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26.たとえお前が王子であろうとも
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「サイラス様!」
ウルブスの剣から私を守ってくれたのは、サイラス様だった。
「邪魔をするな!!」
ウルブスは剣を重たそうに持ち上げて、もう一度サイラスに向けて振り下ろした。
「サイラス様!!!」
サイラスはウルブスの剣を片手で受け止め、右足でウルブスを蹴りつける。
「ぐあぁあ!」
サイラスは怒りに震えて、ウルブスを見下ろし、
「シエリをこれ以上傷つけるのは許さない!」
と叫んだ。
「お前には・・・関係ないだろ!!」
ウルブスは体を起こし、再び襲いかかろうとした。しかし、サイラスはウルブスの剣を軽々と受け止める。サイラスは私を守りながらウルブスの攻撃を防ぎ、反撃し続けた。
「今のうちに逃げろ!シエリ!」
「はい!」
「おい!!待てシエリ!!」
部屋を出た私をウルブスが追いかけようとしてくる。だが、サイラスの剣はウルブスが逃れることを許さない。
サイラスの剣の腕はウルブスを上回っている。ウルブスはぎりぎりと奥歯を噛みしめ、部下たちに叫んだ。
「お前たち、何をぼんやり見ている!!僕に加勢し、その女を捕まえろ!!」
「はっ!」
サイラスの部下たちも、彼を攻撃しようとしたが、サイラスの腕は優れていて、部下たちを圧倒している。
「サイラス様!!」
部屋を出ても激しい剣の打ち合い続き、サイラスとウルブスの戦いの場は城のロビーに移行した。城のみんなが何事かと彼らの戦いを見ている。
三対一になろうとも、サイラスの圧倒的有利は変わらない。サイラスは簡単にウルブスと騎士たちの剣をさばきながら、何とか戦いを終わらせようとしている。しかし、ウルブスの怒りは収まらず、彼はますます狂暴になっていた。
「許さない!!なぜ皆、僕の邪魔をするんだ!!」
ウルブスの怒りは頂点に達していたが、明らかに疲れの色が見えた。
荒い息で剣を振り上げたウルブスの剣をサイラスがはじき飛ばし、ウルブスを組み敷く。
「離せっ。」
「シエリを傷つける奴を自由にするわけにはいかない!たとえお前が王子であろうとも・・・!」
サイラスがそう叫んだ時
「何をしている!!」
そこに現れたのはデンバー国王と・・・ザルトル国第二王子フォックスである。
「おーい。サイラスー。大丈夫か~??」
フォックスはのん気にサイラスに向かって手をふり笑う。
「無事、悪い王子から、好きな人を救い出せたみたいだな。」
へ・・・?
「おい!!!フォックス!!」
サイラスは顔を真っ赤にして、フォックスを呼び捨てする。
あれ・・・?フォックス様って王子なのでは・・・?
