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最強メイド!誕生のお話。
第13話 お出かけの約束
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私がヴァンパイアだとバレてからというもの、二人の態度が目に見えてやわらかくなった。
「ヴァンパイアってなんか超能力みたいなこと出来るのか? 身体能力が高いだけ?」
「超能力とかはないかな? 催眠術とかは出来るみたいだけれど、私はやったことないし」
答えながら、杏くんの年相応な好奇心にちょっと笑っちゃった。
普通の友達って感じで、ちょっと前までのぶっきらぼうな感じがウソみたい。
「へぇ、催眠術なんて出来るんだ? そういうところは伝承《でんしょう》とかと同じなんだね」
太陽の光や十字架は平気なのに、とつけ加えて柊さんが感心するように言う。
その顔も前までの無表情とは違っていて少しだけど感情が表れてる。
杏くんは無表情なのがリラックスしてる顔だって言っていたけれど、こっちの方が落ち着いてるように見えるな。
「今度やって見せてよ」
と、ちょっとイタズラっ子みたいな顔を見せるところなんかは楽しそうだし。
「やったことないって言ったじゃないですか」
むーっと困った顔を見せると柊さんは「ははっ」と声を上げて笑った。
ドキッ
くったくのない笑顔に一瞬心臓がピョンって跳ねる。
本当、何を考えているか分からない感じだったのにこんなに色んな表情を見せてくれるようになってビックリだよ。
学園での王子様スマイルとも違う、素の表情って感じ。
なおさらドキドキしちゃう。
でも良かった。
あのまま二人が私を拒絶するような態度を続けていたら、ちゃんと護衛できるか不安だったもん。
私がヴァンパイアだってこと、バレちゃったのは良くないんだろうけれど……。
でもこんな風に接してもらえるようになったんだからプラスマイナスゼロだよね、きっと。
教室ではいつものように杏くんとはそれぞれ別に授業を受けているけれど、帰りにさっさといなくなることは無くなった。
「行くぞ」
ぶっきらぼうな感じだったけれど、声を掛けてくれるようになったし。
その後の生徒会室でも、柊さんが役員のみんなをたしなめてくれた。
「望乃さんに仕事を頼むのは構わないけれど、彼女はあくまで僕の護衛なんだ。そこのところは忘れないでもらえるかな?」
そのおかげで役員のみんなのトゲトゲした態度もなくなる。
無理に仕事を頼まれなくなったし、突っ立っているだけなんて文句を言われることもなくなった。
女子からはなんか別の意味で敵意みたいなのを感じたけれど、まあ護衛には問題ないよね。
そんな風に初めに感じていた護衛することへの不安もなくなった週末。
何となく柊さんの部屋にみんなで集まってまったりしているときだった。
「そうだ、来週の土曜日みんなで買い物に行こうか」
紫苑くんとじゃれ合いながらふと思い立ったかのように柊さんが提案する。
「ああ、そっか。パーティーもうすぐだもんな。俺スーツ新調してたんだった」
取りに行かないと、と杏くんも玲菜さんが入れてくれたお茶を飲みながら同意した。
「パーティーって、契約発表のパーティー?」
確認の質問をすると、二人がうなずく。
私が護衛を依頼された原因でもある契約。
その契約を取りやめないと柊さんたちが無事では済まないという脅迫文《きょうはくぶん》が届いたから、私は今ここにいるんだ。
その契約発表のパーティーまでもうあと二週間なんだ。
そう思うと身が引き締まる。
今まで特に何もなかったけれど、危険なことが起こるとしたらこれからだろうから。
決意を固めていると、柊さんの所にいた紫苑くんがトテトテと近づいてきた。
「ののねーちゃんもいく? かいもの」
「うん、私はみんなの護衛だもん。当然行くよ?」
「わーい!」
無邪気な紫苑くんにほっこりする。
「望乃ちゃんだけじゃなくて私も行きますからね? 紫苑さまは私の手を離しちゃダメですよ?」
「はぁい」
浮かれてはしゃいでいる紫苑くんは玲菜さんの言葉にちゃんと返事をしたけれど、本当に聞いていたのかあやしいところ。
