後宮に潜む黒薔薇は吸血鬼の番となりて

緋村燐

文字の大きさ
上 下
32 / 32

しおりを挟む
 君主を失った儀国は滅びた。
 権力を持っていた貴族達も反乱軍に捕らわれ、かつて栄華を極めた斜陽の国は新たな君主を戴くことなく消えたのだ。

 令劉は蘭とも連絡を取っていたようで、雲嵐を討ち取った数日後には使者が来た。
 蘭の使者はすでに周辺国との話し合いの場を用意してあると告げ、令劉は反乱軍の主要人物達と共に議会で一週間かけての話し合いに臨んだ。

 その間に儀国後宮は解体され、多くいた妃や宮女達はほとんどが実家へと帰っていった。
 残ったのは帰る場所がない者達と、ことが落ち着くまでは留まれと命じられた翠玉。
 そして令劉の帰りを待つ明凜だけだった。

 話し合いの一週間は明凜も慌ただしく、動き回っている間に話し合いが終わり反乱軍の主要人物達と令劉が帰ってきたのだった。


「……なんだか、令劉様不機嫌だったわね?」
「やはり、そう見えました?」

 帰城した者達の様子を翠玉と共に離れた場所から見ていた明凜は、眉を下げながら翠玉の言葉に答えた。

「色々と想定外な事があったのでしょう。あの方は結構顔に出ますからね」

 二人の側に付き従っていた香鈴が切れ長な目を閉じため息を吐く。

 令劉のことをよく知っているかのような口調の香鈴。
 何でも彼女は幼い頃に両親を亡くし後宮に宮女として放り込まれたところ、令劉に気に入られ侍女として育てられたのだそうだ。
 令劉は契約で儀国に縛られていながらも、信頼の置ける侍女や女官、宦官をこっそり育てていたらしい。

 香鈴が翠玉の初夜前に『早まるな』と言ったのは、令劉から知らせがあったため早まった真似をしないようにと釘を刺したつもりだったらしい。
 結果としては早まった真似をしてしまったが、二人が無事だったのだから問題ないだろう。

「まあ、何があったのかは分からないけれど……蘭のれい宰相まで来ているのは何故かしら? 話し合いは穏便に終わったと連絡があったのよね?」
「はい。何か重要な知らせでもあるのでしょうか?」

 翠玉の問いに香鈴が頬に軽く手を添え答える。
 蘭の礼静廉れいせいれん宰相とは翠玉が儀国に嫁ぐ際の支度や見送りなどの時に面識があった。
 細身で頬のこけた白髪交じりの男だが、目が怖いくらい鋭いのでとても印象に残っている。

(一国の宰相が話し合い後に滅びた国へ来るなんて……令劉様の不機嫌の原因も同じ理由なのかしら?)

 二人の会話を聞きながら、明凜は同じ疑問を抱きつつ令劉を思った。
 忙しくて寂しさを感じる暇もなかったが、愛しい相手に会いたかったのは変わりない。

(今日中に会えるかしら? おかえりなさいと、一言くらいは言いたいのだけれど……)

 礼宰相まで来訪しているのだから忙しくて無理かもしれない。
 そう諦めに似た思いでいたが、数刻後明凜は翠玉と共に令劉に呼ばれ養心殿ようしんでんの前殿へと向かうことになった。

 養心殿の前殿は皇帝が政務の処理や大臣の接見などのための執務室として使われていた場所だ。
 反乱の折にもあまり荒れていなかったこともあり、そのまま反乱軍主要陣の執務室として機能している。
 そんな場所に呼ばれたと言うことは何か大事な話があるのだろう。

(と言っても、翠玉様に帰国するようにと指示があるのではないかということくらいしか思いつかないのだけれど……どうして私も名指しされたのかしら?)

