不思議なハートの力

ひろの助

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第1章。「魔界への入口」

4、魔界への入口①

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 --魔界への入口①--

土曜日、真菜美は兄ぃ(比呂)と一緒に学習ソフトを買いに恵比寿町(日本橋の南の入り口のチン電の駅)に着いた。
通天閣が見える。

駅を出て交差点を渡る。

「特売です。」「今日限定アイテム」(どっかの仮想都市か?)
「いらっしゃいませぇ」「… … 」
チラシを配る一団がにぎやかに声を張り手渡ししている。
比呂も久しぶりに、電気街に来た。チラシを一杯受け取っている。
「やっぱ、にぎやかだね。
 学習ソフト買うなら、ソフト専門店に行く方が良いかな?」

真菜美は、違うとこを見ていた。
電気街と言ってもたまに違うものを売っている。
「今の服かわいい ねぇ ねぇえ 兄ぃ」
よく見れば、メイド服である。


比呂は、今日の要件をさとすように言う。
「マナ何しに来たか分かってるの?」

真菜美は、当然、分かってると言わんばかりにである。
「学習ソフト買いにでしょ(??)」
(なぜ、今更聞くの?)あんたの行動が不思議だからだよ。

「なら良い」

比呂は、今もらったチラシに目を通した。
その中に一枚、目を引くチラシが…
(えらく厚紙、金字?)

--チラシの内容--

 ソフト専門店 格安! アウトレット! 何でもOK!!!

   あなたの来店をお待ちしております。

      マジック ビル5F
                ソフトのお店 

--内容終わり--

(店名? ソフトのお店 そのままじゃん)(´・ω・`)ニャンデ?


比呂は、真菜美にそのチラシを見せた。
「マナ、チラシに一枚、ソフト専門店あるけど?」

真菜美は、兄ぃの姿をじっと見つめている。
「…ёё…」(兄ぃステキ…うっとり)

「マナ、マナ」

「あ! はぁああぃ あぃ! あぃい!!!」

(こいつ、何考えてたんやろ?)
比呂は、不思議がった。(いつも不思議だ)
真菜美が聞いてなかったようなので言い直す。

「ソフト専門店のチラシ一枚あるけど、そこ行ってみる?」

「うん 行く 行く」

真菜美は、兄の学校でサッカー部のキャプテン、裕也君が好きのはず、なぜ?
いわく、別バラ、別バラ?、デザート? う?
(兄妹じゃや結婚できないもん)
確かにそうだが、それだけ? シュートのフォームがステキ… 勉強できるから…
兄の友達… キャプテンだから… 最初は… ステータス(格好)から
でも、走り出した恋は止まらない。
そして、未来、代償を払っても換えられないもの…

比呂は、ビルを探し当てた。
「ここら辺かなぁ」
(一つ暗い入り口だけが見えた。看板らしきもの)
「マジ……ビル」
「マジック ビル」
すこし明るく見える。
「あ!奥にエレベータ」
真菜美も見つけたようである。

そして、魅かれるようにエレベータに、後を追う比呂。
扉が閉まる。動き出すエレベータ。
「1  2  3  4   5階」

比呂は用心し、警戒している。
「なんか、この階くらくないか?」

真菜美に返事はない。
「……」

真菜美は、窓を見る。
「エレベータの窓、色ついてるよ」

比呂は、今、初めて気づいた様子。
「ほんとだ」
(なぁあんだ ほ)(あはは)
比呂は、ほっとした。

エレベータの扉が開く。
真菜美は、いつの間にか奥の店の開いた扉の前にいた。

比呂は、大声をだす。
「マナ待てぇえ 兄ぃが…が」
比呂は、「兄ぃが行くまで待て」と言いたかった。

店の入り口には、すだれが掛かっている。奥は薄暗くてあまり見えない。

看板が、

「エブリ ソフト イン ユア ハート」
(全てのソフトはあなたの心に)
(パソコンのソフトだよね?)

急に後ろから風、宙に浮いた感覚、闇に吸い込まれる。
(あ!)


「兄ぃが…行くまで入るな」

(兄ぃ)
遠くで兄ぃの声がする。


声を振り絞り出した。
「兄ぃ 待ってて 入らないでぇえ え  え」
真菜美は、知らずに兄の声を復唱していた。

(体が呼びこまれる。一人でなんとかするしかないきゃ)

部屋の奥そこから、真菜美の声だけが響いた。
真菜美は、覚悟を決めた。

メモ:「真菜美」が正解です。「真奈美」となっているところは、後で直します。

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