でもまあ、後でまたちゃんとお約束するよね。
紫苑くんの可愛さに癒《いや》されながら、みんなで買い物に行くお約束をしたんだ。
「ヴァンパイアってなんか超能力みたいなこと出来るのか? 身体能力が高いだけ?」
「超能力とかはないかな? 催眠術とかは出来るみたいだけれど、私はやったことないし」
答えながら、杏くんの年相応な好奇心にちょっと笑っちゃった。
普通の友達って感じで、ちょっと前までのぶっきらぼうな感じがウソみたい。
「へぇ、催眠術なんて出来るんだ? そういうところは伝承《でんしょう》とかと同じなんだね」
太陽の光や十字架は平気なのに、とつけ加えて柊さんが感心するように言う。
その顔も前までの無表情とは違っていて少しだけど感情が表れてる。
杏くんは無表情なのがリラックスしてる顔だって言っていたけれど、こっちの方が落ち着いてるように見えるな。
「今度やって見せてよ」
と、ちょっとイタズラっ子みたいな顔を見せるところなんかは楽しそうだし。
「やったことないって言ったじゃないですか」
むーっと困った顔を見せると柊さんは「ははっ」と声を上げて笑った。
ドキッ
くったくのない笑顔に一瞬心臓がピョンって跳ねる。
本当、何を考えているか分からない感じだったのにこんなに色んな表情を見せてくれるようになってビックリだよ。
学園での王子様スマイルとも違う、素の表情って感じ。
なおさらドキドキしちゃう。
でも良かった。
あのまま二人が私を拒絶するような態度を続けていたら、ちゃんと護衛できるか不安だったもん。
私がヴァンパイアだってこと、バレちゃったのは良くないんだろうけれど……。
でもこんな風に接してもらえるようになったんだからプラスマイナスゼロだよね、きっと。
教室ではいつものように杏くんとはそれぞれ別に授業を受けているけれど、帰りにさっさといなくなることは無くなった。
「行くぞ」
ぶっきらぼうな感じだったけれど、声を掛けてくれるようになったし。
その後の生徒会室でも、柊さんが役員のみんなをたしなめてくれた。
「望乃さんに仕事を頼むのは構わないけれど、彼女はあくまで僕の護衛なんだ。そこのところは忘れないでもらえるかな?」
そのおかげで役員のみんなのトゲトゲした態度もなくなる。
無理に仕事を頼まれなくなったし、突っ立っているだけなんて文句を言われることもなくなった。
女子からはなんか別の意味で敵意みたいなのを感じたけれど、まあ護衛には問題ないよね。
そんな風に初めに感じていた護衛することへの不安もなくなった週末。
何となく柊さんの部屋にみんなで集まってまったりしているときだった。
「そうだ、来週の土曜日みんなで買い物に行こうか」
紫苑くんとじゃれ合いながらふと思い立ったかのように柊さんが提案する。
「ああ、そっか。パーティーもうすぐだもんな。俺スーツ新調してたんだった」
取りに行かないと、と杏くんも玲菜さんが入れてくれたお茶を飲みながら同意した。
「パーティーって、契約発表のパーティー?」
確認の質問をすると、二人がうなずく。
私が護衛を依頼された原因でもある契約。
その契約を取りやめないと柊さんたちが無事では済まないという脅迫文《きょうはくぶん》が届いたから、私は今ここにいるんだ。
その契約発表のパーティーまでもうあと二週間なんだ。
そう思うと身が引き締まる。
今まで特に何もなかったけれど、危険なことが起こるとしたらこれからだろうから。
決意を固めていると、柊さんの所にいた紫苑くんがトテトテと近づいてきた。
「ののねーちゃんもいく? かいもの」
「うん、私はみんなの護衛だもん。当然行くよ?」
「わーい!」
無邪気な紫苑くんにほっこりする。
「望乃ちゃんだけじゃなくて私も行きますからね? 紫苑さまは私の手を離しちゃダメですよ?」
「はぁい」
浮かれてはしゃいでいる紫苑くんは玲菜さんの言葉にちゃんと返事をしたけれど、本当に聞いていたのかあやしいところ。
でもまあ、後でまたちゃんとお約束するよね。
紫苑くんの可愛さに癒《いや》されながら、みんなで買い物に行くお約束をしたんだ。
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