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6 巻き込みたくないの

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目が覚めると、私は自分の部屋の中にいた。部屋の前には何人もの兵が見張っていて、外には出られそうに無かった。

病に倒れたドノバル王が心配で、何度もお見舞いをしたいと頼んだが、兵は無情にも言った。

「アトラス様に、サクラ様を部屋から出すなと言われておりますので。」

「そんな、、、。」


   ◇◇◇


「サクラ様。」

その日の夜、見張りの兵の一人が私に話しかけてきた。その兵は顔全体を包帯でぐるぐる巻にしていて、正直少し怖い。

「な、、なによ?」

「俺は、、レブロムだ。見張り兵のふりをしないと、サクラに会えなかったんだ。」

包帯男は小声で言った。

「そう、、、。」

「なぜ、、あの場で本当のことを言わなかったんだ?兄上に俺だと伝えれば、不貞、だなんて言われずに済んだはずだ。」

私は小さく首を振った。

「そうなったら、きっと貴方が巻き込まれていたわ。何にせよ、アトラスは私を不貞した、と追求していたんだと思うから。」

今思えば、きっとあれは罠だったのだ。わかりやすく、私にヒィナが部屋に来たことを伝え、いつもより大きな音を出していた。

(私を結婚式前夜に部屋から出すことで、不貞をでっち上げようとしていたんだわ。) 

私は包帯に巻かれたレブロムを見つめた。

「昨日私が貴方に会ったこと、アトラスに言ったらだめよ。」

「だけど、、、!」

「いいのよ、、、。レブロム、貴方は何も悪くないんだもの。あなたを巻き込んで、これ以上悲しくなるのはいやよ。」

レブロムがどんな顔をしているのか分からなかった。レブロムは暫く黙り込んだ後、言った。

「わかった」

本当にわかってる?お願いだからね。レブロムが優しいのはよくわかってるから、巻き込まれないで頂戴。

アトラスは私に誰も会わせるなと命令していたのだろう。7日間、私は部屋に閉じ込められドノバル王の無事を祈ることしかできなかった。

まあ、数日に一度、包帯まみれの見張り兵は訪れてくれたけど。


   ◇◇◇

そして、7日ぶりに部屋を出ると驚くべきことが起こっていた。

ヒィナは聖女として皆に認められていたのだった。回復不可能と思われていたドノバル王の病状がヒィナの祈祷によって一瞬で回復したらしい。

「ドノバル様をヒィナ様が聖女の力で救ってくださったのだ!!」

「ヒィナ様!」

アトラスの部下たちはそう言ってヒィナを囃し立てた。一介の使用人だったことをすっかり忘れて、ヒィナを聖女と敬っていたのだった。

      ◇◇◇
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