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だって嫌なんだ、お前が他の男のものになるの。
しおりを挟む「嫌なんだよ、
お前が他の男のものになるの。」
異母兄、セオは
ポツリとそう呟いた。
「なんで諦めないと、
いけねぇんだよ。」
そんなこと言ったって、
しょうがないじゃん。
私は隣の国の王子様の元に
嫁ぐんだよ。
ルナは連れ子だったので、
セオとルナは
血が繋がっていない。
「今更そんなこと言ったって
遅いよ。」
そんなの、知りたくないよ。
ねぇ、
散々私の婚約を邪魔してきたのは
お兄ちゃんじゃん。
「お兄ちゃんのせいで、
私は隣の国に嫁がないと
いけなくなったんだよ?!」
本来ならば
ルナはもっと早くに
誰かと結婚してるはずだったのだ。
それが、
兄セオが散々邪魔をして、
すべて婚約破棄になってきた。
そして、隣国の王に
誰が一人
この国の貴族が
嫁がなければならなくなったとき
ルナが選ばれた。
「それも、
俺がぶっ壊してやるよ。
なんでルナが、
隣国に行かないとなんねぇんだよ。」
「ばか!!
あの国が
どれだけ強くて
この国にとって
大事な国だと思ってんの?
戦争でも起こす気?
余計なこと、しないでよ!」
セオは唇を噛んだ。
やめなよ。
お兄ちゃんの唇が痛そう。
「いいんだよ。
私だって馬鹿だった。」
兄が婚約破棄しようと
画策していたことを、
ルナは知っていた。
知っていたが放置したのだ。
その結果が、
兄と最も離れる
結末を導いてしまったのかもしれないけど。
「もうさ、
忘れようよ。
お互い、
お互いのことを。
そうするしか、無いんだよ。」
セオは、いいや、
と首をふった。
このわからず屋め!
「俺はまだ諦めないね!
最大のピンチは
最大のチャンスっていうだろ?」
------------------------------------------
その日の夜、
貴族ルナが隣国に向かう馬車が
何者かに襲われ、
ルナ嬢は未だ行方不明である。
騎士団による
必死の捜索が行われているが
犯人の足取りは掴めていない。
------------------------------------------
「ほらな?
諦めないと
良いことあるだろ?」
「も~。
ほんと、
馬鹿なんだから!」
「ルナもな!」
「まぁ、そうかも。」
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