 香鈴と共に翠玉に付き従いながら、明凜は内心はて? と首を傾げていた。

***

「呼びつけて済まない。そなた達に大事な話があったのだ」

 殿の一房に入り簡易な礼をした後、令劉が早速本題に入った。
 少々疲れた様子はあるものの、数刻前に見た不機嫌さはない。
 むしろ疲労で妙な色気が増しているようにすら思え、明凜はうっかり大事な話とやらを聞き逃すところだった。

(っと、見蕩れている場合ではなかったわね)

「――というわけで、国境沿いの街や村は多くが隣接する国へ取り込まれることになった。まあ、それらはすでに事実上他国の支援を受けている様な状態だったからな、問題はないだろう」

 周囲の補足もありつつ、令劉が代表として議会の報告をしてくれる。

「そして、元儀国であるこの国は一先ず共和国となることが決まった」

 共和国。
 君主を持たない国のあり方だ。
 儀国は広大な国なため、周辺国が分割統治したとしても持て余すだけになる。
 今後また状況が変わったときに対応出来るように、共和国となるのは納得出来た。

「そうですか……ですが国家の長――代表となる者がいなければ困りますよね? どなたが代表となるのですか?」

 説明を聞き終えた翠玉がコテンと頬に手を添えながら首を傾げる。
 途端に主要陣の視線が令劉に集中し、言葉がなくとも彼が代表なのだと分かった。
 だが、当の令劉は一気に不機嫌な顔になり黙り込む。
 代表となることは不服だと顔にありありと書かれていた。

「令劉殿、諦めが悪いですよ?」

 皆が黙り込む中、今まで見定めるかのような目で場を見守っていた蘭の礼宰相が口を開いた。

「だがな、今まで私こそが反乱の目を潰してきたのだぞ? 時間がなかったため旗印になったが、国家の代表となれば不満も出るだろう」
「ですが、長く儀という国を見てきた貴方が一番この国を把握していらっしゃる。他に適任がいないのですよ。……それに、貴方の望むものを手に入れるにはそれしか方法がありませんよ?」
「うぐっ」

 礼宰相の言葉に黙り込む令劉。
 その場にいる他の主要陣からも「貴方が一番ふさわしい」「自分では纏められない」などと声がかかる。

「分かった、分かっている。それが一番丸く収まるのだということも」

 言い募る周囲に令劉は眉間にしわを刻んだままあしらった。
 そうして静かになった場へ、翠玉の鈴のような声がまた疑問を落とす。

「不満はありつつも納得はしているということですね。……令劉様の望むものとやらのためでしょうか? それは何なのです?」
「……」

 翠玉の問いに令劉は答えなかった。
 代わりに礼宰相が困り笑顔で告げる。

「明凜公主ですよ」
「……へ?」

 思わず間抜けな声が出た。

(今、なんと?)

 礼宰相は今自分を公主と言っただろうか?
 確かに自分は蘭皇帝の血を引いている。
 だが、特殊な事情により皇族――公主とは認められていないはずなのだが……。

「共和国の代表……つまり統領ですね。その統領となる者には、周辺国を取りまとめた蘭皇帝の後ろ盾を得るという意味でも蘭の公主を伴侶にしていただきたいとお話しました」

 後ろ盾という意味も間違いではないだろうが、蘭国との繋がりを置くことで統領の手綱を握っておきたいという思惑もあるのだろう。

「はじめは翠玉様をと思っていたのですが、是非とも統領にと望まれている令劉殿はご自分の伴侶は決まっていると言うではありませんか」

 翠玉の名前が出た途端彼女の柳眉がピクリと動く。
 何故か令劉を毛嫌いしている翠玉だ。
 話の上だけとは言え令劉の伴侶にとされたことが不快だったらしい。

「そのまま統領の座も断られてしまいそうでしたが……話を聞いてみればお相手は第一公主である明凜様だというではありませんか。これは是非とも縁談をまとめなくてはとなりましてね」
「……それで、私が公主と認められたということでしょうか?」

 驚きは残るが、納得もした。
 要は都合が良かったのだ。

 反乱軍主要陣も、おそらく蘭を含めた周辺国も、令劉が統領となることを望んでいる。
 その令劉が望む伴侶は、蘭皇帝の血を受け継いではいるが公主と認められていない明凜だった。
 ならば公主と認めさえすれば丸く収まる。
 そういうことなのだろう。

