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第Ⅱ章。「箱舟(ノウ)」

15、消えた命

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 --消えた命--

イリスは消えた。
マイァシは、少し考えていたが、
 「死んだことにするか」と独り言を言って、その場を去った。

マイァシは、光の天空城に戻る。
レマァーが門の前で待っていた。
マイァシは、レマァーに「イリスは始末した」と告げる。
レマァーは、ほっとして部屋に帰った。
優しい女性だが、愛情も大きかった。
(イリノイスさまを独り占めできる。
 うれし)

そして、何もなかった様に次の日も朝を迎えた。

闇の種族の村では、皆、農作業をしに農園に出て来ていた。
しかし、ある村人は、アンディアの農園を通る。
今日は、アンディアの姿が見えない。
みんな、アンディアが居ないことに気づきだす。
村人は、家にも行き付近をも捜した。
だが、どこにも居ない。
村人は、仕方なくアクデシアに報告することにした。

「アクデシア。
 アンディアが居ません。
 今朝、農作業していましたが、
 いつもなら、一番早いアンディアが隣の畑にいるのに、
 ちょっと、寝てるのか見に行ったところ
 家にも居りませんでした。
 どうしたんだろうと、
 皆で付近を捜しました。
 遠く光の種族の山のふもとまで捜しましたが、
 見当たりません」
村人はアクデシアに告げた。

「先日、光の種族に穀物を届けさせたが
 何かあったのかな?」
アクデシアは、いぶかり言った。

「夜、山のふもとの草原で女性といたと証言する者もいます」
村人は、訝しい目撃証言も言う。

(あのイリノイスが正直に答えてくれるかな。
 しかし、問いただそう)
「イリノイスに聞かねばならぬな」
アクデシアは、意を決したように言う。
明日、光の天空城を訪問することを決めた。
イリノイスはアクデシアを神とは認めていない。
便利な知識のある老人ぐらいにしか思っていない。

「おじ様は居なくなったの?」
アクティスは、無邪気に子供ながら心配している。
当時、3歳、神に歳など関係ないが。
アンディアは、アクティスの母の兄であった。


やがて、イリスの子とアクティスの運命が重なり合う日が来るのである。
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