「父上!!助けてください!!この騎士に突然襲い掛かられました・・・!」
サイラスに捕らえられたままのウルブスは涙目で、デンバー国王に訴える。
デンバー国王は腕を組んだままウルブスを睨みつけると、息子を怒鳴りつけた。
「馬鹿者・・・!」
「え・・・?」
ウルブスは呆然とした顔で目を見開いた。
「ウルブス・・・お前がシエリ嬢とザルトル国の騎士に切りかかったことはすでに報告されているのだぞ!!」
「で・・ですが、シエリを本当に傷つける気はなかったですし・・・この男はただの騎士ではないですか!なぜ僕を味方してくれないのですか!父上!!」
「ただの騎士なら・・・一方的に命を奪ってもいいってことかい?」
フォックスは笑みを浮かべたまま、ウルブスに尋ねた。だがその目は笑っていない。
「そ・・そういうことでは・・・。」
「ちなみにその騎士サイラス・リングイットはザルトル国公爵家の一人息子。殺してたら大問題になるとこだったね。ウルブス?」
こ・・・公爵家の方だったんですね。サイラス様・・・。
◇◇◇
ウルブスの剣から私を守ってくれたのは、サイラス様だった。
「邪魔をするな!!」
ウルブスは剣を重たそうに持ち上げて、もう一度サイラスに向けて振り下ろした。
「サイラス様!!!」
サイラスはウルブスの剣を片手で受け止め、右足でウルブスを蹴りつける。
「ぐあぁあ!」
サイラスは怒りに震えて、ウルブスを見下ろし、
「シエリをこれ以上傷つけるのは許さない!」
と叫んだ。
「お前には・・・関係ないだろ!!」
ウルブスは体を起こし、再び襲いかかろうとした。しかし、サイラスはウルブスの剣を軽々と受け止める。サイラスは私を守りながらウルブスの攻撃を防ぎ、反撃し続けた。
「今のうちに逃げろ!シエリ!」
「はい!」
「おい!!待てシエリ!!」
部屋を出た私をウルブスが追いかけようとしてくる。だが、サイラスの剣はウルブスが逃れることを許さない。
サイラスの剣の腕はウルブスを上回っている。ウルブスはぎりぎりと奥歯を噛みしめ、部下たちに叫んだ。
「お前たち、何をぼんやり見ている!!僕に加勢し、その女を捕まえろ!!」
「はっ!」
サイラスの部下たちも、彼を攻撃しようとしたが、サイラスの腕は優れていて、部下たちを圧倒している。
「サイラス様!!」
部屋を出ても激しい剣の打ち合い続き、サイラスとウルブスの戦いの場は城のロビーに移行した。城のみんなが何事かと彼らの戦いを見ている。
三対一になろうとも、サイラスの圧倒的有利は変わらない。サイラスは簡単にウルブスと騎士たちの剣をさばきながら、何とか戦いを終わらせようとしている。しかし、ウルブスの怒りは収まらず、彼はますます狂暴になっていた。
「許さない!!なぜ皆、僕の邪魔をするんだ!!」
ウルブスの怒りは頂点に達していたが、明らかに疲れの色が見えた。
荒い息で剣を振り上げたウルブスの剣をサイラスがはじき飛ばし、ウルブスを組み敷く。
「離せっ。」
「シエリを傷つける奴を自由にするわけにはいかない!たとえお前が王子であろうとも・・・!」
サイラスがそう叫んだ時
「何をしている!!」
そこに現れたのはデンバー国王と・・・ザルトル国第二王子フォックスである。
「おーい。サイラスー。大丈夫か~??」
フォックスはのん気にサイラスに向かって手をふり笑う。
「無事、悪い王子から、好きな人を救い出せたみたいだな。」
へ・・・?
「おい!!!フォックス!!」
サイラスは顔を真っ赤にして、フォックスを呼び捨てする。
あれ・・・?フォックス様って王子なのでは・・・?
「父上!!助けてください!!この騎士に突然襲い掛かられました・・・!」
サイラスに捕らえられたままのウルブスは涙目で、デンバー国王に訴える。
デンバー国王は腕を組んだままウルブスを睨みつけると、息子を怒鳴りつけた。
「馬鹿者・・・!」
「え・・・?」
ウルブスは呆然とした顔で目を見開いた。
「ウルブス・・・お前がシエリ嬢とザルトル国の騎士に切りかかったことはすでに報告されているのだぞ!!」
「で・・ですが、シエリを本当に傷つける気はなかったですし・・・この男はただの騎士ではないですか!なぜ僕を味方してくれないのですか!父上!!」
「ただの騎士なら・・・一方的に命を奪ってもいいってことかい?」
フォックスは笑みを浮かべたまま、ウルブスに尋ねた。だがその目は笑っていない。
「そ・・そういうことでは・・・。」
「ちなみにその騎士サイラス・リングイットはザルトル国公爵家の一人息子。殺してたら大問題になるとこだったね。ウルブス?」
こ・・・公爵家の方だったんですね。サイラス様・・・。
◇◇◇
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