 だが礼宰相は鋭い目を緩め、意外にも優しげな笑みを浮かべ明凜を見た。

「元より此度の件が上手くいけば、貴方を皇族――公主として認めるつもりでした。……そのような理由でもなければ、あの情の厚い陛下が暗殺などという使命を貴女に与える訳がないでしょう?」
「そうよ? だから私も姐様の同行を許したのですもの」

 礼宰相の言葉に翠玉も続ける。
 と言うことは、翠玉もはじめから知っていたと言うことか。

「そういうわけで、令劉殿は蘭皇帝から直々に告げられたのです。『我が娘を伴侶としたければ共和国の統領として立て』と」
「……」

 それはもはや脅迫ではないだろうか?
 令劉が吸血鬼で、明凜が唯一の番であることを知らないとはいえ……。

 だが、これで全てに納得出来た。
 令劉が不満を抱きつつも統領という地位を受け入れた理由も。

 結局は明凜のためなのだ。
 公主と認められた以上その勤めも果たさなければならない。
 情の厚い蘭皇帝ならば明凜が不幸になるような縁談を進めることはないだろうが、それでも何の地位もない相手に嫁がせる訳にはいかない。
 令劉が統領として立たなければ、他の者との縁談を進められただろう。

 令劉ならば明凜一人を連れ去ることなど容易いが、それを明凜自身が望まないだろうことも分かっている。
 だから出来ない。

(ああ……本当に、愛しい)

 溢れる愛情を感じた明凜は、不満顔の令劉を見つめ彼を支えようと思った。

***

「お前が蘭皇帝の娘だったとは……流石に驚いたぞ?」

 その夜、明凜の元を訪ねた令劉は疲れ果てた様子で愚痴を口にした。

「申し訳ありません。正式には認められておりませんでしたし、お話する機会もありませんでしたから」

 言い訳を口にしつつ、令劉が驚くのはもっともだと思うので明凜は苦笑いを浮かべることしか出来ない。
 だが、特殊過ぎる明凜の事情は一通り聞いたのか、令劉は「それもそうだな」とだけ告げ不満顔を消した。
 明凜の淹れた茶を飲み、湯飲みを机に置いた令劉は打って変わって焦がれるような眼差しで明凜を見る。

「これからはお前と共に安穏と生きていけると思っていたのだがな……統領にならなければ明凜との結婚を認めないと言われたらなるしかないではないか」

 伸ばされた手が、明凜の頬に触れる。
 宝物を扱うかのように、優しく長い指で撫でた。

「だから明凜、これからは統領として立つ私を支えてもらえないだろうか?」

 控えめに告げる願い。
 だが、その空色の目は深く青い。
 言葉とは裏腹に強く自分を求める令劉の手に、明凜は自身の手を重ねた。

「もちろんです。あなたの側で、あなたを支え、あなたを癒やす。その役割を他の者に渡すつもりはありませんから」
「……そうか」

 明凜の言葉を噛み締めるように頷いた令劉は、立ち上がり眩しいものを見る様に明凜の翡翠の目を見下ろす。
 顔が近付き、どちらともなく瞼を閉じた。
 唇が触れ、離れていたこの一週間を埋めるように抱き合う。
 深くなる口づけを一度離した令劉は、多幸感溢れる美しい顔で告げた。

「愛している、明凜。この生まれ変わった名もない共和国と共に、お前と生きたい」

 幸せすぎる言葉に、明凜も応える。
 自分にだけ許された彼の名と共に。

「はい。あなたと共に……レイル様」


しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

Y.Itoda
2024.02.03 Y.Itoda

独特のの世界観が非常に面白い作品だと思いました。
細かく描写された登場人物の感情や心理が、読者さまを引き込んでいくのではないでしょうか。スリリングな展開に先が気になります。

投票させていただきました!

