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2 メイドがいなくたって構いません!

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「あー、自由って最高!」

アレックスの"お飾り婚約者"になってから、一週間が経った。宣言通り、私はアレックスから完全に放置され、最高の自由を味わっていた。東宮殿には、いくつもの屋敷が連なっているのだが、そのはずれにある小さな屋敷を与えて貰った。アレックスにも、その愛人にも会うことなく非常に良い環境ではあるのだが、、、

一つだけ問題が発生していたーー。

「申し訳ありません。今日でメル様のメイドをやめさせてもらいます。」

私の身の回りの世話をしてくれているメイドが次から次へと辞めていくのだ。原因はアレックスが囲んでいる愛人による嫌がらせだ。私をいじめるだけでなく、そのメイドまでいじめるなんて、とんでもない愛人である。

「あら、、そう。お疲れ様、、、。」

正直、名前は覚えてないけれど、今までありがとうメイドさん。貴方の入れてくれた珈琲は美味しかったわ。

「最後まで頑張ってくれて、ありがとう。」

私を担当していた6人のメイドさんのうち5人はもう既に昨日の段階で辞めている。どうせこの子もすぐにやめてしまうだろうと思っていたから、名前を覚える気にはならなかった。

「申し訳、、ありません!!」

「ああ。良いのよ。あんなに嫌がらせされたら、私だってさっさと逃げ出すわ。」

歩いていたら水をかけられたり、食事には虫をいれられたり、私の担当になったメイドさんはこの一週間散々な思いをしていた。

「新しいメイドは、雇えましたか、、、?」

最後の一人になってしまったから、気にしてくれているのだろう。優しい子ね。次はもっと良い主人のところに行くといいわ。

「ああ、雇ってないわよ。だいじょうぶ。もとからメイドは別にいらないと思っていたから。」

元々前世では、仕事をしながら家事の全てをこなしていたのだ。この世界の貴族になって長いから、メイドにお手伝いしてもらうことにはだいぶ慣れてきていたけど、、、無いほうが嬉しいのが正直なところよ。

(明日から何作ろうかな~!)

もう、私の心は明日の家事に向いていた。これで着る服は自分で選べるし、料理も自分が一番美味しいと思うものを作れる。わくわくが止まらなかった。

自分一人だけなら、愛人からの嫌がらせから身を守れるしね。前世で夫のDVをくらい続けてきた私にとっては、愛人の嫌がらせなどかわいいものなのだ。


  ◇◇◇
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