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第Ⅴ章。「光と闇」

5、闇の担い手

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--新たな時(001)闇の担い手--


「お世話になりました」
アクティスは、イリスに挨拶あいさつした。
「じゃあ。行きますか」
サンディアは、合図あいずする。
アクティスは、相槌あいづちうなずく。
手を取りサンディアのサークルに入る。
周りの景色が深い緑に変わってゆく。
次元移動した。
アクティスは、サンディアの手を引っ張りサークルから出した。
2人は、森の中に出る。

「村にもっと近づくんだ」

草原の境目さかいめまで進む。
遠くに田園が見える。
田園が近づいてくる。
(もう、闇の民は、何処にもいない)
アクティスは、なげいた。涙が出る。止まらない。
「村まで行きましょ。
 村がどうなったか知りたいの」
アクティスは、懇願こんがんした。
「分かった。
 行こう。
 でも、用心してなきゃだめだよ」
サンディアは、注意しながら草原と森の脇を進む。

民家が遠くに見える。

丸太の柱が四方を支えてる。
壁は、粘土を塗って固めていた。
屋根は、丸太を半分に切り、わらを積んでいる。
新しい家。焼けた家はない。
(頑丈で丈夫なおうちだったのに)

(もう、帰ろうか)
サンディアは、アクティスにここから離れることをうながす。

森の奥に光の若者らしき人影がある。

「あの若者は、何をしているの?
 どこに行くの?」
「怪しい。
 後をつけよう」
アクティスとサンディアは、その姿を追った。

森を東に進む。
山の中腹に来た。
ぽっかり空いた洞窟がある。

その若者は、中に入り奥に降りて行く。
2人も続いて降りて行く。
深く深く進んだ。
奥に灯りが見える。
(誰か横たわっている)
わらの上に女性が寝ていた。

顔が見えて来る。
「アイリス。お前。生きていたのね」
アクティスは、驚いた。
エンビは、振り返った。
洞窟を降りて行ったその若者は、エンビである。

--新たな時(002)闇の担い手②--

-時を戻そう-

闇の種族の村が焼かれている。
総出で村を襲いに行ったみたいである。
アイリスは、十字架につるされている。
周りには、誰もいない。
そう確認するとエンビは、十字架を登った。
エンビは、アイリスの胴体をなわで十字架に巻いて結び付けた。
そして、くさびを抜く。
アイリスは、気を失い、血を流しぐったりしている。
エンビは、必死で楔を抜いた。
そして、綱を自分に巻き直した。
そして、ゆっくり降りる。
(重い。これは、命の重さだ)
エンビは、降りるとアイリスを背中にかつぎなおした。
草原の向こうの民家は、赤く燃えていた。
エンビは、そそくさと十字架を降りると森に入っていった。
(見つからずにすんだ)
森を東へ急ぐ。いや、東かは、分からない。
光の村から反対に逃げたかった。
とにかく見つからないように遠くに逃げるのだ。
どこをどう歩いたか分からない。
切り立った崖の下に着いた。
ぽっかり穴が開いている。
「洞窟だ」
エンビは、洞窟を少し入ったところにアイリスを降ろした。
そして、水と木を集めに行った。

水を木の葉に入れて運んできた。
そっとアイリスの口に運ぶ。
アイリスは、「ゴクッ」と喉が動く。
そして、薄目を開ける。
「エ エ ェンビなの」
また、気を失う。
(生きている。良かった)
何度も往復した。
木を擦り火をつける。
薬草を傷口に貼る。
やらねばならないことは、一杯ある。

(もっと、洞窟の奥に入らないと)
エンビは、松明たいまつを作り奥へ進んだ。


-そして、時は重なる-

アクティスは、再開を喜んだ。アイリスは、唯一の生き残りである。
「アイリスを助けてくれてありがとう」

※VAIOの修理で気分がすぐれないので、公開後、修正するかもしれません。
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