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異界を渡るマレビト
私が聖女!?④
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「なんだか元気な子だね。ラナさんと気が合いそうだ」
ルミルたちから少し離れて歩きながらアキラ先輩は苦笑ぎみに話す。
目まぐるしく色んなことが起こってるからかな?
アキラ先輩の今の格好にも慣れてきたかも。
ドキドキ緊張はするけど、普通に会話出来るくらいにはなってきてる。
「そうですか? まあ、ああいうタイプ嫌いじゃないですけど」
私は答えてから、疑問を解消するには今だって思って「それよりも!」と話題を変えた。
「どうして私、回復魔法が使えるんですか? アキラ先輩は理由を知ってるんですよね?」
ケガ人の治療が優先だからって後回しにしていた疑問。
私なら出来るって言いきったアキラ先輩はその理由を知ってるはずだ。
「ああ。……まあ、簡単に言うと鏡とこの世界の神様のおかげかな?」
「鏡と神様?」
鏡はなんとなくわかる。
異世界に私たちを導いたり、服装を変えたりって色んなことができる鏡だもん。他にも何か出来たっておかしくない。
でもこの世界の神様って?
さっきからあいさつにも使われてる女神様のことかな?
「俺も聞いただけだから原理はよく分かってないんだけど……その世界の神様が鏡を通して訪れたマレビトの供にその世界の力を与えてくれるんだって」
「マレビトの供……一緒に来た人、つまり私ってことですね」
「そう、やっぱりラナさんはのみ込みが早いね」
感心しながらアキラ先輩は続ける。
「今回の場合は聖女の力だったみたいだね。力の度合いはその人がこの世界にどれだけ適応できるかで決まる。……つまりは順応する力に比例してその力の強さが決まるんだ」
「へぇ……」
うなずきながら一つ一つ理解していってると、アキラ先輩が嬉しそうに笑った。
「ラナさんならきっと強い力をもらえるって思ってたけど……大正解だったみたいだね」
「そ、そうですか」
ぎこちない笑顔でそう返すと、私はさっとアキラ先輩から目をそらした。
ちょっ!
その笑顔やめてください!
せっかくちょっと慣れてきたのに、その笑顔は心臓にダイレクトにつき刺さります!
もう! 鏡はなんでアキラ先輩の眼鏡取っちゃったのよ!
物言わぬ鏡に文句を言いたくなってきたら、ちょうど筆頭聖女がいるところについたみたい。
「あ、いたいた。ラミラー、紹介したい人がいるの」
ラミラって筆頭聖女の名前?
気安い感じで呼んでるけど、仲いいのかな?
「あ、こらルミル! 今はお仕事中なんだから筆頭聖女さまって呼ばなきゃダメでしょ!?」
ラミラと呼ばれた筆頭聖女も気安い感じでルミルを叱ってる。
「ごめんごめん」って近づいたルミル。
二人が並んだ姿を見て私はビックリした。
「え? ソックリ!? もしかして双子なの?」
筆頭聖女の証なのか、金色の鳥が刺繍された白い帽子をラミラがかぶっている以外はまったく同じ姿。
「うん、そうよ。この子は私の双子の姉。筆頭聖女なんてかたっ苦しい役職についてるラミラっていうの」
「かたっ苦しいは余計よ! ごめんね、ルミルってば誰にでもなれなれしくしちゃうから……。見たところ旅の聖女みたいだけれど、さっそくルミルに困らされてない?」
「あ、えっと……大丈夫です」
あはは、と笑いながら返す。
回復魔法が使えたから問題はなかったけれど、強引に引っ張って手伝わされたのも事実だったから。
「本当に? なんかあやしいけど……」
「え? えっと……」
ジトーッと見られて詳しく話すべきか迷う。
口ごもっていると、また別の声がした。
ルミルたちから少し離れて歩きながらアキラ先輩は苦笑ぎみに話す。
目まぐるしく色んなことが起こってるからかな?
アキラ先輩の今の格好にも慣れてきたかも。
ドキドキ緊張はするけど、普通に会話出来るくらいにはなってきてる。
「そうですか? まあ、ああいうタイプ嫌いじゃないですけど」
私は答えてから、疑問を解消するには今だって思って「それよりも!」と話題を変えた。
「どうして私、回復魔法が使えるんですか? アキラ先輩は理由を知ってるんですよね?」
ケガ人の治療が優先だからって後回しにしていた疑問。
私なら出来るって言いきったアキラ先輩はその理由を知ってるはずだ。
「ああ。……まあ、簡単に言うと鏡とこの世界の神様のおかげかな?」
「鏡と神様?」
鏡はなんとなくわかる。
異世界に私たちを導いたり、服装を変えたりって色んなことができる鏡だもん。他にも何か出来たっておかしくない。
でもこの世界の神様って?
さっきからあいさつにも使われてる女神様のことかな?
「俺も聞いただけだから原理はよく分かってないんだけど……その世界の神様が鏡を通して訪れたマレビトの供にその世界の力を与えてくれるんだって」
「マレビトの供……一緒に来た人、つまり私ってことですね」
「そう、やっぱりラナさんはのみ込みが早いね」
感心しながらアキラ先輩は続ける。
「今回の場合は聖女の力だったみたいだね。力の度合いはその人がこの世界にどれだけ適応できるかで決まる。……つまりは順応する力に比例してその力の強さが決まるんだ」
「へぇ……」
うなずきながら一つ一つ理解していってると、アキラ先輩が嬉しそうに笑った。
「ラナさんならきっと強い力をもらえるって思ってたけど……大正解だったみたいだね」
「そ、そうですか」
ぎこちない笑顔でそう返すと、私はさっとアキラ先輩から目をそらした。
ちょっ!
その笑顔やめてください!
せっかくちょっと慣れてきたのに、その笑顔は心臓にダイレクトにつき刺さります!
もう! 鏡はなんでアキラ先輩の眼鏡取っちゃったのよ!
物言わぬ鏡に文句を言いたくなってきたら、ちょうど筆頭聖女がいるところについたみたい。
「あ、いたいた。ラミラー、紹介したい人がいるの」
ラミラって筆頭聖女の名前?
気安い感じで呼んでるけど、仲いいのかな?
「あ、こらルミル! 今はお仕事中なんだから筆頭聖女さまって呼ばなきゃダメでしょ!?」
ラミラと呼ばれた筆頭聖女も気安い感じでルミルを叱ってる。
「ごめんごめん」って近づいたルミル。
二人が並んだ姿を見て私はビックリした。
「え? ソックリ!? もしかして双子なの?」
筆頭聖女の証なのか、金色の鳥が刺繍された白い帽子をラミラがかぶっている以外はまったく同じ姿。
「うん、そうよ。この子は私の双子の姉。筆頭聖女なんてかたっ苦しい役職についてるラミラっていうの」
「かたっ苦しいは余計よ! ごめんね、ルミルってば誰にでもなれなれしくしちゃうから……。見たところ旅の聖女みたいだけれど、さっそくルミルに困らされてない?」
「あ、えっと……大丈夫です」
あはは、と笑いながら返す。
回復魔法が使えたから問題はなかったけれど、強引に引っ張って手伝わされたのも事実だったから。
「本当に? なんかあやしいけど……」
「え? えっと……」
ジトーッと見られて詳しく話すべきか迷う。
口ごもっていると、また別の声がした。
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