【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。

五月ふう

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7 誕生日おめでとう!

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誕生日当日。プレゼントを右手に持った私の手は少し汗ばんでいた。

「お、、、!アレックス、こんにちは!」

私は屋敷の入り口に現れたアレックスに手を振った。

「メル!!今日もかわいいね!ん?なんか、今日、いつもと髪型違う、、、?」

「そ、そうかな?」

いつもは無造作に後ろにくくっている髪を、今日は下ろしていた。なぜ?いや、そんなのなんとなくに決まってるじゃん!なんも意味なんか無いし!!

「アレックス、おめでとう!」

「ん?」

アレックスが首をかしげた。え?今日、アレックスの誕生日じゃ無かったの、、、?

「あの、、、誕生日、、、じゃない?」

「ああ!確かに言われてみればそうだね。大人になるとすっかり忘れてしまうものだなぁ。」

忘れてしまうものだなぁ、じゃないんだよ。この無頓着野郎!私は手の後ろに隠したプレゼントをぎゅっと握った。

「ありがとう。メルに祝って貰えるなんて、これ以上嬉しいことはない。最高の誕生日プレゼントだよ!!」

アレックスはにこにこと笑った。そんなこと言われたら、プレゼントを出しづらいじゃないか!あー!もういい!!

「はいっ!!」

私は小さな袋に入ったプレゼントをアレックスに差し出した。

「こ、、、これは、、、?」

アレックスは無表情で固まった。

「プレゼント!!大したものじゃないけど!!」

「な、な、なんてことだ!!!」


   ◇◇◇


その後のアレックスのやかましさったら無かった。私のプレゼントをひたすら眺めたあと、東宮殿中の人にそのプレゼントを見せて回っていた。

恥ずかしいからやめてと何度言っても、あの馬鹿男の耳には入らなかったみたいだ。

その一ヶ月後の私の誕生日がありえないくらい豪華になったのは、言うまでもなかった。

私がアレックスに渡したプレゼントが何かって?

「そんなに喜ぶなら、もっと違うものにすればよかったかな?」

私がアレックスに尋ねると、アレックスはそのプレゼントをぎゅっと握りしめて私を威嚇した。

「絶対、、、!これは返さないからな!!これがいいんだ!!メルが俺にくれたお守りだぞ??!」

そう。私がアレックスに渡したのは手作りのお守り。騎士として様々な場所に行くアレックスが、危険な目にあいませんようにと願いを込めた。

「よろこんでくれて、良かったわ。」

誰かに、誕生日プレゼントを渡すのも悪くないって思う、今日このごろなのだった。


   ◇◇◇

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