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55. 国王様と最愛の妻
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「僕は悪くない……僕は悪くない!」
その日の夜、レオナルドは悪夢を見て目を覚ました。
村長の家のベットの上。一晩の宿にと、この村の村長が提供してくれた場所だった。
レオナルドの目には大きなクマができ、全身に冷や汗をかいている。
「僕のせいじゃない!だって僕は何も知らなかった!」
夢の中。さっきまで笑顔だった村人たちが、皆恐ろしい顔に変わって、レオナルドを責め立てていた。
「レオナルド?」
隣でねむっていたリュカがレオナルドの声で目を覚ました。
「リュカ……皆が僕を殺しに来るんだ!僕が最低な奴だと、皆がののしるんだ!」
レオナルドは夢の中と現実を混合している。実際には皆、レオナルドを歓迎し、心から感謝していたのに。
リュカは大きく目を見開いてレオナルドを見た。
「だいじょうぶだよ。レオナルド。だれもあなたを責めてないよ。」
リュカはレオナルドを抱きしめながら、胸が締め付けられるのを感じていた。リュカも最初はレオナルドを国王としか見ておらず、何も考えずレオナルドを責めた。
でもレオナルドは実際に苦しんでいる人たちをみて、彼らを放っておかなかった。あれこれ理由をつけているけれど、レオナルドはみんなを助けている。
「いや違うっ!平民たちは皆僕を恨んでいる!!」
初めて会った時にリュカが言った言葉を、レオナルドはちゃんと覚えているんだろう。
ーーーーあんなこと言わなきゃよかった。
「レオナルドは悪くないよ。」
リュカは強くレオナルドを抱きしめる。貧困に苦しむスウェルド国の国王様。彼がもっと早くうごいていれば、もっとたくさんの人を救えたかもしれない。リュカの父もいなくならなかったかもしれない。レオナルドを恨む気持ちが完全になくなったわけではない。それでも、一人ぼっちで苦しむ国王様の心を少しでも和らげてあげたいと思った。
「お前は嘘つきだ!」
レオナルドはリュカを睨みつけて叫んだ。
「お前は嘘をついている!お前は全て僕のせいだと思っているんだろう!」
リュカははっとした。この数日、彼の傍にいてわかった。レオナルドは無知な男だが、決して愚かな人ではない。むしろ、人の考えに敏感で、深く考えをめぐらすことができる人だ。
ーーーーレオナルドは自分自身を責めているんだ……。
リュカはただレオナルドの傍にいることしかできなかった。きっとどんな言葉も、この悲しい王様には届かない。
◇◇◇
次の日、レオナルドを乗せた馬車はコトリ村にたどり着いた。
「レオナルド様。コトリ村に着きました。」
アルバートの言葉に、馬車の中にいたレオナルドは目を開けた。
ーーーーコトリ村……アリス……。
レオナルドはふらふらした足取りで、馬車から出た。
「レオナルド。大丈夫?」
「ついてくるな!」
レオナルドは荒い息で、リュカに怒鳴りつけた。彼は今朝から高熱を出している。疲れと心労がたまりすぎたんだろう。
高熱でふらふらと歩きながら、レオナルドは幻覚を見ていた。
ーーーーアリス……!
アリスは村人たちに、食事を配っていた。
『ねえ、レオナルド。一緒に行きましょう!』
幻覚の中で、アリスが笑う。
『僕は王だっ!行くわけないだろうっ!』
レオナルドはアリスの手を振り払った。するとなぜか下は川になっていて、アリスが真っ逆さまに落ちていく。
その日の夜、レオナルドは悪夢を見て目を覚ました。
村長の家のベットの上。一晩の宿にと、この村の村長が提供してくれた場所だった。
レオナルドの目には大きなクマができ、全身に冷や汗をかいている。
「僕のせいじゃない!だって僕は何も知らなかった!」
夢の中。さっきまで笑顔だった村人たちが、皆恐ろしい顔に変わって、レオナルドを責め立てていた。
「レオナルド?」
隣でねむっていたリュカがレオナルドの声で目を覚ました。
「リュカ……皆が僕を殺しに来るんだ!僕が最低な奴だと、皆がののしるんだ!」
レオナルドは夢の中と現実を混合している。実際には皆、レオナルドを歓迎し、心から感謝していたのに。
リュカは大きく目を見開いてレオナルドを見た。
「だいじょうぶだよ。レオナルド。だれもあなたを責めてないよ。」
リュカはレオナルドを抱きしめながら、胸が締め付けられるのを感じていた。リュカも最初はレオナルドを国王としか見ておらず、何も考えずレオナルドを責めた。
でもレオナルドは実際に苦しんでいる人たちをみて、彼らを放っておかなかった。あれこれ理由をつけているけれど、レオナルドはみんなを助けている。
「いや違うっ!平民たちは皆僕を恨んでいる!!」
初めて会った時にリュカが言った言葉を、レオナルドはちゃんと覚えているんだろう。
ーーーーあんなこと言わなきゃよかった。
「レオナルドは悪くないよ。」
リュカは強くレオナルドを抱きしめる。貧困に苦しむスウェルド国の国王様。彼がもっと早くうごいていれば、もっとたくさんの人を救えたかもしれない。リュカの父もいなくならなかったかもしれない。レオナルドを恨む気持ちが完全になくなったわけではない。それでも、一人ぼっちで苦しむ国王様の心を少しでも和らげてあげたいと思った。
「お前は嘘つきだ!」
レオナルドはリュカを睨みつけて叫んだ。
「お前は嘘をついている!お前は全て僕のせいだと思っているんだろう!」
リュカははっとした。この数日、彼の傍にいてわかった。レオナルドは無知な男だが、決して愚かな人ではない。むしろ、人の考えに敏感で、深く考えをめぐらすことができる人だ。
ーーーーレオナルドは自分自身を責めているんだ……。
リュカはただレオナルドの傍にいることしかできなかった。きっとどんな言葉も、この悲しい王様には届かない。
◇◇◇
次の日、レオナルドを乗せた馬車はコトリ村にたどり着いた。
「レオナルド様。コトリ村に着きました。」
アルバートの言葉に、馬車の中にいたレオナルドは目を開けた。
ーーーーコトリ村……アリス……。
レオナルドはふらふらした足取りで、馬車から出た。
「レオナルド。大丈夫?」
「ついてくるな!」
レオナルドは荒い息で、リュカに怒鳴りつけた。彼は今朝から高熱を出している。疲れと心労がたまりすぎたんだろう。
高熱でふらふらと歩きながら、レオナルドは幻覚を見ていた。
ーーーーアリス……!
アリスは村人たちに、食事を配っていた。
『ねえ、レオナルド。一緒に行きましょう!』
幻覚の中で、アリスが笑う。
『僕は王だっ!行くわけないだろうっ!』
レオナルドはアリスの手を振り払った。するとなぜか下は川になっていて、アリスが真っ逆さまに落ちていく。
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