
黄金の毛並みを持つ狼の周囲を、片腕や片足を失った、魔力に酔っていない魔女たちが囲みました。
そして――魔女の森の花畑に、引き裂かれていく金狼の悲鳴が響き渡りました
獲物を探し疲れた黄金の狼は、眠りから目覚めました。明けたばかりの太陽に照らしだされて、花々に囲まれた昨日の獲物が、両手を広げて癒しの歌を歌っています。
フードが付いた林檎色のマントに包まれた陶器のような肌に、若葉色の瞳。小麦色の髪は編みも縛られもせずにゆるやかに波打ち、風に遊ばせています。
「っ、てめぇ」
「やめたほうがいいよ」
穏やかな声が近くで聞こえました。何度も何度も魔女たちを連れ去った、鬱陶しくも逃げ足の速い黒狼の声でした。その魔女たちは魔力に溺れて戻ってきましたが、いちばん特上の魔女だけが、こうして自分の手に入らずに無事でいるのです。
草地に起き上がった金の狼は憎々しげに振り返りながら、長く尖らせた爪を突き出しました。
しかし、いつもならば黒狼に怪我のひとつはさせるはずの自分の爪が、あっさりと受け流されてしまったのです。
そこにいるのは、見慣れた弱っちい黒狼ではありませんでした。いえ、その毛並みは相変わらず闇のように真っ黒でしたが、毛先のところどころがまるでプラチナの星のように輝いていました。
「……星狼…………」
あっけにとられた金狼の前で、自分が玩具として殺した幼い魔女たちが、次々と身を起こします。彼女たちは何か夢を見ていたとでもいうように、あたりを見回しました。
愛する使い魔を得た赤ずきんは、金の狼に向かって微笑みました。
「……あなたたちが魔女のことを何も解っていないことは、自業自得だわ。魔女を、ただの性器の付属品として使うなんて、ね」
黄金の毛並みを持つ狼の周囲を、片腕や片足を失った、魔力に酔っていない魔女たちが囲みました。
そして――魔女の森の花畑に、引き裂かれていく金狼の悲鳴が響き渡りました
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