龍の契り〜身代わりのとりかえ神和ぎ〜

 はるか昔、この日の本の国は国外からの脅威にさらされていた。
 主に被害を受けるのは力なき人間たち。
 哀れに思った神々が、強き者であるあやかしの五体の龍と契りを交わすよう五人の人間に告げた。

 龍は神に連なるあやかし故に荒ぶる神の御霊をその身に宿す。
 その御霊を契りを交わした人間が神和ぎとして鎮める事で、日の本の国に神の霊力が行き渡り結界の役割を持つだろう、と。

 陽の者である男の覡ならば側にいることで、陰の者である女の巫なら肌を合わせることで御霊は鎮まるのだという。
 それ故、契りを交わした人間は男なら側近として、女なら花嫁として龍に仕えるのだ。

 その契りは百年、千年の時を越え現在に至る。

 そして今日、金龍と契りを交わした人の一族・竜ヶ峰家から神和ぎが一人遣わされた。


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