2024.02.03 緋村燐

Y.ltoda様
お読み下さった上に感想と投票ありがとうございます❗️✨
数ある中華後宮の作品の中で少しでも光るものが出せたら良いなと思いながら書かせて頂いております。
続きも頑張ります!

解除

あなたにおすすめの小説

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

殿下、真実の愛を見つけられたのはお互い様ですわ!吸血鬼の私は番いを見つけましたので全力で堕としにかかりますから悪しからず

蓮恭
恋愛
「アドリエンヌ嬢、どうか……どうか愚息を見捨てないでくださらんか?」  ここガンブラン王国の国王は、その痩せた身体を何とか折り曲げて目の前に腰掛ける華奢な令嬢に向かい懸命に哀訴していた。 「国王陛下、私は真実の愛を見つけてしまったのです。それに、王太子殿下も時を同じくして真実の愛を見つけたそうですわ。まさに奇跡でしょう。こんなに喜ばしいことはございません。ですから、そのように国王陛下が心を痛める必要はありませんのよ。」  美しい銀糸のような艶やかな髪は令嬢が首を傾げたことでサラリと揺れ、希少なルビーの様な深い紅の瞳は細められていた。 「い、いや……。そういうことではなくてだな……。アドリエンヌ嬢にはこの国の王太子妃になっていただくつもりで儂は……。」  国王は痩せこけた身体を震わせ、撫でつけた白髪は苦労が滲み出ていた。  そのような国王の悲哀の帯びた表情にも、アドリエンヌは突き放すような言葉を返した。 「国王陛下、それはいけませんわ。だって、王太子殿下がそれをお望みではありませんもの。殿下はネリー・ド・ブリアリ伯爵令嬢との真実の愛に目覚められ、私との婚約破棄を宣言されましたわ。しかも、国王陛下の生誕記念パーティーで沢山の貴族たちが集まる中で。もはやこれは覆すことのできない事実ですのよ。」 「王太子にはきつく言い聞かせる。どうか見捨てないでくれ。」  もっと早くこの国王が息子の育て方の間違いに気づくことができていれば、このような事にはならなかったかも知れない。  しかし、もうその後悔も後の祭りなのだ。  王太子から婚約破棄された吸血鬼の侯爵令嬢が、時を同じくして番い(つがい)を見つけて全力で堕としていくお話。   番い相手は貧乏伯爵令息で、最初めっちゃ塩対応です。 *今度の婚約者(王太子)は愚か者です。 『なろう』様にも掲載中です

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

【完結】番が見ているのでさようなら

堀 和三盆
恋愛
 その視線に気が付いたのはいつ頃のことだっただろう。  焦がれるような。縋るような。睨みつけるような。  どこかから注がれる――番からのその視線。  俺は猫の獣人だ。  そして、その見た目の良さから獣人だけでなく人間からだってしょっちゅう告白をされる。いわゆるモテモテってやつだ。  だから女に困ったことはないし、生涯をたった一人に縛られるなんてバカみてえ。そんな風に思っていた。  なのに。  ある日、彼女の一人とのデート中にどこからかその視線を向けられた。正直、信じられなかった。急に体中が熱くなり、自分が興奮しているのが分かった。  しかし、感じるのは常に視線のみ。  コチラを見るだけで一向に姿を見せない番を無視し、俺は彼女達との逢瀬を楽しんだ――というよりは見せつけた。  ……そうすることで番からの視線に変化が起きるから。

ヴァンパイア皇子の最愛

花宵
恋愛
「私達、結婚することにしたの」 大好きな姉と幼馴染みが結婚したその日、アリシアは吸血鬼となった。 隣国のヴァンパイア皇子フォルネウスに保護されて始まった吸血鬼生活。 愛のある結婚しか許されていないこの国で、未来の皇太子妃として期待されているとも知らずに…… その出会いが、やがて世界を救う奇跡となる――優しい愛の物語です。 イラストはココナラで昔、この小説用に『こまさん』に書いて頂いたものです。 詳細は下記をご覧ください。 https://enjoy-days.net/coconara

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました

さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。 私との約束なんかなかったかのように… それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。 そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね… 分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。