不思議なハートの力

ひろの助

文字の大きさ
上 下
51 / 56
第Ⅵ章。「光の神イクタス」

10、剣道大会⑤-1回戦対牧野(先鋒戦)-

しおりを挟む
--リレーション⑧-剣道大会⑤--

今日は、大阪府の剣道大会が、宮火屋みやびやアリーナ体育館たいいくかんで行われる。

神海しんかいのクラスメイトは、神海が用意よういしたバスに乗り込んだ。
当然、朋子と真菜美も乗り込んだ。
バスの中は、左右に2座席づつ並んでいる。
青ですずしげな座席ざせきシートである。
(高級なバスなのでしょうか?)
朋子は、いさんで座る座席を探した。
「真ん中がいい?
 それとも前にする?」
朋子は、真菜美の気持ちを確認するかのようにたずねる。
真菜美は、神海のことは別段べつだんに何も思わないが、
朋子の顔を見て、真剣しんけんに答えなければと思った。
「うん。前がいいんじゃない。
 真っ先に神海君を応援する場所を取れるよ」
「そうや。
 前。前」
朋子は一番前の向かって右の窓がわに座った。
真菜美は、そのとなりに座る。
窓から学校が見える。
「神海君。優勝できるかなぁ」
朋子は、不安と緊張きんちょうで一杯である。
「出来るよ。きっと。
 あの神海君だよ」
(どの神海君だよ)( ゚Д゚)
真菜美は、安心させようと言葉を探したが、見つからない。
バスは、点呼てんこをすませ出発した。
国道26号線を進む。
車のなみにそい、体育館が近づいて来る。
窓に大きな体育館が見えた。
宮火屋アリーナ体育館だ。
バスは、体育館の入り口の前に停車した。
「ブュシューーゥ」扉が開く。
朋子は、一番先にバスを降りた。
「大きいね」
朋子の緊張きんちょうは、猶更なおさらに高まった。
「ドクン。ドクン」
心臓しんぞうがドキドキする。
決勝戦に行くには、3回勝たなければならない。
トーナメント表が張り出されていた。
神海は、浪速剛剣道場なにわごうけんどうじょうである。
「対戦相手はと、」
朋子は、浪速剛剣道場を探した。
対戦相手は、枚野海剣館まきのかいけんかんである。
偶然、朋子は、枚野海剣館の横を通った。
話声が聞こえる。
「内は、先鋒せんぽう勝負で行く。
 その後は、ひたすら引き分けをねらえ」
(げぇ)
朋子は、その場をいそいそと通り過ぎた。
小声で真菜美に話す。
「何か。先鋒勝負とか言ってる。
 あれ、うちと戦う道場だよね?
 やばい?
 知らせた方が良いの?」
「大丈夫。そのくらい神海君の道場の人は、分かってるよ」
真菜美も本当は不安である。
その気持ちをおさえるように自分に言い聞かせた。
(大丈夫。大丈夫。大丈夫)
朋子と真菜美は、試合会場の2階に座った。
開会の挨拶あいさつがあり、試合場に散らばる。
選手が、試合の位置についた。
礼をする。
(浪速剛剣道場VS枚野海剣館)試合が開始される。
浪速が赤、牧野が白である。

先鋒:山内樹貴たつきVS相手方先鋒(名前は、省略しょうりゃくする)が始まった。

礼をする。
相手は、大柄である。
スラットした均整きんせいの取れた体格たいかく
小学生にしては無駄むだがない。
洗練せんれんされている。

山内は、中段に構えた。
相手も中段に構える。
小学生は、対外たいがいは中段だよ。
「はじめ」の合図あいずかる。
即、相手が飛んできた。
「めん!」
するどく面をたたく。
山内は、んでのところで頭上で竹刀を横にしてふせいだ。
相手は、連続してたたみ掛ける。
山内は、間合まあいをめて防いだ。
グラブ(小手)で押し合う。
(力負けする)
山内は、苦しんでいる。
相手の足が、構えが、一息ひといき二息ふたいき、動く。
山内もめなければと思った。
面を打とうとりかざす。
しかし、相手の腕が少し動く、その動作に心が動いた。
一瞬いつしゅんすきが生まれた。
「バシ」
「めぇぇぇえ」
白のはたが三本上がった。

その後は、山内は、2本負けしないように頑張った。
相手に余裕が出来たのか、面、胴、をつぎつぎ打ち込んでくる。
山内には実力差が歴然れきぜんとしているのが分かったからである。
防戦にまわった。
(こんなやつがいたなんて)
2分が過ぎた。
白が一勝いっしょうした。

つづく。次回(1回戦対牧野後半戦)

※今回の内容は前話に書いた予定と変わりました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

宮廷の九訳士と後宮の生華

狭間夕
キャラ文芸
宮廷の通訳士である英明(インミン)は、文字を扱う仕事をしていることから「暗号の解読」を頼まれることもある。ある日、後宮入りした若い妃に充てられてた手紙が謎の文字で書かれていたことから、これは恋文ではないかと噂になった。真相は単純で、兄が妹に充てただけの悪意のない内容だったが、これをきっかけに静月(ジンユェ)という若い妃のことを知る。通訳士と、後宮の妃。立場は違えど、後宮に生きる華として、二人は陰謀の渦に巻き込まれることになって――

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち

鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。 心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。 悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。 辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。 それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。 社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ! 食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて…… 神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...