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第2章。「魔族の誤解」

12、大乱闘、真実の位の出現

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--大乱闘--

呪いの子は、怪物の先頭を光になって飛んでいく。
「拷問部屋!」
獣人が群がっている。
怪物達は、獣人に突入した。
獣人達は、後ろから衝撃を受け、あわてふためいた。
大乱闘が始まった。
彼らは腕を食い、喉を噛み、噛み殺しあった。
「裕也がいる」メンディアは、彼に気づいた。
「髪が白い。目が青くなってる」エジェも彼に気づく。
「それでも、裕也よね。
 彼は、鎖でつながれてるわ」メンディアは、良く観察した。
「私が切ってくる」エジェは飛び出した。
「ヒュー。シャキ。シャキ」
裕也の体は自由になった。
しかし、彼にはサンディアが乗り移っていた。
サンディアは、両手をげた。
「静まれ!」
彼は、その声と同時に両手を振り下ろす。
怒りの空気の波動が波を追ってたたきおろされた。
獣人も怪物も全員。彼らは、周りの壁に吹き飛んだ。
何事かと黒装束くろしょうぞくのデスエジェント(魔貴族まきぞく)が後ろに集まって来る。
サンディアは、デスエジェントに問うた。
「お前達のあるじは、誰だ?」
デスエジェントは、恐れた。ただ、殺されると思った。
け反りおおののき目を伏せ、我がちに答えた。
「エ エトランダァー 魔像で ございます」

(彼は、裕也じゃない。そんなぁ)エジェもメンディアも失望した。
(おぉ。サンディア!)呪いの子は、喜びの声を上げた。


--真実のくらいの出現--

エジェントは、サンディアをエトランダァーの元に連れ行った。
おごそかかに案内するエジェント。
サンディアは、後ろをゆっくり歩いていく。
やがて、大広間、祭壇の部屋の像の前に着く。
サンディアは、怒りをあらわにした。
「エトランダァー。なぜ、裕也を苦しめる?」

エトランダァーは言う。
「それは、啓示けいじだからだ」

サンディアは、裕也を、ただここから救い出さねばと思った。

エトランダァーは、落ち着いていた。

メンディアとエジェと呪いの子たちは、後を付いて来ていた。
「あ!裕也の周りに白いきりがでてる。
 裕也がその霧に包まれてく」

サンディアは、白い霧に包まれていた。
「ここは!」
サンディアとエトランダァーは、真っ白な二人だけの世界に居た。

「ここは、イメージの世界だ」
エトランダァーは言い放つ。

サンディアは、彼の両手を挙げ怒りのをエトランダァーに放出した。
しかし、何も起こらない。

「お前の力は無力だ」エトランダァーは、裕也をなだめる。

「う」
サンディアは、エトランダァーに襲い掛かる。
しかし、エトランダァーは、サンディアののどを左手でガシッとつかんだ。
「うぅうう」
我を呼び目をます裕也。
(サンディア。何をしようとしているの?)
(裕也を助ける。像を壊す)
(破壊?そうやって昔も生きて後悔してきたじゃないか。
 これは、俺の体だ。
 俺が好きに生きる)裕也は言い切った。
裕也の髪が黒髪に戻る。目の青さは奥に吸い込まれていく。
(裕也。確かにお前の生きる道だ。さようなら)
裕也は、我に返った。
(苦しい。こんな場面で俺が入れ替わるなんて、最悪だ)
裕也は、ありったけの力で像をった。
像の力がゆるむ。
不思議と力が出る。
像の左手から逃れた。
裕也は、彼の両手で像の左手を掴んでいる。
(俺もサンディアのこと言えないな。
 破壊しか思いつかん)
裕也は、両手で必死に左手に食らいついている。
(裕也。像の左手と右足を食うのだ。
 それは、お前が昔なくしたものだ)亡くなった父の声がした。
裕也は、理由も分からなかったが、像の左手をみ千切った。
像の動きはやわらいだ。
すかさずつくばりながら右足に噛り付いた。
腹が燃えるように熱い。

「うぉぉおお」

その声の元を彼が見るとエジェントが顔や体をかきむしりながら声を上げていた。
(熱い)
青い光が裕也の腹から出て、彼の左腕と右足にその光は着く。
(これも血と肉の縁だろうか?)
エジェントは、うめき声をあげるのを止め、うずくまっていた。
裕也は、現実の世界に戻った。
像の左手は、あっという間に灰になり、そして、右足も灰になる。
像は、崩れ落ちていく。

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